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平成24事務年度国税庁が達成すべき目標に対する実績の評価書(抜粋)

業績目標1-3-3:不服申立て等に適正・迅速に対応し、納税者の正当な権利利益の救済を図ります。

1. 業績目標に関する基本的考え方

 国税における不服申立制度は、簡易・迅速な手続により納税者の皆様の正当な権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とするものであり、税務行政の適正な執行を担保する上で重要な役割を果たしています。
 納税者の皆様の理解と信頼を得るよう、不服申立ての適正かつ迅速な処理を目指すとともに、より利用しやすい環境の整備を図ります。

2. 平成24事務年度の事務運営の報告

(1)不服申立ての適正・迅速な処理

 国税の更正・決定などの課税処分や差押えなどの滞納処分等があった場合、その処分に不服のある納税者の方は、その処分の取消しや変更を求めてこれらの処分を行った税務署長等に対して「異議申立て」をすることができます。また、その異議申立てに対する税務署長等の決定を経た後の処分になお不服があるときは、国税不服審判所長に対して「審査請求」をすることができます。

イ 異議申立て

(省略)

ロ 審査請求
[平成24事務年度実施計画]

 国税不服審判所は、事件処理においては、審査請求人と処分を行った税務署長等の双方から事実関係や主張を聴き、争点を明らかにした上、自ら調査を行って、公正な第三者的立場で審理し、裁決を適正・迅速に行います。
 このため、審査請求人に早期に審理の手続を説明し、審査請求人と処分を行った税務署長等の双方へ「争点の確認表」の交付を実施するなど、審理の手続や審理状況の透明性に配意するとともに、事件処理の迅速性の面から全処理件数のうち1年以内に処理した件数の割合を一つの目安とし、審査請求事件を適正・迅速に処理します。
 また、民間専門家等の高度な専門知識や実務経験を生かすことにより事件処理の適正性・迅速性を一層高めるために、国税審判官への外部登用を拡大します。

[施策の実施状況]

 国税不服審判所における審査請求の処理に当たっては、適正さを担保するために、審査請求人にリーフレットや「審査請求よくある質問」(パンフレット)を用いて審理の手続を説明し、審査請求人と処分を行った税務署長等の双方の主張を十分に聴いた上で争点の確認表を作成・交付するなど、審理の手続や審理状況の透明性に十分配意しました。
 また、迅速に納税者の皆様の正当な権利利益の救済を図ることも制度の目的の一つであることから、国税不服審判所では審査請求の1年以内の処理件数割合を業績指標とし、本事務年度においては、これまでの実績を踏まえて95%を目標として取り組みました。
 平成24年度においては、前年度から繰り越された2,807件(前年2,194件)と新たに審査請求のあった3,597件(前年3,571件)のうち、3,616件(前年2,958件)を処理しました。そのうち3,477件(前年2,865件)が審査請求から1年以内に処理したものであったことから、審査請求の1年以内処理件数割合は96.2%となり、目標を達成することができました。
 なお、経済取引の広域化・国際化を背景とする事件などは、関連する者が多数にのぼることから取引の内容や流れが複雑で、これらに係る追加的主張やその主張を根拠付ける証拠が複数回にわたって提出されるなど、争点整理や事実の確認に長時間を要して裁決までに1年を超える場合がありますが、適時・的確な争点整理及び証拠収集や適切な進行管理を行うなどして、適正かつ迅速な事件処理に努めました。
 また、平成24年度においては、平成24年4月と7月に民間専門家を合計16名採用し、平成25年3月末の外部登用の国税審判官(特定任期付職員)は、43名となりました。なお、平成25年には、事件を担当する国税審判官の半数程度(50名程度)が外部登用者となる見込みです。

○参考指標 A-65:審査請求の状況(単位:件、%)
会計年度 平成20年度 21年度 22年度 23年度 24年度
期首繰越件数 2,143 2,166 2,826 2,194 2,807
請求件数 2,835 3,243 3,084 3,571 3,597
処理件数 2,812 2,583 3,716 2,958 3,616
  請求認容件数 415 384 479 404 451
請求認容割合 14.8 14.9 12.9 13.7 12.5
期末繰越件数 2,166 2,826 2,194 2,807 2,788

(出所)国税不服審判所調
(注)「請求認容件数」は、「処理件数」のうち審査請求人の主張が何らかの形で受け入れられたものの件数です。

◎業績指標 1-27:「審査請求」の1年以内の処理件数割合(単位:%)
会計年度 平成20年度 21年度 22年度 23年度 24年度
目標値 実績値
処理件数割合 92.6 92.2 93.2 96.9 95 96.2

(出所)国税不服審判所調

(2)裁決事例の公表の充実

[平成24事務年度実施計画]

 国税不服審判所においては、適正な申告と納税のため有用であると考えられる事例や適正な賦課・徴収の実現に資すると考えられる事例を審査請求人等の秘密保持に十分配慮しながら、国税不服審判所ホームページ(https://www.kfs.go.jp)に掲載し、公表しています。
 平成24事務年度においても、裁決事例を引き続き国税不服審判所ホームページに掲載するとともに、裁決事例ごとに参考判例を付記するなどにより、公表事例がより有用なものとなるよう、その充実を図ります。

[施策の実施状況]

 平成24事務年度においては、平成23事務年度に引き続き四半期ごとに裁決事例の公表を行い、平成24年7月から平成25年6月までの間に93事例を国税不服審判所のホームページ(https://www.kfs.go.jp)に掲載して公表しました。その結果、ホームページにおいては、平成4年から24年までにされた裁決の中から1,470事例を掲載しています。
 また、裁決事例の公表に当たっては、裁決事例ごとに参考判決を付記することなどにより、公表事例がより有用なものとなるよう、その充実に努めました。

○参考指標 A-66:国税不服審判所ホームページへのアクセス件数(単位:千件)
会計年度 平成20年度 21年度 22年度 23年度 24年度
アクセス件数 904 1,159 1,132 1,229 1,349

(出所)国税不服審判所調

(注)国税不服審判所ホームページには、公表裁決事例のほか、裁決要旨(平成8年7月以降のもの)、国税不服審判所の概要や国税の不服申立制度について掲載しています。

3. 平成23事務年度実績の評価結果の平成24事務年度施策等への反映状況

 「2.平成24事務年度の事務運営の報告」に記載のとおりです。

4. 目標を巡る現状・外部要因等の動向

 目標を巡る現状・外部要因等の動向については、「2.平成24事務年度の事務運営の報告」において、業績指標・参考指標と併せて記述しています。
 なお、国税に関する法律に基づく処分についての納税者の救済制度には、処分庁に対する「異議申立て」及び国税不服審判所に対する「審査請求」のほかに、裁判所に対して訴訟を提起して処分の是正を求める司法上の救済制度がありますが、訴訟の状況については、次のとおりとなっています。

○参考指標 A-67:訴訟の状況(単位:件、%)
会計年度 平成20年度 21年度 22年度 23年度 24年度
期首係属件数 355 354 373 369 380
発生件数 355 339 350 391 340
終結件数 356 320 354 380 383
  原告勝訴件数 38 16 27 51 24
原告勝訴割合 10.7 5.0 7.6 13.4 6.3
期末係属件数 354 373 369 380 337

(出所)課税部審理室、徴収部徴収課、国税不服審判所調

(注)「原告勝訴件数」は、「終結件数」のうち原告(納税者)の主張が何らかの形で受け入れられたものの件数です。

5. 今後の施策等に反映すべき事項

(1)施策への反映に向けた提言

 異議申立てが、簡易・迅速な手続により納税者の皆様の正当な権利利益の救済を図るという趣旨を踏まえ、公正・中立な立場で充実した調査・審理を行い、引き続き適正かつ迅速な処理を図ります。
 また、国税不服審判所は、公正な第三者的機関として、審理の手続や審理状況の透明性に配意しつつ、公正・中立な立場で充実した調査・審理を行うとともに、国税審判官へ民間専門家等を登用し、高度な専門知識や実務経験を生かすことにより、事件処理の適正性・迅速性を一層高めます。さらに、裁決事例の公表に当たっては、参考判決を付記するなどにより、公表事例がより有用なものとなるよう、引き続きその充実を図ります。

(2)平成26年度予算要求等への反映

 納税者の皆様の正当な権利利益の救済を図るため、不服申立て等に適正・迅速に対応するために必要な経費の確保に努めます。

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