別紙 本件譲渡契約書の要旨

1 定義

第1条《定義》は、本件譲渡契約において使用される用語の意味について定め、次に掲げる用語は、次に定める意味を有する旨を定めている。

  1. (1) 「一次払金」とは、譲渡対象債権の対価として、第3条第2項及び第3項に基づいて支払われる金額をいう。(第1号)
  2. (2) 「支払率」とは、本件滞納者が基金等に対して請求を行った額に対し、現実に基金等から支払がなされた金額を百分率で表示したものをいう。支払率は、譲渡対象債権の請求月ごとに算出される。(第8号)
  3. (3) 「譲渡対象債権」とは、本件滞納者が基金等に対して現在保有し、又は将来取得する診療報酬債権のうち、平成25年12月請求分から平成28年5月請求分に係る部分をいう。(第9号)
  4. (4) 「譲渡実行日」とは、平成25年12月20日をいう。(第10号)
  5. (5) 「調整金」とは、譲渡対象債権の対価として、第3条第4項に基づいて支払われる金額をいう。(第13号)
  6. (6) 「取立委任債権」とは、本件滞納者が基金等に対して現在保有し、又は将来取得する診療報酬債権のうち、平成28年6月請求分から平成28年11月請求分に係る部分をいう。(第15号)

2 債権の譲渡

第2条《債権の譲渡》第1項は、本件滞納者は請求人に対し、譲渡実行日において、譲渡対象債権(未発生の将来債権を含む。)の全部を一括して譲渡し、請求人はこれを譲り受ける旨を定めている。

3 譲渡対価の支払

第3条《譲渡対価の支払》第1項は、請求人は、第2条に定める債権譲渡の対価を、第3条第2項以下の定めに従い、一次払金と調整金に分割して順次支払う旨を定め、同条第2項ないし第4項は、要旨次のとおり定めている。

  1. (1) 第2項
     請求人は、平成25年12月24日限り、譲渡対象債権のうち平成25年12月請求分ないし平成26年5月請求分に係る一次払金合計額から買取手数料759,330円、事務手数料630,000円並びに印紙税及び振込手数料その他の費用を控除した残額を、本件滞納者の受取口座に振り込んで支払う。ただし、平成25年12月請求分ないし平成26年5月請求分の各月分の一次払金は、それぞれ○○○○円とする。
  2. (2) 第3項
     平成26年6月請求分以降の譲渡対象債権に係る一次払金については、請求人は、各一次払金支払日において、本件譲渡契約書の別紙2《一次払金支払基準》に基づいて算出された一次払金から、月次買取手数料759,330円を控除した金額を受取口座に振り込んで支払う。なお、同別紙2に基づいて算出された一次払金が、同別紙1《支払スケジュール》に定める当該月の一次払限度額を超えるときは、当該一次払限度額を一次払金とする。ただし、請求人はその裁量により、限度額を超える金額の一次払金を支払うことができる。

    (注)本件譲渡契約書の別紙2は、一次払金は次の計算式による旨を定めている。
     (本件滞納者による5か月後の診療報酬債権の請求見込額)×○○%−(リスク見積額)

  3. (3) 第4項
     譲渡対象債権の対価のうち調整金については、請求人は、調整金支払日において、基金等からの譲渡対象債権の回収実績に応じて本件譲渡契約書の別紙3《調整金支払基準》に基づき算出された金額を、受取口座に振り込んで支払う。

    (注)本件譲渡契約書の別紙3は、調整金は次の計算式による旨、及び当該計算式による計算の結果、調整金がマイナスの金額となった場合には、本件滞納者への支払は行われず、当該金額を「調整後不足額」として次月に繰り越す旨を定めている。

     Y=C-(X+D)

     なお、上記の計算式において、Yは調整金を、Cは当該月において基金等が譲渡対象債権について現に支払を行った金額を、XはCの支払に係る譲渡対象債権の一次払金を、Dは前月の調整金がマイナスの金額となった場合における当該金額の絶対値を意味する。

4 請求額及び請求見込額の報告

第4条《請求額及び請求見込額の報告》第1項は、本件滞納者は、本件譲渡契約の有効期間中、毎月10日(当該日が営業日でないときは、その翌営業日)までに、診療報酬債権の請求報告書及び見積書を作成して請求人に交付しなければならない旨、並びにこれらの書類には、当月請求分の診療報酬債権に係る総括表を添付し、提出月の5か月後までの請求見込額に関する情報を含むものとする旨を定めている。

5 対抗要件

第5条《対抗要件》第1項は、本件滞納者は、債権譲渡通知書に記名押印の上、譲渡実行日において請求人に引き渡すとともに、当該通知書を基金等宛に発送する権限を請求人に委任をする旨、及び当該委任は取消し又は撤回することができないものとする旨を定めている。

6 取立委任

  1. (1) 第6条《取立委任》第1項は、本件滞納者は、譲渡実行日において、取立委任債権について、請求人に対し基金等からの回収に係る事務の委任をする旨、及び当該委任は、本件滞納者と請求人との間の合意によらなければ取消し又は撤回することができない旨を定めている。
  2. (2) 第6条第2項は、本件滞納者は、同条第1項の取立委任を行うに際し、第5条第1項に基づき作成される債権譲渡通知書において、譲渡する債権の範囲に取立委任債権を含めることに同意する旨を定めている。
  3. (3) 第6条第3項は、請求人は、取立委任債権を基金等から回収したときは、遅滞なくその金額を本件滞納者に引き渡す旨、ただし、その時点において、本件滞納者が請求人に対して支払うべき本件譲渡契約上の未払債務が存在するときは、請求人は、同項に基づく引渡債務と当該未払債務を対当額で相殺することができる旨をそれぞれ定めている。

7 連帯保証

第7条《損害の補償及び連帯保証》第2項は、連帯保証人は、本件譲渡契約に基づいて本件滞納者が請求人に対して負担する一切の債務について、請求人に対して連帯保証する旨を定めている。

8 本件滞納者の誓約

  1. (1) 第9条《本件滞納者の誓約》第4号は、本件滞納者は、譲渡対象債権の譲渡後も、請求人が基金等から譲渡対象債権の支払を受けるために必要な一切の行為及び手続を行い、本件譲渡契約の有効期間中、月次の診療報酬債権請求額を○○○○円以上に維持する旨を定めている。
  2. (2) 第9条第6号は、本件滞納者は、譲渡対象債権について正確な請求事務を行い、支払率を毎月○○%以上に維持する旨、及び支払率が上記条件を充足しないことが確定した場合には、同号に違反したものとみなされる旨を定めている。
  3. (3) 第9条第7号は、第4条第1項に基づいて作成される請求報告書等の記載のうち、将来の診療報酬の請求見込額に関して、合理的根拠に基づき、当該時点における最も正確な見積りを記載する旨、及び請求人に対し当初提示された請求見込額が、現実の請求額を○○%以上超過していたことが判明した場合、第9条第7号に違反したものとみなされる旨を定めている。

9 債権譲渡の解除

  1. (1) 第10条《債権譲渡の解除》第1項は、本件滞納者について、第8条《表明及び保証》第1項及び第2項に基づき本件滞納者が表明及び保証した事実が不実であることが判明した場合、又は第9条第6号及び第7号に抵触したことが判明した場合には、請求人は、本件滞納者に対して書面で通知することにより、本件譲渡契約に基づく譲渡対象債権の譲渡を遡及的に一部解除することができる旨を定めている。
  2. (2) 第10条第2項は、同条第1項の場合を除くほか、本件滞納者が本件譲渡契約上の定めに違反した場合には、請求人は本件滞納者に対し、当該違反を是正すべき旨を書面で催告した上、当該催告の到達日から20日以内に本件滞納者が当該違反を是正しないときは、本件譲渡契約に基づく譲渡対象債権の譲渡を遡及的に一部解除することができる旨を定めている。
  3. (3) 第10条第4項は、同条第1項及び第2項に基づき譲渡対象債権の譲渡を遡及的に一部解除する場合には、解除権者は、解除の対象となる譲渡期間を書面で特定し、相手方に通知する旨、並びに当該書面が相手方に到達した日において、当該期間に係る譲渡対象債権は、当然に本件滞納者に復帰する旨を定めている。
  4. (4) 第10条第5項は、同条第4項に基づき譲渡対象債権が本件滞納者に復帰した場合、原状回復のため、1本件滞納者は当該債権について請求人から受領した対価を請求人に払い戻し、2請求人は、当該債権について基金等から回収した金額の全額を本件滞納者に支払う旨、及び同条第5項の支払には利息を付さず、双方の権利義務を相殺の上、差額を決済する旨を定めている。
  5. (5) 第10条第6項は、同条第5項に定める原状回復義務が履行されたときは、本件滞納者及び請求人は協同して、直ちに基金等に対し解除の対象となる譲渡期間に係る譲渡解除の通知を行う旨を定めている。

10 契約の終了

  1. (1) 第11条《契約の終了》第1項は、本件譲渡契約の期間は、平成28年12月31日までとし、同条第2項に定める場合のほか、当該契約を期限前に終了させることはできない旨を定めている。
  2. (2) 第11条第2項は、本件滞納者が次の条件により本件譲渡契約の期限前終了を希望し、請求人がこれを承諾した場合には、当該契約は合意終了期日(当該契約を期限前に終了させることを希望する日時をいう。以下同じ。)において合意解約される旨を定めている。
    • イ 本件滞納者が、合意終了期日を指定し、これを当該合意終了期日の1か月以上前に書面で請求人に通知すること。
    • ロ 本件滞納者が、合意終了期日に第11条第3項に定める原状回復債務の全額及び次の計算式により算出される早期解約手数料を請求人に支払うこと。

      債権買取残高×○○

      (注)上記の計算式において、債権買取残高とは、譲渡対象債権のうち、一次払金が支払済であり、かつ調整金支払日が未到来である部分に係る一次払金の合計額(手数料控除前の金額)を意味する。

  3. (3) 第11条第3項は、同条第2項に基づく合意解約が実行された場合、本件譲渡契約に基づく譲渡対象債権のうち、基金等からの回収が未了である部分及び未回収の取立委任債権については、同条第3項に基づき、合意終了期日において当然に本件滞納者に復帰する旨、並びに本件滞納者は、本件譲渡契約の解約に基づく原状回復債務として、同項に基づき復帰する債権について、対価として既に受領した金額の全額を、直ちに請求人に払い戻す旨を、それぞれ定めている。

トップに戻る