総則

その他

  1. 納税義務者
  2. 課税取得の範囲
  3. 非課税所得
    1. 旅費として支給される金品
    2. 強制換価手続等に係る資産の譲渡による所得
    3. 生命保険金
    4. 損害賠償金等
    5. その他(4件)
  4. 所得の帰属
  5. 所得の発生
  6. 収入金額

相続により取得した土地に係る譲渡所得につき、その土地の値上がり益のうち相続時までの増加額という経済的価値が相続税の課税対象額とされていたとしても、その増加額を含めて所得税の課税対象額とすることは許されるとした事例

平成23年12月2日裁決

《ポイント》
 この事例は、相続時までの土地の値上がり益という同一の経済価値に対する相続税と所得税の課税(譲渡所得課税)が容認されるか否かにつき判断したものである。

《要旨》
 請求人は、相続により取得した土地の値上がり益のうち相続時までの増加額という経済的価値については、相続税の課税対象額とその後の譲渡所得の課税対象額に二度含まれることになり、同一の経済的価値に対する相続税と所得税の二重課税が生じることとなるから、所得税法第9条《非課税所得》第1項第15号により非課税とされるところ、非課税所得に該当した場合は、税法の適用上その所得がないものと同等に扱われるべきであるから、これを譲渡所得の収入金額に含めるべきではない旨主張する。
 しかしながら、所得税法第60条《贈与等により取得した資産の取得費等》第1項は、居住者が同項第1号所定の相続(限定承認に係るものを除く。)により取得した資産を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算について、その者が引き続き当該資産を所有していたものとみなす旨規定し、いわゆる取得価額引継方式を採用しているところ、同条により、相続後に相続人が当該資産を譲渡した場合には、当該資産の譲渡による収入金額から被相続人の取得費を控除したいわゆる値上がり益について所得税が課されることになり、この値上がり益には、被相続人が当該資産を取得してから相続開始に至るまでの値上がり益部分も含まれていることからすれば、同条第1項は、当該値上がり益部分についてもまた、所得税を課すことを容認しているものと認めるのが相当である。

《参照条文等》
 所得税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第9条第1項第15号、第60条第1項

《参考判決・裁決》
 最高裁平成22年7月6日第三小法廷判決(民集64巻5号1277頁)
 最高裁平成17年2月1日第三小法廷判決(訟月52巻3号1034頁)
 最高裁平成4年11月16日第一小法廷判決(判時1441号66頁)

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相続によって取得した株式の発行会社から交付を受けた残余財産分配金のうち、剰余金の配当とみなされる金銭は、非課税所得には該当しないとした事例

平成24年11月14日裁決

《ポイント》
 本事例は、破産手続中であった株式会社の株式を相続により取得し、当該株式に係る分配見込額を時価として相続税の課税対象とされたものについて、その後、当該株式の発行会社から交付を受けた残余財産分配金のうち剰余金の配当とみなされる金銭は、所得税法第9条《非課税所得》第1項第16号の非課税所得には該当しないとしたものである。

《要旨》
 請求人らは、各みなし配当金(請求人らが相続によって取得した株式の発行会社から交付を受けた残余財産分配金のうち、剰余金の配当とみなされる金銭)は、所得税法第9条《非課税所得》第1項第16号の非課税所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、まる1上記規定にいう「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの」とは、相続を直接の原因として相続人の下で実現した所得に限られ、相続後に相続とは別の原因で相続人の下で実現した所得は該当しないと解するのが相当であるところ、本件において、各みなし配当金を取得したことによって請求人らに帰属した所得は、相続後3年以上の期間が経過してから、相続とは別の事由、すなわち、上記会社の清算手続において、債務を完済し、残余財産が最終的に確定したことによって、初めて請求人らの下で実現したものであり、また、相続の開始時には各みなし配当金の支払原因となる具体的な残余財産分配請求権は確定的に発生していなかったから、相続を直接の原因として実現があったものとできないことや、まる2上記各みなし配当金が「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの」に該当するためには、各みなし配当金の額に相当する経済的価値が、相続開始時における上記株式の価値に相当する経済的価値と同一のものと評価できることが必要となるところ、上記会社については、相続の開始後に収支及び資産の状況に種々の変動があり、当該変動後の最終的な清算価値を具現化した残余財産分配金の額に相当する経済的価値は、当該変動前の清算価値に基づいて評価された上記株式の価額に相当する経済的価値と同一と評価できないことからすれば、上記各みなし配当金が「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの」に該当すると認めることはできない。

《参考判決・裁決》
 最高裁平成22年7月6日第三小法廷判決(民集64巻5号1277頁)

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贈与を受けた債券に係る償還額のうち、当該債券(元本)に対する利息部分の額は、運用益に相当するものであり、非課税所得には該当しないとした事例

平成24年12月3日裁決

《ポイント》
 本事例は、贈与を受けた債券(元利均等償還が行われる社債)の利子に係る所得は、年金受給権に関する相続税と所得税の二重課税についての最高裁平成22年7月6日第三小法廷判決の射程等が及ばないと判断したものである。

《要旨》
 請求人は、父から贈与を受けた本件債券(元利均等償還が行われる社債)に係る第1回目の償還額(本件償還額)のうち、当該債券に係る償還予定表において利息相当額とされる部分(本件金員)について、本件債券に係る贈与税及び所得税の課税関係は、年金受給権に関する相続税と所得税の二重課税についての最高裁判所判決(平成22年7月6日第三小法廷判決・民集64巻5号1277頁。(本件最高裁判決))の射程に含まれるものであり、同判決の内容に沿った課税処理がなされるべきであるから、本件金員は、その一部が所得税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第9条《非課税所得》第1項第15号に規定する非課税所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件債券は、本件最高裁判決における年金受給権とは、ある期間定期的に金銭の給付を受けるという形態は類似するものの、まる1当該年金受給権は相続税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第24条《定期金に関する権利の評価》に規定する「定期金給付契約に関する権利」に該当するものであるのに対し、本件債券は「社債」に該当するものであり「定期金給付契約に関する権利」に該当しないものであること、まる2当該年金受給権は元本部分と運用益部分とが区分されていないものであるのに対し、本件債券の各償還額は元本部分と利息(運用益)部分とが約定において明確に区分されているものであることからすれば、その権利の性質・内容が明らかに異なるものというべきである。そうすると、本件債券及び本件償還額について、本件最高裁判決の解釈をそのまま当てはめて、本件最高裁判決の示した課税関係と同様の課税処理をするのは相当ではない。そして、本件債券は、第1回目の償還日から最終回の償還日まで各元本の償還額及び各利息額等があらかじめ元利均等償還となるように組成され、発行時に償還予定表によってそれらの各金額を明示した金融商品であるから、本件金員は、本件債券(元本)に対する利息であり、運用益に相当するものであるから、非課税所得に該当しない。

《参照条文等》
 所得税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第9条第1項第15号
 相続税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)第24条
 財産評価基本通達197−4

《参考判決・裁決》
 最高裁平成22年7月6日第三小法廷判決(民集64巻5号1277頁)

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請求人が行った株式の譲渡による所得は、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における資産の譲渡による所得には当たらないとした事例(平成22年分の所得税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分・棄却・平成27年7月28日裁決)

平成27年7月28日裁決

《要旨》
 請求人は、資産を譲渡した時(本件譲渡時)において、資産を譲渡することとなった原因と密接に関連した請求人を被告とする損害賠償請求訴訟(本件訴訟)が係属中であり、敗訴の可能性が高かったことからすれば、本件譲渡時の現況において、当該資産の譲渡による所得は、所得税法第9条《非課税所得》第1項第10号に規定する資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合の資産の譲渡による所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件訴訟は、本件譲渡時において係属中であり、請求人の本件訴訟に係る債務については、その存否も額も明らかではなく、債務として確定していないから、かかる未確定の債務をもって債務超過の状態が著しいと認めることはできないし、また、課税しても結果的に徴収不能となることが明らかな場合に譲渡所得等を非課税とする上記規定の趣旨に照らしても、これを考慮することはできないというべきであるから、請求人の主張には理由がない。

《参照条文等》
所得税法第9条第1項第10号
所得税法施行令第26条
所得税基本通達9−12の2

《参考判決・裁決》
東京高裁平成23年2月23日判決(訟月58巻1号193頁、ジュリ1455号132頁)

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