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(平4.4.17、裁決事例集No.43 277頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

 審査請求人(以下「請求人」という。)は、中古物品販売業を営む同族会社であるが、原処分庁は、昭和62年6月30日付で、昭和58年8月分ないし昭和61年7月分の給与所得及び弁護士報酬の源泉徴収に係る所得税(以下、源泉徴収に係る所得税を「源泉所得税」という。)の各納税告知(以下「当初納税告知」という。)並びに各不納付加算税の賦課決定をした。
 その後、原処分庁は、昭和62年11月19日付の訂正通知により、当初納税告知のうち、給与所得に係る部分の源泉所得税の納税告知の取消し(以下「本件取消し」という。)をした。
 更に、原処分庁は、昭和63年1月8日付で、別表1の「本件納税告知」及び「賦課決定」欄に記載のとおり、上記の期間に係る源泉所得税の各納税告知(以下「本件納税告知」という。)及び不納付加算税の各賦課決定(以下、本件納税告知と併せて「原処分」という。)をした。
 請求人は、原処分を不服として昭和63年2月13日に異議申立てをしたところ、異議審理庁は、同年5月12日付で棄却の異議決定をした。
 請求人は、異議決定を経た後の原処分についてなお不服があるとして、昭和63年6月10日に審査請求をした。

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2 主張

(1) 請求人の主張

 原処分は、次の理由により違法であるから、その全部の取消しを求める。
イ 本件納税告知について
 請求人は、全国各地の百貨店において、そのフロアーの一画を借り切り、1週間程度の期間ごとに、「○○市(いち)」と称する催事(以下「本件催事」という。)を開催し、貴金属、毛皮、呉服、時計、カメラその他の中古物品を展示販売することを業とする法人である。
 請求人は、かかる営業形態の特質から、百貨店等において商品の宣伝、販売業務に従事する職業婦人であるいわゆるマネキン(以下、単に「マネキン」という。)などの宣伝、販売要員が必要となるため、マネキンのあっせんを目的とする有料の職業紹介事業を行う者(以下「マネキン紹介所」という。)に依頼し、マネキン紹介所からマネキンの派遣を受けているほか、必要に応じ、臨時に店員を募集採用している(以下、この店員を「アルバイト店員」といい、マネキンと併せて「マネキン等」という。)。そして、請求人は、マネキン等に対し、その役務の提供に対する報酬として金員を支払っていた。
 また、請求人は、その代表取締役であったA男(以下「A男」という。)に対し、交際費として一定の金員(以下「本件交際費」という。)を支払っていた。
 ところが、原処分庁は、請求人には所得税法(昭和58年8月分ないし昭和59年3月分の処分については、昭和59年法律第5号改正前のもの、昭和59年4月分ないし昭和61年7月分の処分については、昭和62年法律第96号改正前のもの。以下「法」という。)第183条《源泉徴収義務》第1項にいう給与所得に係る源泉徴収義務があるとして、1請求人がマネキン等に支払った金員のうち、マネキンのB女、C女、D女、E女、F女、G女、H女及びアルバイト店員のJ男(以下、これら8名を併せて「B女ら」という。)に支払った金員については、法第185条《賞与以外の給与等に係る徴収税額》第1項第2号への規定に基づき、法別表第五の給与所得の源泉徴収税額表(日額表)(以下「日額表」という。)の乙欄、2同金員のうち、B女ら以外のマネキンのK女ほかのマネキン等(以下「K女ら」という。)に支払った金員については、法第185条第1項第3号の規定に基づき、日額表の丙欄及び3請求人がA男に支払った本件交際費については、法第185条第1項第1号イの規定に基づき、法別表第四の給与所得の源泉徴収税額表(月額表)(以下「月額表」といい、日額表と併せて「税額表」という。)の甲欄を適用の上、源泉所得税額を算定し、本件納税告知をした。
 しかしながら、本件納税告知は、次の理由により違法である。
(イ) 本件納税告知の手続等について
A 一事不再理の原則について
 原処分庁は、本件取消しの後、何ら再調査を行うことなく、当初納税告知の基礎とした資料と同一の資料に基づいて、B女らに係る所得税額を日額表の丙欄から同表の乙欄に変更して算定し、請求人に対して税額を加重する本件納税告知を行った。
 しかしながら、本件納税告知は、本件取消しにより当初納税告知を消滅させ、いったん課税関係を完結させておきながら、それと同一の資料を基礎として再度なされた処分であり、日本国憲法(以下「憲法」という。)第39条《遡及処罰の禁止・一事不再理》に基づく一事不再理の原則に背くものであるから、当然無効であり、取り消されるべきである。
B 禁反言の法則について
(A) 原処分庁は、当初納税告知が誤っているとして本件取消しを行ったが、国家権力の発動としての納税告知の重みとその取消しの重みとは同等のものと解されるから、本件取消しによって当初納税告知を取り消しながら、当初納税告知と同じ理由で本件納税告知をすることは禁反言の法則に違反する。
(B) 原処分庁は、マネキン等に係る当初納税告知を取り消し、B女らが2月を超えて継続して雇用されているとして、日額表の乙欄を適用して本件納税告知をした。
 仮に、当初納税告知におけるB女らに対する日額表の丙欄の適用が誤りであり、同表の乙欄を適用すべきであったとしても、同表の丙欄を適用した場合と同表の乙欄を適用した場合との差額を納税告知すべきであり、同表の丙欄の適用が正当とされる部分まで取り消すべきではない。
C 異議審理手続について
 異議審理庁の異議審理担当職員は、請求人の異議申立てに対して、審理のため請求人の事務所に来所したが、約半日間でその調査を打ち切り、請求人に何の連絡もすることなく審理未了の状態のまま異議決定をした。
 この程度の調査では、実質的に異議調査を行ったことにならず、異議審理は審理不尽である。
(ロ) 源泉徴収義務の存否について
 次のとおり、請求人がマネキン等に支払った金員及び本件交際費について、請求人に源泉徴収義務はない。
A マネキンについて
(A) 原処分庁は、請求人がマネキンに支払った金員について、国税庁長官発遣の所得税基本通達(以下「基本通達」という。)204ー21《給与等とすることができるモデルの業務に関する報酬又は料金》及び所得税個別通達(昭和58年6月6日直所3ー6『マネキンが支払を受ける対価に係る所得税の源泉徴収について』(昭和58年6月3日付(社)全紹協発(58)第113号(A)に対する回答)、以下「個別通達」という。)に基づき、法第28条《給与所得》第1項及び法第183条第1項に規定する給与等(以下「給与等」という。)であると認定している。
 しかしながら、その金員は、次のとおり、マネキンが百貨店における商品の宣伝販売業務を請求人から請け負い、独立の事業として請求人に提供した労務の対価であるから、給与等には該当せず、事業所得又は雑所得の収入金額に該当する。
a 請求人とマネキンとの間には雇用契約は存在せず、両者において雇用又は被雇用の認識はない。
b マネキンは、職業安定法施行規則別表第二に明記されており、マネキン紹介所にプロフェショナルとして登録した上、同紹介所の紹介により企業の要請する業務に就き、その専門的職能を生かして企業から請け負った役務を遂行し、その対価として報酬を得るものである。
(B) マネキンに対する支払報酬は、法第204条《源泉徴収義務》及び所得税法施行令(以下「令」という。)第320条《報酬、料金、契約金又は賞金に係る源泉徴収》において、源泉徴収の対象となる報酬又は料金として明記されていない。
(C) 基本通達204ー21には、「デパート等の職員の勤務の状態に類似しているものに対する報酬又は料金については、給与等として源泉徴収をして差し支えない」旨定められており、この文言からすると、給与等として源泉徴収をするか否かは支払者の裁量にゆだねられている。
(D) 仮に、マネキンに支払った金員が給与等に当たるとしても、その報酬は、事実上、マネキン紹介所と請求人との交渉によって決定されているから、当該報酬に係る源泉徴収はマネキン紹介所が行うべきである。
B アルバイト店員について
 請求人とアルバイト店員との間には、雇用契約はなく、定着性の保証もない。請求人は、単にアルバイト店員から助力を受け、その謝礼を同人らに支払っただけのことであるから、かかる金員は、給与等には該当せず、アルバイト店員の雑所得の収入金額とすべきである。
C 本件交際費について
 請求人は、昭和59年7月1日から昭和60年6月30日までの事業年度及び昭和60年7月1日から昭和61年6月30日までの事業年度の法人税の確定申告において、本件交際費は交際費に該当するとしてその損金の額への算入を自己否認したが、原処分庁は、当該金員はその使途が不明であり、かつ、定期的に定額で支払われているとして、これをA男に対する役員報酬と認定し、本件納税告知をした。
 しかしながら、本件交際費は、A男が交際費として使用することを目的とし、かつ、実際にその約半額を得意先等のいわゆる二次会の接待費用に、残る半額を社員の深夜勤務時の夜食代等として支出したものであるから、基本通達28ー4《役員等に支給される交際費等》のただし書が適用される場合に該当する。したがって、同金員は、A男に対する役員報酬として源泉所得税が課税されるべきものではない。
(ハ) 本件納税告知に係る源泉所得税の計算について
 仮に、マネキン等に支払った金員及び本件交際費について請求人に源泉徴収義務があるとしても、原処分庁が認定した支給金額及び源泉所得税額の計算には、次のような誤りがある。
A 支給金額について
 原処分庁は、マネキン等に対する支給金額の認定を誤っている。
 なお、本件交際費の支給金額については争わない。
B 適用すべき税額表について
(A) B女らに支給した金員
 B女らに支給した金員に係る源泉所得税額の計算は、次の理由から、日額表の丙欄によるべきである。
a マネキンは、請求人と百貨店との間で売出契約が成立した段階で、その都度請求人から売出期間中の就業委嘱が行われるのであるから、継続して2月以上就業することはあり得ない。このことは、請求人に対するマネキン紹介所の請求書に記載された請求期間が、請求人が全国の百貨店において開催する本件催事の開催期間ごととなっていることからも明らかである。
b 令第309条《日払の給与等の意義》のかっこ書の適用に当たっては、1月の計算は、その月の当日から翌月のその日の前日までとするのが相当である。したがって、暦の上で2月にまたがって就労した対価を受けるマネキン等があったとしても、60日を超えて就労していない限り、その対価は同条かっこ書に規定する「2月をこえて支払を受けるもの」には当たらない。
(B) K女らに支給した金員
 請求人がK女らに支給した金額は、原処分庁が認定した支給金額とは一致せず、一部それを上回ることとなる。
 したがって、実際の支給金額が原処分庁認定の支給金額を上回る者については、本件納税告知に誤りがあるので、その全部が取り消されるべきである。
C A男の老年者控除の適用について
 A男は、昭和59年分ないし昭和61年分の所得税について、法第2条《定義》第1項第30号に規定する合計所得金額が10,000,000円を超える所得者であるから、同号に規定する老年者とならない。それにもかかわらず、原処分庁は、法第80条《老年者控除》に規定する老年者控除を適用して税額計算をしており、法令の適用を誤っている。
 したがって、法令の適用を誤った原処分は、取り消されるべきである。
ロ 不納付加算税の賦課決定について
 以上のとおり、本件納税告知は違法であるから、不納付加算税の各賦課決定も違法である。

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(2) 原処分庁の主張

 原処分は、次の理由により適法である。
イ 本件納税告知について
 本件納税告知は、次のとおり適法である。
(イ) 本件納税告知の手続等について
A 一事不再理の原則について
 憲法第39条に規定された一事不再理の原則は、刑事上の責任に関するものであって、行政上の処分である原処分に適用されるものではない。
 また、原処分庁が当初納税告知のうち給与所得に係る部分を取り消し、新たに本件納税告知を行ったのは、当初納税告知に税額表の適用誤り及び所得税額の計算誤りなどのあることが判明したため、それらを是正したものであるから、何ら違法な点はない。
B 禁反言の法則について
 原処分庁は、当初納税告知に誤りがあったため本件納税告知を行ったものであり、当初納税告知を取り消した直後に本件納税告知を行ったとしても、何ら違法ではない。
 また、原処分庁は、原処分調査の際に、請求人に対し、マネキン等に支払った金員及び本件交際費は給与等に該当し、その支払に際し源泉徴収を行う義務がある旨指摘しているから、何ら禁反言の法則に違反するものではない。
C 異議審理手続について
 審査請求において、異議審理の手続の違法を理由として原処分の取消しを求めることはできないから、請求人の主張は失当である。
(ロ) 源泉徴収義務の存否について
 次のとおり、マネキン等に支払った金員及び本件交際費について、請求人に源泉徴収義務がある。
A マネキンについて
(A) 法第183条第1項の規定によれば、居住者に対し国内において法第28条第1項に規定する給与等の支払をする者は、その支払の際、その給与等について所得税を徴収し、これを国に納付しなければならないこととされている。
(B) ところで、請求人は、請求人がマネキンに支払った金員は給与等に該当せず、事業所得又は雑所得の収入金額に当たると主張するが、同金員は、次の理由から雇用契約に基づき支払われた給与等に該当することは明らかであるから、請求人には、当該給与等に係る源泉徴収義務がある。
a マネキンの職務内容は、百貨店の催物会場における商品の販売及びこれに付随する商品の荷造り、発送等であって、請求人の社員及び百貨店の従業員が行う職務内容と同一である。
b マネキンは、本件催事に際しては請求人の催事責任者の指揮命令に服し、勤務場所、勤務時間等の拘束を受けている。
c マネキンに対する支給金額は、労働に従事した日数又は時間を基準として算定されており、その労務の対価と認められる。
d 百貨店における商品の販売等のための費用は請求人が負担し、また、その業務上の責任も請求人が負っているから、マネキンが請求人の業務を請け負ったとは認められない。
(C) マネキンに係る納税告知は、法第204条及び令第309条の規定に基づくものではなく、法第183条第1項及び法第185条の給与所得に係る源泉徴収の規定に基づいて行ったものであるから、請求人の前記(1)のイの(ロ)のAの(B)及び(C)の主張は失当である。
B アルバイト店員について
 アルバイト店員の就労状況は、上記Aの(B)のマネキンのそれと同様であるから、アルバイト店員は請求人に労務を提供し、請求人からその対価を受け取ったものと認められる。
 したがって、請求人がアルバイト店員に支払った金員は、請求人との雇用契約に基づき支払われた給与等に該当するから、請求人には、当該給与等に係る源泉徴収義務がある。
C 本件交際費について
 請求人は、本件交際費を交際費として支出したものであると主張するが、その金員は定期的に定額で支払われているものの、その使途が明らかでなく、また、その清算も行われていないことから、A男に対する役員報酬と認定したものである。
 したがって、請求人には、本件交際費に係る源泉徴収義務がある。
(ハ) 本件納税告知に係る源泉所得税の計算について
 上記(ロ)で述べたとおり、請求人がマネキン等に支払った金員及び本件交際費は、原処分庁が請求人の帳簿書類等を調査して当該金額を抽出した上、次に述べる内容の本件納税告知を行ったものであって、その支給金額及び税額表の適用等、源泉所得税額の算定にも誤りはない。
A 支給金額について
(省略)
B 適用すべき税額表について
(A) B女らに支給した金員
 B女らは、いずれも2月以上継続して勤務しており、かつ、請求人に対して給与所得者の扶養控除等申告書(以下「扶養控除等申告書」という。)を提出していないことから、これらの者の給与等に係る源泉所得税額は、日額表の乙欄を適用して計算した。
(B) K女らに支給した金員
 K女らは、日々雇い入れられ、かつ、2月以上継続して勤務していないと認められる者であることから、これらの者の給与等に係る源泉所得税額は、日額表の丙欄を適用して計算した。
(C) 本件交際費
 本件交際費に係る源泉所得税額は、A男から請求人に対して扶養控除等申告書が提出されているので、月額表の甲欄を適用して計算した。
C A男の老年者控除の適用について
 A男は、所得税法上の老年者控除の対象となるので、本件交際費に係る源泉所得税の計算において、法第187条《障害者控除等の適用を受ける者に係る徴収税額》に基づき税額計算を行ったものである。
ロ 不納付加算税の賦課決定について
 以上のとおり、本件納税告知は適法であり、かつ、請求人が当該告知に係る税額を法定納期限までに納付しなかったことについて、国税通則法第67条《不納付加算税》第1項ただし書に規定する正当な理由があるとは認められないので、不納付加算税の各賦課決定も適法である。

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3 判断

(1) 本件納税告知について

 本件審査請求の主たる争点は、請求人がマネキン等に支払った金員及びA男に支払った本件交際費について、請求人に源泉徴収義務があるのか否か、また、前者の金員につき源泉徴収義務があるとすれば、いかなる税額表を適用すべきかにあるので、以下審理する。
イ 本件納税告知の手続等について
(イ) 一事不再理の原則について
 請求人は、本件納税告知は憲法第39条に規定する一事不再理の原則に違反した無効な処分であると主張するが、いわゆる一事不再理の原則は刑事上の責任に関するものであるから、行政上の処分について適用されるものではない。
 課税庁は、自らなした処分にかしを発見したときは、そのかしが実体的なものであれ、手続的なものであれ、処分の繰り返しによって不当に納税者の負担を重くする意図の下になすような場合は、格別適正な課税の確保実現を図るため、これを取り消して新たな処分をなし得るものと解すべきである。
 したがって、請求人の上記主張には理由がない。
(ロ) 禁反言の法則について
 請求人は、本件取消しによって当初納税告知を取り消しながら、当初納税告知と同じ理由で本件納税告知をすることは禁反言の法則に違反する旨主張するが、課税庁がかしのある処分を取り消し、改めて適正な処分をなし得ることは上記(イ)のとおりであり、当審判所において本件納税告知の経緯を調査したところ、当初納税告知にかしがあり、かつ、本件納税告知をするに際し、原処分庁には上記(イ)のような不当な意図のなかったことが認められるから、そのかしを是正するため本件取消しの直後に当初納税告知と同じ事実関係に基づいて、新たに本件納税告知をしたとしても、禁反言の法則違反には当たらないというべきである。
(ハ) 異議審理手続について
 請求人は、異議審理手続の違法を理由として原処分の取消しを求めるが、審査請求においては、異議審理手続の違法、不当は、原処分の適否に何ら影響を及ぼすものでないことが明らかであるから、この点に関する請求人の主張は採用することができない。
ロ 源泉徴収義務の存否について
 請求人がマネキン等に支払った金員及び本件交際費について、請求人に源泉徴収義務があるか否かにつき、以下検討する。
(イ) マネキン等に係る源泉徴収義務
A 請求人及び原処分庁から提出された各資料、関係人の答述並びに当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
(A) 請求人とマネキン紹介所との関係
a マネキン紹介所は、職業安定法第32条《有料職業紹介事業》第1項ただし書に規定されている職業紹介事業者であること。
b 請求人は、百貨店との間における催事の契約が具体化した時、マネキン紹介所に対し、売場別の必要人員、期間及び日当を明らかにし、特定のマネキンを指名又は排除した上で、同紹介所との間で、マネキンの紹介、派遣について口頭により契約していること。
c マネキン紹介所は、請求人の催事責任者からその者が確認したマネキンの就労時間に関するメモを受け取り、これに基づき作成した請求書を請求人に送付していること。また、請求人は、マネキンに対する賃金、預り金及び交通費並びにマネキン紹介所に対する紹介料及び支払金額等を記載した「マネキン売出人件費結末」を同紹介所に送付していること。
d マネキン紹介所は、上記の請求書により、請求人から、紹介手数料として紹介1件につき500円と、日当に時間外手当を加算した金額の10パーセント相当額を受け取っていること。
 なお、マネキン紹介所は、マネキンからは紹介手数料として紹介1件につき500円、1月当たり3件を限度として受け取るほかは、いかなる名義の金銭も受け取っていないこと。
e 請求人は、マネキン紹介所への支払を同紹介所からの請求の都度行っていること。
 なお、その請求は、催事終了後直ちに行われる場合と、複数の催事を併せて行われる場合があるので、請求人の支払日は一定していないこと。
(B) 請求人とマネキンとの関係
a マネキンは、請求人の依頼に応じてマネキン紹介所から派遣され、請求人との間で仕事の内容及び役務の対価等について口頭で契約するが、その契約に係る契約書は作成していないこと。
b 請求人とマネキンとの契約期間は原則として1週間であるが、催事の開催場所によっては4週間の契約をする場合もあり、この場合には、契約期間経過後、請求人の社員と同様に、その就労について6日間の中断期間を置いた上で再契約をしていること。
c マネキンは、請求人との契約期間中は請求人以外の者に役務を提供できないこと。
d マネキンは、請求人の指揮命令の下に、本件催事の開催会場において商品の宣伝販売等に従事するのであって、マネキン紹介所の指揮監督には属さないこと。
e マネキンに係る役務の対価は、請求人からマネキン紹介所の取引銀行の預金口座へ振込入金された後、速やかに同紹介所からマネキン各人の取引銀行の預金口座へ振り込まれていること。
(C) マネキンの業務の内容等
a マネキンは、本件催事の開催会場へ派遣され、貴金属、毛皮、呉服、時計及びカメラその他の商品の宣伝販売等の業務に従事しているが、請求人の社員と共に本件催事の準備や後片付けをする場合もあること。
b マネキンは、客から値引要求があれば請求人の社員に相談するなど、業務に関し不明な点については請求人の催事責任者の指示に従うことを義務付けられていること。
c マネキンは、催事の企画、立案に参画することはなく、その具体的な内容についても、請求人から説明を受けていないこと。
d マネキンの就労時間は、原則として午前9時45分から午後6時まで、昼休みは1時間であるが、超過勤務をする場合もあること。なお、この勤務状態は、請求人の社員と同じである。
e マネキンは、請求人の社員、百貨店の店員等と共に百貨店の朝礼に参加し、客に対しては百貨店の店員として応待していること。
f 請求人がマネキンに役務の対価として支払う金額及び請求人が負担する費用等は、次のとおりであること。
(a) マネキンに対する日当は、就労場所が通勤可能なP市内の場合は9,000円、P市内以外の場合は9,500円、宿泊を要する場合は11,000円であり、これらの金額は昭和58年以降変更されていない。
(b) 時間外勤務をしたマネキンに対しては、日当を基準として1時間当たりの単価を計算し、時間外勤務に係る対価を支払っている。
(c) 請求人は、マネキンが2つ以上の催事について連続して役務の提供をする場合、又は催事の前日の準備及び催事終了後の後片付けをした場合には、それぞれ半日の日当をマネキンに支払っている。
(d) 請求人は、契約期間中のマネキンの交通費、宿泊料及び食事代をすべて負担している。
 なお、マネキンは、遠隔地における催事の場合、原則として請求人の社員と乗物、宿泊場所等の行程を共にしている。
(e) マネキンは、百貨店の呉服売場に従事する際に、請求人から自己の負担で和服を着用するよう求められる場合を除いて、業務上必要な費用を自ら負担することはなく、また、商品を破損した場合でも、請求人の社員と同様、弁償義務を負わされることはない。
(D) 請求人とアルバイト店員の関係及び業務の内容等
a 請求人とアルバイト店員とは、仕事の内容、役務の対価及び就労期間について口頭で契約をするが、その契約に係る契約書は作成していないこと。
b アルバイト店員の仕事の内容、責任、費用負担及び指揮命令については、上記(A)ないし(C)と同じであること。
B ところで、一般に、法第28条第1項にいう給与所得とは、給料、賃金、賞与等その名目のいかんにかかわらず、雇用契約又はこれに類する原因に基づき、自己の計算と危険によることなく、その対価の支払者の指揮命令に服して提供した労務の対価として、就労期間に応じて対価の支払者から受ける給付をいい、他方、法第27条《事業所得》第1項等にいう事業所得とは、業務の遂行が自己の計算と危険において独立性をもってされ、その対価を得て継続的に行われる業務から生ずる所得をいうものと解されている。
 そうすると、役務提供の対価たる報酬が給与所得に該当するかどうかは、受給者が、対価の支払者からその就労場所、就労時間等について拘束を受けているか否か、業務上生じる費用や責任を自ら負担することなく役務を提供し、その対価として報酬が支給されたものであるか否か等を総合的に判断すべきものということができる。
C これを本件についてみると、次のとおりである。
 前記Aで認定した事実に基づき、マネキン等の勤務の実態を総合的に判断すると、マネキンは、マネキン紹介所に登録の上、その紹介により請求人のもとに派遣されるものの、請求人との間で直接仕事の内容及び役務の対価等について契約を締結し、請求人から勤務場所、職務内容、勤務時間等について指揮命令を受け、業務上生じる費用や責任を自ら負担することなく、提供した役務の対価として報酬を受けるものであり、アルバイト店員についてもその実態はマネキンと同じであることから、請求人とマネキン等との間に雇用関係ないしはそれと同視しうる関係があると認めるのが相当である。
 そうすると、その役務提供の対価たる報酬は、法第28条第1項に規定する給与所得に該当することは明らかであるから、マネキン等に支払った金員が事業所得又は雑所得であるとする請求人の主張には理由がない。
 したがって、請求人は、法第183条第1項の規定により、マネキン等に支払った金員について所得税を徴収して納付すべき義務があるというべきである。
 また、請求人は、マネキンが受ける労務の対価に係る源泉徴収義務者は、請求人ではなくマネキン紹介所であると主張するが、その支給の実態からみれば、マネキン紹介所は請求人からマネキンのあっせんに係る手数料の支払を受けるのみであって、マネキンと同紹介所との間には全く雇用関係はないといえる。したがって、マネキン紹介所は、請求人から支払われたマネキンの労務の対価を当該マネキンに代わって受領しているにすぎないのであるから、その労務の対価の源泉徴収義務者は、請求人であるといわざるを得ず、この点に関する請求人の主張は採用できない。
(ロ) 本件交際費に係る源泉徴収義務
A 原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
(A) A男は、請求人が設立された昭和32年2月1日から昭和63年7月1日までの間、その代表取締役であったこと。
(B) 本件交際費の金額は、A男に対し毎月定期的に定額で支給され、請求人の交際費勘定に経理されているものの、その使途が明らかでなく、また、その清算も行われていないこと。
(C) 請求人は、原処分庁や異議審理庁に対し、本件交際費と請求人の業務との関連性を裏付ける証拠書類等を提出していないこと。
(D) 請求人は、A男から本件交際費に係る源泉所得税を徴収していないこと。
B 請求人は、本件交際費は、A男が得意先等の接待費用及び社員の夜食代等として支出したものであるから、基本通達28ー4のただし書が適用される結果、交際費に該当する旨主張する。
 ところで、役員等に支給される交際費等については、基本通達28ー4に「使用者から役員又は使用人に交際費、接待費等として支給される金品は、その支給を受ける者の給与等とする。ただし、使用者の業務のために使用すべきものとして支給されるもので、そのために使用したことの事績の明らかなものについては、課税しない。」と定められている。
 これは、元来、交際費、接待費等は使用者が直接支出すべき性質のものであって、役員等に対して支給されるようなものではないから、たとえ交際費、接待費等の名目で支給されたものであっても、それが役員に対して支給されたものである限り、その支給を受けた者の給与所得として取り扱うというものである。ただ、その支給を受けた者が、実際にこれを使用者の業務の必要上、接待、交際等の目的に使用している場合には、その支給を受けた者の給与所得とするのは妥当でないので、使用者の業務のために使用すべきものとして支給されたもので、そのために使用したことの事績の明らかなものについては、ただし書により使用者が直接支出した交際費、接待費等と同様に取り扱うこととされているのであって、以上の取扱いは合理的で適正なものと認められる。
C これを本件についてみると、請求人は、昭和59年11月から昭和61年6月までの間、A男に対し、本件交際費を支払い、これを交際費勘定に経理しているものの、その使途について清算されていないことは、前記Aで認定したとおりである。
 また、請求人は、本件審査請求において、本件交際費が基本通達28ー4ただし書に当たると主張しながら、本件調査や異議審理の際にも本件交際費の使途を明らかにせず、当審判所に対しても業務との関連性を裏付ける証拠資料を全く提出しなかった。
 そこで、本件交際費が毎月定期的に定額で支給されたものであり、かつ、その業務上の必要性及び使途等が明らかにされていない以上、当審判所としては、その名目のいかんを問わず、これをA男に対する役員報酬と認定するほかはなく、給与等に当たらないとする請求人の主張は採用できない。
 そうすると、本件交際費は、A男に対する役員報酬に該当するので、請求人は、法第183条第1項の規定により、本件交際費について所得税を徴収して納付すべき義務があるというべきである。
ハ 本件納税告知に係る源泉所得税の計算について
 請求人に、マネキン等に支払った金員及び本件交際費に係る所得税の源泉徴収義務があることは上記ロで述べたとおりであり、これらの金員に係る原処分の源泉所得税の計算の適否について検討した結果は、次のとおりである。
(イ) マネキン等に支払った金員について
A 請求人及び原処分庁から提出された各資料並びに当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
(A) B女らに支払った金員の支給日及び支給金額は、別表(省略)に記載のとおりであること。
(B) K女らに支払った金員は、別表(省略)に記載のとおりであること。
(C) K女らのうち、L女及び△△の両名は、いずれもマネキンではなく、法第204条第1項第4号に規定するモデルであること。
 ただし、原処分においてL女に支給したと認定された金員の支払は、同人が所属している法人に対してなされたものであること。
(D) 請求人の経費帳及び請求書綴によれば、請求人は、本件納税告知の対象とされた金員以外に、別表(省略)に記載の者に対し、同表に記載の金額を支払っていること。
 なお、請求人は、これらの金員に係る所得税についても源泉徴収をしていないこと。
(E) マネキン等は、昭和58年分ないし昭和61年分の所得税に係る扶養控除等申告書を請求人に提出していないこと。
B ところで、法第185条第1項(以下、B項中においては「同項」という。)の規定によれば、賞与以外の給与等から源泉徴収すべき所得税の税額については、当該給与等の支払の態様に応じて月額表(甲欄、乙欄)又は日額表(甲欄、乙欄、丙欄)を適用して算出することとされている。
(A) 本件の場合、マネキン等が請求人に昭和58年分ないし昭和61年分の所得税に係る扶養控除等申告書を提出していないため、同項第1号の適用の余地はない。
(B) そこで、同項第3号の適用の可能性について検討する。
a 同項第3号により、日額表の丙欄を適用するためには、当該給与等が「労働した日又は時間によって算定され、かつ、労働した日ごとに支払を受ける給与等」で「日々雇い入れられる者が支払を受ける給与等」であることを要するところ、前記ロの(イ)のAの(B)で認定したとおり、マネキン等は、その給与等が労働した日によって算定されるものの、請求人との契約における就労時間が原則として1週間、長くても4週間であって「日々雇い入れられる者」とは認められないから、同号の要件を充たさないこととなる。
b しかしながら、基本通達185ー8《日額表丙欄を適用する給与等に対する税額の計算》の(2)は、「あらかじめ定められた雇用契約の期間が2月以内の者に支払われる給与等で、労働した日又は時間によって算定されるもの(雇用期間の延長又は再雇用により継続して2月を超えて雇用されることとなった者に当該2月を超える部分の期間につき支払われる給与等を除く。)」については、日額表の丙欄を適用する旨規定している。
 上記通達は、同項第3号を文字通り解釈すれば、日額表の丙欄を適用する給与の範囲は極めて限定的となり、実情に即さないこととなるため、執行上、同号の適用要件を若干緩和したものであり、法の枠組の中での運用、すなわち、課税の公平の観点から課税上弊害のない限度で、日々雇い入れられる者に類似する者についても日額表の丙欄の適用を認めることとした点に合理性があるものと認められる。
 そうすると、マネキン等は、上記のとおり、請求人との契約上はその雇用期間が2月以内であるので、その給与等について同項第3号(日額表の丙欄)の適用が可能となる。
c そこで、更に、マネキン等の雇用期間の延長又は再雇用により継続して2月を超えて雇用されることとなった者の有無の検討を要するところ、この場合の「継続」とは事実上の概念であるから、当該企業に雇用されている常雇いの者の勤務状況と比較して、その者が継続してその企業に就労しているかどうかを判定するのが相当と解される。
d これを本件についてみると、請求人とマネキン等との間の就労契約等は、前記ロの(イ)のAの(B)で認定したとおり、原則として1週間の契約であって、4週間継続して就労した場合は、請求人の社員と同様、6日間の中断期間が置かれていること等からして、マネキン等が一つの契約に係る就労を開始する日現在において、過去2月間に就労しない日が月当たりおおむね2週間以上ある場合は、雇用期間は継続していないものと判断できるが、以上の判定により雇用期間が継続したと認められる場合は、それ以後明らかに雇用関係を打ち切ったものと客観的に認められる空白期間がない限り、依然として雇用は継続しているものと判断するのが相当である。
 請求人とB女らとの間の就労契約等を上記の判定基準に基づいて検討すると、下記の各人の各就労契約は、その開始する日現在において、過去2月間に就労しない日が月当たりおおむね2週間以上ある場合及び雇用期間の延長又は再雇用により継続して2月を超えて雇用されることとなったと認められてから後、雇用関係を打ち切ったものと客観的に認められる空白期間(おおむね1月間)がある場合に該当するので、それらの契約により支給された金員については、基本通達185ー8ー(2)の定めによって日額表の丙欄を適用するのが相当である。
(a) B女については、昭和58年7月27日ないし同年10月11日の期間内に係る就労契約
(b) C女については、昭和58年7月27日ないし同年9月25日、昭和59年7月25日ないし同年9月11日及び昭和61年5月6日ないし同年6月30日の期間内に係る就労契約
(c) D女については、昭和58年7月27日ないし同年9月6日、昭和59年3月1日ないし同年4月25日及び同年7月25日ないし同年9月11日の期間内に係る就労契約
(d) E女については、昭和58年7月27日ないし同年9月15日、昭和59年1月4日ないし同年2月22日、同年7月25日ないし同年9月4日及び昭和60年1月23日ないし同年3月12日の期間内に係る就労契約
(e) F女については、昭和58年8月10日ないし同年10月12日及び昭和59年8月1日ないし昭和60年1月29日の期間内に係る就労契約
(f) G女については、昭和58年8月25日ないし同年10月18日及び昭和60年12月17日ないし昭和61年2月25日の期間内に係る就労契約
(g) H女については、昭和60年8月28日ないし同年10月14日及び昭和61年5月21日ないし同年6月30日の期間内に係る就労契約
(h) J男については、昭和60年7月24日ないし同年9月18日の期間内に係る就労契約
(C) 上記(B)のdの(a)ないし(h)以外の就労により支給された金員については、「雇用契約の期間の延長又は再雇用により継続して2月を超えて雇用されることとなった者に当該2月を超える部分の期間につき支払われる給与等」に当たるので、同項第3号は適用できず、同項第2号への規定によって、日額表の乙欄を適用するのが相当である。
(ロ) 本件交際費について
A 原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
(A) A男は、昭和59年分ないし昭和61年分の所得税に係る扶養控除等申告書を請求人に提出していること。
(B) A男は、昭和59年分ないし昭和61年分の所得税の確定申告書に、合計所得金額を昭和59年分が31,033,716円、昭和60年分が21,032,363円、昭和61年分が33,043,565円とそれぞれ記載して申告していること。
(C) A男は、大正7年3月15日生まれで、昭和59年12月31日現在の年齢が66歳であること。
B ところで、原処分庁は、本件交際費に係る源泉徴収税額について、A男が法第2条第1項第30号に規定する老年者であるとして、法第187条に基づき計算しているが、上記Aで認定したとおり、同人は、昭和59年分ないし昭和61年分の合計所得金額が10,000,000円を超えるので、上記老年者には該当しないことになる。したがって、上記原処分庁の本件交際費に係る源泉徴収税額の計算には、控除すべきでない老年者控除をなした誤りのあることが認められる。
 請求人は、上記法令適用の誤りの存在を理由に、原処分にはかしがあるからその全部を取り消すべきである旨主張する。しかしながら、上記法令適用の誤りは、原処分全体の効力を左右する性質のものではない上、本来行うべきでない控除をしているのであるから、請求人に不利益を及ぼすものではない。したがって、請求人の上記主張は失当である。
ニ 以上の結果、本件納税告知のうち、昭和58年8月分ないし11月分、昭和59年2月分ないし5月分、8月分、9月分、11月分、12月分、昭和60年1月分ないし4月分、7月分ないし10月分、12月分及び昭和61年1月分ないし3月分、5月分ないし7月分の納税告知については、それらの月分の源泉所得税の額が、いずれも告知の額を下回ることとなるので、その一部を取り消すべきである。
 また、本件納税告知のうち、昭和58年12月分、昭和59年1月分、6月分、7月分、10月分、昭和60年5月分、6月分、11月分及び昭和61年4月分の納税告知については、それらの月分の源泉所得税の額が、いずれも告知の額と同額若しくは告知の額を超えることになるので、これらに対する審査請求は、理由がないものとしていずれも棄却を免れない。

(2) 不納付加算税の賦課決定について

 以上により、昭和58年8月分ないし11月分、昭和59年2月分ないし5月分、8月分、9月分、11月分、12月分、昭和60年1月分ないし4月分、7月分ないし10月分、12月分及び昭和61年1月分ないし3月分、5月分ないし7月分の不納付加算税の各賦課決定は、その基礎となる税額の異動に伴い、その一部を取り消すべきであるが、昭和58年12月分、昭和59年1月分、6月分、7月分、10月分、昭和60年5月分、6月分、11月分及び昭和61年4月分の不納付加算税の各賦課決定については、その計算に誤りは認められないから、これらに対する審査請求は、理由がないものとしていずれも棄却を免れない。

(3) 原処分のその余の部分については、当審判所に提出された資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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