国税の調査

調査終了の際の手続

  1. 事前通知
  2. 調査終了の際の手続(1件)

調査結果の説明に瑕疵があったとしても、原処分の取消事由とはならないとした事例(平成22年9月相続開始に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却、却下・平成27年5月26日裁決)

平成27年5月26日裁決

《ポイント》
 本事例は、証拠収集手続に影響を及ぼさない手続の違法は課税処分の取消事由とはならないものと解されるから、国税通則法第74条の11《調査の終了の際の手続》の調査結果の説明に瑕疵があったとしても、原処分の取消事由とはならないことを明らかにしたものである。

《要旨》
 請求人らは、本件相続に係る相続税の調査(本件調査)には、国税通則法(通則法)第74条の9《納税義務者に対する調査の事前通知等》第1項に規定された事前通知及び通則法第74条の11《調査の終了の際の手続》第2項に規定された調査結果の説明がいずれもなされていない違法があるから、原処分は取り消されるべきである旨主張する。
 しかしながら、まず、本件において、通則法第74条の9第1項所定の事前通知は、本件調査の担当職員の答述及びこれを裏付ける原処分関係資料によれば、当該職員によって適法になされているものと認められることから、この点に関する請求人の主張には理由がない。次に、調査の手続の違法が課税処分の取消事由となるのは、課税処分の基礎となる調査を全く欠く場合のほか、課税処分の基礎となる証拠資料の収集手続(証拠収集手続)に重大な違法があって調査を全く欠くのに等しいとの評価を受ける場合に限られ、他方、証拠収集手続に影響を及ぼさない他の手続の違法は課税処分の取消事由とはならないものと解されるから、証拠収集手続に違法があるとは認められない本件においては、証拠収集手続に影響を及ぼさない手続である調査結果の説明に瑕疵があったとしても、原処分の取消事由とはなり得ないものというべきである。したがって、この点に関する請求人の主張にも理由がない。

《参照条文等》
 国税通則法第74条の9
 国税通則法第74条の11

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