ホーム >> 公表裁決事例集等の紹介 >> 公表裁決事例 >> 平成29年1月〜3月分 >>(平成29年2月6日裁決) >>別紙8 平成20年分所得税の決定処分等に係る通知書に記載された処分の理由(要旨)

別紙8 平成20年分所得税の決定処分等に係る通知書に記載された処分の理由(要旨)

請求人は、下記1のとおり平成20年分の所得税の確定申告書を、法定申告期限である平成21年3月16日までに提出する義務があると認められるが、当該確定申告書をいまだ提出していないので、調査の結果、下記2及び3のとおり、当年分の課税される所得金額及び納付すべき税額を決定する。

また、下記4のとおり仮装又は隠ぺいの事実が認められたので、当年分の今回決定により納付すべきこととなる所得税額○○○○円に、通則法第68条の規定により計算した重加算税○○○○円を賦課決定する。

1 確定申告書の提出義務

請求人は、国内において住所(a市b町○丁目○番○号)を有していることから、所得税法第2条《定義》第1項第3号に規定する居住者に該当する。また、居住者として課税される所得金額及び納付すべき税額を計算したところ、次の2及び3のとおりとなることから、所得税法第120条《確定所得申告》第1項の規定により、確定申告書を提出する義務がある。

2 課税される所得金額

請求人の課税される所得金額は、次の(2)に掲げる総所得金額○○○○円から、(3)に掲げる所得金額から差し引かれる金額1,790,000円を差し引いた金額○○○○円(1,000円未満切り捨て)となる。

(1) 事業所得の金額

請求人の当年分の事業所得の金額は、次により計算した○○○○円になる。

  • イ 総収入金額
     請求人は、自動販売機の設置場所(パチンコ店)を自動販売機を所有する飲料水メーカー等に紹介すること等を業とし、平成20年中に請求人が収入すべき金額は次の(イ)から(ニ)までの合計金額○○○○円であり、これは、事業所得に係る総収入金額に該当する。
    1. (イ) f社 ○○○○円
    2. (ロ) q社 ○○○○円
    3. (ハ) u社 ○○○○円
    4. (ニ) その他の取引先 ○○○○円
  • ロ 必要経費
     上記イの総収入金額に係る必要経費の金額は、次の(イ)及び(ロ)の合計金額9,431,164円となる。
    1. (イ) 支払手数料 7,451,164円
    2. (ロ) 業務委託費 1,980,000円
  • ハ 事業所得の金額
     請求人の事業所得の金額は、上記イの総収入金額○○○○円から、上記ロの必要経費の金額9,431,164円を差し引いた金額○○○○円となる。

(2) 総所得金額

請求人の当年分の総所得金額は、上記(1)の事業所得の金額○○○○円となる。

(3) 所得金額から差し引かれる金額

請求人の当年分の所得金額から差し引かれる金額は、1,790,000円となる。

3 納付すべき税額

請求人の当年分の課税される所得金額○○○○円(上記2)を基に、請求人の納付すべき税額を計算したところ、○○○○円(100円未満切り捨て)となる。

4 仮装又は隠ぺいの事実

(1) 請求人は、本件調査担当者に対して次の旨申述したこと。

  • イ 請求人は、請求人の事業に「d」及び「e」という屋号を使用してきたこと。
  • ロ dP2預金口座及びeP3預金口座に、q社等の飲料水メーカー等から振り込まれたものは、請求人が営む事業の収入であること。
  • ハ パチンコ店との間で、飲料水メーカーの自動販売機の設置に関する契約を結ぶ際、請求人がパチンコ店に対して、本件協賛金を支払っていたこと。
  • ニ 上記ハの本件協賛金の支払は、請求人の資金を原資としていたこと。

(2) 請求人は、後記イ及びロのとおり、「d」、「dP2」及び「e」の屋号を使用して事業を営み、これに係る収入を得ていたこと。

  • イ 請求人は、自動販売機の設置場所(パチンコ店)を飲料水メーカーに紹介し販売手数料を得ること等を事業とし、この事業の取引に「d」又は「dP2」の屋号を使用して契約し、販売手数料の振込口座をdP2預金口座に指定し、受領していたこと。
  • ロ 請求人は、清掃物品のレンタル先をg社に紹介すること等を事業とし、この事業の取引に「e」の屋号を使用して契約し、手数料の振込口座をeP3預金口座に指定し、受領していたこと。

(3) 関係人の申述

  • イ P2の申述(平成27年3月○日の申述)
    1. (イ) P2は、平成18年頃、請求人から依頼を受けて、dP2預金口座を開設し、当該口座を請求人に貸していたこと。
    2. (ロ) 上記(イ)の口座の預金通帳及び印鑑は、P2が所持していたが、この口座への入金は、全て請求人の事業の収入であること。
  • ロ P3の申述(平成27年4月○日の申述)
    1. (イ) P3は、平成18年頃、請求人から依頼を受けて、eP3預金口座を開設し、当該口座を請求人に貸していたこと。
    2. (ロ) 上記(イ)の口座の預金通帳及び印鑑は、P3が所持していたが、この口座への入金は、全て請求人の事業の収入であること。

(4) 取引先の申述

  • イ q社○○営業部の社員(平成27年3月○日の申述)
     「d」との自動販売機設置契約に係る稟議書には契約先として「d(f社)」と記載し、「要旨」欄に「f社を窓口として取引しております。」と記載したこと。
  • ロ q社○○営業所の社員(平成27年3月○日の申述)
     自動販売機の設置契約に係る契約更新の契約先はf社であり、契約更新に係る稟議書の契約先には「d(f社)」と記載したこと。
  • ハ u社営業本部の社員(平成27年3月○日申述)
     自動販売機の設置に係る契約における契約書上の契約者は、「d代表P2」となっているが、u社としてはf社との取引であると認識していたこと。

(5) f社との取引

  • イ f社が請求人に支払った販売手数料は、同社の総勘定元帳ではj社又はk社に対し支払ったものとして記帳されていたこと。
  • ロ 上記イの総勘定元帳の基となる、f社が作成した本件f社各支払伝票に、自動販売機の販売手数料の支払先がj社又はk社と記載されていたこと。

(6) 小括

以上の事実を基に総合的に判断すると、請求人は、自動販売機設置に係る契約や販売手数料の決済において、他人名義の預金口座であるdP2預金口座及びeP3預金口座を指定し、また、各取引先には、f社との取引である旨の認識を与え、更に、f社との直接の取引においては、帳簿書類等の虚偽記載をさせることにより、請求人が行っている事業の存在を隠匿し、請求人の所得税の課税標準等又は税額等の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装することにより法定申告期限までに確定申告書を提出しなかったものと認められる。

(以下省略)

トップに戻る