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(平17.7.15裁決、裁決事例集No.70 381頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1)事案の概要

 本件は、繊維製品の卸売等を営む審査請求人(以下「請求人」という。)の仕入れに係る歩引き及び売上げに係る歩引きが、それぞれ消費税法第32条《仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例》第1項に規定する仕入れに係る対価の返還等及び同法第38条《売上げに係る対価の返還等をした場合の消費税額の控除》第1項に規定する売上げに係る対価の返還等に該当するか否かを争点とする事案である。

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(2)審査請求に至る経緯

イ 請求人は、平成12年11月1日から平成13年10月31日まで、平成13年11月1日から平成14年10月31日まで及び平成14年11月1日から平成15年10月31日までの各課税期間(以下、順次「平成13年10月課税期間」、「平成14年10月課税期間」及び「平成15年10月課税期間」といい、これらを併せて「本件各課税期間」という。)の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)について、確定申告書に別表の「確定申告」欄のとおり記載して、いずれも法定申告期限までに申告した。
ロ 原処分庁は、これに対し、平成16年6月29日付で、本件各課税期間の消費税等について、別表の「更正処分等」欄のとおりとする各更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び過少申告加算税の各賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」という。)をした。
ハ 請求人は、これらの処分を不服として、平成16年7月8日に異議申立てをしたところ、異議審理庁は、同年10月5日付で棄却の異議決定をした。
ニ 請求人は、異議決定を経た後の原処分に不服があるとして、平成16年11月1日に審査請求をした。

(3)関係法令

 関係法令は、別紙に記載のとおりである。

(4)基礎事実

 以下の事実については、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査の結果によってもその事実が認められる。
イ 請求人は、大部分の仕入先に対する買掛金の支払に際し、買掛金の額から当該買掛金の額に○%又は○%の割合を乗じて計算した金額を歩引き(以下「本件仕入歩引」という。)として控除し、当該控除後の金額を現金で振り込んでいる。
 また、請求人は、一部の売上先から売掛金の支払を受ける際に、売掛金の額から当該売掛金の額に○%又は○%の割合を乗じて計算した金額を歩引き(以下「本件売上歩引」という。)として控除され、当該控除後の金額を現金で振り込まれている。
ロ 請求人の本件各課税期間における本件仕入歩引の合計額(以下「本件仕入歩引額」という。)及び本件売上歩引の合計額(以下「本件売上歩引額」という。)は、次表のとおりである。

課税期間\区分本件仕入歩引額本件売上歩引額
平成13年10月課税期間24,011,898円70,715円
平成14年10月課税期間20,756,8611,156,865
平成15年10月課税期間29,030,3121,879,070

 なお、請求人は、本件仕入歩引額を受取利息として、本件売上歩引額を支払利息として、それぞれ経理処理している。
ハ 請求人は、本件仕入歩引及び本件売上歩引は金融取引であり非課税取引(消費税法第6条《非課税》第1項において、消費税を課さないとして、同法別表第1第3号に掲げる資産の譲渡等をいう。以下同じ。)に該当するとして、本件仕入歩引額に係る消費税相当額を、仕入れに係る消費税額から減算せず、本件売上歩引額に係る消費税相当額を、課税標準額に対する消費税額から減額しないで、本件各課税期間の消費税等の各確定申告書を提出した。
 なお、利子を対価とする貸付金の貸付けは、消費税法別表第1第3号に掲げる非課税取引であり、いわゆる受取利息及び支払利息は非課税取引に係る対価である。
ニ 原処分庁は、本件仕入歩引額は消費税法第32条第1項に規定する「仕入れに係る対価の返還等」を受けた金額、及び本件売上歩引額は同法第38条第1項に規定する「売上げに係る対価の返還等」の金額に該当するとして、本件各更正処分を行った。

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2 主張

(1)原処分庁

 原処分は、次の理由により適法であるから、審査請求を棄却するとの裁決を求める。
 〔1〕仕入割引は、仕入代金の授受を直接の原因として受渡しされるものであり、仕入割戻しと同様に捉えられるものであることから、企業会計上、営業外収益として受取利息と同様に取り扱われていても、消費税法においては、「仕入れに係る対価の返還等」に該当するものと解されていること、〔2〕本件仕入歩引は、もともと請求人が仕入先に対して債権を有し、これについて利息を受け取るものではなく、支払を受ける仕入先が通常の支払期日前に仕入代金の支払を受けたことによって得た利益を請求人に還元しているものであるのに対し、手形の割引は、割引人による割引依頼人に対する信用供与を含んだ特殊なサービスとして、消費税法施行令第10条《利子を対価とする貸付金等》第3項第7号に非課税として列挙されていること、及び〔3〕ファクタリング取引は、企業の売掛債権を一定の手数料を徴収して買い取り、自己の危険負担により代金回収を行うものであって、同項第8号に規定する金銭債権の譲受けその他の承継に該当し非課税として列挙されていることからすれば、本件仕入歩引は、その計算が受取利息に類似することをもって、消費税法上非課税取引に該当するということはできない。
 また、本件売上歩引についても、上記の本件仕入歩引と同旨の理由により、非課税取引には該当しない

(2)請求人

 原処分は、次の理由により違法であるから、その全部の取消しを求める。
イ 本件仕入歩引は、次のとおり財務取引及び金融取引に該当し、非課税取引であるから、消費税法第32条第1項に規定する「仕入れに係る対価の返還等」には含まれない。
(イ)消費税法上、「仕入れに係る対価の返還等」に該当するとされる返品、値引き及び割戻しが仕入価額そのものを修正する取引であるのに対し、仕入割引は、財務取引及び金融取引であるから、「仕入れに係る対価の返還等」には含まれない。
 また、財務諸表における表示において、仕入返品、値引き及び割戻しが売上原価の控除項目とされているのに対し、仕入割引は、その利息的性格から営業外収益に表示されることが一般に公正妥当な会計処理慣行として認められていることにかんがみても、本件仕入歩引は受取利息であり、消費税の課税取引には含まれない。
(ロ)消費税法は、資産の譲渡及び役務の提供などの事実に担税力を求めて課税するものである。
 また、消費税法においては、課税仕入れが行われた日の属する課税期間において、課税仕入れに係る消費税額の合計額を控除することとなっており、課税仕入れの事実に伴う一定の帳簿及び請求書等の保存を要件として、その要件を充たすことにより課税仕入れに係る消費税額が成立する。
 したがって、商品取引及び営業取引以外の事柄である支払手段、支払時期の変化によって生じた金融取引である仕入割引をもって、消費税額が変化することは同法の趣旨にそぐわない。
(ハ)仕入割引は各事業者の財務政策の一環であり、最終的な消費税の負担者である消費者に消費税の転嫁が予定されていない取引であること、また、仕入割引は相対取引で完結してしまう金融取引であり、多段階にわたり転嫁される取引ではないことを考えると、事業者が利息であるという取引を非課税取引と捉えても、総体における消費税の徴収税額に変化はない。
(ニ)原処分庁は、仕入割引は、仕入代金の授受を直接の原因として受渡しされるものであり、仕入割戻しと同様に捉えられる旨、また、本件仕入歩引は、もともと請求人が仕入先に対して債権を有し、これについて利息を受け取るものではなく、支払を受ける仕入先が通常の支払期日前に仕入代金の支払を受けたことによって得た利益を請求人に還元しているものであり、消費税法上、貸付金等に係る利子として非課税取引とされるファクタリング取引や手形の割引料等と同様にみることはできない旨主張するが、ファクタリング取引や手形の割引料も本件仕入歩引同様に、仕入代金の授受を直接の原因として受渡しされるものであるから、本件仕入歩引もこれらの取引と同様に利息的性格を有するものとして、非課税取引とすべきである。
ロ 租税法の解釈は文理解釈によることが原則であり、類推解釈は行わないことが通例であるところ、消費税法第32条第1項においては、「仕入れに係る対価の返還等」の事由として、返品、値引き及び割戻しを限定列挙しているにもかかわらず、ここに仕入割引を混在させることは同法を類推解釈するものである。
ハ 本件仕入歩引に係る上記イ及びロと同様の理由により、本件売上歩引は、非課税取引であるから、消費税法第38条第1項に規定する「売上げに係る対価の返還等」に該当しない。

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3 判断

 本件は、本件仕入歩引及び本件売上歩引が、それぞれ「仕入れに係る対価の返還等」及び「売上げに係る対価の返還等」に該当するか否かに争いがあるので、審理したところ、次のとおりである。

(1)本件各更正処分について

イ 関係者の答述
 当審判所の調査によると、本件仕入歩引又は本件売上歩引について、請求人の代表者並びに請求人が本件仕入歩引を受けているE社及び請求人が本件売上歩引を行っているF社の各担当者は、要旨次のとおり答述している。
(イ)請求人の代表者の答述
A 本件仕入歩引は、当社が仕入先に対して通常の支払期日(手形決済後120日から150日)前に買掛金を現金(銀行振込)で支払う際に、買掛金の額に○%又は○%を乗じた金額を、早期に支払ったことの金利相当分として差し引いている。
 また、本件売上歩引も、売掛金を通常の支払期日前に現金(銀行振込)で支払を受ける場合に、同様の方法で計算されたものであり、その趣旨も同じである。
B 請求人が営む繊維業界における売買代金の決済は、締め後(締め日は、毎月10日、15日又は月末等)翌月末の手形払(手形サイト120日から150日)が一般的である。
C 請求人は、ほとんどの仕入先から、歩引きとして仕入割引を受けており、また、これと同様に、特定の売上先に対し歩引きとして売上割引を行っており、その割引率は、いずれも○%又は○%である。
D 請求人は、各仕入先又は各売上先との間で、仕入割引又は売上割引に関して契約書等の書面を取り交わしていないが、取引開始時に各仕入先又は各売上先との間で口頭により合意している。
(ロ)E社の担当者の答述
A 請求人へ商品を販売するに当たり、書面での契約はなく、また、売上代金の一部を割り引くことなどの取決めについても、両者間で契約書等は作成していない。
B 繊維業界では、決済条件の交渉の際に、歩引きや値引きの条件を決定すれば、それに基づいて決済するだけであり、当業界の決済方法は、一般的には、月末締め翌月末手形払(手形サイト90日から120日)が多い。
C 請求人に対する売上げに係る歩引率は○%であり、会計上は値引きとして売上げから減額している。
(ハ)F社の担当者の答述
A 請求人から商品を仕入れるに当たり、書面での契約はなく、仕入代金の一部を割り引くことなどの取決めについても、両者間で契約書等は作成していない。
B 請求人からの仕入れに係る歩引率は○%であり、会計上は仕入額の戻しとして処理している。
ロ 法令解釈
(イ)消費税法第32条第1項は、別紙の1のとおり、「仕入れに係る対価の返還等」とは、事業者が、国内において行った課税仕入れにつき、返品をし、又は値引き若しくは割戻しを受けたことにより、当該課税仕入れに係る支払対価の額の全部若しくは一部の返還又は当該課税仕入れに係る買掛金その他の債務の全部又は一部の減額を受けることをいう旨規定し、当該仕入れに係る対価の返還等を受けた場合に、どのような方法によりその対価の返還等を受けた部分に係る消費税額を調整するかを明らかにしている。
(ロ)消費税法第38条第1項は、別紙の2のとおり、「売上げに係る対価の返還等」とは、事業者が、国内において行った課税資産の譲渡等につき、返品を受け、又は値引き若しくは割戻しをしたことにより、当該課税資産の譲渡等の対価の額の全部若しくは一部の返還又は当該課税資産の譲渡等の税込価額に係る売掛金その他の債権の額の全部若しくは一部の減額をすることをいう旨規定し、当該売上げに係る対価の返還等をした場合に、どのような方法によりその対価の返還をした部分に係る消費税額を調整するかを明らかにしている。
(ハ)ところで、消費税法第45条《課税資産の譲渡等についての確定申告》第1項第1号は、各課税期間の消費税の確定申告書には、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等に係る課税標準である金額の合計額(以下「課税標準額」という。)を記載すべき旨規定しており、また、同法第30条《課税仕入に係る消費税額の控除》第1項は、各課税期間の課税標準額に対する消費税額から、当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額を控除する旨規定している。
 このように、消費税法は、各課税期間中に行われた課税資産の譲渡等に係る課税標準の合計額を課税標準額とし、当該課税期間中に行われた課税仕入れに係る消費税額を課税標準額に対する消費税額から控除することとしているところ、当該課税資産の譲渡等又は課税仕入れが行われた後に、その対価の返還等が行われた場合には、その消費税額について何らかの調整が必要になるので、その調整につき、当該課税資産の譲渡等又は課税仕入れが行われた課税期間ではなく、当該対価の返還等が行われた課税期間において、課税標準額に対する消費税額から控除されるべき消費税額を調整する方法で行う旨定めたのが、同法32条及び同法38条の規定である。
(ニ)そして、消費税法第32条第1項が規定する「仕入れに係る対価の返還等」及び同法第38条第1項が規定する「売上げに係る対価の返還等」、すなわち、これらの条文が規定する「返品又は値引き若しくは割戻し」による「対価の額の全部又は一部の返還又は当該対価の額に係る買掛金(売掛金)その他の債務(債権)の額の全部又は一部の減額」とは、上記(ハ)のとおり、これらの規定が、当該課税資産の譲渡等又は課税仕入れが行われた後の対価の額の返還等に係る消費税額の調整規定であることにかんがみ、当該課税資産の譲渡等又は課税仕入れの原因となった売買契約などの法律関係に基因する事由又は当該法律関係自体の消滅により、事後的に対価の額が返還又は減額されること全般が含まれると解される。したがって、「返品又は値引き若しくは割戻し」はその一種の例示であると解され、それ以外の事由で、原因となる法律関係に基因する事由、例えば対象資産等の瑕疵や契約上の条件などに基づく対価の額の返還又は減額が発生した場合も、これらに該当するものとするのが相当である。
ハ 本件仕入歩引及び本件売上歩引について
(イ)そこで、本件についてみると、請求人は、仕入先に買掛金を通常の支払期日より前に現金で支払う際に、当該買掛金の額から、当該買掛金の額に本件取引先と合意した一定の割合(○又は○%)を乗じて算出した本件仕入歩引の額を控除した後の残額を銀行振込により支払っており、また、請求人は、売上先が売掛金を通常の支払期日よりも前に現金で支払う際に、当該売掛金の額から、当該売掛金の額に請求人と合意した一定の割合(○又は○%)を乗じて算出した本件売上歩引の額を控除した後の残額を、銀行振込により受取っている。
 当審判所の調査によると、本件仕入歩引の額又は本件売上歩引の額は、市中金利の変動や通常の支払期日と実際に支払された日との期間の日数の長短に対応して各月別に具体的に計算するのではなく、単に各月の取引金額に対して請求人と仕入先又は売上先との間で取り決めた歩引率(○%又は○%)を乗じて計算しているものにほかならない。
 これらのことから、本件仕入歩引又は本件売上歩引は、請求人と仕入先又は売上先との間において、手形ではなく現金での早期代金決済を行うことに対する報奨的な意味合いのもとに、買掛金又は売掛金の一部を減額するという決済条件の一つとなっているものであり、その実質が値引き又は割戻しと同様であることから、上記ロの(ニ)の解釈に従い、本件仕入歩引又は本件売上歩引は、消費税法第32条第1項に規定する「仕入れに係る対価の返還等」又は同法第38条第1項に規定する「売上げに係る対価の返還等」に該当すると認められる。
(ロ)請求人は、本件仕入歩引及び本件売上歩引は、財務取引及び金融取引に該当し非課税取引であるから、消費税法第32条第1項に規定する「仕入れに係る対価の返還等」又は同法第38条第1項に規定する「売上げに係る対価の返還等」には含まれない旨主張する。
 しかしながら、上記(イ)のとおり、本件仕入歩引及び本件売上歩引は、非課税取引ではなく、それぞれ消費税法第32条第1項に規定する「仕入れに係る対価の返還等」又は同法第38条第1項に規定する「売上げに係る対価の返還等」に該当すると認められる。
 なお、売買代金の遅延利息などは、債務不履行を原因として別途生じた法律関係に基づき発生するものであり、また、ユーザンス金利とは、売買契約と同時に金銭消費貸借契約が成立することにより生じたものであり、対価の額の発生の原因となった売買契約自体に基因するものではないことから、上記ロの(ニ)でいう、事後的に対価の額の返還又は減額されることとは性格を異にするものである。
 したがって、この点に関する請求人の主張は採用できない。
(ハ)また、請求人は、租税法の解釈は文理解釈によることが原則であり、類推解釈は行わないことが通例であるところ、消費税法第32条第1項に規定する「仕入れに係る対価の返還等」及び同法第38条第1項に規定する「売上げに係る対価の返還等」の事由として、返品、値引き及び割戻しを限定列挙しているにもかかわらず、ここに仕入割引及び売上割引を混在させることは同法を類推解釈するものである旨主張する。
 しかしながら、上記(イ)のとおり、本件仕入歩引及び本件売上歩引は、その実質が値引き又は割戻しと同様であり、それぞれ消費税法第32条第1項に規定する「仕入れに係る対価の返還等」又は同法第38条第1項に規定する「売上げに係る対価の返還等」に該当すると認められるから、この点に関する請求人の主張には理由がない。
ニ 以上のことから、本件仕入歩引額は、消費税法第32条第1項に規定する「仕入れに係る対価の返還等」を受けた金額、及び本件売上歩引額は、同法第38条第1項に規定する「売上げに係る対価の返還等」の金額に該当するとしてなされた本件各更正処分は適法である。

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(2)本件各賦課決定処分について

 上記(1)のとおり、本件各更正処分はいずれも適法であり、これにより納付すべき税額の基礎となった事実が、本件各更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項に規定する正当な理由があるとは認められないから、同条第1項及び地方税法附則第9条の9《譲渡割に係る延滞税等の計算の特例》第1項の規定に基づきなされた本件各賦課決定処分はいずれも適法である。
 その他
 原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

別紙 関係法令

1 消費税法第32条第1項は、事業者が、国内において行った課税仕入れにつき、返品をし、又は値引き若しくは割戻しを受けたことにより、当該課税仕入れに係る支払対価の額の全部若しくは一部の返還又は当該課税仕入れに係る支払対価の額に係る買掛金その他の債務の額の全部又は一部の減額(以下この条において「仕入れに係る対価の返還等」という。)を受けた場合には、同項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を当該仕入れに係る対価の返還等を受けた日の属する課税期間における課税仕入れに係る消費税額とみなして、同法第30条第1項の規定を適用する旨規定している。
2 消費税法第38条第1項は、事業者が、国内において行った課税資産の譲渡等につき、返品を受け、又は値引き若しくは割戻しをしたことにより、当該課税資産の譲渡等の対価の額と当該対価の額に100分の5を乗じて算出した金額との合計額(以下この項において「税込価額」という。)の全部若しくは一部の返還又は当該課税資産の譲渡等の税込価額に係る売掛金その他の債権の額の全部若しくは一部の減額(以下この項において「売上げに係る対価の返還等」という。)をした場合には、当該売上げに係る対価の返還等をした日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から当該課税期間において行った売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額(当該返還をした税込価額又は当該減額をした債権の額に105の4を乗じて算出した金額)の合計額を控除する旨規定している。
3 消費税法第45条第1項は、事業者は、課税期間ごとに当該課税期間の末日の翌日から2月以内に、同項各号に掲げる事項を記載した申告書を税務署長に提出しなければならない旨規定し、当該第1号は、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等に係る課税標準額を掲げている。
4 消費税法第30条第1項は、事業者が国内において行う課税仕入れについては、同項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から、当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額(当該課税仕入れに対する支払対価の額に105分の4を乗じて算出した金額)を控除する旨規定し、当該第1号は、国内において課税仕入れを行った場合は、当該課税仕入れを行った日を掲げている。

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