総則

その他

  1. 納税義務者
  2. 課税取得の範囲
  3. 非課税所得
  4. 所得の帰属
    1. 実質所得者課税
      1. 他人名義による事業(6件)
      2. その他
    2. 所得の帰属者
  5. 所得の発生
  6. 収入金額

原処分庁が請求人に帰属すると認定した所得のうちの一部について、請求人に帰属するとは認められないとした事例(1平成21年分の所得税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の賦課決定処分、2平成22年分の所得税の更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の賦課決定処分、3平成24年分ないし平成27年分の所得税等の各更正処分並びに過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分・1は全部取消し、2一部取消し、3各更正処分は一部取消し及び重加算税の各賦課決定処分は全部取消し、その他は棄却・平成30年5月14日裁決)

平成30年5月14日裁決

《ポイント》
 本事例は、所得の帰属、重加算税賦課要件の充足性及び更正の期間制限に関する「偽りその他不正の行為」の有無が争点となったものであるが、原処分庁が請求人に帰属すると認定した所得のうちの一部について、名義人に帰属するとの判断がされたため、これに伴い、原処分の一部又は全部を取り消したものである。

《要旨》
 請求人は、原処分庁が請求人に帰属すると認定した1請求人が代表権を有する法人から請求人の家族に支給された給与(本件各金員)、2請求人の元妻名義の不動産の賃貸料(本件賃貸料)及び3同妻に支給された個人年金(本件年金)は、いずれもその名義人に帰属する旨主張する。
 このうち、本件各金員については、請求人の家族に役務提供等をした事実はなく、また、本件各金員が請求人において開設し、管理していた当該家族名義の預金口座に振り込まれていたことなどからすると、いずれも請求人に帰属すると認められる。しかし、本件賃貸料については、対象不動産の名義人及び賃貸借契約の貸主名義人はいずれも請求人の元妻であり、当該不動産の取得資金も当該妻の借入れにより賄われていたこと、また、本件年金については、その契約名義人及び受取人がいずれも当該妻であることからすると、これらについては、いずれも請求人の元妻に帰属すると認めるのが相当である。なお、原処分庁は、請求人が本件賃貸料及び本件年金を元妻の所得であるかのように事実を仮装し、あるいは偽りその他不正の行為により税額の一部を免れたとして、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税を賦課し、同法第70条《国税の更正、決定等の期間制限》第4項第1号の規定を適用して平成21年分及び平成22年分の所得税の各更正処分をしたが、本件賃貸料及び本件年金はいずれも請求人の元妻に帰属する所得と認められるから、この点について、請求人に隠蔽又は仮装の行為はなく、偽りその他不正の行為によって税額の負担を免れた事実もない。

《参照条文等》
 所得税法第12条

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