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(平15.6.26裁決、裁決事例集No.65 937頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1)事案の概要

 本件は、課税仕入れの税額の控除に係る帳簿及び請求書等の保存がない場合であっても、課税庁が調査において課税仕入れに係る消費税額(以下「仕入税額」という。)を把握できる場合には、仕入税額の控除(以下「仕入税額控除」という。)をすべきか否かを争点とする事案である。

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(2)審査請求に至る経緯

イ 審査請求人(以下「請求人」という。)は、資源再生業を営む者であるが、平成10年1月1日から同年12月31日まで、平成11年1月1日から同年12月31日まで及び平成12年1月1日から同年12月31日までの各課税期間(以下、順次「平成10年課税期間」、「平成11年課税期間」及び「平成12年課税期間」といい、これら3課税期間を併せて「各課税期間」という。)に係る消費税及び地方消費税(以下、これらを併せて「消費税等」という。)に係る確定申告書をいずれも法定申告期限内に原処分庁に提出しなかった。
ロ 原処分庁は、これに対し、平成14年3月8日付で、次表のとおり、各課税期間の決定処分(以下「本件各決定処分」という。)及び無申告加算税の賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」という。)をした。

ハ 請求人は、これらの処分を不服として、平成14年4月16日に異議申立てをしたところ、異議審理庁は、同年7月8日付で棄却の異議決定をした。
ニ 請求人は、異議決定を経た後の原処分に不服があるとして、平成14年8月6日に審査請求をした。

(3)関係法令

イ 消費税法(平成12年法律第26号による改正前のもの。以下同じ。)第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第1項は、事業者が、国内において課税仕入れを行った場合には、当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から、当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額を控除する旨規定し、同条第7項は、同条第1項の規定は事業者が当該課税期間の仕入税額控除に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合には、当該保存がない仕入税額については適用しない(ただし、災害その他やむを得ない事情により、当該保存をすることができなかったことを当該事業者において証明した場合は、この限りではない。)旨規定している。
ロ 消費税法施行令第50条《課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿等の保存期間等》第1項は、消費税法第30条第1項の規定の適用を受けようとする事業者は、同条第7項に規定する帳簿及び請求書等を整理し、当該帳簿についてはその閉鎖の日の属する課税期間の末日の翌日、当該請求書等についてはその受領した日の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間、これを納税地又はその取引に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地に保存しなければならない旨規定している。
 また、租税特別措置法第86条の6《個人事業者に係る消費税の課税資産の譲渡等についての確定申告期限の特例》第1項は、個人事業者のその年の12月31日の属する課税期間に係る消費税等の確定申告書の提出期限をその年の翌年3月31日とする旨、同法施行令第46条の4《個人事業者に係る中間申告等の特例》第2項は、消費税法施行令第50条第1項中「経過した日」とあるのは、租税特別措置法第86条の6第1項の規定の適用がある場合には、「これらの課税期間に係る同項に規定する確定申告書の提出期限の翌日」とする旨規定している。

(4)基礎事実

 以下の事実は、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査によってもその事実が認められる。
イ 請求人は、消費税法第2条《定義》第1項第3号及び第9号の規定による課税資産の譲渡等を行う個人事業者である。
ロ 請求人は、消費税法第37条《中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例》第1項の規定の適用を受ける旨の届出書(簡易課税制度選択届出書)を提出していない。

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2 主張

(1)請求人の主張

 原処分は、次の理由により違法・不当であるから、その一部の取消しを求める。
イ 本件各決定処分について
(イ)原処分庁は、消費税法第30条第7項の規定を文字どおり厳格に解釈し、仕入税額控除を一切認めなかったが、仕入税額控除に係る帳簿及び請求書等の保存がない場合であっても、以下に述べる国税通則法第24条《更正》、同法第25条《決定》の規定及び消費税法第30条第7項の制定の趣旨から考えると仕入税額控除を認めるべきである。
A 申告納税方式の下においては、納税者の一方的な申告行為によって納税義務が完結するわけではなく、例えば、国税通則法第24条では「その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったとき、その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときは、その調査により、当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する。」とするがごとく、納税義務は、課税庁の最終的な調査によって終結する。
B また、消費税法は課税期間の課税標準額に対する消費税額から当該課税期間中の仕入税額を控除するという前段階控除方式を採用し税負担の累積を排除することとしているところ、同法第30条第7項の規定は、税額算定の過程における立証責任とその方法を示したものであって、基本的には、納税者にその責任を全面的に課していることは、条文上明らかである。
 一方、課税庁側にあっては、国税通則法第24条や同法第25条の規定によって、自ら職権で真実の課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実を調査、発見するのであって、消費税法第30条第7項は、この場合の当該処分に対する事後の争訟における課税庁に負わされた立証責任との関係から、「納税者の帳簿及び請求書等の保存のないもの」の仕入税額については、納税者の側から課税庁が認定した以上のものの主張をすることを許さないという趣旨の規定であり、課税庁が自ら発見、確認したこれらの仕入税額をどのような場合でも控除しないというものではない。
C 帳簿及び請求書等の保存がある場合でも、課税庁の調査においてそれらを納税者側が提示しなかった場合に、課税庁が帳簿及び請求書等の保存がないと擬制することは、課税庁が納税者の主張する税額の真偽を調査によって確認することができないままこれを全額認めた場合に善良な納税者との均衡を失することになりかねないから、申告納税制度の維持、発展のために、法文上にはなくても必要な取扱いであるとして裁判上是認されているのである。
 課税庁は自ら都合のいい場合には法文上にない取扱いを日常的に行っているのであるから、帳簿及び請求書等の保存がない場合の仕入税額控除の適用について、条文の規定がないことを理由としてこれを認めないとすることは容認できない。
D 請求人は、原処分に係る調査(以下「本件調査」という。)の継続中において、取引先から入手した売上帳(請求人にとっては、課税仕入れの内容が判明するもの)のコピー等を原処分庁へ提示している。
 さらに、代理人であるG税理士が本件調査に関与した時点からは、一貫して調査に協力し、また、帳簿書類等を復元することによって仕入税額の立証が可能である旨を主張し、資料も提出したが、本件調査の担当者(以下「調査担当者」という。)は、消費税法第30条第7項の解釈について、自己の主張を譲らずこれを拒み、課税売上げに係る消費税額から控除すべき仕入税額が零円であるとして、期限後申告書の提出を要求するのみであった。
 本件調査の最終段階においては、請求人の課税仕入れの事実を証する帳簿(ただし、請求人の取引先が作成した帳簿のコピーでいわゆる原本証明のされたもの)や請求人自身が作成した原材料等の仕入れに係る証ひょうが現実に存在し、現在ではこれらを整理して復元した帳簿も存在する。
 これらによって証明される仕入税額を控除しないことは租税正義にかなうものではない。
(ロ)数額については、請求人が請求人及びその取引先の協力により作成、提出した書類に基づき、調査担当者が把握できた仕入税額を課税売上げに係る消費税額から控除することを求める。
 仮に上記の主張が認められないとしても、G税理士が本件調査において主張した、預金通帳等から計算できる光熱費、通信費等の復元可能なその他の仕入税額の控除を求める。
ロ 本件各賦課決定処分について
 上記イのとおり、本件各決定処分は違法・不当でその一部を取り消すべきであるから、本件各決定処分の一部取消しに伴う部分についての本件各賦課決定処分の取消しを求める。

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(2)原処分庁の主張

 原処分は、次の理由により適法であるから、審査請求を棄却するとの裁決を求める。
イ 本件各決定処分について
(イ)仕入税額控除について
 本件調査において、調査担当者が請求人に対し、仕入税額控除に係る帳簿及び請求書等の保存がある場合に限り仕入税額控除の適用がある旨を説明し、再三にわたりその提示を求めたところ、請求人は、〔1〕平成12年2月24日から平成13年1月16日の課税仕入れに係る納品書(仕切書)12冊、〔2〕各課税期間に係る株式会社Hの売上元帳のコピー、〔3〕L株式会社が発行した平成11年課税期間及び平成12年課税期間に係る見積書控えのコピー及び各課税期間に係る同社が作成した相殺等総括表、〔4〕各課税期間に係る株式会社Jの売上元帳のコピー、〔5〕K(屋号○○○)が発行した各課税期間に係る仕切書及び領収証控えのコピーを提示した。
 しかしながら、仕入税額控除に係る帳簿を一切提示しないことから、消費税法第30条第7項に規定する「課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合」に該当し、仕入税額を控除することはできない。
 したがって、仕入税額はないとして行った本件各決定処分は適法である。
(ロ)消費税等の課税標準額等について
A 納税義務について
 請求人の各課税期間に係る基準期間の課税売上高は、平成8年1月1日から同年12月31日までの課税期間が166,571,822円、平成9年1月1日から同年12月31日までの課税期間が235,073,803円、平成10年課税期間が252,181,091円となり、いずれも3,000万円を超えているから、各課税期間について消費税法第9条《小規模事業者に係る納税義務の免除》の規定の適用はなく、各課税期間中に行った課税資産の譲渡等につき消費税等を納める義務がある。
B 消費税について
(A)課税標準額
 各課税期間の収入金額は、平成10年課税期間が264,790,146円、平成11年課税期間が333,268,062円、平成12年課税期間が532,695,554円であり、いずれも消費税法第2条第1項第9号に規定する課税資産の譲渡等の対価の額に相当するので、各課税期間の課税標準額(国税通則法第118条《国税の課税標準の端数計算等》第1項の規定により1,000円未満の端数を切り捨てたもの。以下同じ。)は、これらの金額に105分の100を乗じた金額で、平成10年課税期間が252,181,000円、平成11年課税期間が317,398,000円、平成12年課税期間が507,329,000円となる。
(B)課税標準額に対する消費税額
 各課税期間の課税標準額に対する消費税額は、上記(A)の課税標準額に消費税の税率100分の4を乗じて算出した金額で、平成10年課税期間が10,087,240円、平成11年課税期間が12,695,920円、平成12年課税期間が20,293,160円となる。
(C)課税標準額に対する消費税額から控除する税額
 上記(イ)のとおり、控除すべき仕入税額はなく、また、仕入税額控除以外の税額の控除に関する規定の適用もない。
(D)納付すべき税額
 そうすると、各課税期間の消費税の納付すべき税額(国税通則法第119条《国税の確定金額の端数計算等》第1項の規定により100円未満の端数を切り捨てたもの。以下同じ。)は、平成10年課税期間が10,087,200円、平成11年課税期間が12,695,900円、平成12年課税期間が20,293,100円となる。
C 地方消費税について
 各課税期間の地方消費税の納付すべき譲渡割額(地方税法第20条の4の2《課税標準額、税額等の端数計算》第3項の規定により100円未満の端数を切り捨てたもの。以下同じ。)は、上記Bの(D)の消費税の納付すべき税額が地方消費税の課税標準額になるから、当該金額に地方消費税の税率100分の25を乗じて算定すると、平成10年課税期間が2,521,800円、平成11年課税期間が3,173,900円、平成12年課税期間が5,073,200円となる。
D 以上のとおり、請求人の各課税期間の消費税等の納付すべき税額及び納付すべき譲渡割額は、いずれも本件各決定処分に係る消費税等の納付すべき税額及び納付すべき譲渡割額と同額であるから、本件各決定処分は適法である。
ロ 本件各賦課決定処分について
 上記イのとおり、本件各決定処分は適法であり、請求人が法定申告期限までに確定申告書を提出しなかったことについて、国税通則法第66条《無申告加算税》第1項ただし書に規定する正当な理由がある場合に該当するとは認められないから、同条の規定に基づいて行った本件各賦課決定処分は適法である。

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3 判断

(1)本件各決定処分について

 双方の主張に基づいて調査、審理したところ、次のとおり判断される。
イ 認定事実
 原処分関係資料及び当審判所の調査によれば、次の事実が認められる。
(イ)調査担当者は、平成13年10月12日から平成14年2月28日の間、再三にわたり、請求人に対して直接又は関与税理士等を介して、帳簿及び請求書等の提示を求めるとともに、帳簿及び請求書等の提示がない場合には仕入税額控除ができない旨説明した。
(ロ)請求人が、本件調査の終了までの過程において、仕入税額を証明するものとして調査担当者に提示した資料(以下「本件提示資料」という。)及びその記載内容は、別表のとおりである。
(ハ)別表の〔1〕欄の仕切書は、請求人が作成した書類であるが帳簿ではなく、仕入れの際に複写で2部作成され、その1部が仕入れの相手方に交付される仕入計算書のようなものであるが、その記載された内容につき、課税仕入れの相手方の確認を受けたものではない。
(ニ)別表の〔2〕欄ないし〔6〕欄の資料は、いずれも本件調査の開始後に、請求人が自己の取引先から取り寄せたものである。
(ホ)平成14年2月22日、請求人及び同人の妻が本件提示資料の一部を提示するためにM税務署に赴いた際、調査担当者が、請求人に対し、これ以外に帳簿書類はないのかと質問したところ、請求人は「もうない」と申述した。
ロ 上記1の(3)のイのとおり、事業者が当該課税期間の仕入税額控除に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合には、当該保存がない仕入税額については仕入税額控除を適用しないこととされているところ、消費税法第30条第7項の規定は、仕入税額の証明手段を法定の帳簿及び請求書等に限定していると解するのが相当であるから、他の証拠資料によって課税仕入れに係る支払対価の額を合理的に推認できる場合であっても、仕入税額を控除することは認められない。
 また、上記1の(3)のロのとおり、仕入税額控除に係る帳簿及び請求書等の保存年限、保存場所を厳格に制約しているのは、適法な税務調査がなされる際、調査担当職員から要請があれば、速やかに帳簿及び請求書等が提示され、これに基づき課税庁において仕入税額が算出、確認され得ることを予定し、かかる帳簿及び請求書等が所定の年限、場所に保存されていない場合には、仕入税額を控除しないこととする趣旨と解される。
ハ 仕入税額控除に係る帳簿及び請求書等の保存の有無について
 これを本件についてみると、上記イの(イ)及び(ロ)のとおり、調査担当者の帳簿及び請求書等の提示要求に対し、請求人は、本件提示資料を提示したが、上記イの(ハ)のとおり、別表の〔1〕欄の仕切書は、帳簿ではなく仕入計算書のような書類であるものの消費税法第30条第9項第2号かっこ書に規定される「課税仕入れの相手方の確認を受けたもの」との条件を満たさないから、同条第7項に規定する請求書等に該当するとは認められず、また、上記1の(3)のロによれば、仕入税額控除が認められるためには、請求人の場合、仕入税額控除に係る帳簿及び請求書等を、遅くとも平成10年課税期間については平成11年4月1日までに、平成11年課税期間については平成12年4月1日までに、平成12年課税期間については平成13年4月1日(以下、平成11年4月1日及び平成12年4月1日と併せて「各基準日」という。)までに、それぞれ整理し、以後7年間これを保存することを継続していることが要件となるが、上記イの(ニ)のとおり、別表の〔2〕欄ないし〔6〕欄の資料は、いずれも本件調査の開始後に請求人が取引先から取り寄せたもので、請求人が各基準日までに整理し、以後本件各決定処分に至るまで継続して保存したものではないから、消費税法第30条第7項に規定する帳簿及び請求書等に該当するとは認められない。
 さらに、上記イの(ホ)の請求人の申述も併せみれば、請求人は、各課税期間の各基準日までに消費税法第30条第7項に規定する帳簿及び請求書等を保存していなかったと認めるのが相当であるから、原処分庁が、各課税期間の納付すべき税額等の計算に当たり、仕入税額控除の適用をしなかったことは適法である。
 なお、請求人は帳簿及び請求書等を保存できなかったことにつきやむを得ない事情が存したことを主張、立証せず、当審判所の調査の結果によってもそのような事情が存したとは認められない。
ニ 国税通則法及び消費税法に関する請求人の主張について
 この点に対し、請求人は、仕入税額控除に係る帳簿及び請求書等の保存がない場合であっても、国税通則法第24条や同法第25条の規定及び消費税法第30条第7項の制定趣旨から、課税庁が調査の過程において自ら把握した仕入税額を控除すべきである旨、また、これが認められない場合であっても、預金通帳等から計算できる光熱費等、通信費等の復元可能なその他の仕入税額を控除すべきである旨主張する。
 ところで、国税通則法は、租税債権の確定等に関する各租税法の共通的手続を規定したものであり、国税通則法第25条によれば、納税申告書を提出する義務があると認められる者が当該申告書を提出しなかった場合には、税務署長は調査により当該申告書に係る課税標準等及び税額等を決定することとされているが、このことが直ちに、仕入税額控除に係る帳簿及び請求書等を保存していない場合でも、納税者の負担した仕入税額を課税庁が調査して控除しなければならないとする法律上の義務を課税庁に課したものとは解されず、仕入税額控除の適用の可否について、納税者の帳簿書類の記録、保存状況や、収集した資料を基に、消費税法第30条第7項の規定に照らして判断することが、国税通則法第25条にいう調査に当たるといえる。
 そして、上記ロ及びハのとおり、仕入税額控除に係る帳簿及び請求書等の保存がない本件においては、請求人が実際に負担した仕入税額があると認められたとしても、仕入税額控除の適用を認めないことが消費税法第30条第1項及び第7項の規定の趣旨にかなうのであるから、原処分庁が本件各決定処分において仕入税額控除の適用を認めなかったことは相当であり、違法・不当な点は認められない。
 また、たとえ帳簿書類等を復元したとしても、上記ハに述べた各基準日までに整理し、以後これを継続して保存するとの要件を満たすことにはならないから、いずれにしても仕入税額控除の適用は認められない。
 したがって、これらの点に関する請求人の主張には理由がない。
ホ 納付すべき税額等について
 各課税期間において請求人に消費税等の納税義務があること及び原処分庁が認定した各課税期間の消費税の課税標準額について、請求人は争わず、当審判所の調査によってもこれを不相当とする理由は認められない。
 また、上記ハ及びニのとおり、請求人には控除すべき仕入税額はない。
 そうすると、次表のとおり、各課税期間の消費税の納付すべき税額は、平成10年課税期間が10,087,200円、平成11年課税期間が12,695,900円、平成12年課税期間が20,293,100円となり、地方消費税の納付すべき譲渡割額は、平成10年課税期間が2,521,800円、平成11年課税期間が3,173,900円、平成12年課税期間が5,073,200円となり、いずれも本件各決定処分に係る消費税の納付すべき税額及び地方消費税の納付すべき譲渡割額と同額となるから、本件各決定処分は適法であり、請求人の主張には理由がない。

(2)本件各賦課決定処分について

 以上のとおり、本件各決定処分は適法であり、また、請求人には、期限内申告書の提出がなかったことについて、国税通則法第66条第1項ただし書に規定する正当な理由があるとは認められないから、原処分庁が同項及び地方消費税法附則第9条の9《譲渡割に係る延滞税計算の特例》第1項の規定に基づいて行った本件各賦課決定処分は適法である。
(3)原処分のその他の部分について、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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