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(平10.3.31裁決、裁決事例集No.55 425頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

 共同審査請求人J及び同K(以下「請求人ら」という。)は、平成4年11月16日に死亡したL(以下「被相続人L」という。)の共同相続人であるが、この相続(以下「本件相続」という。)開始に係る相続税の申告書(以下「本件相続税申告書」という。)に別表1の「申告」欄のとおり記載して法定申告期限までに提出した。
 次いで、請求人らは、原処分庁所属の職員の調査を受け、別表1の「修正申告」欄のとおり記載した相続税の修正申告書(以下「本件修正申告書」という。)を、平成6年7月12日に提出した。
 原処分庁は、これに対し、平成6年8月31日付で、別表1の「賦課決定1」欄のとおりの過少申告加算税の賦課決定処分をした。
 その後、原処分庁は、平成6年9月8日付で別表1の「更正」欄のとおりの更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び「賦課決定2」欄のとおりの過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」という。)をした。
 請求人らは、本件更正処分及び本件賦課決定処分を不服として、平成6年11月8日に異議申立てをしたところ、異議審理庁は、平成7年2月8日付で別表1の「異議決定」欄のとおり、原処分の一部を取り消す異議決定をした。
 請求人らは、異議決定を経た後の原処分に不服があるとして、平成7年3月8日に審査請求をした。
 なお、請求人らは、Jを総代として選任し、その旨を平成7年5月10日に届け出た。
 また、Jは平成8年3月26日に住所をg市m町1丁目48番地の1〇〇〇105から肩書地へ移動した。

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2 主張

(1)請求人らの主張

 原処分は、次の理由により違法であるから、その全部の取消しを求める。
イ 本件更正処分について
(イ)本件株式
 原処分庁は、J名義のX株式会社の株式(以下「X社株式」という。)885株、Y株式会社の株式(以下「Y社株式」という。)2,201株、Z株式会社の株式(以下「Z社株式」という。)2,754株(以下、これらの株式を併せて「本件株式」という。)は被相続人Lの母であるMが購入し、同人の死亡(昭和58年4月3日)により被相続人Lが本件株式を相続したとして、被相続人Lの相続財産であると認定した。
 しかしながら、本件株式は、以下のとおり、X社株式は昭和41年3月22日、Y社株式及びZ社株式は同月19日に、Mが被相続人Lの長男であるJ名義で購入し、そのころJに贈与したものであって、J固有の財産であるから、本件株式が被相続人Lの相続財産であるとした原処分庁の認定には事実誤認がある。
A 被相続人Lは、医療法人甲病院のあるh市n町55(以下「甲病院住所」という。)で居住していたが、被相続人LとR(昭和28年7月28日婚姻、平成2年3月23日協議離婚。以下「R」という。)の長男であるJ(昭和29年9月11日出生)が物心つくころから、S(平成2年4月3日婚姻。以下「S」という。)と生活を共にし、医療法人乙病院のあるg市p町6番8(以下「乙病院住所」という。)で居住するようになり、Jらを省みないようになった。
 本件株式は、被相続人一族の将来を心配した父方の祖母に当たるMが、Jを医師とするための学資等を支援すべく、g市q町で中華料理店を経営していたこともあって、同中華料理店の隣のa証券でJ名義で購入し、Jに贈与したものである。
B 本件株式がJに贈与されたものであることは、(1)X株式会社の株主名簿に記載された株主の氏名はJであり、その住所は甲病院住所であること、(2)X社株式の配当金はJ名義で支払われていること、(3)Y社株式及びZ社株式の株券の取得者欄に記載された取得者名はJであり、Y株式会社ないしZ株式会社の取締役の証印が押印されていること、(4)Y社株式及びZ社株式は、b証券q支店(以下「b証券」という。)のJ名義口座で保護預かりとなっていたこと、(5)上記(4)のJ名義口座の登録印は、被相続人L名義口座の登録印とは異なっていること、(6)Y社株式及びZ社株式に係る上記(4)のb証券預り証及び登録印は、Mの死亡後、Jに渡すようにとMから預かっていたxを通じ、被相続人Lの占有下にあったものの、被相続人Lの死亡直後、Jは、Y社株式及びZ社株式がJの固有財産であることを承知していたSから、これらの引渡しを受けたこと、(7)Jは、引渡しを受けたY社株式の一部をその子らに贈与しており、贈与税を納付していることから明らかである。
C 原処分庁は、被相続人Lが平成4年4月にb証券の同人名義口座でX社株式を売却したことを理由に本件株式がJに贈与されたものではなく、Mの死亡により被相続人Lが相続したものである旨主張するが、本件株式がJに贈与されたものであることは上記のとおりであり、被相続人LはX社株式をJのために管理すべきであるにもかかわらず、Jの承諾なく勝手に売却したものにすぎない。
(ロ)本件W社出資証券
 原処分庁は、被相続人Lの父であるNが昭和28年12月14日に取得したW社出資証券100口(以下「本件W社出資証券」という。)について、同人の相続開始(昭和46年6月20日死亡)に係る遺産分割協議書(以下「N遺産分割協議書」という。)において、同出資証券に係る記載がなく、その末尾の「追而 右相続財産並に負債等の外に新たに生ぜし財産負債は相続人Lにおいてその権利並に義務を負うものとする。」という記載(以下「追而条項」という。)を理由に、被相続人Lが同出資証券を相続したとして、被相続人Lの相続財産であると認定した。
 しかしながら、次のとおり、N遺産分割協議書の追而条項を理由に本件W社出資証券を被相続人Lが相続したとすることはできず、同出資証券はNに係る未分割財産であるから、原処分庁の認定には事実誤認がある。
A W社へ問い合わせたところ、N遺産分割協議書の追而条項を根拠に、本件W社出資証券の取得者の名義をNから被相続人L名義又は被相続人Lの相続人名義に書き換えることはできない旨の回答を受けた。
B 昭和48年ころ、Nを被相続人とする相続税について税務調査を受け、N遺産分割協議書に記載のない新たにNの遺産に追加された有価証券が判明した際、当該有価証券のうちかなりのものをMが相続したという取扱いをし、そのすべてをN遺産分割協議書の追而条項により被相続人Lが相続したという取扱いをしなかったところ、所轄税務署長はこれを認容したのであるから、本件W社出資証券についても、原処分庁は同様に取り扱うべきである。
C 本件W社出資証券については、Nの相続人であるyから分割を要求されており、同出資証券が未分割財産であることは明らかである。
(ハ)農協出資金及び農協貯金
 原処分庁は、h市農業協同組合(以下「h農協」という。)の被相続人L名義の出資金及びh農協n支店の被相続人L名義の普通貯金(以下、それぞれ「農協出資金」、「農協貯金」という。)を被相続人Lの相続財産であると認定したが、当該農地が存在するh市n町内に長年居住していたのはRであって、被相続人Lではなく、農協貯金の登録印はRの印鑑であるから、Rが農協出資金及び農協貯金を自己のものとして管理しており、農協出資金及び農協貯金はRの固有財産である。
 なお、原処分庁は、本件株式については、その名義がJであり、株主権が同人に帰属しているにもかかわらず、単に、被相続人Lが一時的な保管、管理者であったことを根拠として被相続人Lの相続財産であると認定し、一方、農協出資金及び農協貯金については、Rが永続的な保管、管理者であるにもかかわらず、被相続人Lの相続財産であると認定していることは、論理的に矛盾し、一貫性を欠いている。
 したがって、原処分庁の認定には事実誤認がある。
(ニ)R生活費未払金
 請求人らは、被相続人Lが平成2年3月23日にRと離婚する際、Rに対して生活費として毎月200,000円を支払う旨約しながら同年4月から本件相続開始時(平成4年11月)までの32か月分をRに支払わなかったため、当該未払金6,400,000円(以下「R生活費未払金」という。)を被相続人Lの債務であるとして申告したところ、原処分庁は、R生活費未払金が本件相続開始日現在における確実な債務に当たらないとした。
 しかしながら、R生活費未払金が確実な債務であることは、被相続人LとRが離婚する際に作成された念書に「従来通り生活費を送金すること」と記載があることや、g地方裁判所h支部平成7年(×)第◎◎号債務履行請求事件に係る平成7年*月*日付の判決(確定)及び平成9年*月*日付の和解において、本件相続開始時に被相続人LがR生活費未払金を有していたとされ、平成9年11月19日に被相続人Lの相続人が連帯して同額をRに支払っていることからも明らかである。
ロ 本件賦課決定処分について
 上記イのとおり、本件更正処分は違法であり、その全部を取り消すべきであるから、本件賦課決定処分も取り消すべきである。

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(2)原処分庁の主張

 原処分は、次の理由により適法であるから、審査請求を棄却するとの裁決を求める。
イ 本件更正処分について
(イ)本件株式
A 本件株式の異動及び管理状況等を調査したところ、次のとおりである。
(A)Y社株式及びZ社株式が保護預かりとなっていたb証券のJ名義口座は、被相続人Lが昭和57年12月28日に開設したものであり、その住所は甲病院住所で、本件相続開始日においても住所地の変更がされてないが、一方、Jが開設したc証券g駅前支店のJ名義口座は、Jの転居に伴い、その住所が、平成2年4月13日に甲病院住所からi市r町116へ、平成3年6月20日にg市s町24へそれぞれ変更されている。
(B)本件株式の配当金通知書や株主総会の通知書等は、あて先である甲病院住所から被相続人Lの住所である乙病院住所に送付されている。
(C)b証券のJ名義口座の開設当時、Jは28歳に達していたにもかかわらず、被相続人LがZ社株式及びY社株式の預り証及び届出印を保管、管理していた。
(D)被相続人Lは、平成4年4月、MがJ名義で購入したX社株式のうち株券の発行されていなかった885株を除く5,715株をb証券の被相続人L名義口座で売却した。
(E)Mは、本件株式を昭和41年3月ころ、J名義で取得したものと推認されるが、JがMから本件株式を贈与されたという事実を証するものはなく、また、Jは本件株式の贈与に係る昭和41年分の贈与税の申告もしていない。
(F)昭和41年3月ころからMが死亡した昭和58年4月3日までの間、Jが本件株式を自己のものとして管理、運用していたという事実を証するものはない。
B 上記のとおり、本件株式は、Mの死亡により被相続人Lが相続し、本件相続開始日まで被相続人Lが自己のものとして支配し、管理、運用していたものであるから、被相続人Lの相続財産であると認められる。
(ロ)本件W社出資証券
 本件W社出資証券100口は、N遺産分割協議書にその記載のない新たに生じた財産であり、同協議書の追而条項には「追而 右相続財産並に負債等の外に新たに生ぜし財産負債は相続人Lにおいてその権利並に義務を負うものとする。」とする記載があるから、被相続人Lの相続財産となる。
(ハ)農協出資金及び農協貯金
A 農協出資金については、h農協の出資金の管理簿書にNから被相続人Lに引き継がれた旨の記載があり、N遺産分割協議書の追而条項にいう「新たに生ぜし財産」に該当するとして被相続人Lが相続により取得したものと認められるから、被相続人Lの相続財産であると認められる。
B 農協貯金については、同貯金口座へ入金されたものは主にH県からの転作助成金であり、転作助成金等を受け取るためにh市へ提出した書類には被相続人Lの電話番号が記載されていること、同貯金口座から振替により納付されている水道料金は被相続人Lが所有する家屋に係るものであって、その水道使用契約者は被相続人Lであることから、同貯金をRが自己のものとして管理していたとは認められず、被相続人Lの相続財産であると認められる。
(ニ)R生活費未払金
 R生活費未払金については、(1)被相続人Lは、平成2年3月23日にRに対して30,000,000円を支払っていること、(2)g家庭裁判所平成5年(家×)第◇◇号遺産分割調停事件(申立人請求人ら、相手方Sほか2名)において、Sほか2名は、上記(1)の支払でR生活費未払金は支払済みである旨の主張していることから、本件相続開始時における被相続人Lに係る確実な債務とは認められないので、相続税の計算上債務として控除することはできない。
(ホ)相続税の課税価格
 相続税の課税価格は、次のAの取得した財産の価額の合計額2,117,950,759円からBの債務及び葬式費用の額115,736,136円を控除した額2,002,214,623円となり、請求人らが本件相続により取得した財産は未分割遺産であるから、相続税法第55条《未分割遺産に対する課税》の規定により法定相続分に従って当該財産を取得したものとして、その課税価格を計算すると、2,002,211,000円(1,000円未満の端数切捨て)となる。
A 取得した財産の価額の合計額
(A)土地
 土地の価額は、本件修正申告額963,991,459円から異議決定により取り消された額12,496,072円を差し引いた価額951,495,387円と認められる。
(B)家屋及び構築物
 家屋及び構築物の価額は、本件修正申告額のとおり、454,818円と認められる。
(C)有価証券
 有価証券の価額は、本件修正申告額557,192,214円から異議決定により取り消された医療法人丁病院出資金の額2,755,400円を差し引き、次表のとおりの額33,816,475円を加算した価額588,253,289円と認められる。

(単位 円)
株式等銘柄価額
X社株式533,655
Y社株式17,696,040
Z社株式2,200,446
本件W社出資証券13,333,334
農協出資金53,000
合計33,816,475

(D)現金、預貯金等
 現金、預貯金等の価額は、本件修正申告額212,446,188円に農協貯金の額123,105円を加算した価額212,569,293円と認められる。
(E)家庭用財産
 家庭用財産の価額は、本件修正申告額のとおり、100,000円と認められる。
(F)その他の財産
 その他の財産の価額は、本件修正申告額のとおり、365,077,972円と認められる。
B 債務及び葬式費用の額
 債務及び葬式費用の額は、本件修正申告額122,136,136円から本件未払金の額6,400,000円を差し引いた額115,736,136円と認められる。
(ヘ)課税価格及び納付すべき税額
 課税価格及び納付すべき税額は、別表2の「原処分庁認定額」欄のとおりとなり、この額は異議決定を経た後の本件更正処分に係る額と同額であるから、異議決定を経た後の本件更正処分は適法である。
ロ 本件賦課決定処分について
 以上のとおり、異議決定を経た後の本件更正処分は適法であり、異議決定を経た後の本件更正処分によって新たに納付すべき税額の計算の基礎となった事実には、国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する正当な理由があるとは認められないから、同条第1項の規定に基づいて行った異議決定を経た後の本件賦課決定処分は適法である。

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3 判断

 本件審査請求の争点は、(1)本件株式がMからJが贈与を受けたものか否か、(2)本件W社出資証券100口の全部が被相続人Lの相続財産であるか否か、(3)農協出資金及び農協貯金が被相続人Lの相続財産であるか否か、(4)R生活費未払金が本件相続開始時において確実な債務であるか否かにあるので、以下審理する。

(1)本件更正処分について

イ 本件株式
(イ)請求人らの提出資料、原処分関係資料及び当審判所が調査したところによれば、次の事実が認められる。
A Mは、昭和41年3月19日にY社株式500株及びZ社株式500株、同月22日にX社株式1,000株をJ名義で取得した。
B Mは、昭和58年4月3日に死亡した。
C X社株式、Y社株式、Z社株式の異動状況は、次表のとおりである。
X社株式

(単位 株)
取引年月日事由取引数量残高
昭和41.3.22新規取得1,0001,000
12.11増資(有償)5001,500
43.12.17502,250
46.10.11,1253,375
49.10.11,3494,724
55.4.14725,196
56.4.1増資(無償)5195,715
60.5.152856,000
平成元.5.156006,600
4.5.1譲渡3156,285
7.213,4002,885
8.61,0001,885
9.211,000885
なお、885株については、株券が発行されていない。

Y社株式
(単位 株)
取引年月日事由取引数量残高
昭和41.3.19新規取得500500
47.10.1増資(有償)5001,000
51.1.12501,250
58.7.13121,562
59.5.21増資(無償)1561,718
60.5.201881,906
62.5.20952,001
平成元.5.192002,201
なお、51株については、株券が発行されていない。

Z社株式
(単位 株)
取引年月日事由取引数量残高
41.3.19新規取得500500
42.4.1増資(無償)125625
44.5.28株式配当15640
10.1増資(無償)64704
45.4.170774
10.177851
48.4.185936
49.4.11871,123
51.4.11121,235
52.4.12471,482
10.11481,630
55.4.1811,711
10.11711,882
56.4.11882,070
57.4.12072,277
58.5.202272,504
60.5.172502,754
なお、477株については、株券が発行されていない。


D 被相続人Lは、平成4年3月25日、b証券のJ名義口座において、Z社株式2,207株、Y社株式2,150株を保護預かりとした。
 なお、b証券のJ名義口座は、被相続人Lが届出住所を甲病院住所として昭和57年12月28日に開設したものであるが、その届出印鑑は後記被相続人L名義口座の届出印とは異なる。
E 被相続人Lは、X社株式を上記Cの表のとおり、平成4年5月1日から同年9月21日にかけて合計5,715株をb証券の被相続人L名義口座において売却した。
 なお、上記b証券の被相続人L名義口座は、被相続人Lが昭和53年12月15日に開設したものである。
F 被相続人Lは、平成4年11月16日に死亡した。
G Jは、平成59年12月4日に上記Dのb証券のJ名義口座について、当該口座に係る届出印を用い、届出住所を当時の同人の住所であるg市s町24に変更する旨の届出をした。
(ロ)Jが当審判所に対して提出した平成7年3月7日付陳述書の要旨は、次のとおりである。
A 私は、昭和29年に甲病院住所地で出生した。
 被相続人Lは、私が物心つくころから乙病院住所でSと生活を共にしており、私は被相続人Lから全くかまってもらえなかった。
 Rは、病気がちであり、入院することもしばしばだった。
 Mは、丙家の跡取り娘で、医療法人甲病院の創設者であるNを婿養子に迎えるとともに、g市q町で中華料理店を経営していた。
 Mは、父母の愛に恵まれない私を心配してくれ、精神的支えとなってくれただけでなく、経済的にもさまざまな援助をしてくれた。
B 私は、g市t町にある高校に通学するため、g市q町の中華料理店の2階で昭和45年4月からMと一緒に住むようになった。Mは、上記中華料理店の隣にあったa証券などで、株式を購入していた。私は、私を医師にするには多額の金が必要となるので、私のために株式を購入しているとMから聞いた。
C 私が昭和49年に医科大学に入学する際、Mは株式を売却して30,000,000円くらいの入学金を支払ってくれた。
D Mは、d銀行g支店の貸金庫に株券を保管していた。
 大学生のころ、Mに連れられて上記貸金庫に行ったことがあり、その際、同人からX社株式、Y社株式及びZ社株式を私のために私の名義で購入している旨聞いた。
E Mは、昭和53年ころから昭和58年4月3日に死亡する間際まで、j市w町のx宅で同人と一緒に生活していた。
F Mが死亡して1か月くらい経った後、xからMが保管していた有価証券があるという連絡を受け、私は、被相続人Lと一緒に受け取りに行った。その中に本件株式があったと思う。
G 被相続人Lは、本件株式を私のために保管してくれたのだと思う。
 被相続人Lが私名義のZ社株式とY社株式を被相続人L名義口座ではなく、これとは別の私名義の口座で保護預かりにしてくれたのは、被相続人Lの死後、これらが確実に私に渡るようにという配慮だと思う。
H 私は、本件相続開始後1か月くらい経った後、Sからb証券の私名義口座に係る届出印と同口座で保護預かりとなっているY社株式及びZ社株式の預り証とを受領した。
(ハ)Jは、当審判所に対し、要旨次のとおり答述している。
A Mが保管していた株券をxのところから被相続人Lと一緒に受け取ってきたが、それら株券のすべてを被相続人Lが保管することになった。その理由は分からない。保管してほしいと依頼したことはない。
 私は、私名義のものについては、被相続人Lがそのうち届けてくれると思っていたところ、その後、Mの遺産分割協議でもめてきたため、私名義のものを返してほしいと言い出せない状況となった。
B 私は、被相続人Lが本件株式を保管している間、本件株式に係る配当金を受け取ったことはない。
C 被相続人Lが私名義の株式を売却したことを知ったのは、本件相続開始後であり、勝手に売却されたのは心外である。
(ニ)xは、当審判所に対して、要旨次のとおり答述している。
A 私の父とMとがいとこであり、私は昭和60年に退職するまで医療法人甲病院に33年間勤務していた。
 また、私は、昭和53年ころからMが死亡するまでの約5年間、自宅で同人と一緒に生活していた。
B Mは、g市q町で中華料理店を経営しており、すぐ近くにあったa証券で株式を購入していた。
 Mは、購入した株式をd銀行g支店の貸金庫に預けており、私は、Mが貸金庫から株券を出し入れする際、何度もお供した。
C Mは、特にJのことを心配しており、同人が将来医師なるときの資金になるよう、同人の名義で株式を購入していた。
 Jが大学の医学部に入学した際、Mは、Jのために購入しておいた株式を売却して入学金を用意したと聞いた。
D Mは、生前、定期預金証書などを包んだ紙包み4個を私に預けていた。その紙包みはMの孫4名、すなわち被相続人LとRとの間の子であるJ、K、被相続人LとSとの間の子2名へあてられたものである。
E 私は、Mの葬儀後、被相続人Lに連絡したところ、被相続人LとJが一緒に受け取りにきたので、被相続人LにMの孫にあてられた上記Dの紙包み4個を渡した。
(ホ)Sは、当審判所に対し、要旨次のとおり答述している。
A 被相続人Lは、b証券に、私との間の子であるP及びQ、Rとの間の子であるJ及びKの名義で取引口座を開設している。
B 被相続人Lがこれらの取引口座を開設した意図は、自分の財産を子供らに贈与するためだと思う。
(ヘ)以上の事実及び答述等に基づき、本件株式がJがMから贈与を受けたものであるか否かについて判断したところ、次のとおりである。
A 本件株式は、上記(イ)のAのとおり、Mが昭和41年3月ころ、J名義で購入し、同Cのとおり、その後、無償ないし有償の増資などによって、株式数が増加したものであるところ、上記(ロ)のJの陳述書及び同(ニ)のxの答述によれば、Mが本件株式をJ名義で取得した理由は、Jらを省みないなどJの家庭状況から被相続人Lを当てにできないと考えたMが、Jが医師になる際に必要となる多額の出費に備え、その目的を明確にしようと考えたからであると認められるが、Mは購入した他の株式を同じくd銀行g支店の貸金庫で保管していたことが認められ、本件株式などJ名義で購入した株式と他の株式とを区別していたとは認められず、本件株式に係る有償増資に応じ、配当金を受け取っていたのは専らMであったと推認されることからすると、J名義で購入したことをもって、Mが本件株式をJに贈与したとまでは認めることはできない。
 しかしながら、上記認定したところからすれば、Mにおいて、本件株式を被相続人Lらのために相続財産として残す意図はなかったものとうかがえるところ、上記(ロ)のJの陳述書及び同(ニ)のxの答述によれば、MはJに対して本件株式の購入目的を告げており、死期の近づいたMは、購入していた本件株式等を紙包み4個に分け、Jら自分の孫にあててxに預けたこと、そして、xはMの死亡後1か月を経過した昭和58年5月ころ、Jに引き渡したことが認められることからすると、遅くともその時までに、MとJとの間において、Mが死亡したら本件株式を贈与する旨の黙示の死因贈与契約が成立していたと認めるのが相当であり、本件株式は、Jの固有財産となる。
 確かに、上記(イ)のCないしE及び同(ハ)のJの答述によれば、被相続人Lは、Mの死亡後、本件株式を保管するとともに、その配当金を受領しており、また、Y社株式について昭和58年7月1日の有償増資に応じ、X社株式5,715株を売却していることが認められるが、上記(ハ)のJ及び同(ニ)のxの各答述によれば、xがMから預かった財産が同人の孫にあてたものであったため、その父である被相続人Lがこれらをいったん預かることになったものにすぎないと推認され、上記(イ)のとおり、Mから被相続人Lが本件株式を特に相続したり、贈与を受けたと認めるべき証拠資料はないことからすると、いまだ上記認定を覆すに足りるものではない。
B したがって、本件株式が被相続人Lの相続財産に当たるとした原処分庁の認定には事実誤認があるから、次表の本件株式の価額を相続財産の課税価格から差し引くべきである。

銘柄株数(1)単価(2)価額((1)×(2))
X社株式885株603円533,655円
Y社株式2,201株8,040円17,696,040円
Z社株式2,754株799円2,200,446円
合計20,430,141円

ロ 本件W社出資証券
(イ)請求人らの提出資料、原処分関係資料及び当審判所が調査したところによれば、次の事実が認められる。
A 本件W社出資証券は、被相続人Lの父であるNの相続財産である。
B N遺産分割協議書の末尾に「追而 右相続財産並に負債等の外に新たに生ぜし財産負債は相続人L(被相続人L)においてその権利並に義務を負うものとする。」との記載(追而条項)がある。
C N遺産分割協議書には、本件W社出資証券に関する記載がない。
D W社は、事務取扱上、N遺産分割協議書の追而条項を根拠として、本件W社出資証券の名義を被相続人Lの名義又は被相続人Lの相続人の名義に書き換えることはできない旨回答した。
E S、P及びQは、請求人ら、y(Nの二女)、e及びf(Nの次男である亡kの子)を被告として、本件W社出資証券が被相続人Lの相続人であるS、P、Q及び請求人らの相続財産であることの確認を求めてg地方裁判所に訴えを提起したところ(平成8年(×)第□□号相続財産確認請求事件)、g地方裁判所は、平成8年*月*日、これを認容する旨の判決を言い渡した。
 なお、y、e及びfは、上記事件において、適式の呼出しを受けたのに、口頭弁論期日に出頭せず、答弁書、その他の準備書面も提出しなかったため、民事訴訟法(平成8年法律第109号による改正前のもの。)第140条第3項により自白したものとみなされた。
F 請求人らが当審判所に提出した平成7年3月7日付のJの陳述書には、平成6年10月ころ、yから本件W社出資証券のうち同人の持分に相当するものを引き渡すよう電話で要求された旨の記載がある。
(ロ)Sは、当審判所に対し、要旨次のとおり答述している。
(Sが被相続人Lの相続財産を預かっていたもので、Jに渡したものはあるかと問われ)被相続人Lの四九日の法要の前だったが、相続税の納付のため、本件W社出資証券をJに渡した。
(ハ)以上の事実及び答述等に基づき、本件W社出資証券100口の全部が被相続人Lの相続財産であるか否かについて判断したところ、次のとおりである。
 上記(イ)のAのとおり、本件W社出資証券は、被相続人Lの父であるNの相続財産であり、同(ロ)のSの答述によれば、Nの死亡後、被相続人Lがその引渡しを受け、これを継続して支配管理していたこと、同(イ)のEのとおり、g地方裁判所において、本件W社出資証券が被相続人Lの相続人であるS、P、Q及び請求人らの相続財産であることを確認する旨の判決が言い渡されていることからすれば、本件W社出資証券の全部が被相続人Lの相続財産であると認めるのが相当である。
 この点、請求人らは、本件W社出資証券がNの未分割財産である旨主張するが、請求人らが指摘する事実もこれを裏付けるに足るものとはいえず、当審判所の調査によってもかかる証拠資料を見いだすことはできないから、請求人らの主張には理由がない。
ハ 農協出資金及び農協貯金
(イ)請求人らの提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査したところによれば、次の事実が認められる。
A h農協の組合員名簿には、Nは、昭和41年6月1日、2口を出資して、h農協(当時は△△農業協同組合)の組合員となったが、その後、被相続人Lがh農協の組合員たる地位を引き継いだ旨の記載がある。
 なお、本件相続開始当時、農協出資金の出資口数は53口、出資金額は53,000円であるが、Nが死亡した当時の出資口数、出資金額は不明である。
B N遺産分割協議書には、農協出資金に係る記載はないが、h市n町6、同町37の1の農地などh市内にある農地を被相続人Lが取得する旨の記載がある。
C 被相続人Lは、h市に対し、「平成元年度水田農業確立対策実施計画」書を提出しており、その主な内容は次表のとおりである。

水田等所在地水田等実面積転作作物名等
h市n町6777平方メートル小麦
h市n町37の1715平方メートル小麦

D 農協貯金は、平成元年3月24日にRが同人所有の印鑑を届出印鑑として開設したものであり、本件相続開始時の残高は、123,105円である。
 平成元年3月24日から平成5年2月8日までの農協貯金に係る入出金の状況は別表3のとおりであるが、農協貯金に係る通帳には、同表「摘要」欄のとおり、当該入金について、「ムギ トモホショウキン」、「ダンチジョセイキン」、「テンサクジョセイキン」、「ガッペイハイトウキン」、「チイキエイノウカサン」、「シュツシハイトウキン」など、出金については、「スイドウ」、「キッテダイ」、「ゲンキン」、「ノウキョウフカキン」、「AL(他店扱い現金出金)」などと記載がある。
E h農協営農センターのセンター長であるzは、原処分庁の相続税の調査において、農協貯金へ入金された金員の内容について、次のとおり申述した。
(A)「ムギ トモホショウキン」とは、集落ごとに拠出金を集め転作中の農地ごとに補償金を出すものである。
(B)「ダンチジョセイキン」、「テンサクジョセイキン」とは、農業者が転作計画書をh市役所の農務課に提出し、計画のとおり確認したものについて、助成金が支払われものである。
 農協貯金に係る上記Dの通帳には、平成2年3月30日に「お預り金額」が15,122円、「摘要」として「ダンチジョセイキン」と、同日に「お預り金額」が45,507円、「摘要」として「テンサクジョセイキン」と記載されているが、実施水田確認書の控えによると、これらは、被相続人L所有の2筆の農地について、転作が行われたことで支払われたものと認められる。
F 農協貯金から口座振替の方法により支払われた水道料金は、使用者を被相続人Lとする水道供給契約に係るものであるが、設置場所は甲病院住所であり、Rが居住していた。
G 農協貯金からの現金引出しは、Rが行ったものである。
(ロ)以上の事実及び申述等に基づき、農協出資金及び農協貯金が被相続人Lの相続財産であるか否かについて判断したところ、次のとおりである。
A 農協出資金は、上記(イ)のAのとおり、Nが昭和41年にh農協(当時は△△農業協同組合)の組合員となったことに基づくものであるが、組合員名簿には組合員としての地位が被相続人Lに引き継がれた旨の記載があり、上記(イ)のBによれば、Nの相続財産のうちh市内の農地は被相続人Lが相続していることを併せ考えると、農協出資金は、被相続人LがNから相続したもの、あるいは被相続人L自らが出資したものであると認められるから、被相続人Lの相続財産であると認められる。
 この点、請求人らは、h市内に長年居住していたのはRであり、Rが農協出資金を管理していた旨主張するが、これを認めるに足りる証拠はない。
B 農協貯金については、上記(イ)のCないしEによれば、Rが同人所有の印鑑を届出印鑑として開設し、同貯金に係る通帳及び届出印鑑は、Rが管理していたと推認されるが、同貯金に係る口座は、h農協の組合員である被相続人Lが所有する農地に係る転作助成金等を受け取るために開設したものであり、同貯金への入金額は、当該助成金等又は農協出資金に係る配当金であって、いずれも被相続人Lに帰属すべきものであると認められる。
 確かに、上記(イ)のF及びGによれば、農協貯金で口座振替された水道料金は、Rが居住していた甲病院住所の建物に係るものであり、Rは届出印鑑及び通帳を用いて同貯金から現金出金し、生活費等に充てていたものと認められるものの、上記認定のとおり、同貯金はRが被相続人Lの承諾を得ずに被相続人L名義で開設したもので、被相続人Lは同貯金の開設を知らなかったものと推認されることからすると、被相続人Lにおいて、同貯金の入金額をRに贈与する意思があったとは認められない。
 そうすると、農協貯金の入金額が被相続人Lに帰属すべきものであることに変わりがないから、その累計額である同貯金は被相続人Lの相続財産であると認めるのが相当である。
ニ R生活費未払金
(イ)請求人らの提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査したところによれば、次の事実が認められる。
A 被相続人Lは、Rと協議離婚をするに際し、Rに対して従来どおり生活費を送金する旨を約した念書を作成し、これを交付した。
B 被相続人Lは、Rに対し、平成2年3月23日に現金で30,000,000円を支払った。
 その際、受領した領収書のただし書には、「協議離婚に伴う生活費として(終生分)」という記載がある。
C 請求人らは、S、P及びQを相手方とする遺産分割調停事件(平成5年9月20日申立て。g家庭裁判所平成5年(家×)第◇◇号)において、R生活費未払金が相続債務に当たる旨主張したが、Sらは、被相続人LがRに対して毎月支払う生活費に替え30,000,000円を一時金で支払った旨主張し、債務の存在を否定している。
D g地方裁判所h支部は、平成7年(×)第◎◎号債務履行請求事件において、平成7年*月*日、被相続人Lの相続人は本件相続開始時に被相続人LがRに対し、生活費として6,400,000円の未払債務を有していたことを確認する旨の判決を言い渡すとともに、平成9年*月*日、同旨の和解を成立させた。
 被相続人Lの相続人は、平成9年11月19日、上記確定判決及び和解に基づき、連帯して6,400,000円をRに対して支払った。
(ロ)Sは、平成9年9月25日に当審判所に対し、要旨次のとおり答述している。
 Rに対する離婚の条件に、毎月生活費を支払うこととしていたが、一時金で支払うこととなり、30,000,000円を支払った。
 したがって、Rから未払の生活費を支払うよう訴訟を提起されているが、支払う必要がないので、争っている。
(ハ)ところで、相続税の計算上控除できる債務について、相続税法第13条《債務控除》第1項第1号は、「被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの」、同法第14条《控除すべき債務》第1項は、「前条の規定によりその金額を控除すべき債務は、確実と認められるものに限る。」と規定しているが、当該「確実と認められる」債務とは、債務が存在するとともに、債権者において、その履行義務が法律的に強制されている場合のみならず、債権債務成立に至る経緯等に照らして、事実上、道義的に履行が義務づけられているか、あるいは、履行せざるを得ない蓋然性がある債務をいい、債務の存在のみならず履行が確実であると認められる債務を意味すると解するのが相当である。
(ニ)以上の事実及び答述等に基づき、R生活費未払金が本件相続開始時において、確実な債務であるか否かについて判断したところ、次のとおりである。
 上記(イ)のCのとおり、本件相続開始後の平成5年9月20日に申し立てられた被相続人Lの遺産分割調停事件において、R生活費未払金が被相続人Lの債務であるかどうかが争われており、上記(イ)のA及びBの事実及び同(ロ)のSの答述に併せ考えれば、R生活費未払金は、相続税法第13条第1項第1号及び同法第14条第1項に規定する「被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの」で「確実と認められるもの」には該当しないと認めるのが相当である。
 なお、上記(イ)のDとおり、g地方裁判所h支部において、被相続人Lの相続人は、本件相続開始時に被相続人LがRに対してR生活費未払金を有していたことを確認する旨の判決が言い渡され、同旨の和解が成立しているが、このことは、国税通則法第23条《更正の請求》第2項第1号に事由に該当するか否かに係るものにすぎない。
 したがって、R生活費未払金は本件相続に係る相続税の控除すべき債務に該当せず、この点に関する請求人らの主張には理由がない。
ホ 相続税の課税価格
 相続税の課税価格は、次の(イ)の取得した財産の価額の合計額2,097,520,618円から(ロ)の債務及び葬式費用の額115,736,136円を控除した額1,981,784,482円となり、請求人らが本件相続により取得した財産は未分割遺産であるから、相続税法第55条の規定により法定相続分に従って当該財産を取得したものとして、その課税価格を計算すると、1,981,784,000円(1,000円未満の端数切捨て)となる。
(イ)取得した財産の価額の合計額
 被相続人Lの相続財産に係る取得財産の価額は、異議審理庁が認定した2,117,950,759円から、上記イの(ヘ)のBのとおり、被相続人Lの相続財産との認められない本件株式の価額20,430,141円を差し引いた価額2,097,520,618円と認められる。
(ロ)債務及び葬式費用の額
 債務及び葬式費用の額は、本件修正申告額122,136,136円から本件未払金の額6,400,000円を差し引いた額115,736,136円と認められる。
(ハ)課税価格及び納付すべき税額
 以上の結果、請求人らの相続税の課税価格及び納付すべき税額は、別表2の「審判所認定額」欄のとおりとなり、この額は異議決定後の本件更正処分の額を下回るから、異議決定後の本件更正処分は、その一部を取り消すべきである。

(2)本件賦課決定処分について

 上記(1)のとおり、異議決定後の本件更正処分がその一部を取り消されることに伴い、請求人らの過少申告加算税の基礎となる税額は、それぞれ330,000円となり、この税額の計算の基礎となった事実については、国税通則法第65条第4項に規定する正当な理由があるとは認められない。
 したがって、請求人らの過少申告加算税の額は、それぞれ33,000円となり、それぞれの異議決定後の本件賦課決定処分の額に満たないから、異議決定後の本件賦課決定処分は、その一部を取り消すべきである。
(3)原処分のその他の部分については、請求人らは争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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