別紙2

当事者双方の主張

原処分庁 請求人
1 本件債務免除益は、次の理由により、3年以上の期間の不動産所得の補償には該当しない。
(1) 所得税法施行令第8条第3号に規定する3年以上の期間の不動産所得の補償とは、中途解約に伴い生じた逸失利益、すなわち不動産貸付業務を継続すれば得られたであろう所得の額を補償するものであり、その所得を得るために継続して生ずる費用の額を併せて補償することが必要であると解するのが相当であるから、3年以上の期間の所得の額と費用の額の合計額、すなわち収入金額に相当する金額をいい、臨時所得となる3年以上の期間の補償に該当するか否かを判断するためには、当該補償として受ける補償金を1年当たりの収入金額に相当する金額で除して補償対象期間を算定するのが合理的であると解される。
(2) 本件において、請求人らの不動産貸付業務を継続すれば得られたであろう収入金額に相当する金額は、F支社からの年間賃貸料○○○○円であることから、本件債務免除益の額○○○○円を当該年間賃貸料○○○○円で除して補償対象期間を計算すると2.24年となり、本件債務免除益は、3年以上の期間の不動産所得の補償には当たらない。
(3) 本件債務免除の額は、本件免除申請書の添付資料において、○○○○からの借入金の返済期間を15年とした場合の金額を想定して計算されたものであり、F支社が本件債務免除を15年間分の補償としている事実は認められない。
1 本件債務免除益は、次の理由により、3年以上の期間の不動産所得の補償に該当する。
(1) 所得税法施行令第8条第3号に規定する3年以上の期間の不動産所得の補償として受ける補償金に係る所得について、所得の補償とは、中途解約に伴い生じた逸失利益をいうものであり、本件債務免除益は、次の(2)又は(3)のとおり、3年以上の期間の不動産所得の補償に当たる。
(2) 請求人らは、本件賃貸借契約の前記1の(4)のイの(ハ)の約定に基づき、F支社に対して15年の契約更新を申し入れたが、F支社は、契約に反して一方的に契約更新を拒絶したものであり、本件債務免除が15年間分の補償であるということは、請求人ら及びF支社の共通の認識であった。
本件債務免除の額は、請求人らが、今後15年間借入金の返済を行った場合に、収支がプラスマイナス零円で運営できる最低条件としての割賦元金残高を示して合意したものであり、本件賃貸借契約が更新されていたら得られたであろう15年間分の家賃の不足額の補償である。
(3) 本件においては、転貸人による中途解約に伴い、請求人らが転貸人の地位を引き継いでおり、請求人らは、本件賃貸借契約の終了後も一定の賃貸料を継続して得ることとなる。
 したがって、上記賃貸料の収入があることを基に補償対象期間を算出すると、請求人らの年間の逸失利益は、請求人らがF支社から得ていた年間賃貸料収入と中途解約後請求人らが得られる年間収支差額との差額○○○○円であり、本件債務免除益の額○○○○円を当該差額で除して計算した8.20年が補償対象期間となる。
2 本件割賦金総額は、本件住宅の建築資金であり、その返済については本件賃借料と相殺されることから本件賃借料と割賦金の返済は密接な関連性を有していると認められる。
 また、本件債務免除の額の算定は、請求人らの今後の本件建物の賃貸料などの具体的な計算に基づくものであり、F支社が契約更新に応じなかったことに基因する請求人らの収益に与える影響を考慮したものと考えられる。
 以上のことから、本件債務免除益は、割賦金の返済の原資ともいうべき本件住宅の賃貸から得られたであろう不動産所得に係る収益の補償として取得する補償金に該当すると認められ、債務免除を受けた年分の不動産所得の総収入金額に算入されるべきであり、一時所得には該当しない。
2 仮に、本件債務免除益が不動産所得に係る臨時所得に該当しないとしても、そもそも、本件債務免除は、F支社が請求人らに対して利益を補償する意図で行われたものではなく、単に経営が成り立たなくなることを懸念して、割賦元金の一部の返済を免除したものにすぎないのであり、また、賃貸人が賃借人に対して一定の期間、目的物を使用収益させる対価として受ける利益、若しくはこれに代わる性質を有するものではないから、一時所得に該当する。

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