裁決事例集 No.49

国税通則法関係

督促

裁決事例要旨 裁決事例

源泉所得税等還付金を相続税延納分の未納利子税額に充当した後に、所得税の修正申告により納付すべき税額が生じても、当該納付すべき税額が納期限までに納付されなかったことにより行った本件督促が違法となるものではないとした事例(昭和62年分、平成元年分及び平成2年分所得税/棄却)

重加算税の賦課

裁決事例要旨 裁決事例

支払利息に係る借入金が総勘定元帳に記載されておらず、支払利息の経費算入割合が各年で異なる等の事実は存するが、これをもって、隠ぺい又は仮装を認定することはできないとし、重加算税賦課決定処分の一部を取り消した事例(昭和63年分、平成元年分及び平成2年分/一部取消し)

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所得税法関係

不動産所得の必要経費

裁決事例要旨 裁決事例

本件土地等は、貸付けの用に供されることが客観的に明らかとは認められないから、不動産所得を生ずべき業務の用に供されている資産には該当せず、本件土地等の取得に要した借入金利子等の額は、不動産所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないとした事例(平成2年分及び平成3年分所得税/棄却)

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貸付金に係る遅延損害金の収入時期等

裁決事例要旨 裁決事例

遅延損害金の定めのない貸付金にあっては、約定利率と同じ割合で遅延損害金が日々発生しているものと解すべきであり、本件はこれを新たに消費貸借の目的としたものと認められることから、当該遅延損害金が回収不能になったとしても所得税法第64条第1項の規定の適用はないとした事例(平成2年分及び平成3年分所得税/平成2年分の修正申告に係る過少申告加算税の賦課決定処分に対する審査請求は却下、平成3年分の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分は一部取消し、その他は棄却)

保証債務の履行による損失の金額

裁決事例要旨 裁決事例

本件保証債務については、いずれもその保証を行うことが請求人の税理士等の事業の遂行上必要であったと客観的に認められる特段の事情はないとみるのが相当であるから、所得税法第51条第2項及び同法施行令第141条にいう「その事業の遂行上生じた保証債務」には該当しないとした事例(平成4年分所得税/棄却)

事業専従者給与

裁決事例要旨 裁決事例

請求人の妻が現に不動産貸付業及び理容業に係る業務に従事していたとしても、その事務量は僅少であるから、青色事業専従者に該当しないとした事例(平成3年分及び平成4年分所得税/一部取消し)

耐用年数の短縮承認申請

裁決事例要旨 裁決事例

請求人が耐用年数の短縮を求める理由は、本件建物自体の構造等に変化が生じて物理的、客観的に使用可能期間が短くなったという事由ではなく、取壊しの行われることが将来予定されているという本件契約当事者の取決めを理由とするものであるので、所得税法施行令第130条第1項に掲げる事由には該当しないとした事例(耐用年数の短縮承認申請/棄却)

不動産の譲渡か遺産分割かの事実認定

裁決事例要旨 裁決事例

被相続人の死亡によりいったん相続登記(2人各2分の1)がされた土地について、調停がされ、その結果、相続人間で、一方が当該土地を取得し、他方(請求人)が金銭を受領した場合において、旧相続登記は共同相続人全員の遺産分割協議に基づいたものとは認められず、一方、調停による新相続登記と金銭の授受は、代償分割と認められ、請求人が土地の共有持分を他の相続人に譲渡したものではないとした事例(平成元年分所得税/全部取消し)

営業権の売買の有無の認定

裁決事例要旨 裁決事例

喫茶店を経営していた土地建物の譲渡時に喫茶店の営業権等の売買も行われたとの請求人の主張に対し、営業権等は売買されていなかったと認定し、譲渡価額全額が土地建物の対価であるとした事例(平成2年分所得税/棄却)

棚卸資産である土地の譲渡に係る収入すべき日

裁決事例要旨 裁決事例

一団の土地を取得し、順次、同一人に譲渡する旨の契約に基づき土地を譲渡した場合で、約定土地のすべてを譲渡できないときは買主の要請により買戻義務が生ずる旨の特約があっても、棚卸資産である土地の譲渡に係る収入金額を計上すべき時期は、上記特約にかかわらず、当該土地の引渡しがあった日であるとした事例(昭和63年分、平成元年分及び平成2年分所得税/昭和63年分は全部取消し、平成元年分及び平成2年分は棄却)

譲渡対価を代替地等で取得した場合の収入金額

裁決事例要旨 裁決事例

譲渡の対価として代替地及び建物の交付の要求に対し、譲受人は代替地を購入して建物を建築して渡していることから、譲渡収入の金額は、代替地と建物建築価額の合計額になるとした事例(昭和63年分所得税/棄却)

譲渡費用、遺産分割の履行に伴う支出

裁決事例要旨 裁決事例

本件土地は、請求人が代償分割により単独で取得したものであり、代償金は、請求人にとっては相続税の課税価格の計算上控除すべきものであり、遺産分割後の譲渡の際の所得金額の計算上控除すべきものではないとした事例(平成3年分所得税/棄却)

損益通算(雑所得の損失)

裁決事例要旨 裁決事例

海外で営業しているレストランの経営主体は、請求人ら個人ではなく、当該国で設立された現地法人であると認められ、請求人がレストランの経営による収入を事業所得の収入金額として申告しているものは、雑所得に係る収入金額に該当すると解されるから、雑所得の金額の計算上生じた損失の額は、他の各種所得の金額から控除することはできないとした事例(昭和63年分、平成元年分及び平成2年分所得税/棄却)

譲渡物件の帰属

裁決事例要旨 裁決事例

譲渡物件は妻との共有ではなく、請求人の単独所有であるから、不動産の譲渡所得はすべて請求人に帰属すると認定した事例(平成3年分所得税/棄却)

特定の事業用資産の買換特例の適否

裁決事例要旨 裁決事例

買換資産の同族会社に対する貸付けは、無償貸付けであることから、特定の事業用資産の買換特例の適用がないと認定した事例(平成2年分所得税/棄却)

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法人税法関係

借地権の譲渡価額

裁決事例要旨 裁決事例

請求人が、代表者の借地権に係る立退料として代表者が受領したものである旨主張する金員は、請求人が譲渡した本件不動産(借地権と建物)の譲渡価額に含まれるとした事例(平成3年4月1日〜平成4年3月31日事業年度法人税/棄却)

支払利息の損金性

裁決事例要旨 裁決事例

鋼板加工販売業を営む請求人の元代表者(故人)の個人的な借入金を請求人が肩代わりしたことによる本件借入金に係る支払利息等の額については、これを請求人の経費として損金の額に算入することはできず、元代表者の相続人に対する寄付金と認めるべきであるとした事例(平成2年4月1日〜平成3年3月31日事業年度及び平成3年4月1日〜平成4年3月31日事業年度法人税/棄却)

従業員賞与、支払利息

裁決事例要旨 裁決事例

簿外の売上金等から支出した功労金及び支払利息は、事業年度末において、債務が確定しているとはいえず、当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入することができないとした事例(平成元年7月1日〜平成2年6月30日事業年度法人税/棄却)

青色申告承認の取消理由

裁決事例要旨 裁決事例

事務処理の遅れにより確定申告書を期限までに提出しなかったことは、災害その他やむを得ない事情があったとは認められないから、青色申告承認の取消処分は適法であるとした事例(平成4年4月1日〜平成5年3月31日事業年度法人税/棄却)

土地重課(土地と建物を一括譲渡した場合の譲渡対価の区分)

裁決事例要旨 裁決事例

土地及び建物の一括譲渡契約において、その契約書の特約条項欄に土地及び建物の譲渡価額の記載があるとしても、本件建物の固定資産税の評価額が少額であって固定資産税も賦課されていないこと、本件建物の取得時及び譲渡時の取引先がいずれも本件建物の評価価値はない旨申述していること、請求人自ら確定申告において本件土地建物の取得価額を全額本件土地の原価の額としていること等から本件建物の譲渡価額は零円とするのが相当であるとした事例(平成元年8月1日〜平成2年7月31日事業年度及び平成2年8月1日〜平成3年7月31日事業年度法人税、平成2年8月1日〜平成3年7月31日課税期間分消費税、平成2年7月分〜平成2年12月分及び平成3年7月分〜平成3年12月分源泉所得税/平成2年7月分〜平成2年12月分納税告知処分は一部取消し、平成3年7月分〜平成3年12月分納税告知処分は全部取消し、その他は棄却)

源泉徴収(非居住者の所得に係る源泉徴収義務の存否)

裁決事例要旨 裁決事例

外国籍を有する者への不動産の譲渡対価の支払時において、譲渡人は外国へ出国しているものの、多額の資産を国内に残したままであること等から判断すると、出国は一時的なものと認められ、また、譲渡人の外国人登録は閉鎖されていず、同人の永住許可も失効しておらず、かつ、同人が数次の再入国の許可をうけていたことを勘案すれば、譲渡人は、居住者に該当するものと判断することが相当であるから、当該譲渡対価の支払者には所得税法第212条に規定する源泉徴収義務はないとした事例(平成2年7月分源泉所得税/全部取消し)

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相続税法関係

借入金債務の存否

裁決事例要旨 裁決事例

本件借入金については、その借入れに係る借用証書に債権者の住所、氏名等の主要事項が記載されていない等多くの疑問点及び不自然な点があることから、債務は存在しなかったと認定した事例(平成3年分相続税/棄却)

不動産鑑定評価額と評価水準の関係

裁決事例要旨 裁決事例

評価通達に定める路線価が実勢価格に70パーセントの評価割合を乗じた水準に設定されているから、鑑定評価額に70パーセントを乗じた価額を本件土地の評価額とすべきであるとの主張を退けた事例(平成3年分相続税/棄却)

物納予定地と残地の区分評価の適否

裁決事例要旨 裁決事例

土地の一部を物納する予定につき、物納予定地と残地に分けて評価すべきであるとの請求人の主張について、物納予定の有無は本件土地の相続開始時における現況に影響を及ぼさないから区分して評価することは相当でないとした事例(平成4年分相続税/棄却)

租税特別措置法第69条の3の該当の有無

裁決事例要旨 裁決事例

租税特別措置法第69条の3((小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例))の適用に関し、構築物又は建物の敷地の用に供されていないとの理由、また、相当な対価を得て貸し付けられていない等の理由から、同条の対象となる宅地等に該当しないとした事例(平成3年分相続税/棄却)

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消費税法関係

固定資産の譲渡の時期

裁決事例要旨 裁決事例

本件不動産の譲渡の時期については、請求人は、その経理処理上、本件不動産の譲渡収入を売買契約の効力の発生した日の属する平成元年3月期ではなく、平成2年3月期の収益に計上しているから、契約の効力発生の日を譲渡の時期とすることはできず、原則としての取扱いにより、引渡しがあった平成元年7月17日が譲渡の時期となるとした事例(平成元年4月1日〜平成2年3月31日課税期間分消費税/棄却)

課税資産の譲渡等の対価の額

裁決事例要旨 裁決事例

軽油引取税の特別徴収義務者に該当しない一般販売店は、同税相当額を価格に上乗せして顧客から対価を受領しているとしても、当該相当額は課税資産の譲渡等の対価の額に含まれるとした事例(平成元年分、平成2年分及び平成3年分所得税、昭和64年1月1日〜平成元年12月31日課税期間、平成2年1月1日〜平成2年12月31日課税期間及び平成3年1月1日〜平成3年12月31日課税期間分消費税/平成3年分所得税、平成2年1月1日〜平成2年12月31日課税期間分消費税の更正処分、平成3年1月1日〜平成3年12月31日課税期間分消費税の更正処分及び賦課決定処分は一部取消し、その他は棄却)

仕入税額控除の不適用

裁決事例要旨 裁決事例

店頭における商品の仕入れに際し、仕入先が言うままの名称を帳簿等に記載している仕入取引については、その名称が真実のものでないと推認されるとして、消費税の仕入税額控除は適用できないとした事例(平成元年4月1日〜平成2年3月31日課税期間、平成2年4月1日〜平成3年3月31日課税期間及び平成3年4月1日〜平成4年3月31日課税期間分消費税/棄却)

簡易課税制度

裁決事例要旨 裁決事例

請求人の行っている業務は、会計処理業務であり、帳票類を販売する業務ではないとして、簡易課税制度の適用上、卸売業に該当しないとした事例(平成元年4月1日〜平成2年3月31日課税期間、平成2年4月1日〜平成3年3月31日課税期間及び平成3年4月1日〜平成4年3月31日課税期間分消費税/棄却)

簡易課税制度

裁決事例要旨 裁決事例

悉皆業(白生地卸売業及び染色加工に係る事業)は、「加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供事業」に該当し、第四種事業に当たるとした事例(平成4年1月1日〜平成4年12月31日課税期間及び平成5年1月1日〜平成5年12月31日課税期間分消費税/棄却)

簡易課税制度

裁決事例要旨 裁決事例

原材料等の有償支給を受けて行う自動車部品の加工は製造業に当たるとした事例(平成元年8月1日〜平成2年7月31日課税期間、平成2年8月1日〜平成3年7月31日課税期間及び平成3年8月1日〜平成4年7月31日課税期間分消費税/平成2年8月1日〜平成3年7月31日課税期間分は一部取消し、その他は棄却)

課税仕入れ等の税額の算出方式

裁決事例要旨 裁決事例

課税仕入れ等の税額の算出にあたり、個別対応方式による計算は、一括比例配分方式により計算することとする課税期間が2年を経過していないため、当該方式による計算はできないとした事例(平成3年1月21日〜平成4年1月20日課税期間分消費税/棄却)

1円未満の端数処理の計算方法

裁決事例要旨 裁決事例

消費税に相当する金額の1円未満の端数処理の計算方法については、個々の商品ごとの代金と、当該個々の商品に課されるべき消費税に相当する額とのそれぞれの合計額と解すべきである旨の請求人の主張は認められないとした事例(平成元年3月21日〜平成2年3月20日課税期間、平成2年3月21日〜平成3年3月20日課税期間及び平成3年3月21日〜平成4年3月20日課税期間分消費税/棄却)

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国税徴収法関係

譲渡担保

裁決事例要旨 裁決事例

代物弁済を原因とする不動産の所有権移転登記について、その実質は譲渡担保契約に基づくものであるとみるのが相当であり、清算手続がとられていない以上、被担保債権が消滅したものとみることはできないとして、国税徴収法第24条の譲渡担保権者の物的納税責任に関する告知処分が適法であるとした事例(平成5年2月8日付でされた譲渡担保権者の物的納税責任に関する告知処分及び平成5年2月19日付でされた不動産の差押処分/告知処分は棄却、差押処分は却下)

譲渡担保

裁決事例要旨 裁決事例

「一括支払システムに関する契約書(代金債権担保契約書)」第3条の2(国税徴収法第24条の規定に基づく譲渡担保権者に対する告知が発せられたときは、当座貸越債権は何らの手続を要せず弁済期が到来するものとし、同時に担保のため譲渡した代金債権は当座貸越債権の代物弁済に充当されるとするもの)の効力について、かかる変動を認めることは国税徴収法第24条による物的納税義務の規定が機能しなくなることを意味するのであるから、国税徴収法第24条の規定が、このような擬制による権利変動を保護しているとは解されないとした事例(平成5年5月20日付でされた譲渡担保権者に対する告知処分/棄却)

無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務

裁決事例要旨 裁決事例

滞納者が請求人に対してした離婚に伴う財産分与及び子の監護費用分担額の一時の支払につき、不動産を給付した上で保有し得た財産の2分の1に相当するまでの金額については、不相当に過大と認めることはできないが、これを超える部分については、不相当に過大なものとして国税徴収法第39条に規定する無償譲渡等処分に該当するとした事例(平成5年1月14日付でされた納税者Aの滞納国税に係る第二次納税義務の納付通知書による告知処分/一部取消し)

交付要求の通則

裁決事例要旨 裁決事例

賦課処分と滞納処分とは、それぞれその目的を異にする独立の行政処分であるから、課税処分が取り消されるか無効でない限り、課税処分の違法を理由として、交付要求の取消しを求めることは出来ないとした事例(平成5年2月23日付でされた交付要求処分/棄却)

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