別紙3

当事者の主張

争点 貸家及びその敷地の評価

原処分庁 請求人ら
1 評価通達26、28及び93の適用について
 建物の全部又は一部が、貸し付けられているかどうかについては、課税時期における現況に基づいて行うのが原則である。もっとも、アパート等においては、課税時期にたまたま一時的に空室が生じていることもあり、このような場合についても、原則どおり賃貸割合を算出することは、不動産の取引実態等に照らし、必ずしも実情に即したものとはいえない。そのため、評価通達26の(注)2は、「賃貸されている各独立部分」には、継続的に賃貸されていた各独立部分で、課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められるものを含むこととして差し支えない旨定めている。
 本件各独立部分及び本件各戸建住宅は、本件相続開始日において空室となっている。また、空室の期間は、最も短い期間でも約4か月であり、いずれも課税時期の前後の一時的な期間には該当しない。そうすると、本件各家屋の空室の状況は、課税時期において、一時的に賃貸されていなかったものとは認められない。
 したがって、評価通達26、28及び93の賃貸割合の計算をするに当たり、課税時期に空室であった部分の床面積を、課税時期において賃貸されている各独立部分の床面積に含めることはできない。
1 評価通達26、28及び93の適用について
 本件各戸建住宅及び本件各独立部分は、次の理由により、評価通達26の定める「課税時期において、一時的に賃貸されていなかったと認められるもの」に該当するから、賃貸割合を100%として、評価通達26、28及び93を適用すべきである。
(1) 本件各家屋には、相当の築年数のものもあるが、定期的に補修等を施すなど経常的に維持・管理を行っていた。  
 また、本件相続開始日前(平成21年7月31日時点)に空室であった35件のうち、18件が入居契約されている。この18件のうち6件については、解約時から2年10か月ないし5年9か月経過して入居契約している。このことからも、賃貸の意図をもって経常的に本件各家屋の維持・管理を行っていたことは明らかである。
(2) まる1少子高齢化・既婚率の低下による住宅入居対象世代の減少、まる2アパート等の供給過剰に伴う駅近物件への集中、B近隣にマンション等の共同住宅が林立しているといった事情から、空室が発生したからといって速やかに新しい入居者が決定するものではない。賃貸人の努力ではどうにもならないことであるにもかかわらず、一時的な状況で判断することは、社会通念上、理解できるものではない。
 こうしたことから、評価通達については、今の社会情勢に照らして柔軟な解釈が必要であり、募集業務を継続して行い、相続開始後も賃貸の用に供して不動産収入を得ていれば一時的な空室と認めるべきである。
(3) Mは平成21年8月11日に○号室が契約されており、原処分庁と協議した結果、原処分では、賃貸割合が4分の3となったが、異議決定では、一時的な空室とは認められず、賃貸割合は4分の2とされた。こうしたケースでも一時的な空室と認めないのなら、行政機関に対する不信感を抱くだけであり、納得いかない。
2 Nの敷地の自用地としての価額について
 相続により取得した財産の価額は、相続税法に特別の定めがある場合を除き、評価通達によるべきである。
 したがって、Nの敷地の自用地としての価額を固定資産税評価額により評価することはできない。
2 Nの敷地の自用地としての価額について
 Nの敷地の自用地としての評価額は、固定資産税の評価基準からしても高すぎる。
 通常、路線価は時価の80%で固定資産税評価額は70%とされている。Nの敷地の固定資産税評価額計算内訳書によると1u当たりの評価は44,XXX円となっており路線価に置き直せば51,XXX円となるから、地積1,369.67u×51,XXX円=69,XXX,XXX円(f市g町○−○の場合)を同敷地の評価の基礎とすべきである。
 原処分庁の主張は、路線価決定の時価と固定資産税評価額決定の時価との整合性はいらないという見解になるが、課税の公平性から問題である。

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