別紙2

当事者双方の主張
原処分庁の主張 請求人の主張
本件更正処分は、次の理由により、適法に行われているから、審査請求を棄却するとの裁決を求める。 本件更正処分は、次の理由により、違法であるから、その全部の取消しを求める。
1 「合計所得金額」とは、所得税法第2条第1項第30号において「総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額」である旨規定しているところ、措置法第37条の11第1項に規定する上場株式等を譲渡したことによる所得を有する場合には、同条第4項を受け、同法第37条の10第7項第1号の規定によって読み替えられた結果、同金額は、「総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額並びに株式等に係る譲渡所得等の金額(上場株式等に係る譲渡所得等の金額を含む。)」の合計額となる。 1 長男Aの「合計所得金額」は、措置法第37条の10第7項第1号の規定によって読み替えられた所得税法第2条第1項第30号の規定により、「総所得金額」と措置法第37条の10第1項の規定によって計算した「株式等に係る譲渡所得等の金額」の合計額となる。
2 他方、措置法第37条の12の2第1項に規定する「上場株式等に係る譲渡損失の金額」を有する場合の同法第37条の10及び同法第37条の11の取扱いについては、同法第37条の12の2第4項において「第1項の規定がある場合における第37条の10(第7項を除く。)及び第37条の11(第4項を除く。)の規定の適用については」と規定していることから、本件繰越控除規定が規定する上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除においては、同法第37条の10第7項(第1号)及び同法第37条の11第4項の各規定の適用はない(読替えは行われない。)から、「合計所得金額」の計算においては、「株式等に係る譲渡所得等の金額」は、本件繰越控除規定を適用しないで計算したところの金額を意味することになり、適法に繰り越された「上場株式等に係る譲渡損失の金額」を有するとしても、同金額を控除して計算した「株式等に係る譲渡所得等の金額」をもって「合計所得金額」を算定することはできない。 2 しかし、適法に繰り越した「上場株式等に係る譲渡損失の金額」を有している場合には、本件繰越控除規定が適用され、同金額は、当年分の「株式等に係る譲渡所得等の金額」の計算上において同金額を限度として控除する旨規定していることからも明らかなとおり、「合計所得金額」の計算の基礎となる「株式等に係る譲渡所得等の金額」は、「上場株式等に係る譲渡損失の金額」を控除して計算した金額となる。
  3 措置法第37条の12の2第4項は、同条第1項の規定の適用がある場合における、同法第37条の10(第7項以外)の規定による「株式等に係る譲渡所得等の金額」及び同法第37条の11(第4項以外)の規定による「上場株式等に係る譲渡所得等の金額」は、本件繰越控除規定の適用(控除)後の金額であることを明確にしたものであって、原処分庁が主張するような、「合計所得金額」を計算する際に加算することになった「株式等に係る譲渡所得等の金額」の計算に当たり本件繰越控除規定の適用の排除を意味するものではない。
  4 なお、措置法第37条の12の2第4項において、同法第37条の10第7項及び同法第37条の11第4項を除いているのは、同法第37条の12の2第4項の規定している事項が、「同法第37条の10第1項に規定する『株式等に係る譲渡所得等の金額』と同法第37条の11第1項に規定する『上場株式等に係る譲渡所得等の金額』を計算するときの『計算した金額』とは本件繰越控除規定を適用した後の金額とする。」ということであり、そのことからすると同法第37条の10第7項及び同法第37条の11第4項の規定はどちらも「株式等又は上場株式等に係る譲渡所得等の金額」の計算に適用される条文ではないから除かれたものである。
  5 また、本件繰越控除規定の適用を限定する条項は、措置法上、第37条の12の2第3項だけであり、そのほかに除外条項やただし書により本件繰越控除規定の適用を排除する文言はなく、加えて、「合計所得金額」について規定した所得税法第2条第1項第30号においても、「株式等に係る譲渡所得等の金額」について、「上場株式等に係る繰越譲渡損失の金額を控除する前の金額」とか「本件繰越控除規定を適用しないで計算した金額」とかという限定条件は何も付されていない。
3 したがって、長男Aの「合計所得金額」は、「総所得金額」と「上場株式等に係る譲渡損失の金額」を控除しないで計算した「株式等に係る譲渡所得等の金額」との合計額となる。 6 したがって、長男Aの「合計所得金額」は、「総所得金額」と「上場株式等に係る譲渡損失の金額」を控除して計算した「株式等に係る譲渡所得等の金額」との合計額となる。

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