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(平15.2.27裁決、裁決事例集No.65 190頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1)事案の概要

 本件は、審査請求人(以下「請求人」という。)が平成12年中にした土地の交換につき、所得税が課されるか否かを主な争点とする事案である。

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(2)審査請求に至る経緯

イ 請求人は、平成12年分の所得税について、確定申告書(分離課税用)に別表1の「確定申告」欄のとおり記載して、法定申告期限までに申告した。
ロ 原処分庁は、これに対し、平成13年7月9日付で別表1の「更正処分等」欄のとおりとする更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分をした。
ハ 請求人は、これらの処分を不服として、平成13年7月23日に異議申立てをしたところ、異議審理庁は、同年10月19日付で棄却の異議決定をした。
ニ 請求人は、異議決定を経た後の原処分に不服があるとして、平成13年10月22日に審査請求をした。

(3)関係法令

イ 所得税法第33条《譲渡所得》第1項は、譲渡所得とは資産の譲渡による所得をいう旨、また、同条第3項は、譲渡所得の金額は総収入金額から取得費、譲渡に要した費用の額及び譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする旨それぞれ規定している。
ロ 所得税法第36条《収入金額》第1項は、その年分の所得の金額の計算上総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもって収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする旨、また、同条第2項は、前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、その物若しくは権利を取得し、又はその利益を享受する時における価額とする旨それぞれ規定している。
ハ 租税特別措置法(以下「措置法」という。)第31条《長期譲渡所得の課税の特例》第1項は、個人がその年の1月1日において所有期間が5年を超えるものの土地等の譲渡をした場合には、他の所得と区分してその譲渡に係る譲渡所得(以下「分離長期譲渡所得」という。)の金額から長期譲渡所得の特別控除額を控除した金額に対し所定の所得税を課する旨規定している。
ニ 措置法第32条《短期譲渡所得の課税の特例》第1項は、個人がその年の1月1日において所有期間が5年以下である土地等の譲渡をした場合には、他の所得と区分してその譲渡に係る譲渡所得(以下「分離短期譲渡所得」という。)の金額に対し所定の所得税を課する旨規定している。

(4)基礎事実

 以下の事実は、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査の結果によってもその事実が認められる。
イ 請求人とGは、請求人が所有する別表2の番号1ないし4の土地(ただし、番号3の土地の請求人の持分は3分の2である。以下、これらの土地を併せて「本件第一土地」という。)とGが所有する同表の番号5ないし7の土地(以下、これらの土地を併せて「本件第二土地」という。)を平成12年5月23日に交換した(以下「本件第一交換」という。)こと。
ロ 請求人とHは、請求人が所有する別表2の番号8ないし10の土地(以下、これらの土地を併せて「本件第三土地」という。)及び本件第二土地とHが所有する同表の番号11ないし15の土地(以下、これらの土地を併せて「本件第四土地」という。)を平成12年8月10日に交換した(以下「本件第二交換」といい、本件第一交換と併せて「本件交換」という。)こと。
ハ 本件第一交換における請求人とGとの間及び本件第二交換における請求人とHとの間には、いずれも金銭の授受はないこと。

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2 主張

(1)原処分庁の主張

 原処分は、次の理由により適法であるから、審査請求を棄却するとの裁決を求める。
イ 更正処分について
(イ)所得税法第33条に規定する譲渡所得に対する課税は、資産の値上がりによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得として、その資産が所有者の支配を離れて他に移転するのを機会に、これを清算して課税するという趣旨によるものであり、この資産の譲渡とは、有償無償を問わず、資産を移転させる一切の行為を指し、売買のほか、交換、代物弁済、物納等による資産の移転が含まれるものと解されている。
(ロ)請求人は、本件交換に納税義務は生じない旨主張するが、上記(イ)のとおり、資産の譲渡には、売買のほか交換による資産の移転も含まれるので、本件交換による所得も譲渡所得となる。
(ハ)また、請求人は、原処分庁は本件交換に至る事情を無視して原処分をした旨主張するが、行政庁は、法律の根拠なしに租税を賦課することはできず、また、課税要件が充足している限り租税の減免の自由はなく、法律で定められたとおりの課税がされなければならないものと解されている。
(ニ)本件交換に係る譲渡所得の金額の計算上総収入金額に算入すべき金額は、所得税法第36条の規定により、交換により取得した土地のその取得時における価額となるが、次の理由により、M県のJ整備事業に係るK地区第○換地区(以下「K地区」という。)の換地設計基準により決定された同地区内の従前地の評定価格(以下「本件評定価格」という。)を採用して、別表3の「〔4〕」欄及び「〔10〕」欄のとおり算出した。
A 本件第二土地及び本件第四土地は、いずれもK地区に所在していること。
B 本件評定価格は、K地区において土地改良事業を施行する際に、減歩や不換地により金銭による清算を要する場合を想定して定められた価格であり、農林水産省の通達に示された標準地比準方式により、近傍の取引事例、近隣の土地改良事業での評価額、組合員へのアンケートの実施結果及び地域における農業収益価格を参考に、土地改良区の組合員の代表者で構成された評価委員会の承認により決定されていること。
C 本件第二土地及び本件第四土地の近隣に位置する土地(田)の平成12年中の取引事例をみると、社団法人L(以下「L社」という。)は、農地保有合理化事業のために、本件評定価格によって買い入れていること。
(ホ)また、本件交換により譲渡した土地の各収入金額は、別表3の「〔4〕」欄及び「〔10〕」欄の各評定価格を基に、それぞれの地積に応じてあん分して別表4の「原処分庁主張額」欄のとおり算定した。
(ヘ)分離短期譲渡所得について
 措置法第32条の規定により、別表2の番号1ないし3及び5ないし8の各土地が分離短期譲渡所得となり、その金額は、次のことから、別表5の「原処分庁主張額」欄記載のとおり1,744,428円となる。
A 収入金額(別表5の「〔1〕」欄)は、別表4の〔1〕ないし〔3〕及び〔5〕ないし〔8〕の各土地の「原処分庁主張額」欄記載の金額の合計額である。
B 取得費(別表5の「〔2〕」欄)は、原処分庁の調査により認定した金額で、別表6の〔1〕ないし〔3〕及び〔5〕ないし〔8〕の各土地の「原処分庁主張額」欄記載の金額の合計額である。
(ト)分離長期譲渡所得について
 措置法第31条の規定により、別表2の番号4、9及び10の各土地が分離長期譲渡所得となり、その金額は、次のことから、別表5の「原処分庁主張額」欄記載のとおり1,006,380円となる。
A 収入金額(別表5の「〔3〕」欄)は、別表4の〔4〕、〔9〕及び〔10〕の各土地の「原処分庁主張額」欄記載の金額の合計額である。
B 取得費(別表5の「〔4〕」欄)は、措置法第31条の4《長期譲渡所得の概算取得費控除》第1項の規定に基づいて算出した額で、別表6の〔4〕、〔9〕及び〔10〕の各土地の「原処分庁主張額」欄記載の金額の合計額である。
C 特別控除の額(別表5の「〔5〕」欄)は、措置法第31条第4項に規定する金額である。
ロ 過少申告加算税の賦課決定処分について
 上記イのとおり、更正処分は適法であり、かつ、確定申告額が過少であったことについて、国税通則法(以下「通則法」という。)第65条《過少申告加算税》第4項に規定する正当な理由があるとは認められないので、同条第1項及び第2項の規定に基づいて行った過少申告加算税の賦課決定処分は適法である。

(2)請求人の主張

 原処分は、次の理由により違法であるから、その全部の取消しを求める。
イ 更正処分について
(イ)本件交換については、いずれも金銭の授受がなく、譲渡所得は0円であるから、納税義務は生じない。
 なお、原処分庁は、請求人に係る譲渡所得の収入金額について、K地区の換地設計基準に基づく本件評定価格を用いて算出しているが、この換地設計基準は、M県に対しほ場整備事業の認可を得ることを目的に作成されるものであり、本件評定価格は、そのために決定される価格であるから、実際の取引価格よりは高いものである。
(ロ)請求人は、本件交換を自己の利益のためではなく、国の事業に協力するために自ら犠牲を払いやむを得ず行ったものであるが、原処分庁は、これらの事情を無視して更正処分を行った。
ロ 過少申告加算税の賦課決定処分について
 上記イのとおり、更正処分は違法であり、その全部を取り消すべきであるから、これに伴い過少申告加算税の賦課決定処分もその全部を取り消すべきである。

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3 判断

(1)更正処分について

 請求人が平成12年中にした本件交換について、所得税が課されるか否かに争いがあるので、以下審理する。
イ 認定事実
 原処分関係資料、請求人及び関係者の答述並びに当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
(イ)本件交換に至る経緯は、次のとおりであること。
A 別表2に掲げる土地は、いずれもK地区の区域内に所在する土地であるが、M県は、同区域内において、国が実施するN施設に必要な用地(以下「本件施設用地」という。)を確保する必要が生じ、本件施設用地は、土地改良法に規定する換地処分によりP土地改良区に取得させ、同土地改良区から国に譲渡することとした。
B そして、P土地改良区は、本件施設用地に所在する本件第四土地の一部を確保するに当たり、その所有者であるHの要望により、同人に対して代替地を確保する必要が生じた。
C そこで、当時、P土地改良区の副理事長を務めていた請求人は、本件施設用地を確保するため、自らが所有する土地とHが所有する本件第四土地を交換することとしたが、Hが「近隣のまとまった土地」を要望したため、請求人は、Gが所有する本件第二土地を事前に取得した上、これに隣接する請求人所有の本件第三土地を併せて、H所有の本件第四土地と交換することとした。
(ロ)本件評定価格については、次のとおりであること。
A K地区に係る換地設計基準は、平成11年4月1日から施行されているところ、この基準に定める土地評価処理要領は、換地清算のために、農林水産省の通達に定める標準地比準方式により近傍類似の取引価格及び地域における農業収益価格を調査・検討し、農家への意向調査などをした上で、K地区内の従前の土地の評価について、最高等位1(10a当たり1,100,000円)から最低等位25(10a当たり620,000円)まで25段階の本件評定価格を定めている。
B そして、P土地改良区は、K地区内の従前の土地について、土地一筆ごとに現地確認などの調査をした上、各土地の等位を決定しており、本件第二土地及び本件第四土地の各土地の従前の等位は、いずれも別表3の〔1〕ないし〔3〕及び〔5〕ないし〔9〕の各「等位」欄記載のとおりである。
 また、等位13、14、16及び17の本件評定価格は、次のとおりである。

(A)等位1310a当たり860,000円
(B)等位1410a当たり840,000円
(C)等位1610a当たり800,000円
(D)等位1710a当たり780,000円

(ハ)L社は、農地流動化の推進を目的として農地売買等の事業を行っているが、その際のK地区内における農地の売買価格については、本件評定価格及びその等位が決定された以降において、各土地の従前地の本件評定価格をもって売買価格を決定していること。
(ニ)請求人は、別表2の番号1ないし10の各土地を、それぞれ別表6の「取得年月日」欄記載の日に取得していること。
(ホ)また、請求人は、別表2の番号2、3及び8の各土地を、次のとおり取得していること。
A 番号2の土地(350平方メートル)は、平成7年中にQから50,000円で取得している。
B 番号3の土地(525平方メートルのうち持分3分の2)は、平成11年中にRから50,000円で取得している。
C 番号8の土地(614平方メートル)は、M県S市T町○○番○の土地(田、3平方メートル。)と併せた合計617平方メートルを、平成7年中にVほか1名から250,000円で取得している。
ロ 資産の交換に対する課税について
(イ)譲渡所得に対する課税は、資産の値上がりによりその資産の所有者に帰属する増加益を所得として、その資産が所有者の支配を離れて他に移転するのを機会にこれを清算して課税する趣旨のものであり、資産の譲渡とは、有償無償を問わず資産を移転させる一切の行為をいうものであり、売買のほか交換や代物弁済などによる資産の移転が含まれると解されるから、資産の交換は、譲渡所得の課税の対象となる。
(ロ)資産の交換とは、自己の有する資産を相手に譲渡する対価として金銭の代わりに相手の有する資産を譲り受けるものであるから、交換により取得した資産の額すなわち交換に係る対価の額と交換により譲渡した資産の取得の時の価額との差額が、当該譲渡資産を所有していた間に生じた値上がり益となるから、当該譲渡資産が所有者の支配を離れて他に移転するのを機会にその値上がり益について譲渡所得課税が行われるべきであって、交換に係る対価が金銭であるかそれ以外の物であるかによってその課税が異なるものではない。
(ハ)また、金銭の授受を伴わない資産の交換の場合の譲渡所得の金額の計算上総収入金額に算入すべき金額は、所得税法第36条の規定に従うと、交換により取得した資産の取得時における価額によることとなり、この取得時における価額は、その資産の現況において不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいうものと解される。
(ニ)そして、土地の交換につき通常成立すると認められる価額は、〔1〕その交換に係る土地そのものの売買取引が行われているような場合はその売買価額、〔2〕交換により取得した土地の周辺における取引事例、〔3〕地価公示法第6条《標準値の価格等の公示》の規定により公示された標準地の価格及び〔4〕土地改良事業に伴う換地清算金等の支払がある場合はその清算金の額などを基に、時点修正や条件格差等を考慮するなどして算定することが合理的であると解される。
ハ 請求人は、本件交換は金銭の授受がないから納税義務は生じない旨主張する。
 しかしながら、上記1の(4)の基礎事実並びに上記ロの(イ)及び(ロ)に述べたとおり、請求人のした本件第一土地の譲渡並びに本件第二土地及び本件第三土地の譲渡について、それらの土地の収入金額がそれぞれの取得費に比して値上がりしている場合には、金銭の授受がないとしても譲渡所得の課税の対象となるものであるから、この点に関する請求人の主張を採用することはできない。
ニ また、請求人は、本件交換は国の事業に協力するために犠牲を払ったのであるからこれらの事情を考慮すべきである旨主張する。
 確かに、請求人は、上記イの(イ)のとおり、P土地改良区が国の事業のために本件施設用地を確保することに協力して本件交換を行ったものであることは認められるものの、譲渡所得の課税の趣旨は、上記ロの(イ)のとおり、資産を所有していた間に生じた値上がりによる増加益の清算にあり、また、租税法規に定められた事由以外の事情によって租税の減免をすることは許されない。
 そして、本件交換においては、請求人主張の事情を考慮して租税の減免を行うことができる旨定めた所得税法その他法令の規定はないことから、この点に関する請求人の主張を採用することはできない。
ホ 本件交換に係る譲渡所得の金額の計算上総収入金額に算入すべき金額について
(イ)本件評定価格は、上記イの(ロ)のとおり、近傍類似の取引価格及び地域における農業収益価格を調査・検討し、農家への意向調査などをした上で算定されており、さらに、W土地改良区によって一筆ごとに現地確認などの調査をした上で各土地の等位格付が定められたものであることが認められるから、その価格算定要素及び土地の個別事情が考慮された客観的かつ具体的なものということができる。
(ロ)そして、本件交換に係る譲渡所得の金額の計算上総収入金額に算入すべき金額は、上記イの(ロ)のA及び(ハ)のとおり、〔1〕K地区内の換地清算は本件評定価格を基に算定されることが予定されていること及び〔2〕本件交換に係る土地が所在するK地区内においてL社が売買する農地の価格が本件評定価格によって決定されていることなどを考慮すると、本件評定価格を基に算定するのが最も合理的であると認められる。
(ハ)請求人は、本件評定価格は実際の取引価格よりも高いものである旨主張する。
 しかしながら、本件交換に係る譲渡所得の金額の計算上総収入金額に算入すべき金額につき本件評定価格を基に算定することが合理的であることは、上記(イ)及び(ロ)で述べたとおりであるから、この点に関する請求人の主張を採用することはできない。
(ニ)以上のことから、本件交換により譲渡した土地の収入金額を所得税法第36条の規定及び本件評定価格に基づき算定すると、次のとおりとなる。
A 本件第一交換について
 請求人は、本件第一土地を譲渡し本件第二土地を取得したのであるから、本件第二土地の取得時の価額が本件第一交換の収入すべき金額となり、別表3の〔4〕の「C」欄記載のとおり2,401,620円となる。
 そして、本件第一土地の各土地の収入金額は、上記2,401,620円を別表2の番号1ないし4の土地の合計地積2,788平方メートル(番号3の土地については持分が3分の2のため350平方メートルで算出。)に対する各土地の地積の割合に応じてあん分して算出した、別表4の〔1〕ないし〔4〕の「審判所認定額」欄記載のとおりとなる。
B 本件第二交換について
 請求人は、本件第二土地及び本件第三土地を譲渡し本件第四土地を取得したのであるから、本件第四土地の取得時の価額が本件第二交換の収入すべき金額となり、別表3の〔10〕の「C」欄記載のとおり4,250,160円となる。
 そして、本件第二土地及び本件第三土地の各土地の収入金額は、上記4,250,160円を別表2の番号5ないし10の土地の合計地積5,167平方メートルに対する各土地の地積の割合に応じてあん分して算出した、別表4の〔5〕ないし〔10〕の「審判所認定額」欄記載のとおりとなる。
ヘ 分離短期譲渡所得について
 別表2の番号1ないし3及び5ないし8の各土地は、別表6の「取得年月日」欄記載のとおり、いずれも平成12年1月1日においてその所有期間が5年以下の土地であるから、その譲渡による所得は、措置法第32条の規定により分離短期譲渡所得に当たり、その金額は、次のことから別表5の「審判所認定額」欄記載のとおり1,640,467円となる。
(イ)収入金額(別表5の「〔1〕」欄)は、別表4の〔1〕ないし〔3〕及び〔5〕ないし〔8〕の各土地の「審判所認定額」欄記載の金額の合計4,540,013円である。
(ロ)取得費(別表5の「〔2〕」欄)は、次のことから別表6の〔1〕ないし〔3〕及び〔5〕ないし〔8〕の各土地の「審判所認定額」欄記載の金額の合計2,899,546円となる。
A 別表2の番号2及び3の各土地の取得費は、上記イの(ホ)のA及びBのとおり、いずれも50,000円である。
B 別表2の番号1の土地の取得費については、必ずしも明らかではないところ、原処分庁は44,970円としているが、別表6の〔1〕及び〔2〕の「取得年月日」欄のとおりその取得年月日が同日であり、また、同土地に隣接している別表2の番号2の土地の取得費を基に、次のとおり算出するのが合理的である。
 50,000円×(1,044平方メートル÷350平方メートル)=149,142円
C 別表2の番号5ないし7の各土地は、本件第一交換により取得したものであるから、その取得費は、本件評定価格に基づき算定した別表3の〔1〕ないし〔3〕の「C」欄記載の金額である。
D 別表2の番号8の土地(614平方メートル)は、上記イの(ホ)のCのとおり二筆を併せて(合計617平方メートル)250,000円で取得していることから、その取得費は、次のとおり算出した。
 250,000円×(614平方メートル÷617平方メートル)=248,784円
ト 分離長期譲渡所得について
 別表2の番号4、9及び10の各土地は、別表6の「取得年月日」欄記載のとおりいずれも平成12年1月1日においてその所有期間が5年を超える土地であるから、その譲渡による所得は、措置法第31条の規定により分離長期譲渡所得に当たり、その金額は、次のことから別表5の「審判所認定額」欄記載のとおり1,006,179円となる。
(イ)収入金額(別表5の「〔3〕」欄)は、別表4の〔4〕、〔9〕及び〔10〕の各土地の「審判所認定額」欄記載の金額の合計2,111,767円である。
(ロ)取得費(別表5の「〔4〕」欄)は、措置法第31条の4第1項の規定に基づいて算出した額で、別表6の〔4〕、〔9〕及び〔10〕の各土地の「審判所認定額」欄記載の金額の合計105,588円である。
(ハ)特別控除の額(別表5の「〔5〕」欄)は、措置法第31条第4項に規定する金額の1,000,000円である。
チ 以上の結果、請求人の平成12年分の分離短期譲渡所得の金額及び分離長期譲渡所得の金額は、それぞれ別表5の「審判所認定額」欄記載のとおりとなり、この額はいずれも更正処分の額を下回るから、更正処分は、その一部を取り消すべきである。

(2)過少申告加算税の賦課決定処分について

イ 更正処分は、上記(1)のとおり、その一部を取り消すべきであるから、過少申告加算税の賦課決定処分の基礎となる税額は680,000円となる。
ロ また、この税額の計算の基礎となった事実については、通則法第65条第4項に規定する正当な理由があるとは認められない。
ハ したがって、請求人の過少申告加算税の額は77,000円となり、賦課決定処分の金額に満たないから、過少申告加算税の賦課決定処分は、その一部を取り消すべきである。
(3)原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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