納付義務の確定

納付すべき税額の確定方式

  1. 納付すべき税額の確定方式(1件)
  2. 納税申告
  3. 更正の請求
  4. 更正又は決定

請求人は、特定株式の移転の日において、K国の居住者であり、当該特定株式の移転に係るみなし譲渡益は、日本国政府とK国政府との租税協定の規定により、K国に課税権があるとし所得税の更正の請求をしたのに対し、原処分庁がした更正をすべき理由はないとの通知処分は適法であるとした事例(所得税及び復興特別所得税の更正の請求に対してされた更正をすべき理由がない旨の通知処分・棄却・平成29年8月22日裁決)

平成29年8月22日裁決

《ポイント》
 本事例は、特定株式の移転に係るみなし譲渡益のうち、請求人が日本国の居住者であったときに、新株予約権を行使したことにより生じた権利行使益については、日本国政府とK国政府との租税協定による制限を受けず、国内法の規定により、国内源泉所得として課税を受けることとなると判断したものである。

《要旨》
 請求人は、新株予約権の行使により取得した株式に係る租税特別措置法第29条の2《特定の取締役等が受ける新株予約権等の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等》第4項の規定により譲渡とみなされるもの(本件みなし譲渡)のうち、同条第1項に規定する経済的利益(本件権利行使益)については、本件みなし譲渡の全てが株式の保有によって生じた値上がり益、すなわち株式譲渡益と考えるのが相当であり、また、請求人は同条第4項に規定する特定株式の移転の日においてK国の居住者であるから、本件権利行使益は、日本国政府とK国政府との租税協定(本件協定)の規定が適用され、K国に課税権がある旨主張する。
 しかしながら、本件みなし譲渡に係る譲渡所得は、所得税法第161条《国内源泉所得》第1号に規定する資産の譲渡により生ずる国内源泉所得であるから、租税特別措置法第37条の12《恒久的施設を有しない非居住者の株式等の譲渡に係る国内源泉所得に対する課税の特例》第1項の規定により、その全体について15%の税率を適用して分離課税の対象になるところ、この国内法上の課税関係が本件協定上受ける制限についてみると、本件みなし譲渡に係る譲渡所得のうち本件権利行使益は、請求人が内国法人であるF社から付与を受けた新株予約権を日本国の居住者である時に行使することにより生じたものであるから、本件権利行使益に係る日本国の課税権については、本件協定による制限を受けないことになり、同項に基づいて15%の税率で分離課税の対象となる。したがって、本件権利行使益については、国内法の規定により、国内源泉所得として日本国で課税を受けることになる。

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