裁決事例集 No.78

国税通則法関係

和解による更正の請求

裁決事例要旨 ▼裁決事例

本件和解は、本件不動産の持分2分の1が被相続人の相続開始日にさかのぼって利害関係人に帰属することを認めたものと解する余地はなく、将来に向かって新たな権利関係等を創設する趣旨のものであることから、国税通則法第23条第2項第1号にいう「和解」に当たらないとした事例(平成12年5月及び平成13年11月相続開始に係る相続税の各更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の各通知処分・棄却)

納税の猶予

裁決事例要旨 ▼裁決事例

融通手形の受取人の倒産による手形債務の負担が、請求人に帰責性があるということはできず、不測の事態によって資金繰りが困難になったという点で、売掛金等の回収が不能になった場合と同視できることから、国税通則法第46条第2項第1号に掲げる事実に類する事実に当たるとした事例(納税の猶予不許可処分・全部取消し)

納税の猶予

裁決事例要旨 ▼裁決事例

請求人について、売上げの減少や経費の増加の程度が著しいとは言い難く、利益については赤字の状態に陥ったとは認められないから、国税通則法第46条第2項第5号に規定する同項第4号に類する事実(事業についての著しい損失に類する事実)があったとは認められないとした事例(納税の猶予不許可処分・棄却)

納税の猶予

裁決事例要旨 ▼裁決事例

請求人について、「著しい損失」は認められないものの、売上金額は著しく減少し、赤字の状態に陥っているから、国税通則法第46条第2項第4号に掲げる事実に類する事実があるとした事例(納税の猶予不許可処分・全部取消し)

所得税法関係

居住者の判定(非居住者と認めた事例)

裁決事例要旨 ▼裁決事例

請求人が海外に在留して報酬を得ていた期間は、請求人は国内に生活の本拠を有していなかったから、当該期間の請求人は非居住者に該当するとした事例(まる1平成16年分及び平成17年分の所得税の各決定処分並びに無申告加算税の各賦課決定処分、まる2平成18年分の所得税の更正処分及び無申告加算税の賦課決定処分・まる1全部取消し、まる2一部取消し)

非永住者の判定(国内に住所又は居所を有していた期間)

裁決事例要旨 ▼裁決事例

非永住者の判定上、過去に外交官として日本に派遣されていた期間は、「国内に住所又は居所を有していた期間」に該当するとした事例(平成18年分の所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分・棄却)

配当所得の収入金額

裁決事例要旨 ▼裁決事例

請求人が構成員となっているLLCから受ける配当に係る収入金額は、請求人に配分されたインセンティブ配分額の全額であるとした事例(平成17年分及び平成18年分の所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)

不動産所得の総収入金額(合意解約による残存期間賃料)

裁決事例要旨 ▼裁決事例

建物賃貸借契約の合意解約に伴う残存期間賃料は、中途解約に伴う賃料収入に対する補償であり、不動産の貸付けにより生ずべき収入金額に代わる経済的利益と認められるから、不動産所得の総収入金額に当たるとした事例(平成19年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

不動産所得の総収入金額(債務免除益)

裁決事例要旨 ▼裁決事例

請求人が買い受けた不動産の売買代金の支払に代えて引き受けた債務の免除は、請求人の経済的利益に当たるから、不動産所得の総収入金額に算入するのが相当であるとした事例(平成17年分の所得税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分・棄却)

必要経費(社会保険診療報酬の不正請求に係る返還債務の計上時期)

裁決事例要旨 ▼裁決事例

無効な行為により生じた経済的成果がその行為の無効であることに基因して失われたことによる返還債務は、それが現実に返還されるまでは担税力があり、現実に返還したときに必要経費に算入されるとした事例(平成16年分、平成17年分及び平成19年分の所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)

一時所得と認めなかった事例

裁決事例要旨 ▼裁決事例

職務発明に係る特許を受ける権利を勤務先に承継させた者の相続人が、特許を受ける権利の対価に係る訴訟上の和解により取得した金員は、その相続人の雑所得に該当するとした事例(平成19年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分並びに更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分・棄却)

配偶者控除

裁決事例要旨 ▼裁決事例

年の中途で死亡した者の控除対象配偶者に該当するかどうかは、死亡時の現況により見積もったその年の1月1日から12月31日までの配偶者の合計所得金額により判定すべきであるから、配偶者控除は適用できないとした事例(まる1Aに対してされた被相続人Dに係る平成19年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、まる2B及びCに対してされた被相続人Dに係る平成19年分の所得税の各更正処分・棄却)

外国税額控除(やむを得ない事情の範囲)

裁決事例要旨 ▼裁決事例

確定申告書に外国税額控除を受けるべき金額の記載及び書類の添付をしなかったことについて、やむを得ない事情はないとした事例(平成17年分〜平成19年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)

非居住者等の国内源泉所得(使用料)に係る源泉徴収

裁決事例要旨 ▼裁決事例

E国法人に対して支払ったゲームソフトの開発委託費は、国内源泉所得である著作権の譲渡等の対価に該当し、非居住者等に対する源泉所得税の課税対象となるとした事例(平成14年7月、平成15年3月、平成15年11月、平成16年7月、平成16年11月及び平成16年12月の各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分及び不納付加算税の各賦課決定処分・棄却)

給与所得(経済的利益)に係る源泉徴収

裁決事例要旨 ▼裁決事例

法人の代表者が当該法人所有の資産を無償で専属的に利用したことは、経済的利益を享受していることに当たるから、源泉所得税の課税対象となるとした事例(平成17年7月〜平成19年12月の各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分及び不納付加算税の各賦課決定処分・一部取消し)

調査手続

裁決事例要旨 ▼裁決事例

質問検査に至る前段階として必要な情報収集の方法は、社会通念上相当な限度にとどまっていると認められるので、合理的な裁量の範囲を逸脱するような違法は認められないとした事例(平成16年分及び平成17年分の所得税の各更正処分及び無申告加算税の各賦課決定処分並びに平成18年分の所得税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分・棄却)

収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除

裁決事例要旨 ▼裁決事例

請求人がした国に対する土地の譲渡は、国からの買取り等の申出のあった日から6か月を経過した日までに行われたものではないので、収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除の特例は適用できないとした事例(平成16年分の所得税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分・棄却)

居住用財産の譲渡所得の特別控除

裁決事例要旨 ▼裁決事例

二以上の家屋が併せて一構えの家屋であると認められるか否かについては、まず、それぞれの家屋の規模、構造、間取り、設備、各家屋間の距離等の客観的状況によって判断すべきであり、個人及びその家族の使用状況等の主観的事情は二次的に考慮すべき要素にすぎないとした事例(平成18年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

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法人税法関係

収益事業

裁決事例要旨 ▼裁決事例

請求人がした霊園用土地の買取り及び販売は、土地を買収してこれを造成し譲渡するものであるから、収益事業(不動産販売業)に該当するとした事例(平16.4.1〜平17.3.31の事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

収益の帰属

裁決事例要旨 ▼裁決事例

請求人の従業員が貯蔵品を売却したことによる収益は、取引を行った従業員の地位・権限などを総合考慮すれば、請求人の売上げとはいえないことから、 請求人には帰属しないとした事例(まる1平15.8.1〜平19.7.31の各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、まる2平16.8.1〜平19.7.31の各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・全部取消し)

期末未払給与の帰属事業年度

裁決事例要旨 ▼裁決事例

公正処理基準に反しない会計処理の方法により決算を確定させて確定申告を行った後に、その会計処理方法を遡及して変更することは許されないとした事例(平19.1.1〜平19.12.31の事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

仮装経理による役員報酬

裁決事例要旨 ▼裁決事例

請求人が監査役に対して支出したとする役員報酬は、取締役に対する報酬を監査役に対する報酬と仮装して経理したと認められることから、損金算入は認められないとした事例(まる1平15.3.1〜平18.2.28の各事業年度の法人税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分並びに平18.3.1〜平19.2.28の事業年度の法人税の更正処分、まる2平成15年6月〜平成18年2月の各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分及び不納付加算税の各賦課決定処分並びに平成18年3月〜平成20年5月の各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分及び重加算税の各賦課決定処分・棄却)

損失の計上の可否

裁決事例要旨 ▼裁決事例

再生計画により免責された債務(部分)について、連帯保証人が保証債務を履行した場合でも、主たる債務者は連帯保証人に対し求償債務を負担しないことから、損金算入は認められないとした事例(平19.5.1〜平20.4.30の事業年度の法人税の更正処分(減額更正処分後のもの)及び過少申告加算税の賦課決定処分(変更決定処分後のもの)・棄却)

同族会社の行為計算否認

裁決事例要旨 ▼裁決事例

解散が見込まれている関連会社に増資払込みを行い、同社の清算結了により当該払込金を投資損失として損金の額に算入した行為は、純経済人として不自然・不合理な行為であり、法人税を不当に減少させるものであるから、当該投資損失(清算配当金控除後)の金額は損金の額に算入されないとした事例(まる1平16.6.1〜平17.5.31の事業年度の法人税の(減額)更正処分、まる2平18.6.1〜平19.5.31の事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・まる1却下、まる2一部取消し)

清算所得の金額の計算

裁決事例要旨 ▼裁決事例

解散による清算所得の金額の計算において、残余財産の価額から控除する利益積立金額等の金額がマイナスの場合には、これを零円として計算することはできないとした事例(平成18年9月○日解散の法人税の清算所得の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

相続税法関係

広大地の評価

裁決事例要旨 ▼裁決事例

相続により取得した土地は、いわゆるマンション適地等に該当するので、財産評価基本通達24−4に定める広大地に該当しないとした事例(平成17年4月相続開始に係る相続税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却)

貸家の評価

裁決事例要旨 ▼裁決事例

本件家屋に賃借人が住んでおらず、家賃が未払等であっても、賃貸借契約は継続していると認められることから、本件家屋は貸家として評価すべきであるとした事例(平成17年8月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・一部取消し)

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消費税法関係

役務の提供の範囲(「事業として」の意義)

裁決事例要旨 ▼裁決事例

請求人が締結したビジネス専門学校との講師契約は、請負契約あるいはそれに類似する契約と認められるので、請求人が行った講義は消費税法に規定する「事業として」行われたことに該当するとした事例(平19.1.1〜平19.12.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分・棄却)

課税仕入れ等の範囲(派遣労働者に支払う対価)

裁決事例要旨 ▼裁決事例

労働者派遣事業を営む審査請求人が派遣労働者に支払う金員は、雇用契約又はこれに類する原因に基づき、労務の対価として請求人から本件派遣労働者に支給されたものであり、所得税法第28条第1項に規定する給与等に該当するものと認められることから、 課税仕入れに当たらないとした事例(平18.6.1〜平19.5.31の課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却)

控除対象仕入税額の計算方式の変更(更正の請求)

裁決事例要旨 ▼裁決事例

消費税の控除対象仕入税額の計算方式について、一括比例配分方式を選択して申告した後に、更正の請求により個別対応方式に変更することはできないとした事例(平18.7.1〜平19.6.30の課税期間の消費税及び地方消費税の更正の請求に対してされた更正処分・棄却)

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国税徴収法関係

共同的な事業者の第二次納税義務

裁決事例要旨 ▼裁決事例

同族会社の判定の基礎となった株主が当該同族会社に無償で貸与していた不動産が、当該同族会社の事業の遂行に欠くことができない重要な財産に当たるとした事例(第二次納税義務の納付告知処分・一部取消し)

不動産の差押え

裁決事例要旨 ▼裁決事例

宗教法人が所有し、主に葬儀会場及び法要会場等として使用されている建物の敷地が差押禁止財産に当たらないとした事例(不動産差押処分・棄却)

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