ホーム >> 公表裁決事例集等の紹介 >> 公表裁決事例 >> 平成28年7月〜9月分 >>(平成28年7月6日裁決) >>別紙2 法人税額等の更正通知書及び加算税の賦課決定通知書の更正の理由

別紙2 法人税額等の更正通知書及び加算税の賦課決定通知書の更正の理由

 貴法人備え付けの帳簿書類を調査した結果、所得金額等又は税額等の計算に誤りがあると認められますから、次のとおり、申告書に記載された所得金額等に加算、減算して更正し又は税額等を更正しました。

  1. 1 加算項目
    1. (1) 販売費及び一般管理費の損金算入過大 ○○○○円
       貴社は、当事業年度の売上高に計上した○○商材販売業務(以下「○○業務」といいます。)に係る収入合計○○○○円を益金の額に算入しています。
       また、当該売上高に係る経費として、1支払手数料、広告宣伝費、販売手数料及びシステム利用料の科目に計上した合計○○○○円と2「JV費用」の科目で計上した○○○○円との総合計○○○○円を当事業年度の販売費及び一般管理費として損金の額に算入しています。
       この○○業務内容について調査した結果、次の事実が認められました。
      • イ 貴社は、貴社の代表取締役eが同じく代表取締役を務めるq社との間で平成23年11月1日に締結した業務委託契約に基づき、q社の経理業務を受託し、貴社の従業員をq社の経理業務にも従事させていたこと。
      • ロ 貴社は、平成25年2月1日にq社と締結した販売名義使用許諾契約に基づき、q社の販売名義を使用して販売業務を行う旨の許諾を受けていたこと。
      • ハ q社は、平成25年2月15日にL国法人であるg社、L国法人であるj社、L国法人であるm社(以下g社、j社を含め「g社等」といいます。)との4社間で○○商材販売契約(以下「○○契約」といいます。)を締結し、当該4社間で○○契約の成立を証した○○商材販売契約書(以下「○○契約書」といいます。)を取り交わしていること。
      • ニ 貴社の代表取締役であるeは、q社の行う事業のうち、「○○事業」については、1貴社にq社の名称を使用させ名称使用に関する手数料をq社が得ていること、2q社の名称で契約書が作成されていたとしても、実際には貴社が業務を行っており、契約書にq社の名称があったとしても、q社を貴社に読み替えることが両者の業務実態に沿っていると申述したこと。
         更にeは、同人がq社と貴社との代表者であることから、○○契約に関し、1貴社の代表者として契約に携わり、販売者の名称と契約書の名称はq社として作成する旨を契約の相手方のg社等へ説明し、同意を得た上で行った契約である、2その結果、q社の名称で商品を販売することとしたことから、顧客からq社の口座に振り込まれるが、実際は貴社が行っている○○業務であるため、q社では収益計上を一切行わず、当該口座への入金額は仮受金として、出金額は仮受金の減額として経理処理した上で、本来の契約当事者であり、○○業務を行った貴社で収益に計上していると申述したこと。
         また、j社のCEOであるkは、○○業務の対外的な販売名義人はq社であるが、実際の販売者は貴社である旨の説明を受け了承した旨の申述べを行っていること。
         これらのことから、○○契約において、q社は名目上の契約者であり、実質的な契約当事者は貴社であったと認められること(g社、j社、m社及び貴社との4社を以下「実質的な契約当事者」といいます。)。
      • ホ ○○契約書において、○○業務を行うに当たっての第3条にg社、第4条にq社、第5条にj社、第6条にm社の業務、第7条に各契約当事者が担う役割分担がそれぞれ規定され、各契約当事者が担当する○○業務は、g社が商材の著者、j社がマーケティング担当、m社がg社とj社の仲介及びq社が名目上の販売者として、○○商材の販売を共同で行うことを目的とし、当該業務を行うに当たり、各契約当事者の役割分担及び権利を予め明文化し、後々のトラブルを防ぐことを目的として実質的な契約当事者の合意により定められたと認められること。
      • ヘ 貴社は、○○業務を行うに当たり、国内において国内の法律(特定商取引に関する法律第11条、同法施行規則第8条)に基づき顧客を募集し、g社が著作権を有する商材の販売を行っていたこと。
      • ト e及び貴社の従業員であるpは、貴社の事務所(H市J町○−○)において、○○業務に係る1販売収益集計作業、2本契約書の第8条第2項に定める経費(以下「共通経費」という)支払事務、3分配金計算などの業務を、同所内に設置されているパソコンを使用して日常的に行っていたこと。
      • チ ○○契約書の第10条では、販売売上から広告費などの諸経費を控除した利益を分配する旨が定められていること。
      • リ ○○契約書の第10条において、利益の分配率は、g社が30%、j社が40%、m社が10%及びq社が20%と定め、g社等は当該分配率に準じて分配金を受領したが、q社への分配率と定めた20%の分配金は貴社が受領していること。
      • ヌ ○○業務の分配金について、g社はq社から、j社及びm社は貴社からそれぞれ支払いを受けているが、q社はg社に対する支払いを貴社からの預り金として経理処理していること。
      • ル ○○契約書の第10条において、q社が発行することとされた「売上金額から広告費など諸経費を差し引いた金額を売上利益と計上された金額の証明書」に当たる、貴社が作成してg社等に交付した○○業務の「計算書」によれば、当該業務の共通経費には実質的な契約当事者の各分担業務から発生した外注費等の労務費以外の経費のみが計上されていること。
      • ヲ ○○業務に係る経費は、貴社が国内の業者等へ立て替えて支払ったものと、g社等が国内の業者等へ立て替えて支払ったものがあり、当該経費は共通経費として計算され、貴社が作成した利益分配金の計算書により契約当事者の各社に報告されたのち、契約当事者の承諾の下で共通経費の額が確定していること。
      • ワ 貴社は、○○業務における分配金を貴社の「JV費用」として経理処理し、分配金の支払い事務を行っていること。
         上記イからワのことから、貴社がq社の名義を使用してg社等と締結した○○契約は、実質的な契約当事者が、それぞれに定められた役割を遂行(出資は、労務をその目的とすることができる)して○○業務を共同で営むことを、○○契約書の署名押印及び実質的な契約当事者の合意により約しており、これは、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生じるとする、民法第667条第1項に規定する組合契約に該当します。また、同法同条第1項に規定する組合契約により成立した組合において営まれる事業から生ずる利益金額又は損失金額については、分配割合に応じて各組合員に直接帰属することとなります。
         しかしながら、貴社は、○○契約において、販売売上から控除することと定めた共通経費や分配率に応じて分配された分配金の全額を損金の額に算入しています。
         貴社が当事業年度において販売費及び一般管理費として計上した金額のうち、○○業務に係る共通経費とした1支払手数料、広告宣伝費、販売手数料及びシステム利用料の合計○○○○円と、2「JV費用」とした分配金合計○○○○円は、組合事業から生じた販売売上から控除し、分配率に応じて実質的な契約当事者の損金の額に算入すべきものであり、貴社の損金とは認められません。よって1及び2の総合計額○○○○円は損金の額に算入されないため、当事業年度の所得金額に加算しました。
    2. (2) 雑益の計上もれ ○○○○円
       本更正により、貴社の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」といいます。)の自平成25年4月1日至平成26年3月31日課税期間(以下「当課税期間」といいます。)における課税売上額が5億円以下、かつ、課税売上割合が95%以上となり、納付すべき消費税等の計算において課税仕入れ等の税額の全額を控除することとなるため、当課税期間の消費税等の納付すべき税額を再計算したところ、○○○○円の還付税額が算出されました。
       したがって、貴社の調査後の正当な仮受消費税額等と仮払消費税額等との差引金額○○○○円と、消費税等の還付される税額○○○○円との差額○○○○円は、雑益として益金の額に算入されますので、当事業年度の所得金額に加算しました。
  2. 2 減算項目
     売上高の益金算入過大 ○○○○円
     貴社は、○○業務に係る販売売上の全額○○○○円を当事業年度の益金の額に算入していますが、1加算項目(1)に記載したとおり、貴社の売上高とすべき金額は、○○業務の販売売上から共通経費を差し引いた利益の分配率20%相当額となります。
     したがって、貴社が○○業務に係る売上高として計上した○○業務の販売売上○○○○円から、貴社が売上として計上すべき○○業務から生じた利益の分配率20%に相当する分配金○○○○円を差し引いた金額○○○○円は益金の額に算入されませんので、当事業年度の所得金額から減算しました。
  3. 3 加算金額合計
     ○○○○円
  4. 4 減算金額
     ○○○○円
  5. 5 差引加算金額
     ○○○○円

以下余白

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