ホーム >> 公表裁決事例集等の紹介 >> 公表裁決事例 >> 裁決事例集 No.45 >> (平5.4.19、裁決事例集No.45 213頁)

(平5.4.19、裁決事例集No.45 213頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

 審査請求人(以下「請求人」という。)は鍛造業を営む同族会社であるが、平成元年6月1日から平成2年5月31日までの事業年度及び平成2年6月1日から平成3年5月31日までの事業年度(以下それぞれ「平成2年5月期」、「平成3年5月期」といい、これらを併せて「本件各事業年度」という。)の法人税について、それぞれ青色申告書に別表1の「確定申告」欄のとおり記載した上、これをいずれも法定申告期限までに原処分庁に提出し、次いで、平成3年5月期について、平成3年10月16日に同表の「修正申告」欄のとおり記載した修正申告書を原処分庁に提出した。
 原処分庁は、これに対し、平成3年10月29日付で別表1の「更正及び賦課決定」欄記載のとおり本件各事業年度について更正及び過少申告加算税の賦課決定をし、更に、同年11月26日付で同表の「再更正及び賦課決定」欄記載のとおり本件各事業年度について更正及び過少申告加算税の賦課決定(平成3年5月期は減額の更正及び変更決定)をした。
 請求人は、平成3年10月29日付でされた本件各事業年度の更正及び賦課決定について同年11月11日に、更に、同年11月26日付でされた平成2年5月期の更正及び賦課決定について平成4年1月10日に、それぞれ不服があるとして審査請求をした。
 また、請求人は、平成3年5月期の法人臨時特別税について、青色申告書に、別表2の「確定申告」欄のとおり記載した上、これを法定申告期限までに原処分庁に提出し、次いで、平成3年10月16日に同表の「修正申告」欄のとおり記載した修正申告書を原処分庁へ提出した。
 原処分庁は、これに対し、平成3年10月29日付で別表2の「更正」欄記載のとおり更正をした。
 請求人は、これを不服として平成3年11月11日に審査請求をした。
 なお、原処分庁は、平成3年11月26日付で別表2の「再更正」欄記載のとおり課税標準及び税額を減額させる更正をした。
 当審判所は、上記の各審査請求について国税通則法第104条《併合審理等》第1項の規定に基づき併合審理する。

トップに戻る

2 主張

(1) 請求人の主張

 原処分は、次の理由により違法であるから、いずれもその全部の取消しを求める。
イ 法人税の更正について
(イ) 請求人が毎事業年度において作成する定時株主総会の議事録(以下「議事録」という。)は、形式的に作成しているもので、実際には株主総会は開催されておらず、株主総会の決議も存在しない。そして、このことは本件各事業年度においても同様であった。したがって、本件各事業年度における役員報酬の額が相当な金額であるか否かについては、形式的に作成された本件各事業年度における議事録の記載によるべきではなく、むしろ当該役員の職務内容から見て判断すべきであり、これによれば本件役員報酬の額はいずれも相当な金額であり、全額損金の額に算入すべきである。
(ロ) また、過大な役員報酬の判定を議事録により行うとしても、原処分は次のとおり違法である。
 請求人は、次表のとおり役員報酬(以下「本件役員報酬の額」という。)を支払い、全額これを本件各事業年度の損金の額に算入した。

(単位:円)
役職名 氏名 平成2年5月期 平成3年5月期
取締役 A男 18,000,000 18,000,000
B女 9,600,000 9,600,000
C男 6,275,000
小計 27,600,000 33,875,000
監査役 C男 6,000,000
合計 33,600,000 33,875,000

 

 これに対し、原処分庁は、請求人が原処分庁の調査担当職員(以下「調査担当職員」という。)に提示した、役員報酬の額を次表の「役員報酬の額」欄のとおりとする旨記載してある平成元年7月24日開催の第27回定時株主総会議事録及び平成2年7月24日開催の第28回定時株主総会議事録(以下それぞれ「第27回甲議事録」、「第28回甲議事録」といい、これらを併せて「甲議事録」という。)に基づいて、平成2年5月期については取締役報酬分7,600,000円と監査役報酬分1,000,000円の合計8,600,000円、平成3年5月期については、取締役報酬分3,875,000円をそれぞれ法人税法施行令第69条《過大な役員報酬の額》第2号に規定する過大な役員報酬に当たるとして法人税法第34条《過大な役員報酬の損金不算入》第1項の規定により、損金の額に算入しない旨の更正を行った。
 なお、役員報酬の額の適用期間は次表の「適用期間」欄のとおりである。

 

区分 適用期間 役員報酬の額
取締役の報酬総額 監査役の報酬総額
第27回甲議事録 平成2年5月期 20,000,000円以内 5,000,000円以内
第28回甲議事録 平成3年5月期 30,000,000円以内 10,000,000円以内

 

 しかしながら、甲議事録はその内容の一部に誤りがあり、請求人の認識と一致しないものであるため、原処分庁の調査が行われる以前に、役員報酬の額を次表の「役員報酬の額」欄のとおりとする旨記載してある真正な内容の第27回定時株主総会議事録及び第28回定時株主総会議事録(以下それぞれ「第27回乙議事録」、「第28回乙議事録」といい、これらを併せて「乙議事録」という。)を作成し直しており、また、同議事録は原処分庁へも提出している。したがって、過大な役員報酬の判定は、乙議事録に記載されてある決議内容に基づいて行うべきである。
 なお、役員報酬の額の適用期間は次表の「適用期間」欄のとおりである。

 

区分 適用期間 役員報酬の額
取締役の報酬総額 監査役の報酬総額
第27回乙議事録 平成2年5月期 30,000,000円以内 10,000,000円以内
第28回乙議事録 平成3年5月期 40,000,000円以内 10,000,000円以内

 

 そうすると、本件役員報酬の額は、いずれも定時株主総会の決議により定められた役員報酬の限度額の範囲内であるから、全額損金の額に算入すべきである。
ロ 過少申告加算税の賦課決定について
 上記イのとおり、法人税の更正は違法であり、その全部を取り消すべきであるから、これに伴い過少申告加算税の賦課決定もその全部を取り消すべきである。
ハ 法人臨時特別税の更正について
 前記イのとおり、法人税の更正は違法であり、その全部を取り消すべきであるから、当該処分に基づいてされた法人臨時特別税の更正もその全部を取り消すべきである。

トップに戻る

(2) 原処分庁の主張

 原処分は次の理由により適法であるから、審査請求をいずれも棄却するとの裁決を求める。
イ 法人税の更正について
(イ) 甲議事録によると、請求人が支払った本件役員報酬の額は、本件各事業年度とも同議事録に記載してある役員報酬の限度額を超えているから、その超える部分の額は過大な役員報酬の額に該当する。
 なお、請求人が真正な内容に訂正して再作成したと主張する乙議事録は、調査担当職員が請求人に対して、本件役員報酬の額には過大な役員報酬に該当する部分がある旨の指摘をした後に作成されたものであると認められることから、これを採用することはできない。
(ロ) したがって、本件役員報酬の額が役員の職務内容に照らして相当であるか否かを判断するまでもなく、甲議事録に記載してある役員報酬の限度額を超える部分の額は損金の額に算入することはできない。
ロ 過少申告加算税の賦課決定について
 過少申告加算税の賦課決定は、更正前の申告額が過少であったことについて、国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する正当な理由があるとは認められないことから、過少申告加算税を賦課決定したものである。
ハ 法人臨時特別税の更正について
 法人臨時特別税の更正は、前記イのとおり平成3年5月期の法人税の更正に伴い、法人臨時特別税の課税標準が申告額と異なることから、更正をしたものである。

トップに戻る

3 判断

(1) 法人税の更正について

イ 請求人は、毎事業年度において作成される議事録は、形式的に作成されるもので、実際には株主総会は開催されておらず、株主総会の決議も存在しないのであって、このことは本件各事業年度においても同様であるから、本件各事業年度における役員報酬の額が相当な金額であるか否かについては、本件各事業年度における議事録の記載によるべきではなく、当該役員の職務内容から見て判断すべきであり、これによれば本件役員報酬の額には過大な役員報酬に該当する部分はない旨主張するので、以下審理する。
(イ) 原処分関係資料及び当審判所の調査によれば、次の事実が認められる。
A 請求人は、A男(以下「代表者」という。)を代表取締役とする鍛造業を営む同族会社であり、取締役等の役員が有する株式数の合計は発行済株式総数の90パーセントを超えていること。
B 請求人は、昭和60年6月1日から昭和61年5月31日までの事業年度から昭和63年6月1日から平成元年5月31日までの事業年度までの間、いずれも議事録に記載されている役員報酬の限度額の範囲内で役員報酬を支払っていること。
(ロ) 代表者並びに請求人の関与税理士である代理人(以下「代理人」という。)及び代理人の事務員の答述並びに当審判所の調査によれば、次の事実が認められる。
A 請求人は、議事録の原案の作成を代理人に依頼していること。
B 代理人は、原案を作成するに当たっては、代表者に対し、あらかじめ各事業年度に係る計算書類の承認は行われたか、役員報酬の額が前事業年度に比べて変更されたか否か、あるいは変更後の金額はいくらかの点について確認していること。
C 代理人は、原案を請求人の事務所に出向いて代表者に、また、同人が不在の時は同人の妻である取締役B女(以下「取締役B女」という)に直接渡していること。
D 原案を受け取った代表者はこれに押印した後に、他の役員にもこれを回付し、同人らも代表者と同様に押印し、議事録を作成していること。
E 代表者は、当審判所に対し、一応今まで継続して議事録を作成してきたことから、議事録の存在そのものを無視したり、あるいは、これを否定するものではない旨答述していること。
(ハ) ところで、役員報酬の額のうち不相当に高額な部分の金額として損金の額に算入されない金額については、法人税法第34条第1項の規定により政令で定められているところ、同法施行令第69条はこれをうけて同条各号に掲げる場合の区分に応じてその金額を定めるとし、同条第1号では内国法人が各事業年度においてその役員に対して支給した報酬の額が、当該役員の職務の内容、その内国法人の収益及びその使用人に対する給料の支給の状況、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する報酬の支給の状況等に照らし、当該役員の職務に対する対価として相当であると認められる金額をこえる場合にはそのこえる部分の金額が、同条第2号では定款の規定又は株主総会、社員総会若しくはこれらに準ずるものの決議により報酬として支給することができる金額の限度額を定めている内国法人が、各事業年度においてその役員に対して支給した報酬の額の合計額が当該事業年度に係る当該限度額をこえる場合にはそのこえる部分の金額がそれぞれ損金の額に算入されない金額となる旨規定し、更に上記いずれの場合にも該当する場合には、そのうちいずれか多い金額が損金の額に算入されない金額となる旨規定している。
(ニ) これを本件についてみると、請求人のような同族会社にあっては、商法に規定する株主総会の開催が必ずしも明確でない場合が多いが、このような場合、株主総会の決議の有無は株主総会が実質的に開催されたか否かにより判断すべきものであると解するのが相当であるところ、前記各事実、ことに前記(ロ)の各事実に前記(イ)のAの事実をも併せ考えれば、本件においては、請求人の株主が一堂に会して株主総会が開催され、決議がなされたと断定することはできないとしても、実質的に株主総会が開催され、決議が行われた上で議事録が作成されたものと認めるのが相当である。
 そうであるとすれば、本件は、請求人が株主総会の決議により報酬として支給することができる金額の限度額を定めた場合に該当するから、請求人の役員に支給した報酬の額の合計額が当該限度額を超えるときは、請求人が支払った役員報酬の額が役員の職務の内容に照らして相当であるか否かを判断するまでもなく、少なくとも当該限度額を超える部分は過大な役員報酬となるから、原処分庁が株主総会の決議の内容を記載した議事録を基に過大な役員報酬になるか否かの判断をしたことは相当である。
 したがって、この点に関する請求人の主張は理由がない。
ロ 次に請求人は、本件が株主総会の決議により報酬として支給することができる金額の限度額を定めた場合であるとしても、その判定は正しい決議の内容を記載した乙議事録によるべきであり、これによれば本件役員報酬の額に過大な役員報酬に相当する部分はない旨主張するので、以下審理する。
(イ) 請求人が支払った役員報酬の額につき、請求人及び原処分庁とも請求人の主張イの(ロ)掲記の表のとおり主張するが、当審判所の調査によれば、次の事実が認められる。
A 本件各事業年度における代表者及び平成3年5月期における代表者の妻である取締役B女並びに平成2年5月期における監査役C男に支払われた役員報酬の額は、請求人の主張イの(ロ)掲記の表のとおりであること。
B 平成2年5月期における取締役B女に支払われた役員報酬の額は、平成2年3月に役員以外の使用人に支払われた賃金給料のうち、800,000円が誤って役員報酬の科目で経理されていることから、その支払額は8,800,000円になること。
C 平成3年5月期におけるC男に対する役員報酬の額は、平成2年6月に同人に支払われた役員報酬のうち、25,000円が賃金給料の科目で経理されていることから、その支払額は6,300,000円となるところ、同人は、昭和61年7月23日開催の第24回定時株主総会において監査役に選任された後、平成2年7月24日開催の第28回定時株主総会で取締役に選任されるまでの間、引き続いて監査役の地位にあったことから、支払額のうち、平成2年7月までの分1,050,000円が監査役報酬となり、残り5,250,000円が取締役報酬となること。
D したがって、請求人が実際に支払った役員報酬の額は次表のとおりであること。

役職名 氏名 平成2年5月期 平成3年5月期
取締役 A男 18,000,000 18,000,000
B女 8,800,000 9,600,000
C男 5,250,000
小計 26,800,000 32,850,000
監査役 C男 6,000,000 1,050,000
合計 32,800,000 33,900,000

(ロ) 請求人が提出した証拠資料及び原処分関係資料並びに当審判所の調査によれば、次の事実が認められる。
A 甲議事録及び乙議事録に第2号議案として記載されている役員報酬の額は、請求人主張のイの(ロ)掲記の甲議事録及び乙議事録についての表のとおりで、その適用期間についても同表のとおりであること。
B 第2号議案以外の記載内容について、甲議事録と乙議事録は同じであり、それぞれ株主総会に出席した役員の押印がされていること。
C 調査担当職員が、平成3年9月19日に請求人の事務所において議事録の提示を求めたところ、調査担当職員は甲議事録の提示を受け、同議事録の記載内容を踏まえて過大な役員報酬について指摘したこと。
D 乙議事録は、代理人によって原案が作成され、平成3年10月9日に代理人から原処分庁に提出されたこと。
(ハ) 調査担当職員は、当審判所に対して、平成3年9月19日に請求人の金庫を確認したところ、同金庫は整然としており乙議事録の保管はなく、また、同日及び平成3年10月8日に請求人の事務所に臨場し代表者及び取締役B女に面接した際に、乙議事録についての説明はなかった旨答述している。
(ニ) そこで判断するに、前記イの(ロ)の各事実によれば、議事録は、代理人がその原案を代表者に確認をしながら作成し、代表者又は取締役B女が代理人から直接これを受け取り、各役員がこれに押印することにより作成されるものであることから、請求人は、作成された原案に代表者等が押印をした時点で議事録の存在及びそこに記載された決議の内容を当然に認識していたものと認められる。
 そして、前記(ロ)のCの事実によれば、請求人は、平成3年9月19日、調査担当職員に対し、乙議事録ではなく甲議事録を提示したものであるというのであるから、前記(ロ)及び(ハ)の各事実に上記認定事実をも併せ考えると、同日までに株主総会の決議に基づき作成されていたのは甲議事録のみであって、乙議事録は調査担当職員が本件各事業年度において支払われた役員報酬には過大な役員報酬となる部分がある旨の指摘をした後に作成されたものであることは明らかである。
 この点に関し、請求人は、乙議事録を平成3年9月19日以前に作成して事務所内の金庫に保管していたが、原処分の調査のときにはその存在を失念していた旨答述しているが、前記認定した事実、ことに議事録の作成過程に照らせば、請求人が誤ったものである旨主張する甲議事録を破棄しないまま保存していたことは極めて不自然であり、これに金庫内の状況に関する調査担当職員の前記答述をも併せ考えれば、請求人の上記答述は到底信用することができない。
 したがって、株主総会の決議の内容を記載したものは甲議事録であり、乙議事録は株主総会の決議に基づかないものであることが明らかであるから、過大な役員報酬についての判定は、甲議事録に基づき行うのが相当であり、この点に関する請求人の主張は理由がない。
(ホ) そうすると、前記(イ)の事実から、平成2年5月期については取締役報酬に係る分6,800,000円と監査役報酬に係る分1,000,000円の合計7,800,000円が、また、平成3年5月期については取締役報酬に係る分2,850,000円がそれぞれ過大な役員報酬となり、本件各事業年度の過大な役員報酬の額は更正の額をそれぞれ下回ることとなる。
ハ 以上審理したところによれば、原処分庁が役員報酬の額の一部を過大な役員報酬として損金の額に算入しないとしたことは相当であるが、上記ロの(ホ)のとおり、本件各事業年度において損金の額に算入しない役員報酬の額はいずれも更正の金額を下回ることから、法人税の更正はその一部を取り消すのが相当である。
 なお、平成3年5月期の未納事業税の額について、原処分庁は平成2年5月期の法人税についての平成3年10月29日付の更正に伴い912,000円と、同年11月26日付の更正に伴い120,000円の合計1,032,000円を損金の額に算入しているが、平成2年5月期は所得金額の一部が取り消されることから、その額は936,000円となり、差額の96,000円は損金の額に算入できない。

(2) 過少申告加算税の賦課決定について

イ 上記(1)のとおり法人税の更正の一部を取り消すことに伴い、平成3年10月29日付でされた過少申告加算税の各賦課決定もその一部を取り消すのが相当であるが、賦課決定のその余の部分については、同日付でされた法人税の更正により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が更正前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由があったとは認められないから、同条第1項の規定に基づいてされた過少申告加算税の賦課決定は相当である。
ロ 平成3年11月26日付でされた過少申告加算税の賦課決定は、同日付でされた法人税の更正において増加する税額に変わりはなく、加算税の基礎となる税額に異動は生じないこと及び同日付の更正により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が更正前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由があったとは認められないから、同条第1項の規定に基づいてされた過少申告加算税の賦課決定は相当である。

(3) 法人臨時特別税の更正について

 前記(1)のとおり法人税の更正の一部を取り消すことに伴い、法人臨時特別税の課税標準は更正の金額を下回ることとなるから、法人臨時特別税の更正についてもその一部を取り消すのが相当である。

(4) 原処分のその余の部分について

 原処分のその余の部分について、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料によっても、これを不相当とする理由は認められない。
 なお、平成2年5月期の法人税についての平成3年10月29日付の更正は同年11月26日付の再更正に吸収されて一体となっているので、主文には同年11月26日付の再更正についての判断を示せば足りるものと解する。

トップに戻る