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(平7.1.25裁決、裁決事例集No.49 428頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

 共同審査請求人総代Eほか2名(以下「請求人ら」という。)は、平成3年6月1日(以下「相続開始日」という。)に死亡したF(以下「被相続人」という。)の共同相続人であるが、この相続開始に係る相続税について、申告書に別表の「当初申告」欄のとおり記載して、法定申告期限までに申告した。
 その後、請求人らは、平成4年1月29日に別表の「修正申告」欄のとおり記載した相続税の修正申告書を提出した。
 つぎに、請求人らは、平成5年1月6日に別表の「再修正申告」欄のとおり記載した相続税の修正申告書を提出したところ、原処分庁は、同年2月10日付で別表の「過少申告加算税の額」欄のとおり過少申告加算税の賦課決定処分をした。
 また、原処分庁は、平成5年2月12日付で別表の「更正処分等」の欄のとおり、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をした。
 請求人らは、平成5年2月12日付のこれらの処分を不服として同年2月24日にそれぞれ異議申立てをしたところ、異議審理庁は、同年5月21日付で異議申立てを棄却する旨の異議決定をした。
 請求人らは、異議決定を経た後の原処分に不服があるとして、平成5年6月2日に審査請求をした。

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2 主張

(1)請求人らの主張

 原処分は、次の理由により違法であるから、その全部の取消しを求める。
イ 更正処分について
(イ)被相続人は、P市R町2丁目1262番1所在の宅地201.63平方メートル及び同所1262番3所在の宅地344.18平方メートル、合計545.81平方メートル(そのうち被相続人の共有持分は5分の4。以下「本件A物件」という。)並びにP市S町5番2所在の宅地124.33平方メートル(以下「本件B物件」という。)を所有し、賃貸していた。
(ロ)請求人らは、本件A物件のうち75.68平方メートルと本件B物件を併せた200平方メートルについて、租税特別措置法(平成4年法律第14号による改正前のものをいう。)第69条の3《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第1項の規定(以下、同規定による特例を「小規模宅地等の特例」という。)を適用して相続税の申告をした。
(ハ)これに対し原処分庁は、本件A物件及び本件B物件は小規模宅地等の特例の対象となる宅地等に該当しないとして、更正処分をした。
(ニ)しかしながら、本件A物件及び本件B物件は、次に述べるとおり、小規模宅地等の特例の対象となる宅地等に該当するから、更正処分はその全部を取り消すべきである。
A 個人の不動産の貸付けが事業といえるかどうかは貸し付けている不動産全体で判断すべきであり、小規模宅地等の特例の対象となる事業についても同様に考え判断すべきものであるところ、被相続人は、本件A物件及び本件B物件のほかに、「租税特別措置法(相続税法の特例のうち農地等に係る納税猶予の特例及び延納の特例関係以外)の取扱いについて」(平成元年5月8日付直資2ー208の国税庁長官通達、平成6年6月27日付課資2ー115による一部改正前のものをいう。)69の3ー1《貸し付けられていた建物の敷地が事業用宅地等に当たるかどうかの判定》で定めている「おおむね5棟10室」という形式基準に該当するP市T町1丁目22番4所在の賃貸マンション(以下「Gマンション」という。)を所有していたから、被相続人の不動産貸付けは事業に該当するので、貸し付けていた本件A物件及び本件B物件も不動産貸付けの事業の用に供していたといえること。
B 本件A物件については、砂利敷きの月ぎめ駐車場であり、砂利敷きは、「耐用年数の適用等に関する取扱通達の制定について」(昭和45年5月25日付直法4ー25の国税庁長官通達をいう。)2ー3ー13《砂利道》において構築物の舗装路面に該当する旨が明記されており、租税特別措置法施行規則(以下「施行規則」という。)第23条の2《小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例》第1項に規定する構築物に該当するから、構築物の敷地の用に供されていたものであること。
 また、不動産の貸付けのうち貸駐車場に限って、人的役務の提供の度合いの濃厚なものだけを小規模宅地等の特例を適用するとした法令の規定はなく、自動車の管理責任を要件とすることは課税庁の一方的、し意的見解にすぎないこと。
C 本件B物件は、被相続人の長女E(以下「E」という。)に対して貸し付けていたアスファルト敷の宅地であり、構築物の敷地の用に供されていたこと。
 また、本件B物件に関しては、(a)EがGマンションの管理を行っていることを勘案して地代金額を決めたものであること、(b)昭和33年3月から、Eが役員に就任していたK株式会社(以下「K社」という。)に貸し付けていたもので、地代は何回も改定をしていたこと、(c)昭和57年にK社が倒産したため、Eに引き継いだものであり、当然、近年地代の改定も予定していたものであること、(d)Eと駐車場使用者との間の賃貸借については、契約書を作成しており、一時的な貸付けではないこと。
ロ 過少申告加算税の賦課決定処分について
 以上のとおり、更正処分は違法であり、その全部を取り消すべきであるから、これに基づく過少申告加算税の賦課決定処分もその全部を取り消すべきである。

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(2)原処分庁の主張

 原処分は、次の理由により適法であるから、審査請求をいずれも棄却するとの裁決を求める。
イ 更正処分について
(イ)原処分庁が調査したところ、次の事実を認められる。
A 本件A物件について
(A)被相続人が駐車場として第三者に貸し付け、賃貸料収入を得ていたが、月ぎめ駐車場であり、自動車の出入りは利用者が自由に行っており、特に被相続人が管理者を置いた事実もなく、また、被相続人が自己の危険と責任において他人の自動車を保管した事実はないこと。
(B)砂利の敷設は、道路又は路面の舗装といえる程度のものであるとは到底いえず、当該砂利敷きが施行規則第23条の2第1項に規定する構築物に該当しないことは明らかであること。
B 本件B物件について
(A)請求人らの申述によれば、昭和58年半ばから被相続人がEに賃貸借により貸し付けていたこと。
(B)賃貸借に当たっては、書面による契約書は存在せず、口頭による契約であったこと。
(C)賃貸料は、月額50,000円の年額600,000円であったこと。
(D)賃貸料は、昭和58年から相続開始まで改定されていないこと。
(E)Eは、当該土地について何ら施設を設置していないこと。
(F)賃借したEは、月ぎめ駐車場として第三者に貸し付けて、年間約200万円の収入を得ていたこと。
(ロ)小規模宅地等の特例の対象となる宅地等は、相続又は遺贈により取得した宅地等で、相続開始直前において被相続人又は被相続人と生計を一にする親族の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等で建物又は構築物の敷地の用に供されていたものとされている。
A この場合の事業とは、自己の危険と計算において独立的に営まれる業務で営利性、有償性を有し、かつ、反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められるものであることを要すると解されており、具体的には次のとおりである。
(A)有料駐車場の場合、自己の危険と計算において独立的に営まれる業務とは、施設の管理者を置き、自己の責任において利用者の自動車の出入りを管理しているものをいい、単なる場所提供にすぎないと認められるものは、事業に当たらないとされていること。
(B)不動産の貸付けが事業として認められるためには、相当の対価を得て継続的に貸し付けられていることが必要であり、相当の対価を得てとは、計画性と収益性をもっていて経済的合理性があることをいうこと。
(C)継続性については、実際の貸付期間の長短により判断されるのではなく、その貸付けが相当期間継続して行われることが予定されていることを要すること。
B また、上述の事業の用に供されている宅地等でも、施行規則第23条の2第1項に規定する建物又は構築物の敷地の用に供されていなかった場合には、小規模宅地等の特例の規定の適用はない。
(ハ)そこで、本件A物件について検討すると、本件A物件は、月ぎめ駐車場であり、車の出入りは利用者が自由に行い、特に被相続人が管理者を置いた事実もなく、また、被相続人が自己の危険と責任において他人の物を保管した事実はない。
 さらに、本件A物件の砂利の敷設は道路又は路面の舗装といえる程度のものであるとは到底いえず、当該砂利敷きが施行規則第23条の2第1項に規定する構築物に該当しないことは明らかであるから、本件A物件が小規模宅地等の特例の対象となる宅地等に該当しないとした原処分の判断は相当であり、請求人らの主張には理由がない。
(ニ)本件B物件について検討すると、次のとおりである。
A 本件B物件については、被相続人はEに貸し付けるに当たって、Eとの間で契約書を交わさず、口頭で賃貸料の月額を定めたのみであり、契約期間の定めもなく、敷金又は保証金の授受の事実もないから、本件B物件の貸付けは相当期間継続して行われることを予定されていたものとは認められない。
B また、(a)本件B物件の貸付けによる不動産所得の金額の計算上必要経費となる固定資産税額は年々増加しているにもかかわらず、賃料の改定は全くなされていないこと、(b)被相続人がその賃料から得る不動産所得は相続開始前3年において年額20数万円程度であり、その金額は年を追い減少していること、(c)反面、賃借人であるEは何ら施設を設置せず、月ぎめ駐車場として賃貸することのみによって年間200万円に近い収入を得、支払ったとする地代を差し引いても年額120万円程度の所得を得ていることから、この賃貸借契約は、被相続人と賃借人であるEが親子であるがゆえに成立した契約であり、Eに経済的利益を与える目的をもってされたものと認められるので、これをもって、本件B物件が事業としての計画性と収益性をもって経済的合理性のもとに貸し付けられていたとは認められない。
C したがって、本件B物件が小規模宅地等の特例の対象となる宅地等に該当しないとした原処分の判断は相当であり、請求人らの主張には理由がない。
ロ 過少申告加算税の賦課決定処分について
 以上のとおり、更正処分は適法であり、請求人らが過少申告をしたことについて、国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する正当な理由があるとはいえないから、同条第1項の規定に基づいて過少申告加算税を賦課決定した処分は適法である。

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3 判断

 本件A物件及び本件B物件が、小規模宅地等の特例の対象となる宅地等に該当するかどうかについて争いがあるので、以下審理する。

(1)更正処分について

イ 次の事実については、請求人ら及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査によってもその事実が認められる。
(イ)被相続人の相続開始直前におけるGマンションの賃貸を含む不動産賃貸は、事業といえる規模で行われていたこと。
(ロ)本件A物件については、次のとおりであること。
A 被相続人は、本件A物件の賃貸に係る収入金を不動産所得の収入金として所得税の確定申告をしていた。
B 本件A物件は、不特定多数の客に対し時間の長短に応じて定めた料金により貸し付けていたものではなく、第三者に月ぎめ駐車場として貸し付けていたものであり、駐車場としての施設の管理者は置かれてなく、被相続人は借受人に対し単に場所を提供していたにすぎない。
C 被相続人の持分を、相続人M及びNがそれぞれ2分の1ずつ相続した。
(ハ)本件B物件については、次のとおりであること。
A 被相続人は、本件B物件を昭和33年3月から昭和57年まで、Eが役員をしていたK社に賃貸していたところ、K社は、当初事務所用地として使用していたが、2年後に事務所を取り壊し、昭和57年に倒産するまで駐車場として使用していた。被相続人は、昭和57年K社が倒産したため、その後は本件B物件をEに月額50,000円で賃貸し、その収入金を不動産所得の収入金として所得税の確定申告をしていた。
B 被相続人とEとの賃貸借契約については、契約書は存在せず、賃貸料は口頭により月額50,000円とされていたが、賃貸借期間の定めはなかった。
 なお、月額50,000円の賃貸料は、これまで改定したことがない。
C 本件B物件の土地は、アスファルトにより舗装されているが、Eは、自ら当該土地に当該アスファルト舗装を含め施設等を設置することはなかった。
D Eは、本件B物件を被相続人から賃借し、これを第三者に月ぎめ駐車場として賃貸して、その収入金を不動産所得の収入金として所得税の確定申告をしていた。なお、Eは、第三者に賃貸する際に、賃借人との間で賃貸借契約書を作成している。
E 本件B物件は、被相続人から、相続人E、M及びNがそれぞれ3分の1ずつ相続した。
ロ Eは、当審判所に対して、次のように答述している。
(イ)本件A物件について
A 本件A物件は、土地に、砂利を敷き、ロープを張って、被相続人が月ぎめ駐車場として賃貸していたこと。
B 砂利を敷いたのは10年くらい前だったと思うが、施工者、金額等は知らないこと。
(ロ)本件B物件について
A 本件B物件は、Eが賃借する以前から、K社によってアスファルトで舗装され、白線が引かれていたこと。
B Eは、昭和61年から、被相続人の所有していたGマンションの管理を行っていたが、その管理料が安かったため、本件B物件の賃借料も安かったこと。
C 被相続人との間において、賃借期間につき特に定めはなく、また、賃借に伴う敷金、権利金の授受もなかったこと。
ハ 原処分関係資料等を調査したところ、次の事実が認められる。
(イ)被相続人が所得税の確定申告書に添付して提出した所得税青色申告決算書には、構築物の記載はなく、また、構築物に係る減価償却費も必要経費として計上されていないこと。
(ロ)相続人がこれまでに提出した被相続人からの相続に係る相続税の申告書及び修正申告書のいずれにおいても、構築物としての砂利路面又は舗装路面は相続財産として記載されていないこと。
(ハ)異議審理庁の所属職員が平成5年4月21日に本件A物件の現地に出向いて撮影した写真によれば、本件A物件の土地の表面には、かつて砂利を敷設したであろうこん跡は認められるものの、相当程度の面積において砂利が消滅しており、一部雑草が繁茂している部分もあって、当該砂利は既に地中に埋没して土地の一部とみられる状態になっていること。
ニ ところで、小規模宅地等の特例は、個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに、当該相続の開始の直前において、当該相続又は遺贈に係る被相続人又は当該被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の親族の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等で建物又は構築物の敷地の用に供されているもの等がある場合には、当該相続又は遺贈により財産を取得した者に係るすべてのこれらの宅地等の200平方メートルまでの部分のうち、当該個人が取得した宅地等については、相続税の課税価格に算入すべき価額を一定割合減額する制度である。
 そして、貸し付けられていた不動産が事業の用に供されていた宅地等に当たるかどうかは、その貸付けが事業として行われていたかどうかにより判断すべきものと解されており、この場合、事業とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ、反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務をいうと解される。
ホ これを本件についてみると、次のとおりである。
(イ)本件A物件については、上記ロの(イ)のB及びハの(ハ)のとおり(a)砂利を敷設したのは10年くらい前であると認められ、(b)平成5年4月21日現在土地の表面の砂利は、地中に埋没して土地の一部とみられる状態になっていることから、その約2年前である相続開始の直前においても、当該砂利敷きは、特段の事情のない限り既に構築物といえない状態にあったものと推認され、上記ハの(イ)及び(ロ)の事実は、この推認に合致するものである。
 したがって、本件A物件は、相続開始直前において構築物の敷地の用に供されていなかったと認定とされるので事業の用に供されていたかどうかの判断をするまでもなく、小規模宅地等の特例の対象となる宅地等には該当しないと認められる。
(ロ)本件B物件については、上記イの(ハ)のCのとおり、アスファルトにより舗装されていることから、構築物の敷地の用に供されている宅地等に該当すると認められるので、以下、本件B物件が事業の用に供されていたかどうかについて検討する。
A 請求人らは、不動産の貸付けが事業に該当するかどうかは、不動産全体で判断すべきであると主張するところ、不動産の貸付けが社会通念上事業と称するに至る程度の規模であるかどうかは、貸し付けられていた不動産全体で判断することとなるが、その前提として、個々の不動産が集合したならば事業というに価する内容で貸し付けられていたことを要することは当然であり、この点については、個々の不動産ごとに相当の対価を得て継続的に貸し付けられていたかどうかにより判断することとなる。
 すなわち、事業として貸し付けられている不動産とは、(a)相当の対価を得て継続的に貸し付けられている個々の不動産が、(b)集合して相当程度の規模で存在する場合における当該個々の不動産をいうのであって、上記(a)又は(b)のいずれの要件を欠いても、事業の用に供されていた小規模宅地等の特例の対象となる宅地等には該当しないというべきである。
 したがって、被相続人の不動産の貸付けが事業的規模を有していたからといって、本件B物件が、当然に、事業の用に供されていたとされ、小模規宅地等の特例の対象となる宅地等に該当するものではない。
B Eは、本件B物件の賃借料が安かったのは、同人が管理していたGマンションの管理料が安かったためであると主張するが、小規模宅地等の特例の該当要件である相当の対価を得ていたかどうかについては、相続開始の直前において、相当の対価を現実に得ていたかどうかという客観的事実により判断するのが相当であるから、本件B物件が小規模宅地等の特例の対象となる宅地等に該当するためには、相続開始の直前において被相続人が得ていた月額50,000円の賃貸料が相当の対価であったと認められることが、まず必要である。
C そこで、当審判所が、本件B物件の存する周辺地域における不動産の賃貸料を調査したところ、平成3年において次の事例が認められる。
(A)周辺地域の土地131.77平方メートルを複数の者に対して月ぎめ駐車場として賃貸し、年間1,772,000円の賃料(1平方メートル当たり13,447円)を受領しているもの。
(B)周辺地域の土地約132平方メートルを一人に建物の建設等以外の目的(更地として利用)で賃貸し、年間2,400,000円の賃料(1平方メートル当たり18,181円)を受領しているもの。
D 当審判所が、原処分関係資料を調査したところ、Eが本件B物件を月ぎめ駐車場として第三者に賃貸して得ていた賃貸料収入は、平成2年分1,910,000円及び平成3年分1,705,000円である。
E そうすると、本件B物件のEに対する賃貸に伴う賃貸料は、1平方メートル当たり4,825円であるから、上記Cの周辺地域における賃貸料1平方メートル当たり13,447円及び18,181円並びに上記Dに記載のEが本件B物件を月ぎめ駐車場として第三者に賃貸している賃貸料と比較して著しく低廉と認められるので、当該賃貸借は、相当な対価を得て行われたものとはいえない。
 さらに、当該賃貸借については、上記イの(ハ)のBのとおり、契約書は存在せず、賃貸借期間の定めもなかったのであるから、継続的に行われていたものとも認められない。なお、本件B物件がEから第三者に賃貸借契約書に基づいて賃貸されていたからといって、上記判断を左右することにはならない。
F したがって、本件B物件は、事業の用に供されていたとは認められないから、小規模宅地等の特例の対象となる宅地等には該当しない。
(ハ)以上のとおり、本件A物件及び本件B物件は、いずれも小規模宅地等の特例の対象となる宅地等に該当しないから、小規模宅地等の特例の規定の適用は認められないとしてなされた更正処分は適法である。

(2)過少申告加算税の賦課決定処分について

 以上のとおり、更正処分は適法であり、また、請求人らには、更正処分により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が更正前の税額の計算の基礎とされなかったことについて、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由があるとは認められないから、同条第1項の規定に基づいてされた過少申告加算税の賦課決定処分は適法である。

(3)原処分のその他の部分については、請求人らは争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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