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(平4.2.25、裁決事例集No.43 495頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

 審査請求人(以下「請求人」という。)は、不動産売買を業とする同族会社であるが、昭和61年4月1日から昭和62年3月31日までの事業年度(以下「昭和62年3月期」という。)、昭和62年4月1日から昭和63年3月31日までの事業年度(以下「昭和63年3月期」という。)及び昭和63年4月1日から平成元年3月31日までの事業年度(以下「平成元年3月期」といい、昭和62年3月期及び昭和63年3月期と併せて以下「本件各事業年度」という。)の法人税の青色の確定申告書に次表のとおり記載して、それぞれ法定申告期限までに申告した。

(単位:円)
事業年度
項目
昭和62年3月期 昭和63年3月期 平成元年3月期
所得金額 520,514,355 491,952,980 △145,410,818
課税土地譲渡利益金額 11,051,000
課税留保金額 66,423,000 71,538,000
納付すべき税額 232,631,500 214,800,200 3,276,800

(注)「所得金額」欄の△印は、欠損金額を示す。以下同じ。

 

 また、請求人は、平成元年3月期について、平成元年5月29日に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出した。
 原処分庁は、これに対し平成元年12月26日付で本件各事業年度について、次表のとおり更正並びに昭和62年3月期及び昭和63年3月期の過少申告加算税の賦課決定をした。

(単位:円)
区分
事業年度
項目
昭和62年3月期 昭和63年3月期 平成元年3月期
更正 所得金額 520,514,355 491,952,980 △144,528,318
課税土地譲渡利益金額 599,861,000 666,033,000 11,051,000
課税留保金額 0 0
納付すべき税額 344,140,300 338,776,100 △57,142,930
賦課決定 過少申告加算税の額 5,575,000 12,397,000

(注)「納付すべき税額」欄の△印は還付金の額に相当する税額を示す。

 

 更に、原処分庁は、平成元年12月27日付で平成元年3月期について、次表のとおり更正(以下昭和62年3月期及び昭和63年3月期の更正と併せて「本件更正」という。)及び過少申告加算税の賦課決定をした。

(単位:円)
区分
事業年度
項目
平成元年3月期
更正 所得金額 △144,528,318
課税土地譲渡利益金額 50,573,000
課税留保金額
納付すべき税額 15,133,400
賦課決定 過少申告加算税の額 1,612,000

 

 請求人は、これらの処分を不服として平成2年1月18日に審査請求をした。
 なお、請求人が平成2年5月30日にP市R町1丁目1番15号から現本店所在地に本店移転をしたことに伴い、原処分庁はP税務署長からS税務署長となった。

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2 主張

(1) 請求人の主張

 イ 本件更正について
 請求人は、昭和62年3月期及び昭和63年3月期については租税特別措置法(平成3年法律第16号による改正前のものをいい、以下「措置法」という。)第63条《土地の譲渡等がある場合の特別税率》第2項に規定する譲渡利益金額(以下「短期所有土地譲渡利益金額」という。)の計算、並びに平成元年3月期については措置法第63条の2《超短期所有土地等に係る土地の譲渡等がある場合の特別税率》第2項に規定する譲渡利益金額(以下「超短期所有土地譲渡利益金額」といい、短期所有土地譲渡利益金額と併せて「課税土地譲渡利益金額」という。)の計算に際し、土地の譲渡等のために要した販売費及び一般管理費の額(以下「販管費の額」という。)を租税特別措置法施行令(平成3年政令第88号による改正前のものをいい、以下「措置法施行令」という。)第38条の4《土地の譲渡等がある場合の特別税率》第8項の規定に基づく計算方法及び同施行令第38条の5《超短期所有土地等に係る土地の譲渡等がある場合の特別税率》第4項の規定により読み替えて準用される同施行令第38条の4第8項の規定の適用を受ける場合におけるその計算方法(以下これらの計算方法を「実額配賦法」という。)を選択して、本件各事業年度の販管費の額を実額配賦法に基づき計算し確定申告をしたところ、原処分庁は、請求人が販管費の額を措置法施行令第38条の4第6項第2号の規定に基づく計算方法並びに同施行令第38条の5第4項の規定により読み替えて準用される同施行令第38条の4第6項第2号の規定の適用を受ける場合におけるその計算方法(以下これらの計算方法を「概算法」という。)を選択し確定申告したものと判断して、課税土地譲渡利益金額の算定に当たり、販管費の額を概算法で計算し本件更正を行った。
 しかしながら、本件更正は次の理由により違法であるから、本件更正に係る課税土地譲渡利益金額のうち、昭和62年3月期208,288,499円、昭和63年3月期199,047,483円及び平成元年3月期11,051,893円を超える部分の取消しを求める。
(イ) 請求人は、法人税の確定申告書別表三(二)「短期所有土地等の譲渡等に係る譲渡利益金額に対する税額の計算に関する明細書」及び同別表三(二の二)「超短期所有土地等の譲渡等に係る譲渡利益金額に対する税額の計算に関する明細書」(以下これらの明細書を「本件明細書」という。)の記載に当たり、記載方法の知識不足のこともあって、譲渡経費の主要額たる支払仲介手数料等の額(以下「仲介手数料の額」という。)を原価の額に含めて課税土地譲渡利益金額を計算したものである。
 したがって、請求人が原価の中に仲介手数料の額を含めて課税土地譲渡利益金額を計算した事実は、販管費の額を実額配賦法により経費に算入する意思を明らかにしているとみるべきである。
 なお、本件明細書の様式は、法人税法施行規則に定められてはいるが、その具体的な記載方法が定められていないこと及び本件明細書には納税者が実額配賦法を選択したか否かを明らかに記載すべき欄が設けられていないから、実額配賦法を選択したか否かについては、本件明細書の記載事実の全体を総合的に検討して判定すべきものであり、疑わしきは納税者の有利に解釈すべきものである。
(ロ) 課税土地譲渡利益金額の計算については政令に委任されいるが、政令は法律の範囲内においてのみその効力を有するものであるから、政令の計算規定の解釈適用は、措置法第63条及び同法第63条の2の課税要件規定に違反しないことが前提である。課税土地譲渡利益金額は、収益の額から原価の額及び直接又は間接に要した経費の額を控除したものであるから、社会通念上純利益額であることは言をまたない。
 したがって、課税土地譲渡利益金額の計算方法を政令に委任する場合、当該純利益額の範囲内の金額において合理的な計算方法を規定しなければならないわけであり、その計算方法によって課税土地譲渡利益金額が純利益額を超過するような場合においては、超過部分に対する政令の計算規定は無効であるから、超過部分の金額は課税土地譲渡利益金額から除外されなければならないことは、理の当然とするところである。
(ハ) 課税土地譲渡利益金額を更正する場合は、実額配賦法によるべきか又は概算法によるべきかについては、法令に規定されていない。
 この点に関する国税庁通達は、原則として納税者が選択している方法に従う趣旨が定められているが、租税特別措置法関係通達63の2(4)ー19《更正決定の場合の経費の計算方法》には、「更正の場合において、納税者が実額配賦法によっているときは、実額配賦法により計算する。ただし、法人の計算が著しく合理性を欠くと認められるときは、概算法により計算する。」とあり、この通達は更正する場合には常に合理性が要求されることを鮮明にしているものである。この趣旨からみれば、概算法を選択した申告に対する更正の場合においても、合理性が要求されることは当然のことである。
 しかるに、本件更正に係る販管費の額は、例えば昭和62年3月期をみると、仲介手数料の額だけで563,708,340円であるのに対し、原処分庁が概算法を用いて計算したため、販管費の額はわずか195,147,135円であり、その結果、課税土地譲渡利益金額は、実際額の2倍を超える極めて不合理な金額となっている。
 また、昭和63年3月期及び平成元年3月期も同様である。
 したがって、原処分庁が請求人の本件各事業年度の課税土地譲渡利益金額の算定に当たり、販管費の額を概算法を用いて更正したことは、合理性が認められない。
(ニ) なお、請求人は、次の点については争わない。
A 昭和62年3月期については、所得金額520,514,355円、短期所有土地等の譲渡等に係る収益の額12,572,943,844円、収益に係る原価の額11,015,835,973円及び負債利子の額762,099,257円であること。
B 昭和63年3月期については、所得金額491,952,980円、短期所有土地等の譲渡等に係る収益の額14,691,408,980円、収益に係る原価の額12,961,574,793円及び負債利子の額806,575,881円であること。
C 平成元年3月期については、欠損金額144,528,318円、短期所有土地等の譲渡等に係る収益の額1,809,556,552円、収益に係る原価の額1,690,187,213円及び負債利子の額41,277,250円であること。
ロ 過少申告加算税の賦課決定について
 以上のとおり、本件各事業年度の更正は違法であり、その一部を取り消すべきであるから、これに伴い本件各事業年度の過少申告加算税の賦課決定もその一部を取り消すべきである。

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(2) 原処分庁の主張

 イ 本件更正について
(イ) 原処分庁が請求人の確定申告書及び同添付書類を調査したところによれば、次の事実が認められる。
A 負債利子の額についてみると、昭和62年3月期及び昭和63年3月期については、「負債利子及び販売費一般管理費の配賦率の計算書」及び「土地譲渡益重課制度における経費の実額配賦計算書(土地等の売買関係)」(以下これらの計算書を「実額配賦計算書」という。)に基づき実額配賦法で計算した金額を本件明細書の「実績による負債利子」「9」欄に記載しており、また、平成元年3月期については、請求人が作成した本件明細書の「法定の負債利子」「8」欄に記載していること。
B 販管費の額についてみると、昭和62年3月期及び昭和63年3月期は実額配賦計算書の計算欄は空欄となっており、平成元年3月期は実額配賦計算書の提出がないこと、また、本件各事業年度とも、販管費の額を譲渡した土地等の帳簿価額の累計額に概算法を適用する場合の法定割合100分の4を乗じて計算した金額を、本件明細書の「法定の販売費及び一般管理費」「10」欄に記載しており、概算法により計算しているものと認められ、実額配賦法で計算したと認められるような書類は一切ないこと。
(ロ) 請求人は、仲介手数料の額を原価の額に含めて課税土地譲渡利益を計算したことは、販管費の額の計算を実額配賦法により行う意思を明らかにしているとみるべきであること及び実額配賦法を選択したか否かは、本件明細書の記載事実の全体を総合的に検討して判定すべきである旨主張する。
 ところで、課税土地譲渡利益金額の計算に当たり、「直接又は間接に要した経費の額」(以下「譲渡経費の額」という。)は、措置法施行令第38条の4第6項及び第8項並びに措置法施行令第38条の5第4項の規定からも明らかなように、概算法の適用を原則とし、法人が譲渡経費の額の計算につき、当該土地の譲渡等に係る部分の金額を合理的な配賦基準に基づき計算し、これを法人税申告書(修正申告書を除く。以下同じ。)に記載した場合に限り実額配賦法の計算が認められるものである。したがって、法人が法人税申告書において、譲渡経費の額について実額配賦法を選択しなかったときは、その後においては実額配賦法により計算することが許されないことは法文上明らかである。
 これを本件についてみると、上記(イ)で述べたとおり、昭和62年3月期及び昭和63年3月期の負債利子の計算については実額配賦法を選択したと認められるが、平成元年3月期の負債利子の額の計算及び本件各事業年度の販管費の額の計算は実額配賦法を選択したとは認められないから、本件更正では、概算法により計算を行ったものである。
 また、前記(イ)で述べたとおり、請求人が本件明細書の記載のみを誤ったと解すべき事情は認められないから到底受け入れられるものではない。
(ハ) 課税土地譲渡利益金額は、土地の譲渡等に係る純利益の範囲以内でなければならないとする請求人の主張は、独自の見解であって、かかる法令上の規定はないから、本件更正には取り消されるべき理由はない。
(ニ) 本件更正に当たり、実額配賦法により計算することが法の要求する合理的計算法に合致する旨の請求人の主張は、独自の見解であって、到底受け入れられるものではない。
(ホ) 以上のとおり、原処分庁は、請求人の本件各事業年度の課税土地譲渡利益金額の算定に当たり、負債利子の額については実額配賦法(平成元年3月期については概算法)、販管費の額については概算法により計算したことは適法であり、課税土地譲渡利益金額は、昭和62年3月期599,861,479円、昭和63年3月期666,033,611円及び平成元年3月期50,573,922円となり、これらの金額は本件更正に係る金額と同額であるから、本件更正はいずれも適法である。
ロ 過少申告加算税の賦課決定について
 以上のとおり、本件更正は適法であり、本件更正により納付すべき税額の基礎となった事実が、本件更正前の税額の基礎とされなかったことについて、国税通則法(昭和62年3月期については、昭62年法律第96号による改正前のもの。以下同じ。)第65条《過少申告加算税》第4項に規定する正当な理由があるとは認められないから、同条第1項及び第2項の規定に基づいて本件各事業年度の過少申告加算税の賦課決定をしたものである。

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3 判断

 本件審査請求の争点は、請求人が課税土地譲渡利益金額の算定に当たり、実額配賦法を選択して販管費の額を計算したか否か等にあるので審理したところ、次のとおりである。

(1) 本件更正について

イ 前記2の(1)のイの(ニ)の事実については、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査したところによってもその事実が認められる。
ロ 当審判所が原処分関係資料を調査したところによれば、次の事実が認められる。
(イ) 請求人が原処分庁に提出した本件各事業年度の確定申告書の本件明細書によれば、請求人は、販管費の額を、譲渡した土地等の帳簿価額の累計額に概算法を適用する場合の法定割合100分の4を乗じて計算した金額を「法定の販売費及び一般管理費」「10」の欄に記載しており、「実績による販売費及び一般管理費」「11」の欄に何ら記載のないこと。
(ロ) また、請求人が原処分庁に提出した昭和62年3月期及び昭和63年3月期の確定申告書に添付してある実額配賦法計算書には、負債利子の額についての実額配賦法に関する事項は記載してあるが、販管費の額については何ら記載がないこと。
(ハ) 更に、請求人が原処分庁に提出した平成元年3月期の確定申告書には、実額配賦計算書の添付がないこと。
(ニ) 原処分庁は、本件各事業年度の確定申告書の本件明細書の「同上に対応する原価の額」欄の中に仲介手数料の額が算入されていたため、当該仲介手数料の額を原価の額から減算し、それに伴ない負債利子の額は実額配賦法(平成元年3月期については概算法)及び販管費の額は概算法により再計算して本件更正をしたこと。
ハ 請求人は、法人税の確定申告における課税土地譲渡利益金額の計算に当たって、仲介手数料の額を販管費の額としないで原価の額とした誤りがあるものの、販管費の額については実額配賦法を選択しているのであり、本件明細書には具体的な記載方法の定めのないこと及び実額配賦法を選択したか否かを明らかに記載すべき欄が設けられていないから、本件明細書の記載事実の全体を総合的に検討して判定すべきである旨主張する。
(イ) 措置法第63条第1項及び同法第63条の2第1項に規定する土地の譲渡等に係る譲渡利益金額は、いずれも同条第2項により計算することとされており、収益の額から収益に係る原価の額及び譲渡経費の額の計算方法の細目を政令に委任している。
 この規定を受けて、措置法施行令第38条の4第6項及び同施行令第38条の5第4項は、譲渡経費の額について概算法によることを定めているところであるが、これらの規定を勘案すると、土地の譲渡等に係る譲渡利益金額を計算するに際しては、その収益の額から控除すべき譲渡経費の額の計算を概算法によって行うことを予定していると解するのが相当である。
 もっとも、措置法施行令第38条の4第8項及び同施行令第38条の5第4項の規定は、土地の譲渡等のすべてについて支出するこれらの経費の額のうち、当該土地の譲渡等に係る部分の金額を合理的に計算することができるものにあっては、概算法に代えて実額配賦法により計算することを例外的に認めているが、この規定の適用を受けるためには、譲渡経費の額を合理的に計算して法人税申告書に記載すること並びに法人税法第74条《確定申告》第1項第6号及び同法施行規則第34条《確定申告の記載事項》第2項の規定により、その計算に関する明細書を当該申告書に添付することが要件とされているから、実額配賦法による場合には、これらの要件を充足することが必要不可欠である。
(ロ) これを本件についてみると、請求人が実額配賦法を選択したとするならば、上記(イ)のとおり、法人税法第74条第1項第6号及び同法施行規則第34条第2項の規定により、その計算に関する明細書を当該申告書に添付することが要件とされているが、前記ロの(イ)ないし(ハ)のとおり、請求人が提出した昭和62年3月期及び昭和63年3月期の確定申告書の添付資料である実額配賦計算書には、支払仲介手数料の額以外の販管費の額についても何ら記載がなく、また、本件事業年度の本件明細書には概算法の計算をして「法定の販売費及び一般管理費」「10」欄に記載があるのみで、「実績による販売費及び一般管理費」「11」欄には何ら記載がないことからも、請求人が実額配賦法を選択したものとは認められないから、原処分庁が、概算法により販管費の額を計算し、課税土地譲渡利益金額を算定した本件更正は相当である。
 したがって、この点に関する請求人の主張には理由がない。
ニ つぎに、請求人は、課税土地譲渡利益金額の計算方法を政令に委任する場合、当該純利益額の範囲内の金額において合理的な計算方法を規定しなければならないわけであり、その計算方法によって、課税譲渡利益金額が純利益額を超過するような場合においては、超過部分に対する政令の計算規定は無効であるから、超過部分の金額は課税土地譲渡利益金額から除外されなければならない旨主張する。
 しかしながら、当審判所は、税務署長等がした処分が国税に関する法令に反する違法又は不当な処分であるか否かを判断する行政機関であって、その処分の基となった法令自体の合理性を判断する権限を有するものではない。
 したがって、純利益の超過部分に対する政令の計算規定は無効であるとする請求人の主張は失当である。
ホ 更に、請求人は、課税土地譲渡利益金額を更正する場合には、実額配賦法によるべきか又は概算法によるべきかについては法令上規定がないから、合理性が認められる計算方法を採用すべきであり、原処分庁が販管費の額について合理性が認められない概算法を用いて更正したことは違法である旨主張する。
 しかしながら、前記ハで述べたとおり、請求人が提出した確定申告書における課税土地譲渡利益金額に係る販管費の額については概算法を選択したと認められたため、原処分庁は、その概算法に基づいて販管費の額を計算し課税土地譲渡利益金額を算定したものであり、その計算方法は誤りでもなく、税法に違反するものでもない。
 したがって、この点に関する請求人の主張には理由がない。
ヘ 以上のとおり、原処分庁が、本件各事業年度の課税土地譲渡利益金額の算定上、原価の額の中に含まれていた仲介手数料の額を控除し、負債利子の額については実額配賦法(平成元年3月期については概算法)、販管費の額については概算法により計算したことは適法であり、また、当審判所の調査によっても原処分庁の算定額は相当と認められるから、本件更正は適法である。

(2) 過少申告加算税の賦課決定について

 以上のとおり、本件更正は適法であり、また、請求人には、確定申告の税額を計算するに当たり、原処分庁が本件更正に係る過少申告加算税の計算の基礎とした税額に係る事実を確定申告の税額の計算の基礎としなかったことについて、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由があるとは認められないから、同条第1項及び第2項の規定に基づいてした過少申告加算税の賦課決定は適法である。

(3)その他

 原処分のその余の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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