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裁決事例集 No.53
国税通則法関係
納税地異動の有無、送達の効力
所得税の納税地とは、生活の本拠をいうと解されるところ、各地に住居を有していると認められる納税義務者の生活の本拠は、単に住民登録が異動していることやそこに住居があるといったことのみによることなく、納税義務者の資産の所有状況及びその所在、家族の居住状況、夫婦の同居の推認及び職業等の客観的な事実を総合して判定するのが相当であり、また、国税に関する税務署長の発する書類の送達の効力は、その書類が社会通念上送達を受けるべき者の支配下に入ったと認められる時、すなわち、書類の名あて人がその書類を了知し得る状態になった時にその効力が生ずるとした事例(昭和62年分、昭和63年分、平成元年分、平成2年分、平成3年分、平成4年分及び平成5年分所得税/棄却)
平成9年3月31日裁決
仕入税額控除
消費税の仕入税額控除の計算を一括比例配分方式で申告したものについて、更正の請求において、個別対応方式に変更することはできないとした事例(平成6年4月1日〜平成7年3月31日課税期間分消費税/棄却)
平成9年5月27日裁決
更正の請求
国税通則法第23条第2項第1号及び相続税法第32条第1号に定める更正の請求は、請求人にいずれか有利な規定を適用することはできないとした事例(昭和62年分相続税/棄却)
平成9年6月3日裁決
更正の請求、やむを得ない理由
期限内又は期限後申告にかかわらず、当初の申告書が提出された場合には、その後に帳簿書類が押収されたとしても、国税通則法施行令第6条第1項第3号に規定する「やむを得ない事情」に該当しないとした事例(平成元年4月1日〜平成2年3月31日事業年度法人税/棄却)
平成9年5月15日裁決
正当な理由
納税申告書をその法定申告期限に郵便ポストに投函して郵送したが、郵便の取り集め時間後であったため納税申告書の通信日付が翌日となり、期限後申告となった場合は、国税通則法第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由」がないとした事例(平成7年2月1日〜平成8年1月31日事業年度法人税及び平成7年2月1日〜平成8年1月31日課税期間分消費税/棄却)
平成9年3月27日裁決
無申告加算税の正当な理由
相続税の期限内申告書の提出がなされなかったことについて、国税通則法第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由」がないとした事例(平成6年分相続税/棄却)
平成9年5月8日裁決
不納付加算税・その他
所得税法第216条の納期の特例の承認を受けた者(納期の特例適用者)の納税告知に係る不納付加算税の計算の基礎となる税額は、その法定納期限までに納付されなかった税額、つまり、1月から6月まで及び7月から12月までの各期間に支払われた給与等に係る未納の源泉所得税額の合計額となるとした事例(平成7年7月〜平成7年12月分源泉所得税/棄却)
平成9年6月30日裁決
所得税法関係
後発的事由・更正の請求の特例
社会保険診療報酬に係る不正請求金を、事業廃止後に支払った場合の更正の請求は、国税通則法第23条に該当せず、所得税法第152条による更正の請求をすべきであるとした事例(平成3年分及び平成4年分所得税/棄却)
平成9年4月15日裁決
収入すべき時期/譲渡の日の認定事例
譲渡費用/立退料
過少申告加算税に係る正当な理由を認めた事例
- 借地権利金の全額を年内に受領している場合のその借地権利金を譲渡所得の収入金額にみなされるときにおける譲渡所得の収入すべき時期は、借地権利金の全額を受領した年分であるとした事例
- 同族会社に支払った6億円の立退料は、譲渡費用に該当しないとした事例
- 審査請求中に義務的修正申告書を提出しなかったことが国税通則法第65条第4項に規定する「正当な理由」に該当するとした事例
(平成2年分、平成4年分、平成5年分、平成6年分及び平成7年分所得税/平成7年2月17日付でされた過少申告加算税の賦課決定処分は全部取消、その他は棄却)
平成9年6月30日裁決
雑所得の必要経費
退職手当金の一部を一時金で受領せず従前の勤務先が営む年金制度の原資に振り替えて受給する年金は公的年金等に該当し、振り替えた原資部分の金額については、雑所得の金額の計算上控除できないとした事例(平成5年分、平成6年分及び平成7年分所得税/棄却)
平成9年6月24日裁決
損益通算/譲渡損失
ゴルフ会員権を譲渡した時点において、当該ゴルフ場施設が競売等により他の所有になったことによって当該ゴルフ場施設優先利用権が消滅した場合には、当該ゴルフ会員権の譲渡による損失を他の所得金額と損益通算することはできないとした事例(平成5年分所得税/棄却)
平成9年5月30日裁決
居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用の可否
譲渡資産の所有期間が譲渡の年の1月1日において10年を超えているかどうかについて、譲渡資産の取得時期を引渡しを受けた時期により判定した事例(平成2年分所得税/少申告加算税の変更決定処分については却下、その他は棄却)
平成9年1月24日裁決
収用等の場合の特別控除の特例の適否
本件土地の譲渡は、買取り等の申出日から6月経過後の収用であるから、租税特別措置法第33条の4第3項第1号の規定による5,000万円控除の特例が適用できないとした事例(平成4年分所得税/棄却)
平成9年3月10日裁決
居住用財産の譲渡所得の特別控除
優良再開発建築物整備事業における譲渡契約の締結日は、当該事業の事業計画の同意書を作成、提出した日であるとして、居住用財産の譲渡所得の特別控除及び居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用を認めた事例(平成5年分所得税/一部取消)
平成9年6月26日裁決
相続税額の取得費加算の特例の可否
代償金を支払って取得した相続土地を譲渡した場合の取得費の額に加算する相続税額の計算に当たり、当該代償金の額を圧縮した原処分は相当であるとした事例(平成5年分相続税/棄却)
平成9年1月21日裁決
住宅取得等特別控除
法人税法関係
寄付金
請求人がその子会社の債務超過などを理由として売掛金及び貸付金を放棄したことは、いずれも子会社に対する経済的な利益の無償の供与であり、寄付金の額に該当するとした事例(平成6年7月1日〜平成7年6月30日事業年度法人税/棄却)
平成9年6月2日裁決
相続税法関係
本件土地の帰属
本件土地は、請求人が第一次相続で相続したものではなく、当該相続で被相続人が相続したものであり、本件更正登記は請求人が仮装したものであるとした事例(平成6年分相続税/棄却)
平成9年3月28日裁決
相続税の課税財産の認定/売買契約に係る土地
借地権等の売買契約中に売主である被相続人に相続が開始した場合における相続財産は、当該借地権等ではなく、当該売買契約に係る残代金請求権であり、また、既に受領した手付金及び中間金は相続税の計算上債務には当たらないとした事例(平成4年分相続税/棄却)
平成9年5月14日裁決
相続税法第8条ただし書の適用の可否
公正証書による財産の贈与時期
土地及び有限会社の出資の評価
A土地及びB土地の評価については、取引事例及び公示価格を基に土地価格比準表の地域格差及び個別格差の補正率を適用して算定し、また、X社の出資の評価については、評価差額に対する51パーセントの法人税等相当額が控除できないとした事例(平成5年分相続税/重加算税の賦課決定処分は却下、その他は棄却)
平成9年2月6日裁決
生産緑地の評価
農業の主たる従事者の死亡により、市町村長に買取りの申出ができる生産緑地の価額は、生産緑地でないものとして評価した価額から、その価額に100分の5の割合を乗じて計算した金額を控除した価額で評価するのが相当であるとした事例(平成6年分相続税/棄却)
平成9年2月17日裁決
物納財産の適否
物納申請土地は、いわゆる間口狭小のため単独には通常の用途に供することができない土地に該当するとして「管理又は処分をするのに不適当」と判断した事例(平成7年12月15日付でされた相続税の物納財産変更要求通知処分及び同日付でされた特例物納土地変更要求通知処分/棄却)
平成9年4月9日裁決
相続税の延納税額についての物納の特例
特例物納申請土地である本件貸地は、賃料が近傍類似の民間賃貸実例による平均的賃料と比較して低廉であることから、国において借地契約の円滑な継続が困難な土地に該当し、管理又は処分をするのに不適当な財産と認められるとして、本件特例物納申請土地につき、変更要求通知処分をしたことは相当であるとした事例(平成8年4月5日付でされた相続税の特例物納土地変更要求通知処分/棄却)
平成9年3月5日裁決
消費税法関係
課税資産の譲渡等の対価の額
軽油引取税の特別徴収義務者に該当しない者が同税相当額を価格に上乗せしても、当該相当額は課税資産の譲渡等の対価の額に含まれるとした事例(平成3年10月1日〜平成4年9月30日課税期間、平成4年10月1日〜平成5年9月30日課税期間及び平成5年10月1日〜平成6年9月30日課税期間分消費税/棄却)
平成9年5月28日裁決
簡易課税制度
請求人の行っている事業は、第三種事業に該当するものではなく、加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業であり、第四種事業に該当するとした事例(平成4年4月1日〜平成5年3月31日課税期間、平成5年4月1日〜平成6年3月31日課税期間及び平成6年4月1日〜平成7年3月31日課税期間分消費税/棄却)
平成9年5月30日裁決
国税徴収法関係
課税処分と徴収処分ほか
- 遺産の審判分割を原因とする本件各課税処分に重大かつ明白な瑕疵が存在するとは認められず、当然無効でない以上、課税処分とは別個独立の行政処分である本件差押処分の取消しを求めることはできない。
- 相続財産である本件株券は適法、有効に発行されたものと認められるところ、原処分庁は、その交付請求権の差押権者として取立権を行使し、給付を受けて有価証券として差押処分をしたものであり、本件差押処分は適法、有効である。
- 公売期日に公売が実施されず、その期日が経過しており、本件公売処分は不存在であるから、審査請求はその対象を欠く不適法なものとして却下すべきある。
(平成7年9月12日付でされた有価証券の差押処分/差押処分は棄却、公売処分は却下)
平成9年2月18日裁決
交付要求し得る租税債権の範囲
破産宣告後の更正処分により確定した本件消費税は、破産財団に関して生じたもので財団債権に該当し、したがって、破産管財人に対する本件消費税の滞納を理由とする交付要求処分の取消しを求める審査請求は、不適法なものであるとした事例(平成8年8月14日付でされた交付要求/却下)
平成9年6月19日裁決
登録免許税法関係
台帳価格のない場合の不動産の価額の算定方法
台帳価格のない土地の価額の算定に当たって、当該土地の売買価額を不動産の価額であるとした場合にも、当該価額に租税特別措置法第84条の3に規定する特例により100分の40を乗じた額によることができるとする法令上の規定はないから、当該土地の価額の算定に当たっては、分筆前の土地の価額の合計額に当該特例に基づき100分の40を乗じた額によるべきであるとした事例(平成8年3月27日付登記の登録免許税/棄却)
平成9年4月25日裁決