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(平11.9.2裁決、裁決事例集No.58 301頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

 原処分庁は、納税者P市R町6丁目1番33号G、同所H及び同所J(以下、これらの者を併せて「本件滞納者ら」という。)に係る別表1記載の滞納国税(以下「本件滞納国税」という。)を徴収するため、審査請求人(以下「請求人」という。)に対し、平成10年3月6日付で、国税徴収法(以下「徴収法」という。)第24条《譲渡担保権者の物的納税責任》第2項の規定に基づく告知処分(以下「本件告知処分」という。)をした。
 次いで、原処分庁は請求人に対し、平成10年3月18日付で、別表2記載の宅地(以下「本件担保財産」という。)のうちAからEまでについて差押処分(以下「本件差押処分」という。)をした。
 請求人は、これらの処分を不服として平成10年4月20日に異議申立てをしたところ、異議審理庁は、平成10年7月3日付で棄却の異議決定をした。
 請求人は、異議決定を経た後の原処分に不服があるとして、平成10年7月30日に審査請求をした。

2 主張

(1)請求人の主張

 平成10年3月6日付で本件告知処分がされた時には、既に譲渡担保権の実行により本件担保財産の所有権が確定的に請求人に移転しており、本件担保財産は譲渡担保財産ではなくなっていたものである。これに対し、原処分庁は、被担保債権である利息の返済期限はいまだ到来しておらず履行遅滞になっていないから譲渡担保権は実行されていないものとして本件告知処分及び本件差押処分をしたのであるが、原処分庁は、本件担保財産に関する契約書の解釈、当事者の意思又は事実を誤認しており、その判断は次のとおり、誤り又は不当であるから、原処分の全部の取消しを求める。
イ 利息の返済期限について
(イ)請求人は、P市R町6丁目1番33号K(以下「本件債務者」という。)及び本件滞納者らとの間で、平成5年6月7日に譲渡担保付金銭消費貸借契約(以下「本件契約」といい、本件契約に係る書面を「本件契約書」という。)を締結し、本件債務者に1億円を貸し付けるとともに本件担保財産につき譲渡担保権(以下「本件譲渡担保権」という。)を取得した。
(ロ)本件契約書第3条第1項及び第2項では、利息の返済期限については、毎月末日の支払を原則とし、例外として、債務者の申入れがあった場合は、元本の返済期限までに支払うこともできると定めている。同条第2項が「債務者は……に支払うこともできる。」という文言を用いていることからも、当然そのように理解すべきものである。
(ハ)そして、本件債務者が利息の支払につき本件契約書第3条第2項の期限の猶予(元本の返済期限まで)を申し入れた事実は全く存しない。このことは、請求人が本件債務者に対し、平成7年8月4日付内容証明郵便(以下「本件催告書」という。)をもって利息金支払の請求を行っているが、これに対し、本件債務者が元本の返済期限まで猶予してもらいたい旨の申入れをしていないことからも明らかである。
(ニ)さらに、その後のこととは言え、本件債務者が、平成10年4月15日付の「お詫び」と題する書面(以下「本件お詫び書」という。)で、本件契約書第3条の利息支払も行えず、本件催告書による利息支払請求にもこたえることができなかった旨述べていることからも、利息の返済期限が原則として毎月末日であり、かつ、本件債務者が猶予の申入れをした事実がないということが明らかである。
(ホ)この点に関して、原処分庁は、本件契約書第3条は、利息の返済期限について、毎月末日でも元本の返済期限まででもどちらでもよいと定めている旨主張しているが、金銭の支払に関する契約において、その期限を定めるに当たり、どちらでもよい旨定めるということは、通常では考えられないことであり、原処分庁の解釈は、明らかに誤りである。
(ヘ)また、原処分庁は、本件お詫び書は本件告知処分後の平成10年4月15日付であるから、本件告知処分に影響を与えるものではないと主張しているが、請求人は、本件お詫び書により権利が確定したなどとの主張をしているのではなく、本件お詫び書の内容を本件契約書第3条の解釈に当たっての一つの証拠としているものであって、原処分庁はその意味を理解していない。
ロ 履行遅滞による譲渡担保権の実行について
(イ)上記イの(ロ)から(ニ)までのとおり、本件債務者は利息の支払について既に履行遅滞に陥っていたことから、請求人は、本件債務者の了解の下、本件担保財産の適正な評価を第三者に依頼し、その評価額65,000,000円に基づき債務への充当をなしており、本件譲渡担保権を実行し、本件担保財産の所有権を確定的に請求人に帰属させたものである。
(ロ)本件譲渡担保権が実行され、本件担保財産の所有権が確定的に請求人に帰属したことを示す事実は、次のとおりである。
A 平成9年6月7日付の本件担保財産の売買内容報告書(以下「本件売買内容報告書」という。)があること。
B 本件債務者は、本件お詫び書において、「請求人のオーナーであるL氏(以下「L」という。)と話合いを持ち、担保物件を処分して返済に充てたい旨申し出たところ現在の価格では返済額に満たないので、請求人に本物件を引き渡し不足金額については、別に打ち合わせることの打診があり、私も、それもやむを得ないと了解をしておりました。その後、請求人より、本物件の評価を出していただきましたが、65,000,000円に満たない額であり、その不足額約35,000,000円も現在の私の力では支払うことができない状況です。」と述べていること。
C 本件契約書第7条第4項に定めがあるとおり、本件担保財産に係る公租公課について本件債務者が負担することとなっていたものを、請求人において負担するようになったこと。
(ハ)原処分庁は、順行遅滞になかったと主張しているが、仮にそうであったとしても、契約の当事者が、合意の上で、その返済方法の一つとして、譲渡担保財産を適正に評価した上、これを債権者に帰属させて清算するということは、契約自由の原則上何ら差し支えないものである。
(ニ)また、原処分庁は、〔1〕請求人の平成6年8月1日から同9年7月31日までの各事業年度(以下、それぞれを「平成7年7月期」、「平成8年7月期」及び「平成9年7月期」という。)の法人税確定申告書において、本件債務者に対する貸付金1億円を計上し、併せて本件担保財産をその担保として記載していること、〔2〕本件譲渡担保権の実行があったのであれば、本件債務者において、本件担保財産の譲渡所得に係る申告をなすはずであるがそのような事実は存しないこと、〔3〕本件債務者には、譲渡担保権実行の原因となるような本件担保財産に関する用法違反等はなかったことを理由として、本件譲渡担保権が実行されたものとは認められない旨主張している。
 しかしながら、上記〔1〕から〔3〕については次に述べるとおりであり、いずれも、本件譲渡担保権の実行の事実を覆すものではない。
A 上記〔1〕の事実については請求人も否定するものではないが、銀行融資に頼らざるを得ない経営を続けている請求人としては、本件担保財産に係る事実のとおりに申告をした場合には赤字決算となり、銀行の信用を失い、融資回収及び新規融資停止という状況に追い込まれることから、銀行対策として、従前どおり計上せざるを得なかったものである。
B 上記〔2〕の事実については、請求人としては、なぜ本件債務者が正規の申告をしなかったのか知る由もないことである。
C 上記〔3〕の事実については、本件譲渡担保権の実行の原因は、本件債務者の返済期限徒過という債務不履行にあったものであり、請求人は、用法違反等は何ら問題としていないものである。
ハ 本件告知処分及び本件差押処分について
 以上のとおり、本件債務者は請求人に対し、本件契約書による本件譲渡担保権の実行を申し入れ、請求人もこれを了解し、平成10年3月6日前に、合意の上で本件担保財産を請求人に帰属させたものであり、これを否定する理由は何ら存しない。したがって、本件告知処分は、本件担保財産が譲渡担保財産ではなくなった後にされたものであり、徴収法第24条第1項に規定する要件を欠いた違法、不当なものである。そして、本件告知処分が違法、不当なものである以上、本件差押処分も違法、不当である。

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(2)原処分庁の主張

 原処分は、次のとおり適法であるから、審査請求を棄却するとの裁決を求める。
イ 本件告知処分について
(イ)徴収法第24条第1項は、納税者が国税を滞納した場合において、その者が譲渡した財産でその譲渡により担保の目的となっているもの(譲渡担保財産)があるときは、その者の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められるときに限り、譲渡担保財産から納税者の国税を徴収することができる旨、同条第2項は、譲渡担保財産から納税者の国税を徴収しようとするときは、譲渡担保財産の権利者(以下「譲渡担保権者」という。)に対し、徴収しようとする金額その他必要な事項を記載した書面により告知しなければならない旨、同条第3項は、第2項の告知書を発した日から10日を経過した日までにその徴収しようとする金額が完納されていないときは、その譲渡担保財産につき滞納処分を執行することができる旨規定している。また、同条第5項は、第2項の告知をした後、納税者の財産の譲渡により担保される債権が債務不履行その他弁済以外の理由により消滅した場合においても、なお譲渡担保財産として存続するものとみなして、第3項の規定を適用する旨規定し、同条第6項は、第1項の規定は国税の法定納期限等以前に、担保の目的でされた譲渡に係る権利の移転の登記がある場合には、適用しない旨規定している。
(ロ)これを本件についてみると、次の事実が認められる。
A 本件契約書第3条第1項によれば、元本の返済期限は平成15年6月末日、利息の返済期限は毎月末日とされており、更に同条第2項において、利息の返済は毎月末日に代えて元本の返済期限までとすることもできる旨定めており、本件契約締結後にこの返済期限が変更された事実はない。
B 本件契約書第4条によれば、本件債務者が第三者から仮差押え等を受けたときには期限の利益を失い元利金を一時に支払うこととなっているが、本件債務者について、同条に定める仮差押え等の事実は発生していない。
C 本件契約書第5条によれば、本件債務者が元利金債務の履行を遅滞したときは、〔1〕請求人において、本件担保財産を任意に処分し、その売得金を債務の弁済に充当することができる、〔2〕請求人は、〔1〕の方法に代え、本件担保財産の価格を適正に評価して、その所有権を取得し、その評価額を債務の弁済に充当することができる旨定めているが、上記A及びBのとおり、履行遅滞にはなっていない。
D 請求人がM税務署長に提出した平成7年7月期及び平成8年7月期の法人税確定申告書には、各期末現在の本件債務者に対する貸付金1億円が計上されており、平成9年7月期の法人税確定申告書にも、同貸付金1億円が計上され、担保の内容として「P市R町6―823―2他」との記載がある。
E 本件債務者及び本件滞納者らは、本件担保財産の譲渡担保を原因とする所有権移転は、本件契約による債権担保を目的として行ったものであることを理由として、譲渡所得の課税の留保を求める平成6年3月14日付の譲渡担保であることの申立書(以下「本件申立書」という。)を原処分庁あて提出していたが、その後も譲渡所得に係る申告はなされていない。
F 本件担保財産の現況を確認したが、本件契約書第7条第5項に定める同条第1項から第3項の義務違反に該当する事実は見当たらなかった。
G 本件担保財産に係る固定資産税等については、不動産登記簿上の所有者が納税義務者となるため、当該固定資産税等を請求人が納付している事実をもって、請求人が本件担保財産を確定的に取得したということにはならない。
H 本件債務者から請求人にあてられた本件お詫び書は、平成10年4月15日付であり、本件告知処分に何ら影響を与えるものではない。
(ハ)上記(ロ)の事実を総合勘案すると、本件契約に係る債務については、履行遅滞となっておらず、また、請求人が本件担保財産の清算手続を行ったものとは認められず、本件債務者も本件担保財産の所有権を確定的に請求人に移転したものとは認識していないことが認められることから、本件契約における被担保債権は消滅しておらず、本件契約は存続しているというべきであり、請求人が本件告知処分前に本件担保財産の所有権を確定的に取得したとは認められない。
(ニ)また、〔1〕本件担保財産については、譲渡担保を原因として平成5年6月8日付で請求人に対して所有権移転登記がなされていること、〔2〕請求人、本件債務者及び本件滞納者らは、原処分庁に提出した本件申立書において、本件担保財産の所有権移転の原因が譲渡担保であることを認めていること、〔3〕本件滞納者らの財産について滞納処分を執行しても本件滞納国税に不足すると認められること、〔4〕本件滞納国税の法定納期限等は、平成3年3月15日及び平成4年3月16日であり、本件担保財産の譲渡担保を原因とする所有権移転登記は当該法定納期限等後であることが認められる。
(ホ)したがって、本件告知処分は、徴収法第24条の規定に基づいて適法に行われており、何ら違法、不当なものではない。
ロ 本件差押処分について
(イ)徴収法第24条第3項の規定によれば、同条第2項の告知書を発した日から10日を経過した日までにその徴収しようとする金額が完納されていないときは、徴収職員は、その譲渡担保財産につき滞納処分を執行することができるとされている。
(ロ)本件告知処分については、上記イで述べたとおり、徴収法第24条の規定に基づいて適法に行われている。
 また、本件告知処分から10日を経過した日である平成10年3月17日までに本件滞納国税は完納されていない。
(ハ)したがって、本件差押処分は、徴収法第24条第3項に基づいて適法に行われており、何ら違法、不当なものではない。

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3 判断

 本件審査請求の争点は、本件告知処分前に本件担保財産の所有権が確定的に請求人に帰属していたか否かであるので、以下審理する。

(1)認定事実

イ 請求人から提出された資料、原処分関係資料及び当審判所の調査によれば、次の事実が認められる。
(イ)本件滞納国税の法定納期限等は、平成3年3月15日及び平成4年3月16日である。
(ロ)本件担保財産は、平成5年6月8日付で譲渡担保を原因として、本件債務者又は本件滞納者らから請求人に所有権の移転登記がなされている。
(ハ)本件契約書によれば、請求人は本件債務者に対し1億円を貸し付け、本件債務者及び本件滞納者らは当該債務を担保する目的で本件担保財産の所有権を請求人に譲渡したことを定めているほか、本件契約書には、支払方法、譲渡担保及び使用貸借と題して、要旨次のように定めている。
A 第3条第1項 本件債務者は、請求人に対し、元金1億円は平成15年6月末日限り、利息は毎月の末日限り、いずれも請求人方へ持参又は送金して支払う。
第2項 本件債務者は、右利息を毎月支払に代えて、元金返済期限までに支払うこともできる。
B 第4条 本件債務者が第三者から仮差押え等を受け、または破産、和議等の申立てを受けたときは、本件債務者は請求人の催告を要せず、当然に期限の利益を失い、元利金を一時に支払わなければならない。
C 第5条第2項 本件債務者が元利金債務の履行を遅滞したときは、請求人において本件担保財産を任意に売却し、その売得金を本件債務者の債務の弁済に充当することができる。
第3項 請求人は、任意売却の方法に代え、本件担保財産の価格を適正に評価して自らその所有権を取得し、その評価額を本件債務者の債務の弁済に充当することができる。
第4項 第2項及び第3項につき、売得金ないし評価額が本件債務者の債務の全額に満たない場合は、本件債務者は直ちにその不足額を請求人に支払い、本件債務者の債務額を超過する場合は、請求人は直ちにその超過額を本件債務者に支払うものとする。
D 第7条 請求人は、本件担保財産を次の約定により、平成5年6月から債務の弁済期日である平成15年6月末日まで、本件債務者に無償で貸し渡し、本件債務者はこれを承諾して借り受け、本件担保財産を受け取った。
第4項 本件担保財産にかかる公租公課その他管理使用に関する一切の費用は、本件債務者及び本件滞納者らの負担とする。
(ニ)本件催告書は、平成7年8月4日付で、「本件契約書の第3条による利息金17,205,479円の支払が平成7年7月31日現在、まだ連絡もなく遅滞しております。つきましては右金額を、平成7年8月11日までに、お支払いくださいますよう、ご請求申し上げます。」旨が記載され、請求人から本件債務者に発せられている。
(ホ)本件お詫び書は、平成10年4月15日付で、要旨次のように記載され、本件債務者から請求人に差し出されている。
A 本件担保財産は、現在ではその担保価値も不足している。
B 本件契約書第3条の利息支払においても毎月の支払も行えず、本件催告書による利息支払の請求にもこたえることができなかった。
C その時期にLと話合いを持ち、本件担保財産を処分し返済に充てたい旨を申し出たところ、現在の本件担保財産の価格では返済額に満たないので、請求人に本件担保財産を引き渡し、不足金額は別に打合せすることの打診があり、本件債務者も、それもやむを得ないと了解していた。
D その後、請求人より、本件担保財産の評価を出してきたが、65,000,000円に満たない額であり、その不足金額約35,000,000円も現在の本件債務者の力では支払うことができない。
E ほかにも債務があるので、友人の弁護士に、自己破産するようアドバイスされているので、近々そうする以外ないと思っている。
F 本件滞納国税は、契約当初から少額ではあるが分割納付してきたところ、平成9年8月ころ原処分庁から、残額の一括納付の話があり、今回の譲渡担保権者に対する本件告知処分となってしまった。
(ヘ)請求人は、本件債務者に対し、平成9年9月11日付で確認書と題する書面(以下「本件確認書」という。)を提示し、本件確認書には、〔1〕本件契約書第7条第5項(善管注意義務違反等があった場合における本件担保財産の使用貸借の解除及び請求人への引渡し)により本件担保財産の所有権を請求人とする、〔2〕所有権移転については、本件契約書第5条第3項の代物弁済(帰属清算のことであると解される。)とし、価格の評価は別途協議するものとする旨が記載されている。
(ト)請求人がM税務署長に提出した平成7年7月期及び平成8年7月期の法人税確定申告書には、本件債務者に対する貸付金1億円が計上されており、平成9年7月期及び平成9年8月1日から同10年7月31日までの事業年度(以下「平成10年7月期」という。)の法人税確定申告書にも、同貸付金1億円が計上され、担保の内容として「P市R町6―823―2他」と記載されている。
(チ)本件滞納国税は、平成2年及び平成3年分の贈与税の申告に係るものであり、一部分割納付されてきたものの、本件告知処分時における滞納総額は別表1のとおりである。
(リ)本件滞納者らの財産について調査するも、換価価値のある財産はなく、また、本件滞納者らの生活費は、本件債務者の収入が不安定であることから、本件滞納者らの親類からの援助によって賄っていることが明らかであり、本件担保財産以外での納税資力は全くない。
ロ 請求人の代表取締役であるN(以下「N」という。)は、当審判所に対し、要旨次のとおり答述している。
(イ)平成7年8月4日付の本件催告書による利息の支払請求のほかには、平成7年2月か3月ころに本件債務者が退社したので、その後平成7年4月ないし6月ころ、請求人の取締役Sが電話によって、利息の支払についての請求をしたことがある。
(ロ)平成8年1月ころ、Lと本件債務者の二人の間で話合いがあり、話合い後、Lから請求人の取締役Sに電話があり、「本件担保財産を処分しろ」と指示があった。
(ハ)本件債務者は、本件担保財産を処分しても、返済額に不足金額が出ることを知っていたので、不足金額については、特に打合せはしていない。
(ニ)不足金額を確認するため、有限会社T(以下「T社」という。)に本件担保財産の評価を依頼し、平成9年6月7日に本件売買内容報告書を受け、その内容については、請求人の常務取締役であるWから本件債務者に電話で説明をしたはずである。
(ホ)本件担保財産を請求人に帰属させた具体的な手続等は、本件債務者が譲渡担保権の実行を申し入れ、請求人もこれを了解し、合意をもって帰属させたものであり、これを証明する特別な手続はしていない。
(ヘ)本件担保財産の適正な評価額を65,000,000円として、債務への充当をなしたということについては、認識をしているだけであり、特別な手続はしていない。
(ト)本件譲渡担保権の実行により損失を出したが、本件債務者に対する損失額の請求は書類では行っておらず、お互いが認識をしているだけである。
(チ)損失額及び未払と思われる利息に関する借権は、放棄していない。
ハ 本件債務者は、原処分庁の徴収担当職員に対し、面談又は電話により、要旨次のとおり申述している(下記(イ)から(ホ)までの各末尾のかっこ書は、申述した日である。)。
(イ)本件担保財産の譲渡担保権者である請求人に対して、差押えするのは構わない。請求人から借り入れた1億円は、請求人と船による採石運搬業務をする上で、本件債務者の負債処理のために借り入れたものであるが、請求人が1年半たって、その業務から手を引いたことから、そのトラブルが処理できない以上は、1億円を返済する気はない(平成9年5月19日)。
(ロ)請求人と譲渡担保権について協議したところ、請求人の取締役Sから、新たな譲渡担保付金銭消費貸借契約書と本件確認書を提示されたが、印鑑を押さず、持ち帰った(平成9年9月17日)。
(ハ)本件債務者の弁護士と相談した結果、本件担保財産を差し押さえて欲しいということで一致した(平成9年9月18日)。
(ニ)昨日、請求人の役員、請求人の弁護士及び本件債務者の弁護士の3人が協議した。請求人には本件担保財産を売却する意思がないとのことである。本件債務者は新たな譲渡担保付金銭消費貸借契約書及び本件確認書には押印しないことを請求人の弁護士に伝えた。請求人としての結論を請求人の弁護士が提示し、それについて本件債務者の弁護士から本件債務者にアドバイスしてくれることとなっているので、早ければ来週の中ごろまでには結論が出るのではないか(平成9年9月19日)。
(ホ)本件担保財産の任意売却については、以前に試みたが、請求人より拒否された(平成10年3月9日)。
ニ 本件債務者は、原処分庁の異議審理担当者に対し、要旨次のとおり申述している。
(イ)元金、利息の返済期限については、本件契約書の文面どおりと理解しており、変更されたことはないが、請求人の役員とは見解の相違があるかもしれない。
(ロ)今までに、第三者から仮差押え、仮処分等を受けたり、破産等の申立てを受けたことはない。
(ハ)請求人から、本件担保財産を処分する旨の通知を受けたことはない。また、本件担保財産の見積価額の通知や債務額との清算を行う旨の通知を受けたことはない。
(ニ)平成7年8月に、請求人から本件催告書により請求を受けた後、Lと話合いをしたが、結局、正式に請求人との間で、本件担保財産を処分するという合意には至らなかった。
(ホ)本件お詫び書は、今までの経過について主張できる範囲で述べたものであり、請求人の担当役員からの要請により提出したが、当初の契約を変更したり追加の契約を締結したわけではない。
(ヘ)本件契約のほかには、請求人との間に債権債務関係はない。
ホ 本件債務者は、当審判所に対し、要旨次のとおり答述している。
(イ)本件契約書は請求人が作成したもので、本件債務者が作成した契約書と内容を変えて締結に至ったものである。
(ロ)契約に至った経緯は、請求人とのビジネスの中で自分らが出したアイデアである船による採石の運搬事業での利益をもって、利息相当を返済するというものであった。
(ハ)贈与税の納税と他の債務の返済のため、1億2千万円の借入れを申し入れたが、結果的には1億円となった。
(ニ)契約締結後、請求人グループの株式会社Yに入社し働くなかで利息、元金を返済していく予定であったが、請求人の営業方針が変わり、船による運搬事業計画はとんざし、同社を退社した。
(ホ)平成8年1月ころ、Lとの話合いを行った際に、満額ではないものの、利息の一部を持参したが、受領されなかった。
(ヘ)船による運搬事業は、Lと本件債務者が手を結んでのものであり、平成8年1月ころのLとの話合いでは、請求人の役員Wが同席しており、本件債務者が金を持って行ったところ、「中途半端なことではだめだ、今後の仕事の方向はどうなのか、目先のことばかりだけではなく」などの話合いで終わったものであり、Lの判断と請求人の判断とが食い違うものである。
(ト)利息相当額の年収8百万円を保証するからと言われ入社したので、退社するまでの間には、それ相当額が給与として支払われていたが、利息相当額の給与からの天引きは行われなかった。しかし、船による運搬事業で利息相当額を返す予定であったから、契約当時から、遅れ遅れでも返済できると考えていた。
(チ)本件担保財産について、Lとの話合いの際、その処分を申し出たが、「利益が出ないから」と拒否された。また、その際に、本件担保財産の処分に当たっては、本件債務者側主導で売りたい旨を申し入れている。
(リ)本件催告書が届いた後から、請求人は、本件担保財産は請求人のものであると主張してきている。本件債務者として本件担保財産の所有権がどちらにあると認識しているかについては、難しい。
(ヌ)本件契約に関しての債権債務が具体的にどうなるのかについて、請求人からの連絡及び通知は受けていない。
(ル)利息の支払については、ビジネス上の問題であり、請求人とは争う予定であるが、元本債務については、本件債務者に責任があると認識していることから、本件契約に関する債権債務は、清算されていない。
(ヲ)本件お詫び書は、請求人のW常務が中に入り、方向付けする意味から、内容は先方が書いた文書であるが、弁護士とも相談の上差し出したものであって、本意とするものではなかった。

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(2)譲渡担保財産の所有権が確定的に債権者に移転する時期

 債権者が目的不動産を適正に評価して、その所有権を自己に帰属させる帰属清算型の譲渡担保においては、債務者が債務の履行を遅滞し、債権者が債務者に対し目的不動産を確定的に自己の所有に帰せしめる旨の意思表示をしても、債権者が債務者に対して清算金の支払若しくはその提供又は目的不動産の適正評価額が債務の額を上回らない旨の通知をしない限り、債務者は受戻権を有し、債務の全額を弁済して譲渡担保権を消滅させ、目的不動産の所有権を回復することができる(最高裁判所昭和62年2月12日第一小法廷判決参照)。すなわち、債務者が債務の履行を遅滞し、帰属清算型の場合には、債権者が債務者に対し目的不動産を確定的に自己の所有に帰せしめる旨の意思表示をし、かつ、目的不動産の適正評価額が債務の額を上回らない場合には、その旨の通知を完了してはじめて、目的不動産の所有権が確定的に債権者に移転することになる。

(3)譲渡担保権者に対する告知処分及び譲渡担保財産に対する差押処分の要件

 徴収法第24条第1項は、納税者が国税を滞納した場合において、その者が譲渡した財産でその譲渡により担保の目的となっているもの(議渡担保財産)があるときは、その者の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められるときに限り、譲渡担保財産から納税者の国税を徴収することができる旨規定し、同条第2項は、そのためには、譲渡担保権者に対し、徴収しようとする金額その他必要な事項を記載した書面により告知しなければならない旨規定し、同条第6項は、国税の法定納期限等以前に譲渡担保権設定の登記がされている場合には、第1項の規定を適用しない旨規定している。
 また、徴収法第24条第3項は、上記の告知書を発した日から10日を経過した日までに滞納国税が完納されていないときは、譲渡担保権者を第二次納税義務者とみなして、譲渡担保財産について滞納処分を執行することができる旨規定している。

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(4)本件告知処分の適否

 上記(1)の事実を総合判断の上、上記(2)及び(3)に照らして判断すると次のとおりである。
イ 本件契約における債務の履行遅滞の有無
(イ)請求人は、本件契約書第3条に定める利息の返済期限は、原則として毎月末日であり、例外として本件債務者から猶予の申入れがあった場合には元本の返済期限(平成15年6月末日)までに支払うこともできるという趣旨であるところ、本件債務者が利息の返済期限の猶予を申し入れた事実はないから、平成10年3月6日付で本件告知処分がされた時には、既に履行遅滞に陥っていた旨主張する。
 しかしながら、次の理由により、本件債務者は本件契約書第3条第1項による返済方法と同条第2項による返済方法を任意に選択することができるとの趣旨に解するのが相当である。
A 文面上、本件契約書第3条第2項には何らの条件も付されていない。
B 上記(1)のニ及びホにおける本件債務者の申述及び答述を総合すると、本件契約は、本件債務者がLと手を結んで行う船による採石運搬事業の利益から利息を返済していくという前提で締結されたものであること、及び本件債務者は、当該事業のために請求人のグループ企業に入社して働きながら当該事業の利益の中から遅れ遅れでも利息を返済できるものと考え、本件契約書第3条を文面どおりに理解して本件契約を締結したことが認められる。一方、請求人の側についてみると、本件契約後全く利息が返済されていないにもかかわらず、上記(1)のロの(イ)における請求人の代表取締役Nの答述によれば、請求人が本件催告書を発したのは、請求人が上記運搬事業から撤退し本件債務者が請求人のグループ企業を退職した後であることが認められ、また、本件催告書以外の催告の有無について、請求人の代表取締役Nは、上記(1)のロの(イ)のとおり、本件債務者が退職した後に電話で催告した旨答述しているが、本件債務者が退職する前における催告の事実については述べていない。
 以上のような本件契約の経緯、本件債務者の認識及び請求人の催告の状況にかんがみれば、利息については、本件債務者とLが手を結んで行う採石運搬事業の利益の中から、毎月末日あるいはそこから遅れながらでも、最終的に元本の返済期限までに返済すれば足りるというのが、契約当時における請求人及び本件債務者の認識であったと推認される。
(ロ)この点について、請求人は、本件債務者が本件お詫び書において、本件契約書第3条の利息支払も行えず、本件催告書による利息支払請求にも応えることができなかった旨述べていることから、利息の返済期限が原則として毎月末日であることは明らかである旨主張する。
 しかしながら、本件お詫び書の記述は、直接的には本件契約書第3条第1項に定める毎月末日までの返済及び本件催告書に記載された期限までの返済ができなかった事実を認めているに止まり、必ずしも、本件債務者が毎月末日を原則的な期限であると認識していることの根拠とはなし得ないし、現に本件債務者は、上記(1)のニの(イ)のとおり、利息の返済期限について、請求人の役員とは見解の相違があるかも知れないが本件契約書の文面どおりと理解している旨申述している。
 したがって、この点に関する請求人の主張は採用することができない。
(ハ)以上のとおり、本件告知処分がされた時には、未だ利息の返済期限(平成15年6月末日)は到来しておらず履行遅滞となっていないことが認められるから、履行遅滞を前提として本件譲渡担保権を実行したとする請求人の主張は採用することができない。
 なお、仮に利息債務が履行遅滞であるとしても、次のロのとおり、本件譲渡担保権は実行されていないと認めるのが相当である。
ロ 本件譲渡担保権の実行の有価
 請求人は、本件担保財産の適正な評価を第三者に依頼した上で、その評価額65,000,000円を債務に充当し、本件担保財産の所有権を確定的に請求人に帰属させたものであるとして、帰属清算の方法により譲渡担保権が実行されたことを主張している。
(イ)しかしながら、次のとおり、請求人から提出された本件売買内容報告書及び本件お詫び書をもってしては、本件譲渡担保権の実行(本件担保財産を確定的に請求人の所有に帰せしめる旨の意思表示及び本件担保財産の適正評価額が債務の額を上回らない旨の通知)があったものと認めるには不十分であり、他に本件譲渡担保権が実行されたことを認めるに足りる証拠はない。
A 本件売買内容報告書は、請求人が第三者に対し本件担保財産の売却可能額の見積もりを依頼し、当該第三者から請求人に回答があったという事実を示すに止まり、請求人から本件債務者に対し本件担保財産の適正評価額が債務の額を上回らない旨の通知がされたという事実を直接示すものではない。
 この点について、請求人の代表取締役Nは、上記(1)のロの(ニ)のとおり、「本件売買内容報告書の内容については、請求人の常務取締役であるWから本件債務者に電話で説明したはずである」旨答述しているが、本件債務者は上記(1)のニの(ハ)のとおり評価額の通知を受けたことを否定しており、他に当該通知がされたことを認めるに足りる証拠はない。
B 本件お詫び書には、「担保権を実行する旨の申立てがあった」「本件担保財産の所有権を確定的に請求人に移転する旨の申立てがあった」「本件担保財産の適正評価額が債務の額を上回らない旨の通知があった」等の明確な表現が用いられておらず、しかも、上記(1)のホの(ヲ)における本件債務者の答述によれば、本件お詫び書の文章は請求人が作成したものであることが認められる。したがって、仮に請求人が主張するように、本件お詫び書の文言が本件譲渡担保権の実行の事実を認めているように読めなくはないとしても、必ずしも本件債務者がそのような意味に理解した上で署名なつ印したとは限らず、本件債務者が本件お詫び書において本件譲渡担保権が実行されたことを認めていると認定するには、本件お詫び書の内容は、なお明確さを欠いているといわざるを得ない。そして、本件債務者は、上記(1)のホの(リ)のとおり、本件催告書が届いた後から請求人が本件担保財産の所有権を主張していることは認めているものの、本件債務者として本件担保財産の所有権がどちらにあると認識しているかについて「難しい」旨答述し、また、上記(1)のニの(ハ)及び(ニ)並びにホの(ヘ)、(チ)及び(ヌ)のとおり、平成8年1月のLとの話合いの際に本件譲渡担保権の実行の意思表示があったことや、その後本件譲渡担保権の実行に必要な清算手続が行われたことを否定する内容の答述をしていることを併せてみると、本件お詫び書の内容を根拠として、本件譲渡担保権の実行手続が行われたものと認定することはできない。
(ロ)むしろ、次の事実に照らせば、本件譲渡担保権の実行手続は行われていないと認めるのが相当である。
A 請求人は、平成9年6月7日付の本件売買内容報告書の評価額に基づいて本件譲渡担保権を実行した旨主張しており、しかも、上記2の(1)のロの(ニ)のAによれば、請求人の主張は、本件譲渡担保権の実行の時期が平成9年7月期以前であることを前提としていることが認められるが、上記(1)のイの(ヘ)のとおり、本件確認書は、平成9年9月11日現在、贋行遅滞を理由とした本件譲渡担保権の実行がなされておらず、評価額も確定していないことを前提とした内容となっている(なお、本件確認書の交付をもって本件譲渡担保権の実行の意思表示をしたものと認められなくもないが、その後、本件告知処分がされるまでの間に評価額についての協議又は通知がされた事実は認められないから、本件確認書の交付後においても、本件譲渡担保権の実行手続が完了したと認めることはできない。)。
B 請求人は、本件担保財産の評価額65,000,000円を債務に充当したと主張するものの、請求人の代表取締役Nは、上記(1)のロの(ヘ)のとおり、当審判所に対して「債務の充当については、認識しているだけであり特別な手続はしていない」と答述しており、充当の事実を示す帳簿書類等の存在はうかがえない。かえって、上記(1)のイの(ト)のとおり、請求人の平成10年7月期の法人税申告書にも、依然として本件債務者に対する貸付金1億円が計上されているとともに、担保としてP市R町6―823―2他が記載されており、このことは、本件告知処分がされた後の平成10年7月31日現在においても、本件譲渡担保権の実行手続及び債務への充当がなされていないことを示すものである。
 この点について、請求人は、上記の申告は銀行融資対策として赤字決算を回避するためであり、本件譲渡担保権の実行の事実を覆す証拠となるものではない旨主張するが、平成9年7月期以前のみならず、本件告知処分がされた後の平成10年7月期においても、本件告知処分を免れるべく申告内容を改めていないことにかんがみれば、請求人の主張は、にわかには採用することができない。
(ハ)また、請求人は、本件担保財産に係る固定資産税等を請求人が負担している事実が、本件担保財産の所有権を確定的に請求人に帰属させた一つの証拠であると主張しているが、固定資産税等の納税義務者は、不動産登記簿上の所有者とされていることから、その事実をもって、請求人が本件担保財産の所有権を確定的に取得したことの根拠とはなし得ず、この点に関する請求人の主張には理由がない。
(ニ)さらに、請求人は、本件譲渡担保権の実行による確定的な所有権移転とは別に、代物弁済の合意による所有権移転についても主張するもののようであるが、上記(イ)及び(ロ)と同様の理由により、本件お詫び書を根拠として代物弁済の合意があったと認めることはできず、本件確認書についても、上記(1)のハの(ロ)のとおり、本件債務者は合意していないことが認められ、他に代物弁済の合意があったことを認めるに足りる証拠はない。したがって、この点についての請求人の主張は採用することができない。
ハ 以上のとおり、本件担保財産について、本件告知処分の前に本件譲渡担保権の実行手続が完了し又は代物弁済の合意があったと認めることはできず、他に本件担保財産の所有権が確定的に請求人に移転したと認めるべき事実もないことから、本件告知処分時には、本件担保財産は譲渡担保財産として存在していたと認めるのが相当である。
 また、本件譲渡担保権が本件滞納国税の法定納期限等後に登記されたものであること及び本件滞納者らの財産について滞納処分を執行しても本件滞納国税に不足することは、上記(1)のイの(イ)、(ロ)及び(リ)のとおりである。
 したがって、本件告知処分は、徴収法第24条第1項、第2項及び第6項の規定に基づいて適法に行われていることが認められる。

(5)本件差押処分の適否

 原処分関係資料によれば、原処分庁は、本件告知処分に係る告知書を請求人に対し平成10年3月6日付で発しているが、当該告知書を発した日から10日を経過した日までに本件滞納国税が完納されていないため、平成10年3月18日付で本件担保財産のうち別表2のAからEまでを差し押さえたことが認められる。
 したがって、本件差押処分は、徴収法第24条第3項の規定に基づいて適法に行われている。

(6)その他

 原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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