平成25事務年度国税庁が達成すべき目標に対する実績の評価書(抜粋)
業績目標1-3-3:不服申立て等に適正・迅速に対応し、納税者の正当な権利利益の救済を図ります。
1. 業績目標の内容
国税における不服申立制度は、簡易・迅速な手続により納税者の皆様の正当な権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とするものであり、税務行政の適正な執行を担保する上で重要な役割を果たしています。
納税者の皆様の理解と信頼を得るよう、不服申立ての適正かつ迅速な処理を目指すとともに、より利用しやすい環境の整備を図ります。
2. 目標達成のための取組
上記の業績目標を達成するため、以下のとおり取り組みました。
(施策)
- 不服申立ての適正・迅速な処理
- 裁決事例の公表の充実
〔施策1〕 不服申立ての適正・迅速な処理
(1)異議申立て
(省略)
(2)審査請求
国税不服審判所における審査請求の処理に当たっては、適正さを担保するために、審査請求人に「審査請求よくある質問」(パンフレット)などを用いて審理の手続を説明し、審査請求人と処分を行った税務署長等の双方の主張を十分に聴いた上で争点の確認表を作成・交付するなど、審理の手続や審理状況の透明性に十分配意しました。
また、迅速に納税者の皆様の正当な権利利益の救済を図ることも制度の目的の一つであることから、国税不服審判所では審査請求の1年以内の処理件数割合を業績指標とし、本事務年度においては、これまでの実績値を踏まえて95%を目標として取り組みました。
平成25年度においては、前年度から繰り越された2,788件(前年2,808件)と新たに審査請求のあった2,855件(前年3,598件)のうち、3,073件(前年3,618件)を処理しました。そのうち2,956件(前年3,479件)が審査請求から1年以内に処理したものであったことから、審査請求の1年以内処理件数割合は96.2%となり、目標を達成することができました。
経済取引の広域化・国際化を背景とする事件などは、関連する者が多数に上ることから取引の内容や流れが複雑で、これらに係る追加的主張やその主張を根拠付ける証拠が複数回にわたって提出されるなど、争点整理や事実の確認に長時間を要して裁決までに1年を超える場合がありますが、適時・的確な争点整理及び証拠収集や適切な進行管理を行うなどして、適正かつ迅速な事件処理に努めました。
なお、平成25年度においては、平成25年4月と7月に民間専門家を合計17名採用し、平成26年3月末の外部登用の国税審判官(特定任期付職員)は、50名となりました。これにより、事件を担当する国税審判官の半数程度(50名程度)が外部登用者となりました。
会計年度 | 平成21年度 | 22年度 | 23年度 | 24年度 | 25年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
期首繰越件数 | 2,166 | 2,827 | 2,194 | 2,808 | 2,788 | |
請求件数 | 3,254 | 3,084 | 3,581 | 3,598 | 2,855 | |
処理件数 | 2,593 | 3,717 | 2,967 | 3,618 | 3,073 | |
請求認容件数 | 384 | 479 | 404 | 451 | 236 | |
請求認容割合 | 14.8 | 12.9 | 13.6 | 12.5 | 7.7 | |
期末繰越件数 | 2,827 | 2,194 | 2,808 | 2,788 | 2,570 |
(出所)国税不服審判所調
(注)「請求認容件数」は、「処理件数」のうち審査請求人の主張が何らかの形で受け入れられたものの件数です。
〔施策2〕 裁決事例の公表の充実
平成25事務年度においては、平成24事務年度に引き続き四半期ごとに裁決事例の公表を行い、平成25年7月から平成26年6月までの間に69事例を国税不服審判所のホームページ(https://www.kfs.go.jp)に掲載して公表しました。その結果、ホームページにおいては、平成4年から25年までにされた裁決の中から1,539事例を掲載しています。
また、裁決事例の公表に当たっては、裁決事例ごとに参考判決を付記することなどにより、公表事例がより有用なものとなるよう、その充実に努めました。
会計年度 | 平成21年度 | 22年度 | 23年度 | 24年度 | 25年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
アクセス件数 | 1,159 | 1,132 | 1,229 | 1,349 | 1,473 |
(出所)国税不服審判所調
(注)国税不服審判所ホームページには、公表裁決事例のほか、裁決要旨(平成8年7月以降のもの)、国税不服審判所の概要や国税の不服申立制度について掲載しています。
3.目標を巡る現状・外部要因等の動向
(1)国税に関する法律に基づく処分についての納税者の救済制度には、処分庁に対する異議申立て及び国税不服審判所に対する審査請求のほかに、裁判所に対して訴訟を提起して処分の是正を求める司法上の救済制度がありますが、訴訟の状況については、次のとおりとなっています。
会計年度 | 平成21年度 | 22年度 | 23年度 | 24年度 | 25年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
期首系属件数 | 354 | 373 | 369 | 380 | 337 | |
発生件数 | 339 | 350 | 391 | 340 | 290 | |
終結件数 | 320 | 354 | 380 | 383 | 328 | |
原告勝訴件数 | 16 | 27 | 51 | 24 | 24 | |
原告勝訴割合 | 5.0 | 7.6 | 13.4 | 6.3 | 7.3 | |
期末系属件数 | 373 | 369 | 380 | 337 | 299 |
(出所)課税部審理室、徴収部徴収課、国税不服審判所調
(注)「原告勝訴件数」は、「終結件数」のうち原告(納税者)の主張が何らかの形で受け入れられたものの件数です。
(2)平成26年6月に、行政不服審査制度の公正性・使いやすさの向上の観点から、行政不服審査法が改正され、それに伴い国税通則法も改正されたことから、施行に向けて必要な準備を行います。