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(平18.5.9裁決、裁決事例集No.71 767頁)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1)事案の概要

 本件は、原処分庁が審査請求人(以下「請求人」という。)の滞納国税を徴収するためにした債権の差押処分及び当該差押債権の取立てに伴う配当処分に対し、請求人が、原処分の前提となった課税処分は無効であるから、滞納国税は存在しないとして、原処分の全部の取消しを求めた事案である。

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(2)審査請求に至る経緯

イ 請求人は、平成13年2月27日、平成12年分の所得税の確定申告書をD税務署長に提出し、同日、当該申告に係る申告納税額を納付した。
ロ 請求人は、平成13年3月8日、平成12年分の所得税の確定申告書を訂正する申告書をD税務署長に提出した(以下、この申告を「本件申告」という。)。
ハ D税務署長は、平成16年3月11日付で、平成12年分の所得税について、更正処分(以下「本件更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」といい、本件更正処分と併せて「本件更正処分等」という。)をした。
ニ D税務署長は、本件更正処分等に係る税額が完納されていないとして、平成16年4月26日付で、請求人に督促状を送付した。
ホ 原処分庁は、別表3の平成12年分の所得税の滞納税額(以下「本件滞納国税」という。)について、平成17年7月27日付で、国税通則法(以下「通則法」という。)第43条《国税の徴収の所轄庁》第3項の規定に基づき、D税務署長から徴収の引継ぎを受けた。
ヘ 原処分庁は、本件滞納国税を徴収するため、国税徴収法(以下「徴収法」という。)第47条《差押の要件》第1項第1号の規定に基づき、平成17年10月26日付で、別表1の番号1ないし番号4の債権に対して差押処分(以下「第一差押処分」という。)をし、同年11月2日付で、別表1の番号5の債権に対して差押処分(以下「第二差押処分」といい、第一差押処分と併せて「本件各差押処分」という。)をした。
ト 原処分庁は、平成17年11月2日、別表2の番号1のとおり、別表1の番号2の差押債権を第三債務者から全額を取り立てるとともに、同月7日付で、本件滞納国税に配当する旨の配当計算書(換価代金等の交付期日を同月14日と記載。)を作成し、同月7日、その謄本を請求人に発送し、同月8日、当該書面は請求人に送達された(以下、当該配当手続に伴う配当処分を「第一配当処分」という。)。
チ 原処分庁は、平成17年11月2日、別表2の番号2のとおり、別表1の番号3の差押債権を第三債務者から全額を取り立てるとともに、同月7日付で、本件滞納国税に配当する旨の配当計算書(換価代金等の交付期日を同月7日と記載。)を作成し、同月7日、その謄本を請求人に発送し、同月8日、当該書面は請求人に送達された(以下、当該配当手続に伴う配当処分を「第二配当処分」といい、第一配当処分と併せて「本件各配当処分」という。)。
 なお、別表2の番号2の配当手続には、差押えをした原処分庁及び請求人以外に配当手続に参加している者はいない。
リ 請求人は、平成17年11月10日、本件各差押処分及び本件各配当処分(以下、本件各差押処分及び本件各配当処分を併せて「本件各滞納処分」という。)に不服があるとして審査請求をした。

(3)関係法令等の要旨

 別紙のとおり。

(4)基礎事実

 請求人は、本件各差押処分が行われた平成17年10月26日現在、本件滞納国税を完納しておらず、この点については、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査によってもその事実が認められる。

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2 主張

(1)請求人

 本件各滞納処分は、次の理由により違法であるので、その全部の取消しを求める。
イ 本件申告におけるストック・オプションの行使益については、所得税法に給与所得とする規定はなく、所得区分のどれになるのかは所得税基本通達(昭和45年7月1日直審(所)30国税庁長官通達)23〜35共−6《株式等を取得する権利を与えられた場合の所得区分》に定められているだけである。そして、当該通達は、税務署長に対しての拘束力はあるものの、納税者に対する拘束力はないことから、請求人が一時所得として申告したことは申告納税制度の趣旨からも適法であるにもかかわらず、D税務署長が一時所得を給与所得として更正処分をしたことは、所得税法に基づかない無効な課税処分であり、かつ、憲法第84条の租税法律主義にも反する無効なものであるから、当該更正処分に連動してなされた過少申告加算税の賦課決定処分も無効な処分である。
 したがって、このような無効な課税処分に係る本件各滞納処分も無効であり、本件各滞納処分を強行したことは、請求人の財産権を侵害し、憲法第29条に反するものである。
ロ また、本件更正処分等に係る更正通知書には、更正の理由が記載されておらず、このことから本件滞納国税は法律上有効に存在しないものとなり、本件各滞納処分は無効な処分である。
ハ さらに、本件各滞納処分は、その過程において課税の法律の根拠について何の説明もなされないまま強行された処分であって、請求人の同意や裁判所の判決に基づかないこのような処分は、憲法第76条第2項違反であり無効である。

(2)原処分庁

 本件各滞納処分は、次の理由により適法であるから、本件各差押処分のうち別表1の番号2ないし番号4の債権に係る部分については却下し、その他の部分については棄却するとの裁決を求める。
イ 課税処分と滞納処分は、それぞれ個別の法律的効果を目的とする独立の行政処分であるから、課税処分が重大かつ明白な瑕疵のため無効であるか又は違法を理由として権限ある機関によって取り消された場合には滞納処分も違法となるが、課税処分の違法又は不当が単に取り消し得べき瑕疵にすぎないときは、それが権限ある機関によって取り消されない限り滞納処分は有効であるから、課税処分の違法・不当を理由として滞納処分の取消しを求めることはできない。
 そして、本件更正処分等には重大かつ明白な瑕疵は認められず、本件更正処分等が権限ある機関によって取り消された事実も認められない。
ロ また、更正処分に当たって更正通知書に更正の理由を附記しなければならないのは、青色申告書に係る年分の更正をする場合に限られているところ、請求人が提出した平成12年分の所得税の確定申告書は、青色申告書ではない。したがって、請求人に対する本件更正処分等に係る更正通知書に更正の理由を附記しなければならないという主張には理由がない。
ハ そして、本件各差押処分は、徴収法第47条に規定する差押えの要件を満たしており、その手続においても同法第54条及び第62条の規定に基づき適法に行っており、かつ、本件各配当処分についても同法第129条及び第131条の規定に基づき適法に行っている。

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3 判断

(1)認定事実

 原処分関係資料及び当審判所の調査によれば、次の事実が認められる。
イ 原処分庁は、第一差押処分については平成17年10月26日付で、第二差押処分については同年11月2日付で、それぞれ差押調書(債権用)を作成し、その謄本を請求人に送付している。
ロ 原処分庁は、平成17年11月15日、別表1の番号4の差押債権全額を第三債務者から取り立てるとともに、平成18年1月10日、同表の番号1の差押債権全額を第三債務者から取り立てている。

(2)本件更正処分等について

イ 請求人は、本件申告においてストック・オプションの行使益を一時所得として申告したことは適法であり、それを給与所得とする本件更正処分等は無効であるから、無効な本件更正処分等を先行処分とする原処分は無効である旨主張する。
 ところで、更正処分等の課税処分と差押処分等の滞納処分との関係についてみると、課税処分は、国税の納付義務を具体化し、その納付すべき税額を確定させることを目的とする手続であるのに対して、滞納処分は既に具体化し確定した納税義務の強制履行を目的としてなされる手続であって、両者はそれぞれ別個の法律効果を有する独立した行政処分であり、結合して単一の法律効果を生ずるものではないから、仮に、先行処分である課税処分が違法であっても、それが滞納処分の時点で取り消されずに存続している以上、後行処分である滞納処分は、原則として、それ自体に瑕疵がない限り違法とはならないと解される。そして、先行処分である課税処分に重大かつ明白な瑕疵があって当然に無効である場合には、税額がいまだ確定していないことになり、後行処分である滞納処分は違法になると解される。
 これを本件についてみると、ストック・オプションの行使益が所得税法第28条第1項所定の給与所得に該当するか否かはあくまで法律の解釈適用の問題であるところ、本件更正処分等において当該処分の無効をきたす重大かつ明白な瑕疵は認められず、また、本件更正処分等が取り消されたという事実も認められない。
 したがって、この点に関する請求人の主張には理由がない。
ロ 本件更正処分に係る理由附記について
 請求人は、本件更正処分に係る更正通知書には、更正の理由が記載されていないから、本件各差押処分及び本件各配当処分は無効な処分である旨主張する。
 しかしながら、更正処分に当たって更正通知書に更正の理由を附記しなければならないのは、所得税法第155条第2項の規定により、青色申告書に係る年分の総所得金額等の金額の更正をする場合に限られているところ、本件申告は、青色申告書ではない。
 したがって、この点に関する請求人の主張は採用できない。
ハ 以上のとおり、本件更正処分等が無効となるような重大かつ明白な瑕疵は認められない。

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(3)本件各滞納処分について

イ 請求人は、本件各滞納処分はその過程において課税の法律の根拠について何の説明もなされてないまま強行された処分であり、請求人の同意や裁判所の判決に基づかないこのような処分は無効である旨主張する。
 しかしながら、差押処分や配当処分を行う場合に、課税の根拠を説明しなければならないとする法令上の規定はなく、加えて、請求人の同意や裁判所の判決に基づかなければならないとする法令上の規定もないから、滞納処分をするには、請求人の同意や裁判所の判決を要しない。
 したがって、この点に関する請求人の主張には理由がない。
ロ なお、本件各滞納処分が適法であることは、次のとおりである。
(イ)本件各差押処分について
A 徴収法第47条第1項第1号は、滞納者が督促を受け、その督促に係る国税をその督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときは、徴収職員は、滞納者の国税につきその財産を差し押さえなければならない旨規定している。
 原処分庁は、上記1の(4)のとおり、本件各差押処分の時点で本件滞納国税が完納されていないことから上記規定に基づいて本件各差押処分を行い、上記(1)のイのとおり請求人に差押調書(債権用)の謄本を請求人に送付したものであり、本件各差押処分は適法に行われていることが認められる。
B ところで、行政処分の取消しを求めるには、その取消しを求める処分が現に存在していることが必要であるところ、本件各差押処分のうち、別表1の番号1ないし番号4の差押債権は、徴収法第67条の規定に基づいて上記1の(2)のト及びチ並びに上記(1)のロのとおり、それぞれ第三債務者から全額取り立てられていることが認められ、これらの債権に係る差押処分は、この取立てにより目的を完了して消滅しているということができる。
 したがって、請求人が取消しを求める本件各差押処分のうち、別表1の番号1ないし番号4の差押処分については、既に消滅しているから、請求人は、当該差押債権に係る差押処分の取消しを求める法律上の利益を有しないといわざるを得ない。
(ロ)本件各配当処分について
A 徴収法第129条第1項は、債権の差押えにより第三債務者から取り立てた金銭について差押えに係る国税に配当する旨規定し、同法第131条は、第三債務者から取り立てた金銭を同法第129条の規定により配当しようとするときは、配当計算書を作成し、金銭による取立ての日から3日以内に滞納者に対し、その謄本を発送しなければならない旨規定している。また、通則法第10条第1項第1号は、期間の初日は算入しない旨規定し、同条第2項は、徴収に関する期限が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他一般の休日又は政令で定める日に当たるときは、これらの日の翌日をもってその期限とみなす旨規定している。
 また、徴収法第132条第2項本文は、換価代金等の交付期日は、配当計算書の謄本を交付のため発送した日から起算して7日を経過した日とする旨規定し、同項ただし書においては、差押えをした国税を有する行政機関、交付要求に係る国税、地方税及び公課を有する行政機関並びに滞納者以外に配当手続に参加している者がいない場合には、その期間を短縮することができる旨規定している。
 そして、徴収法第171条第1項第4号は、滞納処分に関する不服申立て等の期限の特例として、換価代金の配当に関し欠陥があることを理由とする異議申立ては、換価代金等の交付期日まででなければすることができない旨規定し、同条第2項は、始審的審査請求についても前項の規定を準用する旨規定している。
B 第一配当処分の適法性
 これを本件についてみると、第一配当処分は、上記1の(2)のトのとおり、平成17年11月2日に差押債権が取り立てられ、その取立ての日から3日以内に請求人に配当計算書の謄本を発送しなければならないところ、通則法第10条第2項及び国税通則法施行令第2条第2項の規定に基づきその期限内である同月7日(月曜日)に請求人に発送されている。
 また、換価代金等の交付期日は、徴収法第132条第2項の規定に基づき、配当計算書の謄本を発送した同月7日から起算して7日を経過した日の同月14日と記載されていることから、第一配当処分は適法に行われていることが認められる。
C 第二配当処分の適法性
(A)一方、第二配当処分は、上記1の(2)のチのとおり、配当計算書の謄本の発送までは第一配当処分と同様の配当手続がとられているところ、換価代金等の交付期日については、徴収法第132条第2項ただし書の規定に基づき平成17年11月7日に短縮されており、第二配当処分に係る審査請求は、同法第171条第1項第4号に規定する換価代金等の交付期日後の同月10日であることから、不服申立ての期限を徒過している。
 ところで、配当手続は滞納処分の最終段階であって配当計算書により現実に債権者に対して換価代金等を交付するという重要な手続であり、換価代金等の交付期日は、配当処分に不服のある者にとって極めて重要な意義を有している。そのため、徴収法は、配当計算書の謄本を滞納者に交付するときは、換価代金等の交付期日を謄本に附記して告知しなければならないとし、さらに、その交付期日は、配当計算書の謄本を交付のため発送した日から起算して7日を経過した日として、配当を受ける私債権者が配当に関して不服申立てを行うのに必要な事項を調査するための期間を保障している。もっとも、配当を受ける者等が差押権者、交付要求権者及び滞納者のみである場合には、特に異議を申し立てるのに必要な事項を調査するための期間をおく必要がないことから、行政庁の裁量によりその期間を短縮することを認めている。
 しかし、徴収法第132条第2項ただし書において、期間の短縮を認めている趣旨は、上記のとおりであり、交付要求権者や滞納者の不服申立ての機会を奪うものではないことから、その短縮する期間は、これらの者が不服申立てをするのに必要な期間が保障されていることを要すると解するべきであり、国税徴収法基本通達(昭和41年8月22日徴徴4−13国税庁長官通達)第132条関係2において、同法第132条第2項ただし書の規定により期間を短縮する場合に、滞納者又は交付要求をしている行政機関が、同法第133条第2項又は同法第171条の規定による異議の申出又は不服申立てをすることができる期間をおく旨を定めていることは相当であると認められる。
(B)これを本件についてみると、配当計算書の作成日と同日を換価代金等の交付期日としていることから、その交付期日は、滞納者の不服申立ての機会を奪うものといわざるを得ず、徴収法第132条第2項の趣旨からもはや適法な短縮とはいいがたく、手続的違法が認められる。そして、請求人は、上記(A)のとおり、配当計算書の謄本を受領後、早期に審査請求をしていることが認められる。
 したがって、第二配当処分に対する審査請求は、これを適法なものと扱うのが相当である。
(C)そこで、上記(B)のとおり第二配当処分に対する審査請求を適法な審査請求として審理したが、そもそも配当処分に関する不服とは、徴収法第129条の規定による配当についての不服であるから、配当処分の違法事由は、配当を受ける債権及びその配当額に関するものに限られると解される。
 したがって、換価代金等の交付期日を配当計算書の作成日と同日としたことは、配当処分の違法事由には当たらず、瑕疵ある換価代金等の交付期日を記載した配当計算書の謄本に瑕疵が認められるとしても、その瑕疵は配当処分を取り消す違法事由となるものではないとするのが相当であり、第二配当処分は、換価代金等の交付期日の記載以外は上記Bの第一配当処分と同様の配当手続で行われており、適法であることが認められる。

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(4)憲法違反について

 請求人は、本件更正処分等は憲法第84条に違反した無効な課税処分であるから本件各滞納処分も無効であり、本件各滞納処分を強行したことは、請求人の財産権を侵害し、憲法第29条に反するものである旨及び本件各滞納処分が請求人の同意や裁判所の判決に基づかないものであるから憲法第76条第2項違反である旨主張する。
 しかしながら、課税の作用が国民の財産権を制約するものであることは、租税法律主義の下において許容されており、また、ストック・オプションの権利行使益が給与所得に該当することは、所得税法の解釈と事実認定を経て判断されたものであって、請求人に対する本件更正処分等には違憲性はない。そして、課税処分にも滞納処分にも、異議申立て及び審査請求のほか、裁判所への訴えの提起による不服申立てが認められており、本件各滞納処分についても同様の保障があることはいうまでもないことであって、この点についても違憲性はない。

(5)その他

 原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

別紙 関係法令等の要旨

1 所得税法第28条《給与所得》第1項は、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得を給与所得とする旨規定している。
2 所得税法第155条《青色申告書に係る更正》第2項は、青色申告書に係る年分の総所得金額等の更正をする場合には、更正通知書にその更正の理由を附記しなければならない旨規定している。
3 通則法第10条《期間の計算及び期限の特例》第1項第1号は、国税に関する法律において、日、月又は年をもって定める期間の初日は算入しない旨規定し、同条第2項は、徴収に関する期限が日曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日その他一般の休日又は政令で定める日に当たるときは、これらの日の翌日をもってその期限とみなす旨規定している。
4 徴収法第47条第1項第1号は、徴収職員は、滞納者が督促を受け、その督促に係る国税をその督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときは、滞納者の国税につきその財産を差し押えなければならない旨規定している。
5 徴収法第54条《差押調書》は、徴収職員が滞納者の財産を差し押さえたときは、差押調書を作成し、その差し押さえた財産が債権であるときは、その謄本を滞納者に交付しなければならない旨規定している。
6 徴収法第62条《差押えの手続及び効力発生時期》第1項は、債権の差押えは第三債務者に対する債権差押通知書の送達により行う旨規定し、同条第3項は、同条第1項の差押えの効力は債権差押通知書が第三債務者に送達された時に生じる旨規定している。
7 徴収法第67条《差し押さえた債権の取立》第1項は、徴収職員は差し押さえた債権の取立てをすることができる旨規定し、同条第3項では、同条第1項の規定により金銭を取り立てたときはその限度において、滞納者から差押に係る国税を徴収したものとみなす旨規定している。
8 徴収法第129条《配当の原則》第1項は、債権の差押えにより第三債務者から取り立てた金銭について、〔1〕差押えに係る国税、〔2〕交付要求を受けた国税、地方税及び公課、〔3〕差押財産に係る質権、抵当権、先取特権、留置権又は担保のための仮登記により担保される債権等に配当する旨規定している。
9 徴収法第131条《配当計算書》は、第三債務者から取り立てた金銭を同法第129条の規定により配当しようとするときは、国税徴収法施行令第49条《配当計算書の記載事項等》第1項に規定する事項を記載した配当計算書を作成し、同条第2項の規定により金銭による取立ての日から3日以内に滞納者に対し、その謄本を発送しなければならない旨規定している。
10 徴収法第132条《換価代金等の交付期日》第2項は、換価代金等の交付期日は、配当計算書の謄本を交付のため発送した日から起算して7日を経過した日としなければならない旨規定し、同項ただし書は、同法第129条第1項第3号又は第4号に掲げる債権を有する者で同法第131条第1号又は第2号に掲げる者に該当するものがない場合には、その期間は、短縮することができる旨規定している。
11 徴収法第133条《換価代金等の交付》第2項は、換価代金等の交付期日までに配当計算書に関する異議の申出があった場合における同条第1項の換価代金等の交付は、同条第2項第1号から第3号までに定めるところによる旨規定している。
12 徴収法第171条《滞納処分に関する不服申立て等の期限の特例》第1項第4号は、換価代金の配当に関し欠陥があることを理由とする異議申立ては、換価代金等の交付期日まででなければすることができない旨規定し、同条第2項は、始審的審査請求についても前項の規定を準用する旨規定している。
13 国税通則法施行令第2条《期限の特例》第2項は、通則法第10条第2項に規定する政令で定める日は、土曜日とする旨規定している。
14 国税徴収法基本通達132条関係2は、徴収法第132条第2項のただし書の規定により期間を短縮する場合においても、滞納者又は交付要求をしている行政機関が、同法133条第2項又は第171条の規定による異議の申出又は不服申立てをすることができるだけの期間はおくものとする旨定めている。

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