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資産の譲渡による所得
- 納税義務者
- 課税取得の範囲
- 非課税所得
- 所得の帰属
- 実質所得者課税
- 所得の帰属者
- 資産の貸付けによる所得
- 資産の譲渡による所得(5件)
- 漁業補償金による所得
- 共有店舗の事業から生ずる所得
- 先物取引による所得
- 代理店手数料収入による所得
- LLCの事業に係る所得
- 人格のない社団
- その他
- 所得の発生
- 収入金額
土地の譲渡先は便宜的に賃貸したとする借地人ではなくその借地人から転売を受けた者であると認定した事例
裁決事例集 No.22 - 19頁
農地法第5条第1項第3号に規定する届出をする上で有利になるという理由で、本件土地を便宜賃貸したところ、本件土地の譲渡に際し、借地人(会社)から借地権を主張されたので底地価額で当該借地人に譲渡した旨の主張は、[1]賃貸の時において借地人が既に倒産していること、[2]当該借地人との間で作成された売買契約書の売主の署名が買主(借地人)の従業員によってなされていることなどの事実に照らし理由がなく、請求人が本件土地を形式上当該借地人から転得したことになっている者に対し直接譲渡したと認めるのが相当である。
昭和56年4月28日裁決
請求人を共有名義人の一人とする不動産の譲渡所得について請求人に帰属する金額はないとする請求人の主張を退けた事例
裁決事例集 No.23 - 21頁
請求人を共有名義人の一人とするマンションの譲渡所得につき請求人に帰属する金額はないと請求人は主張するが、[1]本件購入資金のうち、その5分の3に相当する金額が請求人を名義人とする住宅ローンによって調達され、当該住宅ローンの返済金を請求人が負担していると推認されること、[2]請求人が本件マンションの譲渡代金の約63パーセント相当額を他に購入したマンションの購入資金の一部に充てていることを併せ考えると、本件マンションの5分の3に相当する持分は同人の所有に帰すべきものと認めるのが相当であり、本件マンションの譲渡による所得の帰属につき請求人の共有持分を5分の3とした原処分は適法である。
昭和56年10月19日裁決
請求人を含む共同相続人名義の土地の譲渡所得金額のうち他の共同相続人の持分とされていた部分の所得金額を請求人に帰属するとした原処分は相当であるとした事例
裁決事例集 No.29 - 1頁
請求人は、本件土地は遺産分割協議に基づき共同相続人がそれぞれの持分により取得したものであるから本件土地の譲渡収入金額はその持分に応じて各共同相続人に帰属すると主張するが、[1]請求人のみが所持している本件遺産分割協議書には、請求人以外の4名の共同相続人のうちの3名の共同相続人は本件土地につき持分を取得するが、その譲渡代金のうち可処分代金の全額を請求人に支払う旨が記載されていること、[2]請求人は、これら3名の持分に相応する譲渡代金を自己に帰属せしめていること等から、本件土地の譲渡によって生じた譲渡所得金額のうち共同相続人3名の持分に応じる部分の金額についても請求人に帰属すると認めるのが相当である。
昭和60年1月8日裁決
共同施行による土地区画整理事業の施行者は、いわゆる「人格なき社団」ではなくその構成員個人であるから、その事業に伴い保留地を処分した場合には、各構成員個人に譲渡所得の課税関係が生ずるとした事例
裁決事例集 No.37 - 31頁
本件共同施行による土地区画整理事業は、その規約において構成員を事業の施行者とした上で、[1]規約の変更に関すること、[2]事業計画の変更に関すること、[3]仮換地の指定に関すること及び[4]換地計画に関することについては、施行者全員出席の上、全会一致で決する旨定めており、その根幹をなす重要な部分の運営につき、構成員たる施行者各人の個別の意思が色濃く作用する仕組みになっていて、多数決原理に基づく一個の団体意思の働く余地は全くないと認められるから、その事業主体が社会的にみて請求人ら構成員を超えて別個にその存在が認識される「人格なき社団」の域に達しているというのは困難であり、せいぜい個人どうしの事業を共同施行契約によって実行したものと認めるのが相当であるから、本件土地区画整理事業に伴って保留地を処分した場合には、当該構成員個人に譲渡所得の課税関係が生ずることとなる。
平成元年3月28日裁決
譲渡物件は名義人(請求人の子)の所有と認められることから、その譲渡損失は請求人に帰属しないとした事例
申告納税制度においては、自ら計上記載した申告書をいったん提出した以上、その申告書に記載された所得金額が真実に反するものであるとの立証責任は、更正の請求をする者にあると解される。
資産から生ずる収益を享受する者がだれであるかは、その収益の基因となる資産の真実の権利者がだれであるかにより判定し、それが明らかでない場合には、その資産の名義者が真実の権利者であるものと推定するのが相当である。
本件物件については、その登記、本件売買契約書、本件消費貸借契約書の名義がいずれも請求人の子であるGとなっている上、本件売買契約書にはGの実印が押印されていること、本件消費貸借契約書は、E市に居住していたGがわざわざJ銀行K支店に赴いて作成したこと、Gが送付した源泉徴収票に基づいて本件物件から生じる不動産所得が確定申告されていることからすると、Gが本件物件の実質所有者であることが基本的に推認できる。
平成15年1月15日裁決