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(平8.2.27裁決、裁決事例集No.51 504頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

 審査請求人F、G及びH(以下、これらの者を併せて「請求人ら」という。)は、平成4年3月10日に死亡したJ(以下「被相続人」という。)の共同相続人であるが、この相続(以下「本件相続」という。)に係る相続税の申告書(以下「本件申告書」という。)に、次表のとおり記載して、法定申告期限までに申告した。

(単位 円)
区分課税価格納付すべき税額
請求人ら
F108,567,0001,635,100
G9,707,000558,900
H10,000,000573,600
合計128,274,0002,767,600

 その後、請求人らは、平成5年6月24日に次表のとおりとすべき旨の更正の請求(以下「本件更正の請求」という。)をした。

(単位 円)
区分課税価格納付すべき税額
請求人ら
F64,567,0000
G9,707,00089,300
H10,000,00092,400
合計84,274,000181,700

 原処分庁は、これに対し、F及びGには平成5年9月24日付で、また、Hには平成5年10月7日付で、いずれも更正をすべき理由がない旨の通知処分(以下「本件通知処分」という。)をした。
 請求人らは、これらの処分を不服として、平成5年11月26日に異議申立てをしたところ、異議審理庁は、平成6年2月23日付で棄却の異議決定をした。
 請求人らは、異議決定を経た後の原処分に不服があるとして、平成6年3月24日に審査請求をした。
 なお、請求人らは、Fを総代として選任し、その旨を平成7年1月27日に届け出た。

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2 主張

(1)請求人の主張

 原処分は、次の理由により違法であるから、その取消しを求める。
イ Fは、被相続人が代表取締役をしていた有限会社K(以下「K社」という。)から、平成4年6月9日開催の臨時社員総会(以下、これを「甲社員総会」といい、当該総会に係る議事録を「甲議事録」という。)において、被相続人に係る弔慰金(以下「本件給付金」という。)104,000,000円をFに支給する旨の決議がなされたため、平成4年8月12日に本件給付金の支給を受け、同日、これを受領した。
ロ その後、K社は、平成4年11月18日から19日ころに行われた法人税調査において、原処分庁の調査担当職員(以下「調査担当職員」という。)から、Fに支給した本件給付金の額104,000,000円のうち74,000,000円が法人税法第36条《過大な役員退職給付の損金不算入》に規定する不相当に高額な部分の金額に当たる旨の指摘を受けたことから、同店は、平成4年11月24日に臨時社員総会(以下、これを「乙社員総会」といい、当該総会に係る議事録を「乙議事録」という。)を開催し、当該指摘の件について付議したところ、本件給付金の額104,000,000円を60,000,000円に訂正する旨の決議がされたので、その差額44,000,000円(以下「本件金員」という。)をK社に返還してほしい旨、同店の代表取締役L(以下「L」という。)から、請求人らに話があった。
ハ そこで、請求人らがLと協議し、本件給付金の額を60,000,000円とすることで合意に達したので、Fは平成4年11月20日に本件金員をK社に返還した。
 さらに、請求人らは、K社との間で、債権、債務について確認する平成4年11月24日付の書面(以下「確認書」という。)を取り交われた。
 なお、請求人らが本件更正の請求の際に提出した乙議事録では、乙社員総会の開催日付が平成4年10月24日となっているが、これは、M税理士(以下「M税理士」という。)に乙議事録の作成を依頼した際の電話連絡の不十分さから生じたもので、その日付は平成4年11月24日が正当である。
ニ 以上のとおり、Fは本件金員をK社に返還しており、FがK社から支給された本件給付金の額は60,000,000円であり、Fが本件相続により取得したとみなされる相続税法第3条《相続又は遺贈により取得したものとみなす場合》第1項第2号の規定による退職手当金、功労金その他これに準ずる給与(以下「本件退職手当金等」という。)の額は、相続税法基本通達3ー20《弔慰金等の取扱い》に基づき、本件給付金の額60,000,000円から、同通達に定める弔慰金等相当額(以下「本件弔慰金等」という。)1,980,000円を控除した58,020,000円であるから、本件更正の請求は認められるべきである。

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(2)原処分庁の主張

 原処分は、次の理由により適法であるから、審査請求を棄却するとの裁決を求める。
イ 原処分庁の調査によると、次の事実が認められる。
(イ)K社は、甲社員総会において、本件給付金として、Fに104,000,000円を支給する旨の決議を行い、同店は、平成4年8月12日に当該金額をFに支給し、同人はこれを受領していること。
(ロ)K社は、平成4年11月20日にN銀行T支店の同店名義の普通預金口座(口座番号○○○○)にFから振り込まれた44,000,000円について、Fからの長期借入金とする経理処理をした後、平成5年6月18日に雑収入とする経理処理をしていること。
(ハ)K社は、平成3年9月1日から平成4年8月31日までの事業年度(以下「平成4年8月期」という。)の法人税について、本件給付金として損金経理した104,000,000円のうち、74,000,000円は、法人税法第36条に規定する不相当に高額な部分の役員退職金として所得金額の計算上損金の額に算入しないとする修正申告書を平成4年11月24日に提出していること。
(ニ)請求人らは、平成4年12月11日に提出した本件申告書に、本件退職手当金等の額が、102,020,000円であると記載していること。当該金額は、相続税法基本通達3ー20に基づき、本件給付金の額104,000,000円から本件弔慰金等の額1,980,000円を控除した金額であること。
ロ ところで、有限会社の取締役に対する退職慰労金は、商法第269条の規定により、定款にその額を定めない場合は社員総会の決議によることとされている。
 Fは、上記イの(イ)のとおり、甲社員総会で決議された本件給付金の額104,000,000円を受領し、また、請求人らは、上記イの(ニ)のとおり、当該金額を基に適切に相続税の申告をしていることから、本件退職手当金等の額を過大に申告したとする主張には理由がない。
ハ また、請求人らは、FがK社に本件金員を返還したことを理由に相続税を減額すべきであると主張するが、法人税法第36条の規定は、法人税の負担軽減・回避に対処するためのもので、この規定により過大な役員退職給与の額の一部が所得金額の計算上損金不算入になったとしても、当該規定は、役員退職給与の支払事実を否定するものではなく、私法上の法律効果まで排除するものでない。
ニ K社は、上記イの(ロ)のとおり、Fから返還された本件金員を雑収入として経理処理をしていることが認められる。
 仮に、過大と認定された部分の役員退職金のうちの一部を返還したとしても、原処分庁が過大役員退職金として認定した額は74,000,000円であり、Fが返還したとする44,000,000円の本件金員にはその根拠がなく、Fが、相続により本件給付金104,000,000円を取得した後、その取得した財産の所有権に基づいて本件金員を支出したものと解される。
 したがって、本件更正の請求について、更正をすべき理由がないとした本件通知処分は適法である。

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3 判断

 本件審査請求の争点は、本件通知処分の適否にあるので、以下審理する。

(1)本件更正の請求について

イ 次の事実については、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査によってもその事実が認められる。
(イ)K社は、被相続人、F及びLの出資に係る同族会社であり、被相続人はその代表取締役であったこと。
(ロ)K社は、本件給付金の額104,000,000円を平成4年8月期の法人税の確定申告書において損金の額に算入していること。
(ハ)本件給付金のうち、相続税法基本通達3ー20に基づき算定した本件弔慰金等の額は1,980,000円であり、それを超える部分の金額は本件退職手当金等に該当すること。
(ニ)K社は、調査担当職員の指導に基づき、平成4年8月期の法人税に係る修正申告書を平成4年11月24日に提出していること。
 なお、修正申告の内容は、損金の額に算入した本件給付金の額104,000,000円のうち役員退職金の適正額は30,000,000円であり、それを超える額74,000,000円を過大な役員退職金として損金不算入としたものであること。
(ホ)本件申告書の第10表(退職手当金などの明細書)には、本件退職手当金等の額が、102,020,000円である旨の記載があること。
 なお、当該申告書の作成税理士欄には、W税理士(以下「W税理士」という。)の記名、押印があること。
ロ 原処分関係資料及び当審判所の調査によれば、次のとおりである。
(イ)甲議事録
 K社が、現に保管している平成4年6月9日付の甲議事録には、平成4年6月9日、K社本店において臨時社員総会が開催され、出席社員数3名、議決権数800個により同総会が適法に成立した旨及び次のとおりの記載があり、その末尾には、当社員総会出席者は記名、押印するとし、議長取締役L及び出席取締役請求人らの氏名の記載及び押印がなされていること。
A 議案 弔慰金支給に関する件
 議長は、K社の代表取締役Jの死亡に伴い、弔慰金として喪主であるFに金104,000,000円を支給したい旨及び弔慰金の財源としてK社が受領したX生命保険相互会社ほか3社から受領した生命保険金134,825,096円のうち104,000,000円を充て、30,825,096円をK社に留保したい旨。
B 上記議案について審議した結果、全会一致でこれを承認可決した旨。
(ロ)乙議事録
A 請求人らが、平成5年11月26日の異議申立ての際に提出した平成4年11月24日付の乙議事録には、同日、K社本店において臨時社員総会が開催され、出席社員数2名、出資口数(議決権数)800口により社員総会に必要な社員の出席があった旨及び次のとおりの記載があり、その末尾には、当社員総会の議長及び出席取締役は記名、押印するとして、議長L及び出席取締役請求人らの氏名が記載されているが、その筆跡は議事録作成者のものと同一であり、請求人らの印影も同一であること。
 また、開催日時は平成4年11月24日午後1時15分、閉会日時は同日の午後2時30分とされていること。
(A)議案 役員死亡退職金訂正の件
 議長は、原処分庁の法人税調査において前社長Jに対する死亡退職金が過大である旨を告げられ、本日付で平成4年8月期の法人税の修正申告をなした旨を報告するとともに、過大認定にかんがみ、前社長Jに対する死亡退職金を60,000,000円に訂正し支給したい旨を説明し、議場に諮ったところ、満場異議なく可決確定した旨。
(B)上記決定額60,000,000円を超えて支給した額は、Fに対する貸付金とし、本総会後、直ちに返済するよう求めた旨及び同人がその申し出を了承した旨を説明し、承諾をもとめたところ満場一致で可決し確定した旨。
(C)決議事項
 前社長Yに対する死亡退職金決定額
 死亡退職金 金6,000萬円也
 なお、乙議事録は、平成5年6月24日の本件更正の請求の際、請求人らが原処分庁に提出した平成4年10月24日付の議事録について、社員総会の開催年月日を平成4年10月24日から平成4年11月24日に、同総会の種類を定時社員総会から臨時社員総会に、見え消しで訂正したものであること。
B また、請求人らが平成7年1月27日に当審判所に提出し現に保管している平成4年10月24日付の議事録は、上記の平成4年10月24日付の議事録と同一のものであるが、議長Lの印鑑は押印されていないこと。
(ハ)確認書
 K社が、現に保管している平成4年11月24日付の確認書には、次のとおりの記載があり、その末尾には、当事者が記名、押印するとして、K社の所有地、名称、代表取締役の記名、押印並びに請求人らの住所、氏名の記載及び押印があるが、当該確認書の確認事項の筆跡と請求人らの住所、氏名の筆跡は同一であり、請求人らの印影も同一であること。
第1条 被相続人に支給すべき退職金は、次条の金額であることをLと請求人らの間で確認する旨。
第2条 K社が相続人F等に支払うべき退職金は、金60,000,000円である旨。
第3条 債務者K社と債権者F等との債権、債務は相続開始の際に確定するものとする旨。
(ニ)N銀行T支店のK社名義の普通預金通帳(口座番号○○○○)には、平成4年8月12日に104,000,000円が出金され、同年11月20日にFから44,000,000円が入金された旨の記載があること。
(ホ)平成4年8月12日に開設されたN銀行T支店のF名義の普通預金通帳(口座番号××××)には、平成4年8月12日に104,000,000円が入金され、同年11月20日に44,000,000円が出金された旨の記載があること。
(ヘ)K社の総勘定元帳及び会計伝票には、本件給付金、本件金員及び法人税等に関し、次のとおりの記載があること。

(ト)Lは、当審判所に対し、次のとおり答述していること。
A K社は、被相続人に係る死亡保険金収入約1億3,000万円のうち、同社の納税資金及び借入返済資金を差引いた残金104,000,000円を本件給付金としてFに支給した。
 これは、甲社員総会において決定したもので、W税理士には事前に相談しなかった。
B K社の法人税調査の結果、平成4年8月期の法人税の修正申告に係る納付税額が概算で4,400万円と分かったが、他に同社を救済する方法がなかったので、平成4年11月20日にFから本件金員を返してもらい、延滞税節約のため、同日、法人税等を納付した。
C 本件給付金の額を60,000,000円にするため、平成4年11月24日に乙社員総会を開催したが、議事録以外に開催事実を証明できるものはない。
 なお、乙議事録は、M税理士に相続税の本件更正の請求に関する相談をした平成5年1月か2月ころに作成を依頼し、M税理士が作成したものを確定申告後に□□市から郵送してもらったもので、当初、総会開催日を平成4年10月24日と記載していたが、異議調査のころに同税理士が平成4年11月24日に訂正した。
D 確認書は、本件金員の返還を受けたことについてお互いに確認しなければならないということで、平成5年1月ころにM税理士が作成した。
E 上記(ヘ)の一連の会計処理は、W税理士が行ったものであり、詳しいことは分からない。
(チ)W税理士は、当審判所に対し、次のとおり答述していること。
A K社が本件給付金の額を104,000,000円とすることについては、事前の相談は受けておらず、決算後に同社の会計帳簿及び甲議事録を見てその事実を知った。
B K社の法人税調査の際、平成4年8月期の同社の修正申告に係る法人税等の総額が4,000万円くらいになると予想されたので、独自の考えで、本件給付金の額104,000,000円を60,000,000円に減額し、減額分の44,000,000円をFから返還させる内容の社員総会議事録(案)を作成した。
C 上記の当該議事録(案)をL及び調査担当職員に見せたが、調査担当職員はこれを認めてくれなかった。
 当該議事録(案)は、Lが処分したと思われる。
D 法人税調査後も、本件給付金は減額後の60,000,000円であるから、本件金員をFに対する貸付金とする経理処理を認めてほしい旨の交渉を調査担当職員と行っていたが、なかなか確定しなかったので、本件申告書の作成に当たっては、本件退職手当金等の額は、本件給付金の額104,000,000円を基に算定した。
 なお、本件申告書の作成に当たり、Fから、「K社に44,000,000円を貸したが、貸した金を店から取れないのだから、本件給付金の額を60,000,000円で申告できないのか。」との話が何度もあったが、原処分庁との交渉がまとまらない旨説明し了解してもらった。
E Fから受け入れた本件金員を長期借入金として経理処理した。
ハ ところで、相続税法第3条第1項第2号は、被相続人の死亡により相続人その他の者が当該被相続人に支給されるべきであった退職手当金等で被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものの支給を受けた場合においては、当該退職手当金等の支給を受けた者が、当該退職手当金等を相続又は遺贈により取得したものとみなす旨規定する。
 そして、一般に、法人の役員の退職手当金等は、株主総会等の支給決議に基づき、取締役会等において具体的な支給額が決議されるのが通例であるから、取締役会等において支給額が決議されることにより、具体的な受給権が相続人等に発生すると解するのが相当である。
ニ 上記に照らし、これを本件についてみれば、次のとおりである。
(イ)K社は、上記ロの(イ)のとおり、甲社員総会における本件給付金の額104,000,000円をFに支給する旨の決議に基づき、上記ロの(ホ)のとおり、Fに当該金額を支給したことが認められ、その後、上記ロの(ロ)のとおり、乙社員総会において本件給付金の額を60,000,000円に変更して、当初決定した本件給付金の額104,000,000円との差額である本件金員44,000,000円をFに対する貸付金とし、直ちに同人にその返還を求めたとする乙議事録が作成され、上記ロの(ニ)のとおり、本件金員がFからK社に支払われているところ、(a)K社は、上記ロの(ヘ)のとおり、本件金員について、Fからの長期借入金とする会計処理をしていること、(b)W税理士は、上記ロの(チ)のDのとおり、Fから、本件金員をK社に貸し付けたが弁済が受けられないので本件給付金の額を60,000,000円として申告できないかと相談されていること、加えて、(c)乙議事録は、請求人らも自認するとおり、本件相続に係る法定申告期限後に作成され、そして、同議事録に記載されている請求人らの住所、氏名の筆跡は同一人によるもので、かつ、請求人らの印影は、甲議事録のそれとは異なりすべて同一であり、また、被相続人の氏名をYと記すなど不自然であることが認められる。
 以上の事実を併せ考えると、乙議事録は、K社の出資者の意思に基づき真正に作成されたものと認めることはできず、他に本件給付金の額の変更決議がなされたことを認めるに足りる証拠資料も存しないこと、K社が本件金員を長期借入金とする会計処理をしていること及びFのW税理士への相談内容からすると、本件金員の支払は、K社を救済するためにFが資金を供与したものとみるのが相当である。
(ロ)また、請求人らは、K社との間で、本件給付金の額が相続開始時点に遡って60,000,000円であることを確認したから、本件給付金の額は60,000,000円である旨主張する。
 しかしながら、確認書は、請求人らも自認するとおり、本件相続に係る法定申告期限後に作成され、そして、請求人らの住所、氏名の筆跡は同一人によるもので、かつ、請求人らの印影はすべて同一のものであることから、その成立に疑義がある上、上記で認定したとおり、本件給付金の額を60,000,000円と変更したと認めるに足りる証拠はなく、本件金員はFからK社への資金供与とみるのが相当であるから、確認書は、その前提を欠き、これをもって本件給付金の額が60,000,000円であるとする請求人らの主張は採用することができない。
(ハ)ところで、K社は、上記ロの(イ)のとおり、平成4年6月9日に、本件給付金の額を104,000,000円とする旨決議し、上記イの(ロ)のとおり、当該金額を平成4年8月期の損金の額に算入していることが認められるところ、その決議及び本件給付金の額104,000,000円の計算に明白、重大な錯誤があったと認めるに足りる証拠資料もないから、Fが本件相続により取得したとみなされる本件退職手当金等の額は、甲社員総会において当該支給額が確定した本件給付金の額104,000,000円から本件弔慰金等の額1,980,000円を控除した102,020,000円と認められる。
(ニ)そうすると、請求人らが本件申告書に本件退職手当金等の額を102,020,000円と記載したことは、国税通則法第23条《更正の請求》第1項第1号に規定する「当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったこと」のいずれにも該当しないから、同条第1項による更正の請求ができる場合に当たらない。
 したがって、原処分庁が本件更正の請求に対し、更正をすべき理由がない旨の通知をしたことは相当である。
(2)原処分のその他の部分については、請求人らは争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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