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(平11.6.2裁決、裁決事例集No.57 568頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

 審査請求人(以下「請求人」という。)は、E(以下「本件滞納者」という。)に係る担保権の実行として、別表1の番号11から15及び26の各土地(以下「本件各土地」という。)の競売をF地方裁判所G支部に申し立て、同支部は平成8年2月23日、本件各土地について競売開始決定をした(以下、これによる競売を「本件競売」という。)。
 そこで、原処分庁は、国税通則法(以下「通則法」という。)第43条《国税の徴収の所轄庁》第3項の規定により、平成9年4月14日にH税務署長から徴収の引継ぎを受け、本件滞納者に係る別表2の滞納国税を徴収するため、同月30日付で、F地方裁判所G支部に対し、国税徴収法(以下「徴収法」という。)第82条《交付要求の手続》の規定に基づき、交付要求(以下「本件交付要求」という。)をするとともに、その旨を請求人に通知した。
 請求人は、平成9年8月8日付で、原処分庁に対し、徴収法第85条《交付要求の解除の請求》第1項の規定に基づき、本件交付要求の解除請求(以下「本件交付要求解除請求」という。)をしたが、原処分庁は、これに対し、平成10年2月3日付で、本件交付要求解除請求を拒否する旨の通知処分(以下「本件通知処分」という。)をした。
 請求人は、この処分に不服があるとして、平成10年3月20日に審査請求をした。

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2 主張

(1)請求人の主張

 原処分は、次の理由により違法であるから、その全部の取消しを求める。
イ 本件交付要求解除請求については、次のとおり、徴収法第85条第1項各号のいずれにも該当する事由があるから、相当と認められるべきである。
(イ)第1号
 請求人は、本件交付要求により自己の債権の全部又は少なくとも一部の弁済を受けることができない。
(ロ)第2号
 同号に該当する事由の有無の判断時点については、法は何も規定していないが、本件交付要求は、次のとおり、信義則の法理に違反してされたものであるから、本件交付要求解除請求については、信義則の法理に従い、請求人が本件各土地について交付要求がされることはないであろうと信頼してこれに抵当権を設定した平成7年4月27日の時点で同号に該当する事由があったかどうかを判断すべきであり、そうすると、その時点において、本件滞納者は他に換価が容易で第三者の権利の目的となっていない財産を有しており、かつ、その財産により本件交付要求に係る国税の全額を徴収することができたものであるから、本件交付要求解除請求には実質的に同号に該当する事由があるというべきである。
A H税務署長は、本件滞納者の相続税について租税特別措置法(平成3年法律第16号改正前のもの。以下「措置法」という。)第70条の6《農地等についての相続税の納税猶予等》第1項に規定する納税猶予の特例(以下「本件特例」という。)の適用を認め、当該納税猶予分の相続税の額に相当する担保として、別表1の番号1から21及び27の各土地(以下「本件特例対象土地」という。)に抵当権を設定したが、その後、次々と当該抵当権を抹消していった。
B 請求人は、本件滞納者から納税証明書と不動産登記簿謄本を徴し、これを十分に調査した上で、別表2の番号1の滞納国税(以下「本件滞納国税」という。)は、本件特例対象土地に設定された抵当権(上記Aの抹消された後のもの。以下同じ。)によって十分に担保されており、H税務署長は、通則法第52条《担保の処分》第1項の規定に基づき、当該担保物を処分して本件滞納国税の徴収に充てるであろうと信頼して、平成7年4月27日、本件各土地に抵当権を設定するとともに、本件滞納者に対する貸付(以下「本件貸付」という。)を実行した。
C 本件滞納国税は、請求人が上記Bの抵当権を設定したときにH税務署長が本件特例対象土地に設定していた抵当権により十分に担保されていたのであるから、これにより本件滞納国税の全部を徴収することが可能であったはずである。
D 徴収法第8条《国税優先の原則》の規定は、何の制限もなく国税の優先権を認めるものではない。
 それにもかかわらず、H税務署長が、上記Aのとおり抵当権を次々と抹消することにより、本件交付要求がされることはあり得ないとの外観を作り出した上で、本件交付要求したことは信義則の法理に違反する。
ロ 請求人には本件各土地に抵当権を設定したことについて何の落ち度もないから、交付要求は第三者が有する正当な権利を侵害してはならない旨の徴収法第85条の立法趣旨に照らして、請求人は当然に保護されるべきである。
ハ 本件滞納国税は、法定納期限からすでに16年も経過しているから、その間徴税を放置したことは職務怠慢であり、また、本件交付要求は権利の濫用である。これら徴収手続の違反は、本件交付要求の実質的な違法要件を構成するものである。

(2)原処分庁の主張

 原処分は、次の理由により適法であるから、審査請求を棄却するとの裁決を求める。
イ 本件交付要求解除請求について、徴収法第85条第1項第1号に該当する事由があることについては争わない。
ロ 徴収法第85条第1項第2号の規定は、交付要求の解除請求がされた時点で、滞納者が他に換価の容易な財産で第三者の権利の目的となっていないものを有しており、かつ、その財産によりその交付要求に係る国税の全額を徴収することができるときは交付要求の解除請求をすることができる旨規定しているに過ぎず、過去の一定時点でこれに該当する事由があった場合にまで交付要求の解除請求ができることを規定しているものではない。
 国税の担保物は、その担保すべき国税の全額に相当していれば足りるから、その余剰の担保を解除することは何ら違法ではないところ、H税務署長が担保物の一部を解除した時点では、その解除後の担保物で本件滞納国税の全額に相当していたが、その後の経済情勢等により担保物の価値が下落し、当該担保物では本件滞納国税の全額を徴収するに不足する状態となったことから、本件交付要求を行ったものである。
 本件交付要求は適法に行われており、信義則といった見地から本件交付要求解除請求を認めることはできない。
ハ 請求人は、抵当権設定に当たり何の落ち度もないから当然に保護されるべきである旨主張するが、徴収法第8条の規定により、国税は納税者の総財産から優先的に徴収することとなっているから、H税務署長が過去に十分な担保を徴しており、これを解除したからといって交付要求を制限される理由はない。
ニ 徴収手続についても、その都度、適法な処理をしているから、職務怠慢や権利の濫用をした事実はない。

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3 判断

 本件通知処分の適否について争いがあるので、以下審理する。
(1)次の事実については、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査によってもその事実が認められる。
イ 本件交付要求の基因となった本件滞納国税は、本件競売に係る請求人の債権に優先するものであること。
 なお、別表2の番号2及び3の滞納国税は、本件競売に係る請求人の債権に劣後する。
ロ 本件競売におけるF地方裁判所G支部の裁判所選任評価人による本件各土地の評価額は、合計325,430,000円であったこと。
(2)原処分関係書類及び当審判所の調査によれば、次の事実が認められる。
イ 本件滞納者は、昭和56年5月15日相続開始に係る相続税について本件特例の適用を受けるため、本件特例対象土地を担保としてH税務署長に提供したこと。
 これに対し、H税務署長は、本件特例の適用を認め、本件特例対象土地につき、いずれも昭和57年2月26日付で、昭和56年5月15日相続による相続税及び利子税の同年11月15日設定を原因とし、債権額を880,489,300円、延滞税の額を通則法所定の額とする順位番号一番の抵当権を設定したこと。
ロ H税務署長は、平成5年2月23日までに別表1の番号16から21の各土地の抵当権を、また、平成6年12月19日に同表の番号11から15の各土地の抵当権を、さらに、平成7年9月5日に同表の番号6から10の各土地の抵当権を、それぞれ抹消したこと。
ハ 上記ロの平成7年9月5日の抵当権の抹消は、H税務署長が、本件滞納者から担保物の一部解除を請求されたのを受けて、当該請求を認めた場合に残る担保物の評価額を、別表1の番号1から4の各土地については平成7年分の路線価を基準とし、また、同表の番号5及び27の各土地については固定資産税評価額に国税局長の定めた倍率を乗じた額を基準として、それぞれ算定したところ、合計863,491,050円となり、本件滞納国税の額を上回っていたことから行ったものであること。
ニ H税務署長は、本件滞納者に対し、平成9年3月24日付で納税猶予の猶予期限が確定した相続税額の通知書(猶予期限が確定した相続税の額を336,026,300円、猶予期間中の利子税の額を293,849,400円、確定した相続税の猶予期限を平成7年2月16日、猶予期限が確定した理由を累積転用等面積の割合が20パーセントを超過したためとするもの。)を交付したが、その後においても本件滞納国税が納付されなかったことから、平成9年4月14日に通則法第52条第1項及び徴収法第86条《参加差押の手続》第1項の規定に基づいて別表1の番号1から5の各土地について、原処分庁による他の滞納国税に基づく差押に対して参加差押を行ったこと。
ホ 請求人が本件交付要求解除請求をした平成9年8月8日の時点では、別表1の各土地のうち、番号6から10及び18から21の各土地は、H税務署長が抵当権を抹消した後に所有権が第三者に移転しており、また、番号16の土地には住宅金融公庫の抵当権、番号17の土地にはJ信用金庫及びKの根抵当権、番号22の土地には株式会社M銀行及びNリース株式会社の根抵当権が設定されており、いずれも第三者の権利の目的になっていたこと。
 そのため、この時点で請求人が所有する土地のうち換価が容易で第三者の権利の目的となっていないのは、同表の番号1から5及び27から32の各土地であったこと。
 そして、原処分庁は、この時点における別表1の番号1から5及び27から32の各土地の評価額の合計額を510,359,600円と算定していたこと。
(3)ところで、徴収法第83条《交付要求の制限》は、税務署長が交付要求をしようとする場合において、滞納者が他に換価の容易な財産で第三者の権利の目的となっていないものを有しており、かつ、その財産によりその国税の全額を徴収することができると認められるときは交付要求をしないものとする旨規定し、また、同法第85条第1項は、交付要求があったときは、その交付要求により自己の債権の全部又は一部の弁済を受けることができないこと及び滞納者が他に換価の容易な財産で第三者の権利の目的となっていないものを有しており、かつ、その財産によりその交付要求に係る国税の全額を徴収することができることのいずれにも該当することを理由としてその交付要求の解除を請求することができる旨規定している。
 徴収法第83条は、滞納者が同条に規定する財産を有している場合には、税務署長は、自力執行権を行使して直ちに当該財産につき滞納処分を行い滞納国税を徴収すべきであることから、交付要求ができる場合を制限したものであり、一方、同法第85条は、滞納者の財産について強制換価手続が行われた場合には、同法第82条により税務署長はその執行機関に対し交付要求をしなければならないと規定されているものの、交付要求は、他の執行機関の行う強制換価手続に参加するものであることから、とりわけ手続の迅速性が要求されるため、税務署長において必ずしも滞納者の全財産を調査した上で行うことができず、交付要求が同法第83条の規定に違反してされることもあり得ることから、そのような場合に当該交付要求に係る債権者にその解除を請求することができることを認めることによって、同法第83条の規定の趣旨を制度的に保証しようとしたものであると解されている。
(4)この交付要求解除請求の要件の判断時点については、次のとおりである。
 税務署長が交付要求をしようとする時点において、滞納者が徴収法第83条に規定する財産を有している場合には、上記(3)のとおり、税務署長は、自力執行権を行使して直ちに当該財産につき滞納処分を行い滞納国税を徴収すべきであるから、同条に規定する交付要求の制限の要件に該当する事由があるか否かの判断は、税務署長が交付要求をする時点ですべきものであり、したがって、同条の「滞納者が他に換価の容易な財産で第三者の権利の目的となっていないものを有しており」との文言は、税務署長が交付要求をする時点において、かかる財産を滞納者が現に有していることを指すものと解すべきである。
 そうすると、徴収法第85条は、上記(3)のとおり、同法第83条の規定の趣旨を制度的に保証するための規定であって、同条の規定に違反した交付要求が行われた場合にその交付要求の解除を請求することを認めた規定であることからすれば、同法第85条第1項第2号の「滞納者が他に換価の容易な財産で第三者の権利の目的となっていないものを有しており」との文言についても、上記と同様に、当該交付要求解除請求の時点において、かかる財産を滞納者が現に有していることを指すものとして解すべきであり、したがって、交付要求解除請求の要件の判断時点は、当該交付要求解除請求のときと解するのが相当である。
(5)これを本件についてみると、次のとおりである。
イ 本件交付要求解除請求に徴収法第85条第1項各号のいずれにも該当する事由があるか否かについて
(イ)第1号
 本件交付要求解除請求に同号に該当する事由があることについては、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査によっても相当と認められる。
(ロ)第2号
 上記(4)のとおり、交付要求解除請求の要件については当該請求がされた時点の現況で判断すべきであるところ、上記(2)のホのとおり、請求人が所有する土地のうち、本件交付要求解除請求のされた時点で換価が容易で第三者の権利の目的となっていない土地は、別表1の番号1から5及び27から32の各土地のみであったことが認められる。そして、上記(2)のホのとおり、原処分庁は当該各土地の評価額の合計金額を510,359,600円と算定していたことが認められるところ、当該評価額については、当審判所の調査によっても相当と認められる。
 そうすると、請求人が本件交付要求解除請求した平成9年8月8日における本件滞納国税の額は、別表2の番号1記載のとおり、相続税336,026,300円、利子税293,847,400円及び延滞税(法律による金額)の合計額であったのであるから、上記各土地によっては本件滞納国税の全額を徴収することができなかったといわざるを得ない。
 他に本件交付要求解除請求について同号に該当する事由があったことを認めるに足りる証拠はない。
(ハ)そうすると、本件交付要求解除請求については、徴収法第85条第1項第2号の要件を充足していなかったことが明らかである。
ロ 請求人は、原処分庁が本件特例対象土地に設定した抵当権を次々と抹消し、本件交付要求がされることはあり得ないとの外観を作り出した上で、本件交付要求をしたことは信義則の法理に違反するから、本件交付要求解除請求については信義則の法理に従い、請求人が本件各土地に抵当権を設定した時点で徴収法第85条第1項第2号に該当する事由の有無の判断をすべきであり、そうすると、本件交付要求解除請求については実質的に同号に該当する事由がある旨主張する。
(イ)ところで、上記イのとおり、本件通知処分は租税法規の規定に適合してされたものと認められるところ、さらにこれについて信義則の法理を適用し、本件通知処分が違法であるというためには、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお滞納処分による滞納国税の徴収を免れさせて請求人の信頼を保護しなければならない特別の事情が存在することを要するのであり、そのような特別の事情が存在するか否かの判断に当たっては、徴収庁が請求人に対して公的見解を表示したことにより、請求人がその表示を信頼しその信頼に基づいて行動したところ、後にその表示に反する処分が行われ、そのために請求人が経済的不利益を受けることになったこと、また、請求人が徴収庁の表示を信頼しその信頼に基づいて行動したことについて請求人の責めに帰すべき事由がないことという要件を充足することが不可欠であると解されている。
(ロ)これを、本件についてみると、次のとおりである。
 まず、交付要求は、滞納処分の一環として行われるものであるところ、交付要求の制限事由については、徴収法第83条に規定されているのみで、それ以外には格別規定されていないことからすれば、たとえ徴収庁が過去の一時点において担保物を一部解除したとしても、それを理由としてその後における交付要求が制限されるものではないと解するのが相当である。
 そうすると、上記(2)のイからハまでのとおり、H税務署長は、本件滞納者の相続税について本件特例を適用するに当たり、本件特例対象土地に抵当権を設定し、その後、本件特例対象土地の評価額が担保すべき国税の額を上回っていると判断して当該抵当権を一部抹消しているが、このことはその後の交付要求に何ら影響も及ぼすものではないから、H税務署長がこのように抵当権の一部を抹消したことをもって、請求人に対し、以後交付要求を行わない旨の公的な見解を表示したものと認めることはできない。
 仮に請求人が、H税務署長が抵当権の一部を抹消したことをもって、国は以後、請求人が抵当権の設定をした担保物について交付要求をすることはないであろうと信頼し、その解除された土地に抵当権を設定したものであったとしても、その後の経済情勢等の変化により担保物の価値が変動し、そのため一旦担保を解除した担保物について交付要求をする必要が生じるということは十分に考え得ることであるから、そのような信頼は、以後、交付要求はされないであろうという請求人の期待に過ぎないといわざるを得ない。
 そうすると、その他の要件について審理するまでもなく、本件通知処分に信義則の法理を適用する特別の事情が存在したとは認められない。
 したがって、この点に関する請求人の主張には理由がない。
ハ 請求人は、請求人には落ち度がないから、徴収法第85条の立法趣旨に照らして保護されるべきである旨主張するが、同条は上記(3)の一定の要件を充足した場合にその交付要求に係る債権者を保護する趣旨の規定であり、本件交付要求解除請求は、上記(5)のイの(ハ)のとおり、同条第1項第2号の要件を充足しないのであるから、請求人に落ち度がないことをもって本件交付要求解除請求を認めることはできない。
 したがって、この点に関する請求人の主張には理由がない。
ニ さらに、請求人は、本件滞納国税は法定納期限から16年も経過しており、その間徴税を放置したことは職務怠慢であり、また、本件交付要求は権利の濫用である旨主張する。
 しかしながら、上記(2)のイからニのとおり、H税務署長は、本件滞納国税について、本件特例に係る猶予期間中、所定の納税猶予を行い、その猶予期限の確定後、原処分庁において、別表1の番号1から5の土地に係る担保物の処分の手続を経た上で本件交付要求に至ったことが認められるから、本件交付要求に至る徴収手続に職務怠慢があったとは認められない。
 また、上記(2)のハのとおり、H税務署長は、本件滞納者から担保物の一部解除の請求を受けて、残存する担保物の評価額863,491,050円が平成7年9月5日における本件滞納国税の額(相続税額336,026,300円、利子税293,847,400円及び延滞税(法律による金額))を上回っていたことから、当該請求を認めて抵当権を抹消したものと認められるところ、かかるH税務署長の評価及び判断は当審判所の調査したところによっても相当であったものと認められる。
 そうすると、上記ロの(ロ)のとおり、過去の一時点において担保物を一部解除したとしても、その後の交付要求は制限されるものではないと解されることをも併せ考えると、H税務署長が本件特例対象土地に設定した抵当権を一部抹消し、同署長から徴収の引継ぎを受けた原処分庁が本件交付要求をしたことは、その個々の行為をとってみても、また全体としてみても、これが権利の濫用であったということはできない。
 したがって、これらの点に関する請求人の主張には理由がない。
ホ 以上のとおり、本件通知処分は適法である。
(6)その他
 原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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