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(平4.9.30、裁決事例集No.44 181頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

 審査請求人(以下「請求人」という。)は、農業を営む者であるが、次表の「確定申告」欄のとおり記載した平成元年分の所得税の確定申告書(分離課税用)(以下「本件確定申告書」という。)を法定申告期限までに提出した。
 原処分庁は、これに対し平成3年7月5日付で次表の「更正等」欄のとおり更正(以下「本件更正」という。)及び重加算税の賦課決定(以下「本件賦課決定」という。)をした。

(単位:円)
区分
項目
確定申告 更正等
総所得金額(農業所得) 177,600 177,600
分離課税の長期譲渡所得金額 32,459,585 51,426,085
納付すべき税額 6,318,800 10,640,000
重加算税の額   1,512,000

 請求人は、これらの処分を不服として平成3年8月9日に異議申立てをしたところ、異議審理庁は、同年11月7日付で棄却の異議決定をした。
 請求人は、異議決定を経た後の処分についてなお不服があるとして、平成3年12月5日に審査請求をした。

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2 主張

(1) 請求人の主張

 原処分は、次の理由により違法であるから、その全部の取消しを求める。
イ 更正について
 請求人は、昭和63年11月28日にA男の相続人であるB女(以下「B女」という。)との間で、請求人所有の別表1の「記号甲」欄の田(以下「甲農地」という。)から分筆された同表の「記号乙」欄の田(以下「乙農地」という。)とB女所有の同表の「記号丁」欄の田(以下「丁農地」という。)を等価交換(以下「本件交換」という。)した。
 そして、所得税法第58条《固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例》第1項の規定(以下「交換の特例規定」という。)を適用して本件確定申告書を提出したところ、原処分庁は、本件交換は、虚偽の取引であるから交換の特例規定は適用されないとして本件更正をした。
 しかしながら、次のとおり、本件交換が交換の特例規定に該当することは明らかである。
(イ) 本件交換の経緯について
A 請求人は、昭和63年10月6日にC男との間で、同人に対し請求人所有の甲農地を37,949,600円で譲渡する旨の売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結した。
B また、請求人は、昭和63年10月7日にA男との間で、同人所有の丁農地を21,010,000円で譲り受ける旨の売買契約(以下「丁農地売買契約」という。)を締結した。
C その後、請求人が、本件売買契約及び丁農地売買契約を履行した場合の資金操りについて検討したところ、甲農地の譲渡代金から請求人が返済すべき債務の額及び譲渡所得に係る所得税等の額を差し引くと、その残金では丁農地の譲受け資金に不足することが分かった。
 しかしながら、請求人としては耕作に便利な丁農地を取得して子孫に残したかったし、また、請求人はその当時資金繰りに困っていた事情もあったので、甲農地の譲渡代金が少しでも残る方法がないか、宅地建物取引業者のD男(以下「仲介人D男」という。)に検討を依頼していたところ、甲農地の一部と丁農地を等価交換する方法があるとのことであった。
 そこで、請求人は、B女及びC男との三者で相談の上、本件売買契約及び丁農地売買契約を解除するとともに、甲農地を乙農地と別表1の「記号丙」欄の田(以下「丙農地」という。)に分筆して、昭和63年11月28日に本件交換を行う旨の契約を締結し、同日付の契約書(以下「本件交換契約書」という。)を作成した。
D B女は、昭和63年12月9日にC男との間で、本件交換により取得した乙農地を同人に対し21,010,000円で譲渡する旨の売買契約(以下「乙農地売買契約」という。)を締結し、同日付の売買契約書(以下「乙農地売買契約書」という。)を作成した。
E また、請求人は、昭和63年12月12日にC男との間で、同人に対し請求人所有の丙農地を16,937,000円で譲渡する旨の売買契約(以下「丙農地売買契約」という。)を締結し、同日付の売買契約書(以下「丙農地売買契約書」という。)を作成した。
F 請求人とC男は、昭和63年11月10日に、P市農業委員会(以下「農業委員会」という。)に対し甲農地についての農地法第3条《農地又は採草放牧地の権利移動の制限》第1項の規定による所有権移転の許可申請(以下「3条申請」という。)をし、同月28日にその許可を受けていたが、前記Cのとおり、請求人とC男は、本件売買契約を合意解除したため、同年12月22日に農業委員会に対し当該許可の取消届を提出したところ、同日付で当該許可の取消しがあった。
 そして、請求人とC男は、平成元年1月10日に、農業委員会に対し乙農地及び丙農地について、譲渡人を請求人、譲受人をC男とする3条申請をし、同月27日にその許可を受けている。
 なお、本件交換によるB女への乙農地の所有権移転の許可申請を農業委員会に申請しなかったのは、同人が乙農地の譲受人となると、譲受け後1年間は同農地を耕作しなければ、他に譲渡ができなくなるからである。
(ロ) 譲渡代金の授受について
A 請求人が、C男から丙農地売買契約に基づき受領した譲渡代金は昭和63年12月12日に手付金4,800,000円、同月24日に内金1,190,000円及び平成元年5月17日に残金10,949,600円の合計16,939,600円である。
B 請求人は、C男から昭和63年10月6日に、本件売買契約の手付金として7,000,000円を受領した。その後、同契約が合意解除されたためその金員は、請求人の預り金となっていたが、そのうち4,800,000円は上記Aの同年12月12日の手付金と相殺した。
 なお、預り金の残金2,200,000円は、同年12月9日の乙農地売買契約の手付金としてC男がB女に支払うべき2,200,000円の支払に充てた。
C また、請求人が、C男から昭和63年12月24日に受領した20,000,000円のうち1,190,000円は、前記Aの内金としてであり、残金の18,810,000円は、同月27日に乙農地売買契約の完済金として、C男がB女に支払うべき18,810,000円の支払に充てた。
 以上により、本件交換は虚偽の取引ではない。
ロ 重加算税の賦課決定について
 上記イのとおり、本件更正は取り消されるべきであるから、本件賦課決定も取り消されるべきである。

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(2) 原処分庁の主張

 原処分は、次の理由により適法である。
イ 更正について
(イ) 本件売買契約が、昭和63年10月6日に請求人とC男との間で締結され、その約定のとおり履行されたことは、次のことから明らかである。
A 請求人は、本件売買契約を合意解除したと主張しているが、その事実が明らかでなく、また、当該契約に基づき授受された手付金の返還等が行われていないこと。
B 請求人とC男は、昭和63年11月10日に、農業委員会に対し請求人を譲渡人、C男を譲受人とする甲農地についての3条申請をし、同月28日に許可されており、その後、昭和63年12月22日に当該許可は取り消されているが、当該取消しをもって本件売買契約の解除があったとはいえないこと。
C 仲介人D男が所持していた乙農地売買契約書の写し及び丙農地売買契約書(売買当事者の押印のないもの)の写しのメモ書から次のことが認められること。
(A) 本件売買契約は、昭和63年10月6日に締結され、同日、請求人は仲介人D男に手数料500,000円を支払い、また請求人は、C男から同年12月24日に20,000,000円の内金を受け取っている。
(B) 甲農地の取引価格は、甲農地の面積291,92坪に一坪当たり130,000円を乗じた額37,949,600円で、当該金額から手付金7,000,000円と中間金20,000,000円の合計27,000,000円を差し引いた金額10,949,600円が残金である。
D そして、請求人は、昭和63年10月6日に、本件売買契約に基づきC男から手付金7,000,000円、同年12月24日に中間金20,000,000円及び平成元年5月17日に最終決済代金10,949,600円の合計37,949,600円を受領していること。
E また、請求人は、中間金の20,000,000円のうち18,810,000円は一時的な預り金であると主張するが、上記C及びDのとおり、20,000,000円は本件売買契約に係る中間金として受領したことにほかならない。
(ロ) 丁農地売買契約が、昭和63年10月7日に請求人とA男との間で、締結され、その約定のとおり履行されたことは、次のことから明らかである。
A 請求人は、丁農地売買契約を合意解除したと主張しているが、その事実が明らかでなく、また、当該契約に基づき授受された手付金の返還等が行われていないこと。
B 仲介人D男が所持していた丁農地売買契約書と題する書類(以下「丁農地売買契約書」という。)によれば、請求人とA男との間で丁農地を21,010,000円で売買する旨の内容であること。
C 請求人が、B女に支払った昭和63年10月7日の2,200,000円及び同年12月27日の18,810,000円の合計21,010,000円は、本件売買契約に係る譲渡代金として受領した前記(イ)のDの金員のうちから支払われていると認められること。
D 丁農地売買契約書及び仲介人D男が所持していた本件交換契約書(交換当事者の押印のないもの)の写しのメモ書きから、本件交換の後に丁農地売買契約に基づく売買代金の残金の授受が請求人との間で行われたことが認められること。
 以上のとおり、請求人は、本件売買契約に基づいて甲農地をC男に譲渡し、その約定のとおりC男から譲渡代金を受領しており、その譲渡代金で、丁農地売買契約に基づきB女から丁農地を譲り受け、その約定のとおり購入代金を支払い、その後当該代金の返還もないことから、本件売買契約及び丁農地売買契約が解除されていなかったことは明らかである。
 そうすると、本件交換は、請求人が負担すべき甲農地の譲渡による所得税の一部を免れるためにした仮装取引であり、交換取引を行った事実はないから、交換の特例規定の適用は受けられない。
ロ 重加算税の賦課決定について
 上記イのとおり、請求人は甲農地をC男に譲渡したにもかかわらず、甲農地を乙農地と丙農地に分筆して、乙農地については本件交換に係る虚偽の本件交換契約書を作成し、丙農地については同人に譲渡したとして虚偽の丙農地売買契約書を作成し、それらに基づき本件確定申告書を提出したことは、国税通則法第68条《重加算税》第1項の国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を仮装し、その仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときに該当するから、本件賦課決定は適法である。

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3 判断

(1)本件更正について

イ 本件交換について
 本件審査請求の争点は、本件交換が虚偽の取引か否かにあるので、以下審理する。
(イ) 次のことについては、請求人及び原処分庁の双方に争いはなく、当審判所の調査によってもその事実が認められる。
A 請求人は、昭和63年10月6日にC男との間で、甲農地を37,949,600円で譲渡する旨の本件売買契約を締結したこと。
B 請求人は、C男から次表のとおりの金員を受領したこと。

(単位:円)
年月日 金額
昭和 7,000,000
昭和 20,000,000
平成 10,949,600
37,949,600

C 請求人は、昭和63年10月7日にA男との間で、丁農地を21,010,000円で譲り受ける旨の丁農地売買契約を締結したこと。
D 請求人は、前記Bの金員のうちからA男及びB女に昭和63年10月7日に2,200,000円、同年12月27日に18,810,000円の合計21,010,000円を支払っていること。
E 不動産登記簿謄本によれば、本件各農地の所有権の異動状況は次表のとおりであること。

 

区分 登記年月 登記原因 所有権者 備考
異動前 異動後
甲農地 昭和
50.4.21
昭和
50.4.9
贈与
E男 請求人 E男は、昭和26年3月6日に取得
昭和63年12月20日乙、丙に分筆
乙農地 平成
元.3.13
平成
元.3.13
売買
請求人 C男 平成元年5月25日丙と合筆
丙農地 平成
元.5.18
平成
元.5.18
売買
請求人 C男 平成元年5月25日乙と合筆
丁農地 平成
元.3.2
平成
元.3.1
売買
B女 請求人  

F 本件各農地の3条申請の状況は、次表のとおりであること。

 

区分 申請当事者 申請月日 許可月日 備考
甲農地 請求人
C男
昭和
63.11.10
昭和
63.11.28
昭和63年12月22日取消し
乙農地 請求人
C男
平成
元.1.10
平成
元.1.27
 
丙農地 請求人
C男
平成
元.1.10
平成
元.1.27
 
丁農地 B女
請求人
昭和
63.12.10
昭和63年12月14日取下げ
B女
請求人
平成
元.1.10
平成
元.1.27
 

(注)「申請当事者」欄の上段は譲渡人、下段は譲受人を示す。

G 請求人とB女との間で、請求人所有の乙農地とB女所有の丁農地を等価交換する旨の昭和63年11月28日付の本件交換契約書が、作成されていること。
(ロ) C男及びB女の答述によれば、次の事実が認められる。
A C男は、請求人から甲農地を譲り受け、同農地を取得すればよく、本件売買契約を解除したとの認識がないこと。
B C男と請求人が合意した甲農地の取引価格は、同農地の坪数に130,000円を乗じた37,949,600円であること。
C C男は、請求人に対し、昭和63年10月6日に手付金7,000,000円、同年12月24日に中間金20,000,000円及び平成元年5月17日に残金10,949,600円の合計37,949,600円を支払ったこと。
D C男とB女とは双方に面識がないこと。
E B女は、後記(ハ)のBの念書について仲介人D男から提示を受けたが、その内容については熟知していないこと及び丁農地売買契約を解除し、本件交換を行ったとの認識がないこと。
(ハ) 請求人提出資料、原処分関係資料並びに当審判所の調査したところによれば、次の事実が認められる。
A 仲介人D男は、原処分の調査に際し、1乙農地売買契約書の写し、2丙農地売買契約書(売買当事者の押印のないもの)の写し、3丁農地売買契約書及び4本件交換契約書(交換当事者の押印のないもの)の写しを提示したこと。
 そして、上記1ないし3の書類の「特約条項並びに売買物件の表示」欄の余白及び4の契約書の契約条項第1条の「双方共、等金額(同価)」という文言の上部と、同3条の余白には、別表2の「メモの内容」欄に掲げるとおりの記載があること。
B 請求人が本件交換をした証拠として提出した2通の念書及び1通の領収証の写しの内容等は、別表3に掲げるとおりであること。
C 本件売買契約及び丁農地売買契約の約定に基づき支払われた金員は、請求人がこれらの契約を合意解除したと主張するにもかかわらず、いずれも返還等が行われていないこと。
(ニ) 前記(イ)ないし(ハ)の事実に基づき検討すると、次のとおりである。
A 請求人は、本件売買契約及び丁農地売買契約をC男及びB女との三者で合意解除した旨主張するので以下検討する。
(A) 請求人が、C男から受領した37,949,600円は本件売買契約に係る取引金額と同額であり、C男は、当該金員を甲農地の譲受代金として請求人に支払ったと認識していることから、当該金員は請求人が本件売買契約に基づいてC男から甲農地の譲渡代金として受領したものと認められる。
(B) 請求人が、上記(A)のC男から受領した金員のうちからB女に支払った21,010,000円は、丁農地売買契約に係る取引金額と同額であり丁農地売買契約の約定どおりに支払われていることから、当該金員は請求人が丁農地の譲受代金としてB女に支払ったものと認められる。
(C) 仲介人D男が提示した前記(ハ)のAの各契約書等の「特約条項並びに売買物件の表示」欄の余白等のメモ書から、本件売買契約及び丁農地売買契約がその約定のとおりに履行されたものと認められる。
(D) 3条申請に係る許可は、乙農地については請求人からC男へ、丁農地についてはB女から請求人へのそれぞれの譲渡についてされており、また、これらの不動産登記簿上、乙農地については請求人からC男に、丁農地についてはB女から請求人にそれぞれ売買を原因として、所有権の移転登記がされている。
 以上(A)ないし(D)を総合すると、本件売買契約及び丁農地売買契約がそれぞれ履行されたことは明らかである。
 また、1請求人は、これらの契約の合意解除の日時及び方法等を具体的に明らかにしないこと、2C男とB女は双方に面識がないこと、3C男は本件売買契約を解除したとの認識がないことから、本件売買契約及び丁農地売買契約の解除があったとはいえず、他に解除の事実を認めるに足りる証拠もないことから、この点に関する請求人の主張は採用できない。
B 請求人は、本件交換をした旨主張するので、以下検討する。
 上記Aのほか、1本件交換及び乙農地売買契約並びに丙農地売買契約は、乙農地と丙農地が甲農地から分筆された昭和63年12月20日以前に行われていること、2B女は、本件交換をした認識がないこと、3請求人とB女は、請求人が本件交換があったと主張する日以後の昭和63年12月10日に丁農地に係る3条申請を行ったにもかかわらず、同月14日に同申請を取下げしていることなど、請求人の本件交換についての主張は、極めて不自然でありこの点に関する請求人の主張は採用することはできない。
 なお、請求人は、本件交換をした証拠資料として、前記(ハ)のBの念書及び領収書を提出しているが、これらは各関係人の答述及び本件各証拠資料に照らして証拠力に乏しく、上記判断を覆すに足りる証拠とはなり得ない。
 以上審理したところによれば、1甲農地は、本件売買契約に基づき請求人からC男に譲渡価額37,949,600円で譲渡されていること、2本件交換は、存在しない虚偽の取引であることが認められる。
 したがって、交換の特例規定を適用すべき取引は存在しない。
ロ 分離課税の長期譲渡所得について
 以上により、甲農地の譲渡に係る所得金額は、請求人の甲農地の取得日が前記イの(イ)のEのとおり昭和26年3月6日(所得税法第60条《贈与等により取得した資産の取得費等》第1項第1号の規定による)とみなされるから、租税特別措置法(平成3年法律第16号による改正前のもの)第31条《長期譲渡所得の課税の特例》第1項の規定により、分離課税の長期譲渡所得金額となる。
 そこで、甲農地の譲渡益を算定すると、別表4の5の「審判所認定額」欄のとおり35,079,120円となる。
 また、同表の戊農地(別表1の「記号戊」欄の田)の譲渡に係る所得金額が、分離課税の長期譲渡所得金額となること及びその譲渡益17,949,435円については請求人、原処分庁双方に争いはなく、当審判所の調査したところにおいても相当と認められる。
 そうすると、請求人の平成元年分の分離課税の長期譲渡所得金額は、別表4の9の「審判所認定額」欄のとおり52,028,555円となる。
 以上の結果、請求人の平成元年分の分離課税の長期譲渡所得の金額は本件更正の金額を上回ることになるから、本件更正は適法である。

(2) 重課税の賦課決定について

 前記(1)のイで認定したとおり、請求人は、C男に甲農地を譲渡し、またB女から丁農地を譲り受けたにもかかわらず、あえて甲農地を乙農地と丙農地に分筆し、乙農地と丁農地を交換したとして虚偽の本件交換契約書を作成して、これがあたかも事実であるがごとく仮装したところに基づき交換の特例規定を適用して本件確定申告書を提出し、所得税の一部を免れていたことが認められる。
 この事実は、国税通則法第68条第1項に規定する事実の隠ぺい又は仮装に該当する。
 そうすると、交換の特例規定を適用して所得税を免れていた部分に対応する税額は、別表5の9の「増減差額」欄のとおり4,471,900円となり、同表の10の「審判所認定額」欄の4,470,000円について重加算税が賦課されることとなる。その結果、重加算税の額は同表の12の「審判所認定額」欄のとおり1,564,500円となり、本件賦課決定の金額1,512,000円を上回るので、本件賦課決定は適法である。

(3) 原処分のその余の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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