所得の種類

配当所得と認めた事例

  1. 利子所得
  2. 配当所得
    1. 配当所得と認めた事例(4件)
    2. みなし配当
  3. 不動産所得
  4. 事業所得
  5. 給与所得
  6. 退職所得
  7. 譲渡所得
  8. 一時所得
  9. 雑所得

請求人が医療法人の退社に伴い収受した金員は、出資金の払戻しであると認めらるから、配当所得の収入金額に当たるとした事例

裁決事例集 No.37 - 43頁

 請求人が医療法人の退社に伴い収受した金員について、請求人は、医療法人に対する出資金の譲渡、すなわち、有価証券に化体された資産の譲渡代金であるから、所得税法第9条第1項第11号に規定する有価証券の譲渡に当たると主張するが、払戻しを求める請求文書、医療法人の臨時社員総会における出資金の減資分についての出資の取決め等からすると、有価証券の譲渡ではなく、出資金の払戻しに該当すると認定すべきものであるから、その出資額を超える部分の金額が配当所得の収入金額とみなされるとして行った原処分は相当である。

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外国法人の株主として受けた当該法人の子会社の株式の分配は、同法人が同法人の株主に対して同法人の利益剰余金を原資に、株主の所有株数に応じて分配したものと認められることから、所得税法第24条第1項に規定する利益の配当に該当するとした事例

裁決事例集 No.65 - 84頁

 請求人は、外国法人であるH社の株主として、H社から受けたH社の子会社であるJ社株の分配(以下、「本件株式分配」という。)は、親会社を通じて間接的に所有していた子会社の株式を直接所有することに変わったものにすぎないことから、配当にも所得にも当たらないこと、また、本件株式分配は、企業分割に伴う株式分配であるから、所得税法第24条に規定する配当にも、同法第25条に規定するみなし配当にも該当しない旨主張する。
 しかしながら、本件株式分配は、親会社が同社の株主に対して同社の利益剰余金を原資に、株主の所有株数に応じて子会社の株式を分配したものと認められることから、請求人が本件株式分配によって取得した子会社の株式は、所得税法第24条第1項に規定する「利益の配当」に該当するものと認められるので、請求人の主張には理由がない。

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請求人が構成員となっているLLCから受ける配当に係る収入金額は、請求人に配分されたインセンティブ配分額の全額であるとした事例

裁決事例集 No.78 - 95頁

 LLCの構成員である請求人は、オフショア投資ファンドから当該LLCに対して配分されたインセンティブ再配賦額につき請求人に配分されたインセンティブ配分額は当該LLCの内部計算にすぎず、配当支払請求権として独立した債権として成立するものではないから、当該インセンティブ配分額のうち現実に払戻しを受けた金額のみが請求人の配当所得の収入金額となる旨主張する。
 しかしながら、まる1請求人はその年分に配賦を受けるインセンティブ配分額の見込額等につき毎年当該LLCの担当者から連絡を受けること、まる2通知されたインセンティブ配分額については、たとえ投資ファンドの成績が悪化したとしても返還する義務はないこと、まる3請求人は通知を受けたインセンティブ配分額について確定額の範囲内であれば払戻金額を自由に設定することができ、申し出る金額に上限はないこと、まる4請求人が払戻しを要求した額について送金に応じられなかったことはないことなどの事実が認められ、これらを併せかんがみれば、請求人には、当該インセンティブ配分額の全額について払戻しを受ける権利が生じたというべきである。

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外国法人の事業分割に伴う株式の交付が配当所得に該当するとした事例(平成27年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却・令和元年8月1日裁決)

令和元年8月1日裁決

《ポイント》
 本事例は、外国法人の事業分割に伴い日本の居住者に交付された株式について、当該事業分割は法人税法第2条第12号の9に規定する分割型分割によるものに当たらず、所得税法第24条第1項に規定する剰余金の配当に該当するとしたものである。

《要旨》
 請求人は、自らが株式を保有していた米国法人が事業分割(本件事業分割)し、2社の独立した法人となったことにより、新たに事業を承継した法人の株式(本件株式)の交付を受けたことについて、当該米国法人の事業分割前の株価と事業分割後の米国法人2社の株価の合計額とがほぼ同等であり、当該分割の前後において、全体としての株式の価値の増減は見られないこと、本件事業分割について、米国の課税上、米国法人2社双方の株主が非課税扱いとされていたことからすれば、本件株式の交付により請求人は所得を得ておらず、我が国の所得税法第24条《配当所得》第1項に規定する剰余金の配当に該当しない旨主張する。
 しかしながら、本件株式は、当該米国法人の株主としての地位を有する者に対し、当該米国法人の利益剰余金を原資として交付されたものと認められる。また、米国における課税上の取扱いが我が国の課税上の取扱いに影響を及ぼすことはない。加えて、本件事業分割は、我が国の会社法上の分割に相当する法的効果を具備するとはいえず、法人税法第2条《定義》第12号の9に規定する分割型分割には当たらないというべきであるから、本件株式の交付は所得税法第24条第1項に規定する剰余金の配当に該当する。

《参照条文等》
 所得税法第24条第1項

《参考判決・裁決》
 東京地裁平21年11月12日判決(判タ1324号134頁)

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