別紙2

当事者の主張

請求人 原処分庁
1 本件一時金は、実際に支払われた年分が平成16年であること、平成7年分にさかのぼって課税されることが不合理であること、厚生年金基金の加算年金制度の改正という後発的事由により支給されたもので、退職金としての性格もさることながら、改正により被る不利益に対する解決金として一時所得の性格も併せ持つことから、退職所得であるとしても、平成16年分の所得として課税されるべきものである。
2 9年も前に支給された退職金について、書類の法定保存義務年限を大幅に超えて、支払者が偶然に残していた資料に基づき課税することは、国税の更正、決定等の期間制限を定めた通則法第70条の立法趣旨に反し、課税権の濫用であることから、本件通知処分は違法を理由に取り消されるべきである。
 さらに、本件一時金と同様の一時金を支給された者のうち、現に過去の退職金の支給実績が把握できなかった者に対しては、当該一時金の支払の際に一律に20%の税率が適用されており、この点を踏まえても、本件一時金に関し、所得税法施行令第77条を機械的に適用するのは、公平な課税とは言い難い。
1 本件一時金は、A厚生年金基金規約(以下「本件基金規約」という。)に基づき、本件基金に係る加算年金に代えてのみ支給が認められており、請求人は、本件一時金を受領した場合には、受け取っている年金の加算年金部分に係る将来の受給権を喪失する。そうすると、本件一時金は、年金に代えて支払われる一時金で、年金の受給開始日後に支払われ、将来の年金給付の総額に代えて支払われるものに該当することから、所得税法第31条の規定により、退職所得に該当する。
 そして、請求人は、平成7年にB社を退職した際に、退職一時金の支給を受けていることから、同法施行令第77条の規定により、本件一時金は、請求人が最初に支払を受けた退職手当等の支払を受けるべき日の属する年分である平成7年分の退職所得に係る収入金額に算入されることとなる。
 なお、請求人は、本件一時金が改正により被る不利益に対する解決金としての性格を有するものである旨主張するが、これを認めるに足りる証拠も確認できない。
2 本件一時金は、平成7年分の退職所得であり、当該一時金の支払者は支払日である平成16年8月25日に、平成7年分の退職所得として所得税の源泉徴収を行っていることから、通則法第15条第2項第2号及び同条第3項第2号並びに所得税法第199条の各規定により、適法に平成16年に源泉徴収による所得税の納税義務が成立している。
 そして、本件通知処分は、通則法第70条の規定にいう国税の更正又は決定処分ではないことから、請求人が同法第70条の規定を基に本件通知処分の適否を主張することは、その前提から理由がない。
 なお、請求人がB社を退社した際に支払われた退職一時金に関する資料についての請求人の主張は、請求人の本件基金に対する主観にすぎず、原処分庁が調査に基づいて把握した事実の信ぴょう性が揺らぐものではない。

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