所得の種類

所得の区分

  1. 利子所得
  2. 配当所得
  3. 不動産所得
  4. 事業所得
    1. 執行官の所得
    2. 弁護士の顧問料収入
    3. 雇用会計士の損失
    4. 廃業に伴う補償金
    5. 廃業後の棚卸資産の譲渡による収入
    6. 法人設立中の所得
    7. リース用機械等の譲渡による収入
    8. 絵画の売買に係る業務
    9. 開業に際して受領した祝金
    10. 診療所開設遅延に係る和解金
    11. 生計を一にする親族に対する対価の支払
    12. 所得の区分(5件)
  5. 給与所得
  6. 退職所得
  7. 譲渡所得
  8. 一時所得
  9. 雑所得

金銭貸付けに係る所得が事業所得に該当するとの請求人の主張を認めず、当該所得は雑所得に当たると認定した事例

裁決事例集 No.60 - 185頁

 金銭貸付けに係る所得について、請求人は、貸金業者として登録しており、営業チラシの配布により広く一般の顧客を求めるとともに、人的・物的設備を備えて事業として金銭を貸し付けているので、事業所得に該当する旨主張する。
 しかしながら、本件における特定の法人に対する金銭貸付行為は、[1]請求人と当該法人とが特殊の関係にあること、[2]担保を徴していない若しくは担保が形式的で実質を伴わないこと、[3]貸付金利が低すぎること、[4]請求人は、当該法人が市中から借り入れる際に、保証料を得ることなく連帯保証人となっていること、[5]当該法人は自力で市中銀行から融資を受けられる状況になかったこと等を勘案すると、社会通念に照らして営利を目的とした事業として行われているとは認められない。
 また、特定の法人以外の者に対する金銭貸付行為は、[6]平成7年分は7名延べ8件の1,600千円であり、平成8年分及び平成9年分は新たな貸付けがないこと、[7]その請求人の平成8年分受取利息の総額は49,497円と少額であること、[8]請求人は、主に給与収入により生活を維持していることなどからすると、貸付口数の多寡、反復継続性等を客観的にみて、いまだ事業規模に達していないとするのが相当である。
 したがって、本件金銭貸付けに係る所得(損失)は、所得税法第27条に規定する事業所得には該当せず、同法第23条[利子所得]から第34条[一時所得]までに規定するいずれの所得にも該当しないことから、同法第35条に規定する雑所得に該当し、また、この雑所得の金額の計算上生ずる損失の金額については、同法第69条第1項の規定による損益通算をすることはできない。

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著書の出版に係る印税収入は弁護士業に係る事業所得の総収入金額に含まれるとした事例

裁決事例集 No.65 - 103頁

 原処分庁は、請求人は執筆を業としていないこと、請求人の執筆行為は事業所得を生ずべき事業に該当しないこと及び本件印税収入が事業所得の付随収入に該当しないことから、本件印税収入は、雑所得に係る総収入金額に含まれる旨主張する。
 しかしながら、弁護士としての所得の稼得形態は、弁護士法第3条第1項に規定する弁護士の職務(以下「本来の弁護士の職務」という。)を行うことによるものだけに限られているものではないから、弁護士業に係る事業所得の総収入金額には、本来の弁護士の職務を行ったことに伴い支払われる報酬のほか、講演料、出演料、印税、原稿料等の収入であっても、その講演等が弁護士の立場で行われたもの、あるいは、その内容が弁護士としての知識や経験等に基づくものであって、本来の弁護士の職務と直接の結び付きが認められるものは、所得税法上、事業所得以外の各種所得に係る収入金額又は総収入金額として特に明示されているものを除き、これに含まれると解するのが相当である。
 本件印税収入に係る本件著書の内容は、現に弁護士業を営む請求人の弁護士としての知識と経験に基づくものであり、本来の弁護士の職務との直接の結び付きがあると認められ、また、本件印税収入は、所得税法上事業所得以外の各種所得に係る収入金額又は総収入金額として特に明示されているものとも認められない。
 そうすると、本件印税収入は、請求人の事業所得に係る総収入金額に含まれると解するのが相当である。

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弁護士が、弁護士会が定めた刑事弁護援助基金に関する規則に基づいて支払を受けた援助金は、事業所得に当たるとした事例

裁決事例集 No.72 - 119頁

 請求人は、事業所得であるというためには、「給付」をなす者に対する「役務の提供」という対価関係があることが必要であるところ、本件援助金は、請求人と弁護士会の間に役務行為が存在しない対価性のない無償行為に対して支払われたものであるから、一時所得に該当する旨主張する。
 ところで、所得税法第27条第1項に規定する事業とは、自己の計算と危険において利益を得ることを目的として継続的に行う経済活動のことをいうと解され、そして、同条項が事業所得を「事業から生ずる所得」と規定しているのは、事業が総合的な活動であることに着目して、本来の事業活動による収入のほかに、事業の遂行に付随して生ずる収入も事業所得の総収入金額に含める趣旨と解するのが相当である。
 また、一般に弁護士の弁護士業務に係る所得区分は事業所得であると認められる。
 これを本件援助金についてみると、1請求人は、国選弁護人として弁護士会の推薦を受け、裁判所から選任され、被告人の弁護活動を行うことでその支払を受けたこと、2請求人は、弁護士会に本件援助基金規則に基づき援助申請を行い、弁護士会の「刑事弁護援助基金支払証書」には「刑事被告人の弁護費用として金75万円支出する。」旨の記載があること、3弁護士会は、国選弁護人としての遵守事項を定め、また、当該事件についての報告を求めるなど、請求人が行った弁護活動について極めて密接な関係を持つものであることなどからすると、本件援助金は、弁護士活動に付随して生じた収入ということができ、事業所得の総収入金額に含まれると解するのが相当である。
 したがって、本件援助金は、事業所得に該当すると認められることから、一時所得には該当しない。

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弁護士業の廃業に際し共同経営者から支払を受けた金員は、営業権の譲渡によるものではなく、清算金と認められるから事業所得に当たるとした事例

裁決事例集 No.72 - 155頁

 請求人らは、F総合法律事務所は、会社法務に関する業務に対する高い評価と信頼は独占性をもった経営手腕、ノウハウとなっていること、長年にわたる人間関係の繋がりと業務遂行に対する高い評価により顧問先との強い信頼関係が構築され、請求人らの夫ないし父であるF弁護士が弁護士会等の要職を歴任し社会的信用及び知名度が高められてきたこと、さらに、F総合法律事務所の後継者であるG弁護士がFという名称を継続使用していることはF弁護士が蓄積した社会的信用等を継続使用する経済的・社会的価値を認めている証左であることから、これら経営手腕、ノウハウ並びにFという看板の信用度及び知名度こそが営業権に該当し、F弁護士が廃業に際しG弁護士から受領した金員(以下「本件金員」という。)は、営業権の譲渡の対価に当たる旨主張する。
 ところで、営業権譲渡における営業とは、一定の営業目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産をいうが、営業上のノウハウや暖簾、得意先関係等のいわゆる財産的価値のある事実関係は、常に譲渡の対象となる営業権となるものではなく、それが個々の主観的要素を離れて営業組織に客観的に結実した形で表象された場合にはじめて営業譲渡の対象となる。
 そして、弁護士の業務は、個々の弁護士の経験、知識、法律的技能、また、依頼者との間の個々の信頼関係を基礎として成り立っているものであり、一身専属性の高いものであるから、このように、一身専属性の認められる弁護士業において、弁護士のノウハウ、依頼者との信頼関係等は、当該弁護士個人に帰属するものであり、当該弁護士を離れて営業組織に客観的に結実することにはなじまないものである。
 本件においても、F弁護士の社会的信用やノウハウ等は、F弁護士個人に帰属するものであり、F総合法律事務所という組織として客観的に結実したものとは認められないから、営業権は存在しないと解するのが相当であり、この理は当事者の主観によって左右されるものではない。
 したがって、本件金員は、営業権譲渡の対価であるとは認められない。
 そして、本件金員のうち、賃借権の継承及び備品の引継ぎに係る部分以外の部分は、業務等の引継ぎの経緯等からすれば、F弁護士がG弁護士と共同経営していたF総合法律事務所の経営から離脱するに当たり、顧問先との契約のうちF弁護士の持分の清算金の趣旨であるものと認められるから、事業所得となる。

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事務所の移転に伴い受領した金員の一部は、請求人の事業所得に係る必要経費を補填する金額であると認められるものの、その余の部分は、事業所得の総収入金額に算入すべき金額ではなく、また、継続性及び対価性を有しないものであることから、一時所得に区分するのが相当であるとした事例

平成23年7月21日裁決

《要旨》
 請求人は、旧事務所の明渡しに際し受領した金員(本件受領金員)は、事業の遂行により生じた収入ではなく、収益補償的な意味も持たないものであって、また、継続性のない一時的な収入であるから、その全てが、事業所得の総収入金額ではなく、一時所得の総収入金額に算入すべきである旨主張する。
 しかしながら、所得税法は、各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額については、それに対する補填の有無に関わらず、各種所得の金額の計算上、必要経費として控除できることとしていることに照らすと、事業所得に係る必要経費の補填金の支払を受けた場合には、その金額を事業所得の総収入金額に算入しなければ、担税力に応じた公平な課税を目的とする所得税法の立法趣旨を損なうこととなることから、事業所得に係る必要経費の補填金に相当する金額についても、事業所得の総収入金額に含まれると解するのが相当である。そして、本件受領金員の一部は、請求人の事業所得に係る必要経費を補填する金額であると認められることから、事業所得の総収入金額に算入すべき金額となり、その余の部分は、請求人の事業所得に係る収入金額又は必要経費を補填するために支払われたものであるとは認められず、また、継続性及び対価性を有しないものであるから、一時所得の総収入金額に算入すべき金額となる。

《参照条文等》
 所得税法第27条第2項、第34条第1項、第36条第1項
 所得税法施行令第94条第1項第2号

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