(平成23年5月16日裁決)

《裁決書(抄)》

1 事実

(1) 事案の概要

 本件は、共同相続人である共同審査請求人の相続税について、原処分庁が、共同審査請求人を契約者とする各生命保険契約に関する権利並びに共同審査請求人名義の各有価証券及び各預貯金等は相続財産であるなどとして更正処分を、また、これらの相続財産が課税価格の計算の基礎とされていなかったことは隠ぺいに基づくものであるとして重加算税の賦課決定処分を、それぞれ行ったのに対し、共同審査請求人が、違法又は不当な調査手続に基づきなされた更正処分は取り消されるべきであり、更正処分で相続財産とされた財産は共同審査請求人固有の財産であるなどとして、当該各処分の取消しを求めた事案である。

(2) 審査請求に至る経緯

イ 申告
 共同相続人である共同審査請求人G、J及びK(以下、それぞれ「請求人G」、「請求人J」及び「請求人K」といい、併せて「請求人ら」という。)は、平成19年7月○日を相続開始日とする被相続人L(以下「本件被相続人」という。)の相続(以下「本件相続」という。)に係る相続税について、原処分庁に対し、法定申告期限までに、別表1の「申告」欄のとおり申告した(以下、この申告を「本件申告」といい、本件申告に係る相続税の申告書を「本件申告書」という。)。
ロ 更正処分等
 原処分庁は、原処分庁所属の調査担当職員(以下「本件調査担当職員」という。)の調査(以下「本件調査」という。)に基づき、請求人らに対し、平成21年12月8日付で、別表1の「更正処分等」欄のとおり、相続税の各更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び重加算税の各賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」という。)をした。
ハ 不服申立て
 請求人らは、上記ロの各処分を不服として、平成22年2月2日に異議申立てをしたところ、異議審理庁が同年4月28日付で棄却の異議決定をしたので、同年5月21日に審査請求をした。
 なお、請求人らは、平成22年5月21日に、請求人Gを総代として選任し、その旨を届け出た。

(3) 関係法令

イ 国税通則法(以下「通則法」という。)
(イ) 第24条《更正》
 本条は、税務署長は、納税申告書の提出があった場合において、その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったとき、その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときは、その調査により、当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する旨規定している。
(ロ) 第65条《過少申告加算税》
 第1項は、期限内申告書が提出された場合において、更正があったときは、当該納税者に対し、その更正に基づき通則法第35条第2項(期限後申告等による納付)の規定により納付すべき税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課する旨規定し、また、第2項は、第1項の規定に該当する場合において、同項に規定する納付すべき税額がその国税に係る期限内申告税額に相当する金額と50万円とのいずれか多い金額を超えるときは、同項の過少申告加算税の額は、同項の規定にかかわらず、同項の規定により計算した金額に、当該超える部分に相当する税額に100分の5の割合を乗じて計算した金額を加算した金額とする旨規定している。
(ハ) 第68条《重加算税》
 第1項は、通則法第65条第1項の規定に該当する場合(同条第5項の規定の適用がある場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に100分の35の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する旨規定している。
ロ 相続税法
(イ) 第3条《相続又は遺贈により取得したものとみなす場合》
 第1項本文及び同項第3号は、相続開始の時において、まだ保険事故が発生していない生命保険契約で被相続人が保険料の全部又は一部を負担し、かつ、被相続人以外の者が当該生命保険契約の契約者であるものがある場合においては、当該生命保険契約の契約者について、当該契約に関する権利のうち被相続人が負担した保険料の金額の当該契約に係る保険料で当該相続開始の時までに払い込まれたものの全額に対する割合に相当する部分は、当該被相続人以外の者が相続により取得したものとみなす旨規定している。
(ロ) 第22条《評価の原則》
 本条は、相続により取得した財産の価額は、特別の定めのあるものを除き、当該財産の取得の時における時価による旨規定している。
(ハ) 第55条《未分割遺産に対する課税》
 本条は、相続により取得した財産の全部又は一部が分割されていないときは、その分割されていない財産については、各共同相続人が民法(第904条の2《寄与分》を除く。)の規定による相続分の割合に従って当該財産を取得したものとしてその課税価格を計算するものとする旨規定している。

(4) 基礎事実

イ 本件相続の相続人及びその関係
 本件相続の相続人は、請求人らのほかにはおらず、請求人Gが本件被相続人の妻、請求人J及び請求人Kが本件被相続人と請求人Gとの間の子である。
ロ 本件各更正処分において加算された請求人ら名義の財産の内訳
 本件各更正処分において加算された請求人ら名義の財産の内訳は、別表2ないし5のとおりである(以下、別表2の各財産を「本件各保険」、別表3の各財産を「本件各投資信託」、別表4の各財産を「本件各国債・利付債券」、別表5の各財産を「本件各預貯金」といい、併せて「本件請求人ら名義財産」という。)。
ハ 遺産分割協議
 請求人らは、平成20年4月、本件相続に係る遺産分割協議を行い、その結果、請求人Gは、別表6の土地(以下「本件宅地」という。)及び別表7の建物(以下、本件宅地と併せて「本件各不動産」という。)に係る本件被相続人の各持分の全部を取得した。
ニ 財産評価基準書
 平成19年分の財産評価基準書によれば、本件宅地に係る正面路線価(財産評価基本通達(昭和39年4月25日直資56、直審(資)17国税庁長官通達。以下同じ。)14《路線価》に定める路線価をいう。以下同じ。)は165,000円、裏面路線価は130,000円、その所在する地区区分(財産評価基本通達14−2《地区》に定める地区をいう。以下同じ。)は普通住宅地区、二方路線影響加算率(財産評価基本通達17《二方路線影響加算》に定める加算率をいう。以下同じ。)は0.02である。

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2 争点

(1) 争点1 本件各更正処分は、違法又は不当な調査手続によりなされたか否か。

(2) 争点2 本件請求人ら名義財産は、本件相続の相続財産であるか否か。

(3) 争点3 本件宅地の評価に当たって、著しい高低差による減額をすべきか否か。また、裏面路線に係る二方路線影響加算をすべきか否か。

(4) 争点4 請求人らが本件請求人ら名義財産を相続財産として申告しなかったことに、通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装の事実があるか否か。

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3 主張

 当事者の主張は、別紙5のとおりである。
 なお、別紙を含め、以下、M税理士を「M税理士」という。

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4 判断

(1) 争点1 本件各更正処分は、違法又は不当な調査手続によりなされたか否か。

イ 法令解釈
 税務調査は、租税実体法によって成立した抽象的な納税義務を具体的に確定するための事実行為であって、課税処分とは本来別個のものであるから、調査手続の違法は、それが刑罰法規に触れたり、公序良俗に反する等およそ税務調査を行ったとはいえないと評価されるほど違法性の程度が著しい場合を除いては、課税処分の取消事由にはならないものと解するのが相当である。
 また、通則法第24条に規定する調査とは、課税標準等又は税額等を認定するに至る一連の判断過程の一切を意味するものと解せられ、課税庁の証拠資料の収集、証拠の評価あるいは経験則を通じての要件事実の認定、租税法その他の法令の解釈を経て更正処分に至るまでの思考、判断を含む極めて包括的な概念であり、当該調査の方法、時期などその具体的な手続については、何ら規定されておらず、質問検査の範囲、程度、時期、場所等実定法上特段の定めのない実施の細目については、質問検査の必要があり、かつ、これと相手方の私的利益との衡量において社会通念上相当な限度にとどまるかぎり、権限ある税務職員の合理的な判断にゆだねられていると解される。
ロ 認定事実
 原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
(イ) 本件調査の実施内容
 本件調査担当職員は、請求人Gの自宅に臨場した平成21年7月28日以降、本件申告で相続財産とされた財産の現物確認、請求人ら各人に対する質問及び金融機関に対する照会などを実施した。
(ロ) 本件調査の結果の説明
 本件調査担当職員は、請求人らの税務代理人であるM税理士及びN税理士に対し、平成21年10月6日に、本件調査によって把握された本件請求人ら名義財産及び請求人Gに帰属する請求人G名義の固有財産を記載した一覧表を示すとともに、その内容を説明した。
 なお、当該一覧表の「その他の財産」欄の「利用区分」欄には「変額個人年金○○○○」、「所在場所等」欄には「P社」、「名義人等(契約者)」欄には「K」、「検討額」欄には「52,022,365」と記載された財産がある。
(ハ) 反論の聴取
 本件調査担当職員は、N税理士に対して、平成21年10月19日に電話連絡をし、上記(ロ)の一覧表に記載された内容に対する反論を聴取したが、N税理士は、名義取引の発生が古いので昔贈与を受けた分が含まれている旨述べるのみで、具体的な根拠の説明はなかった。
(ニ) 本件調査担当職員による修正申告のしょうよう及びこれに対する請求人らの対応
 本件調査担当職員は、H税務署内の会議室において、平成21年11月19日に、請求人G、M税理士及びN税理士と面談し、本件調査の結果に基づき、修正申告のしょうようをした際、改めて、本件請求人ら名義財産の帰属について反論を聴取したが、N税理士が、請求人ら固有の財産又は昔贈与された財産である旨述べるのみで、具体的な根拠の説明はなかった。
 その後、請求人Gは、原処分庁に対し、平成21年12月7日付で、本件調査担当職員から質問された内容も記憶になく、質問された際の回答も真実ではないことを話したもので、請求人ら名義の預金が、本件被相続人から贈与された資金を基に運用及び管理されてきたものであり、請求人ら固有の財産である旨記載された「申立書」と題する書面(以下「本件申立書」という。)を提出し、請求人らはいずれも修正申告書を提出しなかった。
ハ 本件への当てはめ及び請求人らの主張の当否
 請求人らは、別紙5の1の「請求人ら」欄の(1)及び(2)のとおり、原処分庁が、本件申立書の内容について調査・審理を行わず、また、請求人らに反論する機会・時間を与えないなど、十分な調査・審理を行わないまま、本件請求人ら名義財産が多額に存在していることのみを理由とした本件各更正処分は違法又は不当な調査手続によりなされたものである旨主張する。
 しかしながら、上記ロによれば、本件調査担当職員は、請求人らに対し、課税財産に係る質問、検査などを行い、本件調査によって把握された本件請求人ら名義財産及び請求人Gに帰属する請求人G名義の固有財産を記載した一覧表を示すとともに、その内容を説明した上で、反論を聴取し、さらに、請求人G、M税理士及びN税理士と面談の上、修正申告のしょうようをした際、本件請求人ら名義財産の帰属について反論を聴取したが、当該反論にはいずれも具体的な根拠の説明がなかったことが認められ、その後提出された本件申立書も、本件請求人ら名義財産が相続財産でないことの根拠を具体的に説明したものとは認められない。その結果、上記ロの(ニ)のとおり、本件調査担当職員は、請求人G、M税理士及びN税理士と面談し、本件調査の結果に基づき、修正申告のしょうようをしたものの、請求人らはいずれも修正申告書を提出しなかったため、本件請求人ら名義財産が相続財産に当たるとして、本件各更正処分が行われたのであるから、本件調査の手続に、刑罰法規に触れたり、公序良俗に反するような違法な点又は社会通念上相当な限度を逸脱したような不当な点はなく、請求人らの上記主張には理由がない。
 また、請求人らは、別紙5の1の「請求人ら」欄の(3)のとおり、原処分庁が、本件調査において、存在しない生命保険契約に関する権利を相続財産として示したことから、本件各更正処分は違法又は不当な手続によりなされたものである旨主張する。
 請求人らの主張する「存在しない生命保険契約」とは、上記ロの(ロ)と別表2とを対比すれば、上記ロの(ロ)の「変額個人年金○○○○」と記載された生命保険契約に関する権利をいうものと解されるところ、これは、上記ロの(ロ)の一覧表の保険会社、名義人及び金額に係る記載によれば、別表2の番号3の生命保険契約に関する権利の保険証券番号が誤って記載されたものと認められるのは明らかであるから、このように一見して明らかな記載誤りをもって、本件調査の手続が違法又は不当になるものでなく、請求人らの上記主張には理由がない。
 以上によれば、本件各更正処分は、違法又は不当な調査手続によりなされたものとはいえない。

(2) 争点2 本件請求人ら名義財産は、本件相続の相続財産であるか否か。

イ 認定事実
 請求人ら提出資料、原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
(イ) 本件被相続人及び請求人らの経歴等
A 本件被相続人
 本件被相続人は、昭和○年○月○日生まれであり、17〜18歳のころ、○○○○となって以降、○○の本部長等を歴任し、昭和○年に退職した。退職後は、亡くなるまでの間、a市内で書道塾を請求人Gと共同で経営していた。
B 請求人G
 請求人Gは、昭和○年○月○日生まれであり、本件被相続人と昭和32年に結婚した後、本件被相続人が○○を退職するまでの間、数年程度行っていた健康食品の販売によって得た月額数千円から数万円程度のものを除き、収入を得たことはなかった。本件被相続人の○○退職後は、上記Aの書道塾で、本件被相続人と共同で書道を教授していた。
C 請求人J
 請求人Jは、昭和○年○月○日生まれであり、大学卒業後、会社員として4年ほど勤めた後、昭和61年に○歳で結婚した。結婚するまでに得た収入は、お年玉や入学時の祝い金等の両親に預けて管理運用を任せていたものを除き、自分で管理していた。
D 請求人K
 請求人Kは、昭和○年○月○日生まれであり、 大学卒業後、会社員として勤めた後、平成2年に○歳で結婚した。結婚するまでに得た収入は、自ら費消した分を除き、すべて両親に預け、管理運用を任せていた。
(ロ) 本件被相続人名義の金融資産の内訳及び本件請求人らの名義財産の形成過程
 本件被相続人の課税財産のうち金融機関等に係る財産の内訳は、別表8のとおりであり、本件請求人ら名義財産のうち、本件各国債・利付債券及び本件各預貯金を除き、形成過程は、おおむね別表9−1及び9−2のとおりである。
(ハ) 金融機関における本件被相続人及び請求人らの各名義口座間での資金の流れ
 本件被相続人及び請求人らの各名義口座間の資金の流れが判明したものは、次のとおりである。
A 本件被相続人の名義口座及び請求人Kの各名義口座間
 平成14年8月28日に、R証券の本件被相続人の名義口座から11,120,000円が出金され、S銀行r支店の本件被相続人の名義の普通預金口座(口座番号○○○○)に振込入金された後、同年9月3日に、当該口座から同額が出金され、同年9月4日及び同月9日に、5,250,000円及び5,870,000円が、R証券の請求人Kの名義口座に振込入金された。
 また、平成14年10月2日に、T銀行a支店の本件被相続人の名義の普通預金口座(口座番号○○○○)から5,230,000円及び4,770,000円が出金され、同日及び同月8日に、それぞれ同額が、R証券の請求人Kの名義口座に振込入金された。
B 請求人Jの名義口座及び請求人Kの名義口座間
 平成16年4月26日及び同年6月24日に、R証券の請求人J名義の口座から11,156,223円及び13,726,225円が出金され、それぞれ同日に同額が、T銀行a支店の請求人Jの名義の普通預金口座(口座番号○○○○)に入金された後、当該口座から、同年4月26日、同年6月29日及び同年8月24日に、11,156,223円、10,000,000円及び3,726,225円が出金され、同年4月28日、同年6月29日及び同年8月24日に、11,156,223円、10,000,000円及び3,726,225円が、それぞれR証券の請求人Kの名義口座に振込入金された。
C R証券及びそれ以外の金融機関の請求人Gの名義口座間
 平成14年6月11日に、T銀行a支店の請求人G名義の定期預金4本を解約した元金合計3,520,970円及び利息相当額が出金され、同日に、3,610,840円がR証券の請求人G名義の口座に振込入金された。
D R証券及びそれ以外の金融機関の請求人Gの名義口座及び本件被相続人の名義口座間
 平成14年6月11日に、S銀行r支店の請求人G名義の貯蓄預金口座(口座番号○○○○)(以下「請求人G名義貯蓄預金」という。)から4,200,000円、S銀行r支店の請求人G名義の定期預金26本(以下「請求人G名義各定期預金」という。)を解約した元金合計870,000円及び源泉所得税控除後の利息相当額1,021円、同支店の本件被相続人名義の貯蓄預金口座(口座番号○○○○)から1,000,000円が、それぞれ振替出金され、同日に、それらの合計額6,071,021円がR証券の請求人Gの名義口座に振込入金された。
E 請求人G名義貯蓄預金及び請求人G名義各定期預金の原資の状況
 請求人G名義貯蓄預金の平成13年10月23日現在の残高3,118,985円及び同日から平成14年6月11日に4,200,000円が出金される直前までの間の入出金状況によると、各月の入金は、請求人Gが教授していた書道の生徒からのかな手本代等の入金が各月250,000円から350,000円程度あるほか、平成14年6月4日に現金で1,719,293円あるが、この原資は不明であり、一方の出金は、いずれも現金で、平成13年11月6日に1,000,000円、平成14年1月17日に1,861,936円の2口あるが、いずれも使途は不明である。
 また、請求人G名義各定期預金は、請求人Gの年金入金用の口座であるS銀行r支店の普通預金口座(口座番号○○○○)(以下「請求人G名義普通預金」という。)から自動で積み立てられたものである。そして、請求人G名義普通預金への入金は、2月ごとに170,000円程度の年金の振込みのほか、各月5,000円から120,000円程度の小口の入金が複数回あるものの、この原資は不明であり、請求人G名義普通預金からの出金は、各月請求人G名義各定期預金への自動積立てが30,000円ずつある程度で、残高は年々増加している。
F R証券及びそれ以外の請求人Gの名義口座間
 平成16年2月20日に、請求人G名義普通預金から5,400,000円が出金され、同日に同額が、R証券の請求人G名義の口座に振込入金された後、同年3月2日に、別表3の番号2の投資信託が購入されている。
 なお、本件各更正処分では、別表3の番号2の投資信託の価額を1,151,000円としているが、正しくは11,449,868円である。
(ニ) 本件各国債・利付債券及び本件各預貯金の原資の状況
 本件各国債・利付債券のうち、別表4の番号1の有価証券は、W銀行a支店において請求人G名義で購入された金融債を平成19年2月27日に売却し、当該売却した資金が入金された同支店の請求人G名義の普通預金口座(口座番号○○○○)から出金された資金で購入されているが、当該金融債を含め本件各国債・利付債券及び本件各預貯金の原資は明らかでない。
(ホ) 本件被相続人の請求人G及び請求人Jに対する生前の発言内容
 本件被相続人は、請求人G及び請求人Jに対し、生前、請求人J及び請求人Kの名義財産を同程度の価額にするために、請求人Jの名義財産から請求人Kの名義財産に資金移動をするつもりである旨話したことがあった。
(ヘ) 本件請求人ら名義財産に係る取引及び口座開設等の手続の遂行者
 本件請求人ら名義財産が形成される過程の取引及び口座開設等は、本件被相続人によって行われ、本件各保険の締結等の手続上必要とされる名義人本人の書類作成等を除き、それらの実際の手続は、本件被相続人又は本件被相続人の指示を受けた請求人Gによって行われたが、上記名義人本人の書類作成等は、本件被相続人又は 本件被相続人の指示を受けた請求人Gの指示に基づき、請求人らによって行われた。
(ト) 本件請求人ら名義財産の基となった上場株式の配当金の振込先
 本件請求人ら名義財産の基となったR証券に保護預りとされていた請求人らの名義の上場株式のうち、配当金の支払方法について振込みを選択した配当金の振込先は、請求人GがT銀行a支店の普通預金口座(口座番号○○○○)、請求人Jが同支店の普通預金口座(口座番号○○○○)、請求人Kが同支店の普通預金口座(口座番号○○○○)であり、いずれも、通帳及び印鑑は本件被相続人の自宅にて保管されていた。
(チ) 本件調査の時点及び本件相続の開始日における証書等及び届出印鑑の保管状況
 本件調査の時点における本件請求人ら名義財産の証書等及び届出印鑑の保管状況は、別表2の「届出印鑑」欄及び「証券の保管場所」欄、別表3の「届出印鑑」欄、別表4の「届出印鑑」欄及び「通帳等及び通帳等の保管場所」欄並びに別表5の「届出印鑑」欄及び「通帳等の保管場所」欄記載のとおりである。
 なお、本件相続の開始日における本件請求人ら名義財産の証書等及び届出印鑑の保管場所は、別表2ないし5において保管場所が請求人G名義の貸金庫とされているものを除き、同各表記載の保管場所と同一であり、保管場所が請求人G名義の貸金庫とされているものの本件相続の開始日における保管場所は、本件被相続人の自宅であった。
(リ) 本件調査の時点における契約名義人に送付された書面等の保管状況
A 本件各保険
 本件各保険のうち、別表2の番号3の請求人Kが契約名義人であるものの生命保険会社はP社であり、「ご契約内容のお知らせ」と題する書面が、同社から、契約名義人である顧客の住所あてに送付されているが、請求人Kあてに送付された平成18年1月5日付及び平成21年4月2日付の当該書面は、本件調査の時点において、本件被相続人の自宅に保管されていた。
B 本件各投資信託
 本件各投資信託の証書は発行されておらず、「取引報告書」と題するはがきが、R証券から口座名義人である顧客の住所あてに送付されているが、請求人Kあてに送付された当該書面は、本件調査の時点において、本件被相続人の自宅に保管されていた。
(ヌ) 本件各不動産の取得
 本件各不動産は、平成元年3月23日に、別表6及び7の各「持分」欄記載の本件被相続人及び請求人らの名義の各持分により、総額30,000,000円で購入されたが、これを各人名義の持分であん分すると、本件被相続人の持分が12,000,000円、請求人Gの持分が8,000,000円、請求人J及び請求人Kの各持分が各5,000,000円となる。
(ル) 別表10−1ないし10−5のメモ及びその記載内容から認められる事実
 本件調査担当職員が本件調査の際に把握した別表10−1ないし10−5のメモ(以下「本件メモ」という。)は、請求人Gが作成したものであるが、本件メモの記載内容によれば、本件メモに記載された年月日には、上記(ヌ)の本件各不動産の購入年月日である平成元年3月23日以後のものはなく、本件被相続人の名義で12,000,000円、請求人Gの名義で8,157,014円、請求人Jの名義で4,446,375円、請求人Kの名義で4,440,631円を、それぞれの名義の預貯金等から支出する予定であったと認められ、請求人J及び請求人Kの各名義の支出に当てるそれぞれの名義の預貯金等では不足する資金については、いずれも560,000円ずつ贈与された資金を充てる予定であったと認められる。
(ヲ) 上記(ヌ)及び(ル)により認められる事実
 本件メモには本件各不動産の購入日以後の日付のものはなく、上記(ヌ)の本件被相続人及び請求人らの名義の各持分に係る金額は、同(ル)の本件被相続人及び請求人らの名義の支出予定の金額及び請求人J及び請求人Kの各名義の預貯金等では不足する資金に充てる予定であった560,000円を、それぞれの名義人ごとに合計した金額とおおむね符合することからすれば、本件メモは、本件各不動産の原資を記載したものと認められる。
ロ 結論
 預貯金、有価証券等の財産の帰属を判断するためには、その名義が重要な要素となることはもちろんであるが、他人名義で財産を取得することや取引口座の開設をすることも、特に親族間においては珍しいことではないことからすれば、それらの原資をだれが負担しているか、取引や口座開設の意思決定をし、その手続を実際に行っていたのはだれか、その管理又は運用による利得を収受していたのがだれかという点もまた帰属の認定の際の重要な要素ということができ、実際に帰属する者の認定は、これらの諸要素、その他名義人と実際に管理又は運用をしている者との関係等を総合的に考慮してすべきであるので、これらに基づいて、本件請求人ら名義財産が本件相続の相続財産であるか否かを検討した結果は、以下のとおりである。
(イ) 本件請求人ら名義財産の原資の負担者
 上記イの(ロ)及び(ハ)によれば、本件請求人ら名義財産のうち、本件各国債・利付債券及び本件各預貯金を除き、その形成過程は、おおむね別表9−1及び9−2のとおりであり、その発端は、昭和51年から昭和53年にかけて行われたΑ社の本件被相続人及び請求人らの名義の取引口座の開設であり、その後継続されたことによって、本件請求人ら名義財産のうち、本件各国債・利付債券及び本件各預貯金を除いた財産が形成されたものと認めるのが相当であるから、その当時の請求人らの収入状況及び年齢(同(イ)のBないしD)を加味すると、当該財産の原資の負担者は、本件被相続人であると推認するのが相当である。
 また、上記イの(ニ)のとおり、本件各国債・利付債券及び本件各預貯金の原資が不明であるものの、上記のとおり、本件各国債・利付債券及び本件各預貯金を除いた財産の原資の負担者は、本件被相続人であると推認されることに加え、同(ホ)のとおり、本件被相続人は、請求人J名義及び請求人K名義の財産を同程度の価額にする旨生前に発言していたこと及び下記(ロ)のとおり、本件被相続人が、本件各国債・利付債券及び本件各預貯金を含む本件請求人ら名義財産に係る取引及び口座開設等の手続等の実質の遂行者であったことを併せてみると、本件各国債・利付債券及び本件各預貯金の原資のみ、本件被相続人の資金から捻出されなかったとみるべき証拠もない。
 以上によれば、本件請求人ら名義財産の原資の負担者は、本件被相続人であったと認めるのが相当である。
(ロ) 本件請求人ら名義財産に係る取引や口座開設の実質の遂行者
 上記イの(ヘ)のとおり、本件各保険の契約締結等の手続上必要とされる名義人本人の書類作成等を除き、本件請求人ら名義財産が形成される過程の取引及び口座開設等の実際の手続は、本件被相続人又は本件被相続人の指示を受けた請求人Gによって行われた。そして、本件各保険に係る名義人本人の書類作成等は、本件被相続人又は 本件被相続人の指示を受けた請求人Gの指示に基づき、請求人らによって行われたことからすれば、本件請求人ら名義財産に係る取引や口座開設等の手続の遂行者は、実質的に本件被相続人であったと認めるのが相当であり、このことは、別紙5の2の「原処分庁」及び「請求人ら」の各欄の(1)のとおり、当事者間にも争いがない。
(ハ) 本件請求人ら名義財産の管理
 上記イの(チ)のとおり、本件請求人ら名義財産の証書等及び届出印鑑の保管状況は、別表2ないし5のとおりであり、証書等が発行されたものの保管場所は、別表5の番号3及び4の預金通帳は本件被相続人の自宅、別表2の番号2及び3の各保険の証券は各契約名義人の自宅、それ以外の財産に係る証書等は、本件相続の開始日後に請求人Gが開設したS銀行d支店の請求人G名義の貸金庫(上記イの(チ)のとおり、本件相続の開始日前は本件被相続人の自宅に保管されていた。)にそれぞれ保管されており、証書等が発行されなかった本件各投資信託の「取引報告書」と題する書面は、各口座名義人の住所あて送付されていた。そして、別表2の番号2及び3の各保険及び証書等が発行されなかった財産の届出印鑑は、請求人J及び請求人Kの結婚後の苗字によるものであり、各契約名義人の自宅にそれぞれ保管されていたが、それ以外の財産の届出印鑑は、Gという印影を除き、請求人J及び請求人Kの名前のみの印影によるものであり、いずれも本件被相続人の自宅に保管されていた。
 ところで、別表2の番号2及び3の各保険を契約した際の手続は、上記イの(ヘ)のとおり、本件被相続人又は本件被相続人の指示を受けた請求人Gの指示に基づき、請求人J及び請求人Kによって行われたのであるから、上記のとおり、これらの証書及び届出印鑑の保管場所が請求人J及び請求人Kの自宅であったこと、あるいは、使用された印影が結婚後の苗字によるものであったことをもって、本件被相続人がその管理を放棄し、請求人J及び請求人Kのものになったとはいえず、同(リ)のAのとおり、請求人Kに対して送付された「ご契約内容のお知らせ」と題する書面が、本件調査の時点において本件被相続人の自宅に保管され、同(ホ)のとおり、本件被相続人が請求人J及び請求人Kの名義の財産を同程度の価額にしようと生前に発言していたことを併せてみると、本件各保険の証書及び届出印鑑を請求人らに保管させるようになってから以降も、本件被相続人が本件各保険の管理を放棄したとは推認することができず、請求人らもこれに反して本件各保険を処分しようとした形跡も見受けられない。
 また、上記のとおり、本件各投資信託の届出印鑑の保管場所は、請求人らのそれぞれの自宅であり、「取引報告書」と題する書面も口座名義人である請求人らあてに送付されたのであるが、上記(ロ)のとおり、本件請求人ら名義財産に係る取引や口座開設等の手続の遂行者は、実質的に本件被相続人であったと認めるのが相当である上、上記イの(リ)のBのとおり、請求人Kあてに送付された「取引報告書」と題する書面が本件被相続人の自宅に保管されていたことを併せてみると、届出印鑑の保管場所が請求人らのそれぞれの自宅であり、「取引報告書」と題する書面が請求人らあてに送付されたことをもって、本件被相続人が、本件各投資信託の管理を放棄したと推認することができず、請求人らもこれに反して本件各投資信託を処分しようとした形跡も見受けられない。
 さらに、上記以外の本件請求人ら名義財産の証書等及び届出印鑑の保管場所は、上記のとおり、本件調査の時点において、本件被相続人の自宅か、請求人Gが本件相続の開始日後に開設した貸金庫であり、当該貸金庫に移管されるまでの保管場所が、本件被相続人の自宅以外の場所であったと推認できる客観的な証拠もない。
 以上によれば、本件請求人ら名義財産は、本件被相続人が自身で又は請求人Gを通じて、管理していたと認めるのが相当である。
(ニ) 本件請求人ら名義財産の運用
 R証券で行われた取引に係る資金の原資の負担者は上記(イ)のとおり、本件被相続人であったと認めるのが相当であり、上記イの(ホ)の本件被相続人の生前の請求人J及び請求人K名義の財産を同程度の価額にする旨の発言をしていたことに加え、同(ハ)のA及びBの資金の流れをみると、本件被相続人の意図に基づいて資金が回されていたものと認められ、上記(ロ)の判断を裏付けるものとなっている。そして、上記イの(ヌ)ないし(ヲ)によれば、本件各不動産の購入に当たって、取得資金の手当てについて綿密に検討された本件メモが、請求人Gによって作成されたことからすれば、本件請求人ら名義財産の基となった財産の運用については、本件被相続人の指図によって行われていたとみるのが相当である。
 ところで、上記イの(ハ)のEによれば、請求人G名義貯蓄預金には、請求人Gが教授していた書道の生徒からのかな手本代等の入金が各月250,000円から350,000円程度あり、平成13年10月23日から平成14年6月11日に4,200,000円が出金される直前までのかな手本代等の入金を除くと、平成14年6月4日に1,719,293円が入金され、平成13年11月6日に1,000,000円、平成14年1月17日に1,861,936円の合計2,861,936円が出金されており、出金が入金を上回る一方で、平成13年10月23日現在の残高は3,118,985円、平成14年6月11日に4,200,000円が出金される直前の残高は4,673,002円と増加していることからすれば、4,200,000円が出金される直前の残高は、かな手本代等の入金があったことからこそ作られたものといえ、請求人G名義貯蓄預金は、請求人Gの固有の財産と認めるのが相当である。
 また、請求人G名義各定期預金は、2月ごとの請求人Gの年金及び各月複数回ある120,000円以下の小口入金がある請求人G名義普通預金から自動積立てされたものであり、これらの小口入金の原資は不明であるものの、上記イの(ハ)のA及びBの入出金状況と比較すると、本件被相続人からの入金とは認められないので、請求人G名義普通預金も、請求人Gの固有の財産と認めるのが相当である。
 以上によれば、上記イの(ハ)のC、D及びFの請求人Gの名義の各預金から出金されR証券の請求人Gの名義の口座に入金された平成14年6月11日の3,610,840円、4,200,000円及び871,021円の合計8,681,861円と平成16年2月20日の5,400,000円は、請求人Gが、運用をしていたものと認めるのが相当であり、それ以外の本件請求人ら名義財産は、本件被相続人が、自身で又は請求人Gを通じて、運用をしていたものと認めるのが相当である。
(ホ) 本件請求人ら名義財産に係る利得の享受
 本件請求人ら名義財産に係る利得の享受状況を直接示すものは見当たらないが、上記イの(ト)のとおり、本件請求人ら名義財産の基となったR証券に保護預りとされていた請求人らの名義の上場株式のうち、配当金の支払方法について振込みを選択した配当金の振込先に係る通帳及び印鑑は、いずれも、請求人らの名義の口座ではあるが、通帳及び印鑑は本件被相続人の自宅にて保管されていたのであるから、これらの利得を享受し得る立場にあったのは、請求人らではなく、本件被相続人であると認められる。
(ヘ) 本件各保険の相続財産としての区分等
 前記1の(3)のロの(イ)のとおり、相続開始の時において、まだ保険事故が発生していない生命保険契約で被相続人が保険料の全部又は一部を負担し、かつ、相続人が当該生命保険契約の契約者であるものがある場合においては、当該生命保険契約の契約者について、当該契約に関する権利のうち被相続人が負担した保険料の金額の当該契約に係る保険料で当該相続開始の時までに払い込まれたものの全額に対する割合に相当する部分は、当該相続人が相続により取得したものとみなされるところ、上記(イ)及び下記(ト)のとおり、別表2の番号1の保険の保険料の負担者は本件被相続人又は請求人Gであり、それ以外の保険の保険料の負担者は本件被相続人であるので、本件被相続人が生命保険契約による保険料を負担した部分は、生命保険契約に関する権利をその契約名義人が本件相続により取得したものとみなされ、本件相続の相続財産の課税価格に算入されることとなる。
(ト) 請求人Gが運用していた資金を原資とする財産の価額
 別表2の番号1の保険の契約時の保険料の総額は50,000,000円、その保険料支払日は平成14年6月12日であり、上記(ニ)のとおり、請求人Gが運用していたと認めるのが相当である8,681,861円が、上記イの(ハ)のC及びDのとおり、同月11日にR証券の請求人G名義の口座に入金されていることからすれば、上記の50,000,000円に8,681,861円が充てられたと認めるのが相当であるところ、当該保険は運用の結果、本件相続の開始日における価値は62,613,343円となったのであるから、このうち請求人Gが保険料を負担した金額に相当する価額は、62,613,343円を8,681,861円の50,000,000円に占める割合であん分した10,872,007円となり、この金額が本件相続の相続財産の価額から除かれることとなる。
 また、上記イの(ハ)のFのとおり、別表3の番号2の投資信託の正しい価額は11,449,868円であるが、これは、本件相続の開始日における価額であって、元々、受渡日に支払われた金額は5,460,000円、その約定日は平成16年2月25日、その受渡日は同年3月2日であり、上記(ニ)のとおり、請求人Gが運用していたと認めるのが相当である5,400,000円が、同年2月20日にR証券の請求人G名義の口座に入金されていることからすれば、別表3の番号2の投資信託の価額は本件相続の相続財産の価額から除かれることとなる。
(チ) まとめ
 上記(イ)ないし(ト)によれば、本件請求人ら名義財産は、請求人Gの固有の財産と認められる上記(ト)の各財産を除き、本件相続の相続財産と認められる。
ハ 当事者の主張の当否
(イ) 原処分庁
 原処分庁は、別紙5の2の「原処分庁」欄の(1)のとおり、本件被相続人が、本件請求人ら名義財産を自己の財産として管理運用していた旨主張する。
 しかしながら、R証券の請求人Gの名義の口座に入金された平成14年6月11日の3,610,840円、4,200,000円及び871,021円の合計8,681,861円と平成16年2月20日の5,400,000円は、上記ロの(ニ)のとおり、請求人Gの固有の財産と認めるのが相当であるから、この点に関する原処分庁の上記主張には理由がない。
(ロ) 請求人ら
A 別紙5の2の「請求人ら」欄の(1)の主張
 請求人らは、本件請求人ら名義財産は、本件被相続人から贈与された金員を原資としている旨主張する。
 確かに、本件メモの内容どおりであるとすれば、本件各不動産の購入に当たり、請求人J及び請求人Kには560,000円ずつの資金が贈与された事実は認められるものの、それ以外に、本件被相続人から請求人らに対し、贈与の意思表示がなされ、これが履行されたことを証する事実は認められず、請求人らも、この点について個別、具体的に主張立証していない。
 したがって、当審判所としては、本件請求人ら名義財産の原資のうちに贈与されたものがあるとは認められないといわざるを得ず、請求人らの上記主張には理由がない。
B 別紙5の2の「請求人ら」欄の(2)の主張
 請求人らは、R証券の各名義人口座に入庫した上場株式の配当金が、請求人ら固有の財産である各普通預金口座に入金されていることから、当該上場株式が請求人らの固有財産である旨主張する。
 確かに、上記イの(ト)のとおり、R証券に預け入れられていた請求人らの名義の上場株式の配当金は、請求人ら名義の普通預金口座に振り込まれていることが認められるものの、配当金の振込先が請求人ら名義であることのみをもって、当該上場株式の帰属を判断するのは相当ではなく、当該上場株式の原資は本件被相続人が負担しており、上記通帳及び印鑑はいずれも本件被相続人の自宅に保管されていたのであるから、当該上場株式は本件被相続人に帰属すると認めるのが相当であり、請求人らの上記主張には理由がない。

(3) 争点3 本件宅地の評価に当たって、著しい高低差による減額をすべきか否か。また、裏面路線に係る二方路線影響加算をすべきか否か。

イ 財産評価基本通達の定め等の相当性
(イ) 利用価値が著しく低下している宅地に係る10パーセントの減額の相当性
 課税実務上、その付近にある他の宅地の利用状況からみて、著しく利用価値が低下していると認められる部分のある宅地の価額は、その利用価値が低下していると認められる部分の面積に対応する価額を10パーセント減額して差し支えない旨取り扱われており、道路より高い位置にある宅地又は低い位置にある宅地で、その付近にある宅地に比べて著しく高低差のある場合はその一例である。この取扱いは、その付近にある他の宅地の利用状況からみて、著しく利用価値が低下していると認められる部分のある宅地の価値に減価が生じることを考慮するものであり、当審判所においても相当と認められる。
 ところで、財産評価基本通達14は、相続税評価額の計算の基となる路線価は、宅地の価額がおおむね同一となる一連の宅地が面している路線ごとに設定することとし、その一連の宅地に共通した地勢にある宅地について評定した価額とすることとしている。
 すると、路線価が設定された路線に面した一連の宅地に共通した地勢が道路との高低差がある地勢である場合には、高低差があることが路線価の設定に当たって考慮されているから、その所在地の周辺の一連の宅地に共通した地勢と評価する宅地の高低差を比較検討してもなお著しい高低差がある場合に限って、上記取り扱いをするのが相当である。
(ロ) 財産評価基本通達17の相当性
 本項は、正面と裏面に路線がある宅地の価額は、正面の路線価に基づき計算した価額と裏面路線の路線価に基づき計算した価額に付表3「二方路線影響加算率表」に定める加算率を乗じて計算した価額の合計額にその宅地の地積を乗じて計算した価額によって評価する旨定めているところ、この取扱いは、二方以上の路線に接する宅地が、一方のみの路線に接する宅地よりも採光、通風及び人等の流れなど地勢的な有利性のほかに、宅地として使用する上で道路に接面することは、建物の建築規制上、高い有用性が認められることに着目して、宅地の評価に当たりその影響を加算することとしているものであり、相続税法第22条の規定の趣旨に合致するものであるので、当審判所においても相当と認められる。
ロ 認定事実
 原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
(イ) 宅地造成
 本件宅地は、もともとは山林であったが、昭和50年ころ、マンションの建築に当たり、宅地として造成された。
(ロ) 当審判所が平成22年12月9日に現地確認した本件宅地の現況
A 形状及び門扉の設置状況等
 本件宅地は、別表11のとおりの形状であり、隣接地と門扉で明確に区分された一団の宅地である。北側の裏面路線から南側の正面路線の間は、南勾配に傾斜しているものの、裏面路線が利用できないほどの急勾配のがけにはなっていない。当該傾斜を利用して、マンション6棟が採光に優れるよう南向きに二列配置されて建築されている。
B 裏面路線との接面状況
 本件宅地と裏面路線は、開口部を除き塀によって隔てられ、また、開口部には門で仕切られた出入り口が設置されている。
C 隣接地の状況
 本件宅地と同額の路線価が付された東側隣接の各宅地も、本件宅地と同様に、北側から南側にかけて傾斜している土地であり、南側の宅地には、南側の路線に接して住宅が建築され、北側の宅地には、北側の路線を利用してマンションが建築されている。
(ハ) 本件相続の開始日以降における上記(ロ)の現況の変更の有無
 本件相続の開始日以降当審判所による現地確認までの間に、上記(ロ)の現況に変更はない。
ハ 本件への当てはめ及び請求人らの主張の当否
 請求人らは、別紙5の3の「請求人ら」欄の(1)のとおり、本件宅地は、付近にある宅地に比べて著しい高低差があるため、10パーセントの減額をすべきである旨主張する。
 しかしながら、上記イの(イ)によれば、付近にある一連の宅地に共通した地勢と評価する宅地の高低差を比較検討してもなお著しい高低差がある場合には、利用価値が著しく低下している宅地の評価の方法により、10パーセント減額して評価するのが相当であると解されるところ、本件宅地は、上記ロの(ロ)のAのとおり、南勾配に傾斜していることから、裏面路線と正面路線との間に高低差があると認められるものの、同Cのとおり、本件宅地に隣接する各宅地も、本件宅地と共通した地勢であると認められるので、利用価値が著しく低下している宅地の評価の方法により、10パーセント減額して評価することはできない。
 また、請求人らは、別紙5の3の「請求人ら」欄の(2)のとおり、本件宅地は、高低差の著しい宅地であることから、裏面路線に係る二方路線影響加算をすべきではなく、仮に、裏面路線に係る二方影響加算をすべきとした場合には、傾斜地の宅地造成費を控除すべきである旨主張する。
 しかしながら、本件宅地は、上記ロの(ハ)のとおり、本件相続の開始日以降当審判所による現地確認までの間に、同(ロ)の現況に変更はなく、同(ロ)のAのとおり、南勾配に傾斜しているものの、裏面路線を利用できないほどの急勾配のがけではなく、また、裏面路線は、実際に同Bのとおり本件宅地への出入り口として利用されていることから、仮に、裏面路線に接面しない本件宅地と同様な画地を想定し、これと本件宅地とを比較する場合には、土地の価格形成に与える個別的要因は明らかに本件宅地の方が勝るものと認められ、接面する裏面路線が本件宅地の価額に与える影響は、それを無視し得るほどに著しく低いものと認めることはできず、さらに、本件宅地は、同(イ)及び(ロ)のA及びBのとおり、既に造成されマンションの敷地として使用されているのであり、同(ロ)のCの周囲の状況と比較しても、新たに費用を投じて造成する必要があるとは認められない。
 以上によれば、請求人らの上記主張にはいずれも理由がなく、本件宅地の評価に当たって、著しい高低差による減額はすることができず、裏面路線に係る二方路線影響加算をすることとなる。

(4) 争点4 請求人らが本件請求人ら名義財産を相続財産として申告しなかったことに、通則法第68条第1項に規定する隠ぺい又は仮装の事実があるか否か。

イ 法令解釈
 通則法第68条第1項の重加算税の規定の趣旨は、納税者が過少申告をすることについて隠ぺい、又は仮装という不正手段を用いた場合に、過少申告加算税よりも重い行政上の制裁を科すことによって、悪質な納税義務違反の発生を防止し、もって申告納税制度による適正な徴税の実現を確保しようとするものであるから、重加算税を課すためには納税者のした過少申告そのものが隠ぺい仮装に当たるというだけでは足りず、過少申告行為そのものとは別に、隠ぺい又は仮装と評価すべき行為が存在し、これに併せた過少申告がされたことを要すると解すべきである。
 もっとも、このような重加算税の規定の趣旨からすると、架空名義の利用や資料の隠匿等の積極的な行為が存在したことまで必要であると解するのは相当ではなく、納税者が、当初から相続財産を隠匿し、相続税の課税価格を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行為をした上、その意図に基づく過少申告をしたような場合には、重加算税の上記賦課要件が満たされるものと解される。
ロ 認定事実
 原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、次の事実が認められる。
(イ) 本件相続の申告の依頼状況及び相続財産の提示の指示等
 請求人らが、平成19年10月ころ、M税理士の事務所を訪れ、本件相続に係る相続税の申告を依頼した際、M税理士は、請求人らに対し、本件被相続人の相続財産を提示するよう口頭で指示した。
 なお、M税理士は、請求人らがM税理士の事務所を訪れて以来、請求人Gとは何度か会ったが、請求人J及び請求人Kとは本件調査まで会ったことはなく、請求人Jとは電話で数回、連絡を取った程度であった。
(ロ) 本件相続の相続財産の調査等
 請求人らは、上記(イ)の指示を受け、本件相続の相続財産の調査のため請求人ら3名又は請求人Gが単独で金融機関などを回り、本件被相続人名義の財産に係る残高証明書等を取得した。
 なお、請求人J及び請求人Kは、請求人Gが単独で回った金融機関などがいずれの金融機関などであったか等の詳細な結果について、請求人Gに聞いていなかった。
(ハ) M税理士による申告書の作成
 請求人らは、M税理士に対し、上記(ロ)の残高証明書等のほか、請求人Gの固有の財産であるS銀行m支店の請求人G名義の普通預金に係る通帳等を提示し、M税理士は、当該残高証明書等を基に、本件申告書を作成した。
ハ 本件への当てはめ及び請求人らの主張の当否
 請求人らは、別紙5の4の「請求人ら」欄のとおり、請求人らが、M税理士の求めに対し、本件請求人ら名義財産を提示しなかったのは、請求人ら固有の財産で本件相続に係る相続税の申告と関係がないからであり、請求人Gが本件請求人ら名義財産である銀行預金口座の通帳を保管していない旨の発言は記憶がなかったからにすぎない旨主張する。
 しかしながら、上記(2)のロの(ロ)ないし(ニ)のとおり、本件各保険を除き本件請求人ら名義財産が形成される過程の取引及び口座開設等の実際の手続は、本件被相続人又は本件被相続人の指示を受けた請求人Gによって行われ、本件各保険についても、手続を請求人らが行うよう指示したのは本件被相続人又は請求人Gであり、本件各不動産の購入に当たって、取得資金の手当てについて綿密に検討された本件メモが、請求人Gによって作成され、本件請求人ら名義財産のうち発行された証書等及び届出印鑑の保管場所が、本件相続の開始日までは、一部を除き本件被相続人の自宅であったことに加え、別表2の番号2及び3の保険の証券並びに別表5の番号3及び4の預金通帳を除き、それ以外の財産に係る証書等の保管場所を、請求人Gが、本件相続の開始日後にS銀行d支店の請求人G名義の貸金庫に移していることを併せてみると、請求人Gは、本件被相続人が請求人らの名義で財産を蓄積し、これを残そうとしていたことを十分に認識しており、その財産の明細も知り得たものと認めるのが相当である。そして、上記ロの(イ)及び(ロ)のとおり、請求人J及び請求人Kは、本件相続の相続財産の調査を請求人Gにゆだねており、また、M税理士との接触は主として請求人Gが行っていたことからすると、請求人J及び請求人Kと請求人Gとの間では、本件相続の相続財産の把握や相続税の申告手続について、請求人J及び請求人Kを委任者、請求人Gを受任者とする黙示の委任がなされていたと認めるのが相当である。
 そうすると、請求人らは、上記ロの(イ)のとおり、そろってM税理士の事務所を訪れ、本件相続に係る相続税の申告を依頼した上で、M税理士から口頭で、本件被相続人の相続財産を提示するよう指示を受けた後、M税理士に対し、同(ロ)の残高証明書等のほか、同(ハ)のとおり、請求人Gの固有の財産であるS銀行m支店の請求人G名義の普通預金に係る通帳等を提示することによって、本件申告をしたのであるから、本件請求人ら名義財産の明細を知り得た請求人Gは、その全貌には至らずとも自らが知り得た範囲の本件請求人ら名義財産の存在をM税理士に報告することができたにもかかわらず、自らの名義の普通預金通帳等を提示するのみで、それ以外の請求人らの名義財産の存在すらM税理士に報告せず、その結果として、本件請求人ら名義財産に係る過少申告の事実を招来したものということができ、このことは、納税者が、当初から相続財産を隠匿し、相続税の課税価格を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行為をした上、その意図に基づく過少申告をしたような場合に該当するというべきである。
 ただし、重加算税は、過少申告加算税に代えて賦課されるものであるところ、上記(2)のロの(チ)のとおり、本件請求人ら名義財産のうち、請求人G固有の財産であると認められる同(ト)の各財産については、そもそも過少申告加算税が賦課されることはない。
 以上によれば、本件請求人ら名義財産のうち請求人Gの固有の財産であると認められる部分を除き、請求人らが本件請求人ら名義財産を相続財産として申告しなかったことに、通則法第68条に規定する隠ぺい又は仮装の事実があると認めるのが相当であり、請求人らの上記主張には理由がない。

(5) 本件各更正処分の適法性

イ 請求人Gが取得した各土地の価額
 本件相続に係る遺産分割協議の結果、請求人Gは本件宅地、e県f市g町○−○、a市h町○−○、i市j町○−○及び同○所在の計5筆の土地を相続することとなったが、次の各土地の価額を除き、残りの2筆の土地の価額の合計額は申告額のとおり17,540,588円であるので、請求人Gが本件相続により取得した土地の価額の合計額は34,182,783円である。
(イ) 本件宅地の価額
 上記(3)のハのとおり、本件宅地の評価に当たって、著しい高低差による減額はすることができず、裏面路線に係る二方路線影響加算をすることとなるので、本件宅地の価額を改めて算定すると、別表12のとおり、2,352,869円である。
(ロ) e県f市g町○−○に所在する土地の価額
 e県f市g町○−○に所在する土地の価額は、別表13のとおり、6,400,082円である。
(ハ) a市h町○−○に所在する土地の価額
 a市h町○−○に所在する土地の価額は、別表14のとおり、7,889,244円である。
ロ 本件請求人ら名義財産の価額
 上記(2)のロの(チ)のとおり、本件請求人ら名義財産は、請求人Gの固有の財産と認めるのが相当である同(ト)の各財産を除き、本件相続の相続財産と認められるので、これに基づき、本件請求人ら名義財産の価額を改めて算定すると、別表15ないし18のとおりとなる。
 なお、本件各保険は、本件相続の開始の時において、保険事故が発生していない生命保険契約で本件被相続人が保険料の全部又は一部を負担し、請求人らが当該生命保険の契約者であるため、前記1の(3)のロの(イ)の規定に従い、請求人らが本件各保険を相続により取得したものとみなされる。
ハ 生命保険金
 本件各更正処分は、別表19の各生命保険金について、本件申告書に記載されたとおり、受取保険金に係る請求人らの相続財産であるとしてされた。
 しかしながら、別表19の番号2の生命保険金は、請求人Gが、本件相続の開始日後に、同番号1の生命保険金を原資として、U生命保険相互会社と請求人Gを契約名義人として新たに締結した生命保険契約を記載したものであると認められるので、同番号2の生命保険金は発生しておらず、本件相続の相続財産ではない。
 また、別表19の番号3の生命保険金は、本件相続の開始の時において保険事故が発生していないので、生命保険契約に関する権利として、その金額が算定されているにもかかわらず、生命保険金として本件相続の課税価格に算入されているので、相続税法第12条《相続税の非課税財産》第1項第5号イの規定が適用される生命保険金から除く必要がある。
 以上によれば、請求人らが受け取った生命保険金の課税価格の合計額は、別表20の(1)の「生命保険金の額」欄の各欄記載のとおりとなり、これに相続税法第12条第1項第5号イの規定を適用して算定した請求人ら各人ごとの課税価格に算入すべき額は、同「課税価格に算入される額」欄の各欄記載のとおりとなる。
ニ 本件各保険以外の生命保険契約に関する権利
 本件各保険以外の生命保険契約に関する権利は、上記ハ及び別表20の(2)のとおり、別表19の番号3の生命保険契約に関する権利に係るものであり、その価額は62,227,882円である。
ホ 請求人らの取得財産の価額
(イ) 分割済財産
 請求人Gが本件相続により取得した土地の価額は、上記イのとおり34,182,783円であり、また、上記ハのとおり、別表19の番号3の生命保険金は、相続税法第12条第1項第5号イの規定が適用される生命保険金から除かれ、生命保険契約に関する権利として、請求人Gが本件相続により取得したこととなり、それ以外の財産の価額は原処分の額と同額であるから、請求人らが本件相続により取得した分割済財産の価額は、別表21の「審判所認定額」欄の各欄記載のとおりとなる。
(ロ) 相続税法第3条の規定によるみなす相続財産
 相続税法第3条の規定により、請求人らが取得したとみなされる財産の価額は、別表15の本件各保険に関する権利の価額、別表20の(1)の生命保険金の価額及び申告された小規模企業共済の給付金の価額であるので、別表22の「審判所認定額」欄の各欄記載のとおりとなる。
(ハ) 未分割財産
 本件相続に係る未分割財産の価額は、別表16の本件各投資信託の価額、別表17の本件各国債・利付債券の価額、別表18の本件各預貯金の価額並びに申告漏れとなっていた本件被相続人名義の有価証券の価額及び預貯金の価額であり、それらは、別表23の(1)の「審判所認定額」欄の各欄記載のとおりであり、請求人らの未分割財産の取得額は、同(2)の「未分割財産の取得額」欄のとおりとなる。
ヘ 債務及び葬式費用
 債務及び葬式費用の額は、本件申告のとおり4,594,445円であって、その全額は請求人Gが取得した財産の価額から控除される。
ト 納付すべき税額及び結論
 上記ホ及びヘに基づき、課税価格及び納付すべき税額を算定すると、別表24の「金額」欄の「課税価格」欄及び「納付すべき税額」欄の各欄記載のとおりとなり、請求人らの各納付すべき税額は、いずれも、本件各更正処分の金額を下回る。
 したがって、本件各更正処分は、いずれもその一部が取り消されるべきである。

(6) 本件各賦課決定処分の適法性

 上記(4)のハのとおり、本件請求人ら名義財産のうち請求人Gの固有の財産であると認められる部分には過少申告加算税が賦課されず、これを除き、請求人らが本件請求人ら名義財産を相続財産として申告しなかったことに、通則法第68条に規定する隠ぺい又は仮装の事実があると認めるのが相当である。そして、上記(5)のトのとおり、本件各更正処分の一部が取り消されるべきであり、一部取り消された後の税額の計算の基礎となった事実のうちに正当な理由に基づくものがあるとは認められない。
 これらに基づき、重加算税の額を改めて算定すると、別表24の「重加算税の額」欄のとおりであり、請求人らの各重加算税の額は、いずれも、本件各賦課決定処分の金額を下回るので、本件各賦課決定処分は、いずれもその一部が取り消されるべきである。

(7) その他

 原処分のその他の部分については、当審判所の調査によっても、これを不相当とする理由は認められない。

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