ホーム >> 公表裁決事例集等の紹介 >> 公表裁決事例 >> 平成29年1月〜3月分 >>(平成29年2月6日裁決) >>別紙15 平成22年課税期間分の消費税等の決定処分等に係る通知書に記載された処分の理由(要旨)

別紙15 平成22年課税期間分の消費税等の決定処分等に係る通知書に記載された処分の理由(要旨)

請求人は、平成22年課税期間分の消費税等の確定申告書を、次の1のとおり法定申告期限である平成23年3月31日までに提出する義務があると認められるが、当該確定申告書をいまだ提出していないので、次の2から4までのとおり消費税等に係る課税標準額及び納付すべき税額を決定する。

また、後記5のとおり仮装又は隠ぺいの事実が認められたので、当課税期間分の今回決定により納付すべきこととなる消費税等の額○○○○円に、通則法第68条の規定により計算した重加算税○○○○円を賦課決定する。

1 確定申告書の提出義務

(1) 請求人は、自動販売機の設置場所(パチンコ店)を飲料水メーカーに紹介し販売手数料を得ること等を業として営む個人であることから、消費税法第2条第1項第3号に規定する個人事業者(当課税期間の基準期間(平成20年1月1日から同年12月31日までの期間)における課税売上高は、下記(2)のとおり、○○○○円であるため、同法第9条《小規模事業者に係る納税義務の免除》の規定の適用はない。)に該当し、次の2のとおり国内における課税資産の譲渡等があることから、消費税等の確定申告書を提出する義務がある。

(2) 請求人の当課税期間の基準期間である平成20年1月1日から同年12月31日までの期間における課税売上高は、○○○○円に105分の100を乗じた金額○○○○円である。

2 消費税

(1) 課税標準額

請求人の取引先を調査するなどして、当課税期間の課税標準額に計上すべき取引金額(税込金額)を確認したところ、○○○○円となる。

上記金額は、いずれも消費税法第2条第1項第9号に規定する課税資産の譲渡等の対価の額及び消費税等の額の合計額に該当するので、この金額に105分の100を乗じた金額○○○○円(1,000円未満切り捨て)が、当課税期間の課税標準額となる。

(2) 課税標準額に対する消費税額

上記(1)のとおり課税標準額は○○○○円となるので、当該金額を基に課税標準額に対する消費税額を計算した結果、課税標準額に対する消費税額は○○○○円(100円未満切り捨て)となる。

(3) 控除対象仕入税額

消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第1項は、課税標準額に対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除することを規定しているが、同条第7項の規定により、当課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る同条第8項に規定する帳簿及び同条第9項に規定する請求書等の保存があった場合にのみ適用されることとされている。

請求人は、調査において、平成27年4月30日から同年7月30日までの間、再三再四の本件調査担当者による仕入税額控除の要件に関する説明並びに消費税法第30条第8項に規定する帳簿及び同条第9項に規定する請求書等の提示要請に対して、同条第8項に規定する帳簿の提示がなく、また、帳簿の作成はしていない旨申述した。

これは、消費税法第30条第7項に規定する「課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合」に該当する。

したがって、課税仕入れに係る消費税額を課税標準額に対する消費税額から控除することはできない。

(4) 納付すべき税額

上記(1)から(3)までにより当課税期間の消費税額を計算した結果、納付すべき消費税額は○○○○円となる。

3 地方消費税

地方消費税に係る課税標準額は、上記2のとおり消費税額○○○○円となるので、当該金額を基に納付すべき地方消費税額を計算した結果、納付すべき地方消費税額は○○○○円となる。

4 納付すべき税額

上記2の(4)及び3により消費税等を計算した結果、納付すべき消費税等の額は○○○○円となる。

5 仮装又は隠ぺいの事実

(1) 請求人は、本件調査担当者に対して次の旨申述したこと。

  • イ 請求人は、請求人の事業に「d」及び「e」という屋号を使用してきたこと。
  • ロ 本件各預金口座に、q社等の飲料水メーカー等から振り込まれたものは、請求人が営む事業の収入であること。
  • ハ パチンコ店との間で、飲料水メーカーの自動販売機の設置に関する契約を結ぶ際、請求人がパチンコ店に対して、本件協賛金を支払っていたこと。
  • ニ 上記ハの本件協賛金の支払は、請求人の資金を原資としていたこと。

(2) 請求人は、後記イ及びロのとおり「d」、「dP2」及び「e」の屋号を使用して事業を営み、これに係る収入を得ていたこと。

  • イ 請求人は、自動販売機の設置場所(パチンコ店)を飲料水メーカーに紹介し販売手数料を得ること等を事業とし、この事業の取引に「d」又は「dP2」の屋号を使用して契約し、販売手数料の振込口座をdP2預金口座又はdP4預金口座に指定し、受領していたこと。
  • ロ 請求人は、清掃物品のレンタル先をg社に紹介すること等を事業とし、この事業の取引に「e」の屋号を使用して契約し、手数料の振込口座をeP3預金口座に指定し、受領していたこと。

(3) 関係人の申述

  • イ P2の申述(平成27年3月○日の申述)
    1. (イ) P2は、平成18年頃、請求人から依頼を受けて、dP2預金口座を開設し、当該口座を請求人に貸していたこと。
    2. (ロ) 上記(イ)の口座の預金通帳及び印鑑はP2が所持していたが、この口座への入金は、全て請求人の事業の収入であること。
  • ロ P3の申述(平成27年4月○日の申述)
    1. (イ) P3は、平成18年頃、請求人から依頼を受けて、eP3預金口座を開設し、当該口座を請求人に貸していたこと。
    2. (ロ) 上記(イ)の口座の預金通帳及び印鑑は、P3が所持していたが、この口座への入金は、全て請求人の事業の収入であること。

(4) 取引先の申述

  • イ q社○○営業部の社員(平成27年3月○日の申述)
     「d」との自動販売機設置契約に係る稟議書には契約先として「d(f社)」と記載し、「要旨」欄に「f社を窓口として取引しております。」と記載したこと。
  • ロ q社○○営業所の社員(平成27年3月○日の申述)
     自動販売機の設置に係る契約更新の契約先はf社であり、契約更新に係る稟議書の契約先には「d(f社)」と記載したこと。
  • ハ u社営業本部の社員(平成27年3月○日申述)
     自動販売機の設置に係る契約における契約書上の契約者は「d代表P2」となっているが、u社としてはf社との取引であると認識していたこと。

(5) f社との取引

  • イ f社が請求人に支払った販売手数料は、同社の総勘定元帳ではj社又はk社に対し支払ったものとして記帳されていたこと。
  • ロ 上記イの総勘定元帳の基となる、f社が作成した本件f社各支払伝票に、自動販売機の販売手数料の支払先がj社又はk社と記載されていたこと。

(6) 小括

以上の事実を基に総合的に判断すると、請求人は自動販売機設置に係る契約や販売手数料の決済において、他人名義の預金口座であるdP2預金口座及びeP3預金口座を指定し、また、各取引先にはf社との取引である旨の認識を与え、更には、f社との直接の取引においては、帳簿書類等の虚偽記載をさせることにより、請求人が行っている事業の存在を隠匿し、請求人の消費税等の課税標準等又は税額等の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装することにより法定申告期限までに確定申告書を提出しなかったと認められる。

(以下省略)

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