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立退料
適法な賃借人の地位に基づかないで取得した立退料は一時所得に当たるとした事例
裁決事例集 No.18 - 34頁
本件家屋の明渡しに際し受領した金員は、請求人が適法な賃借人としてではない居住者として受領したものであるから、その金員は立退料であり、これは営利を目的とする継続的行為から生じたものでなく一時的性質のもので、しかも労務その他の役務の対価たる性質も有しないものであるから、一時所得に係る収入金額に該当する。
昭和54年6月29日裁決
賃借した建物の明渡しに際して建物所有者から補償金として受領した金員は、その性質及び使途等について特定されていない金員であると認められることから、一時所得の収入金額に該当するとした事例
《ポイント》
この事例は、建物の一部を賃借し転貸を行っていた請求人が、当該賃借部分の明渡しに際して建物所有者から受領した金員について、その使途、賃貸借契約の解約合意に至る交渉の経緯等の事実により、所得区分を判断したものである。
《要旨》
原処分庁は、建物の一部を賃借し転貸を行っていた請求人が、当該賃借部分の明渡しに際して建物所有者から受領した金員(本件受領金員)は、転借人に明渡し補償金として支払った金員(本件支払金員)を補償するための金員及びその他これに類するものであることから不動産所得の収入金額となる旨主張する。
また、請求人は、本件受領金員は、請求人が退去するための単なる明渡し料等であることから一時所得になる旨主張する。
しかしながら、本件受領金員のうち本件支払金員に相当する金員は、請求人の不動産所得の必要経費を補填する金員であるから、不動産所得の収入金額となる。他方、本件受領金員と本件支払金員に相当する金員との差額の金員(本件差額金員)は、請求人の不動産所得に係る業務の収益若しくは本件支払金員以外の必要経費の補償等ではなく、その性質及び使途等について特定されていない金員であると認められることから、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得であり、労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものに該当し、一時所得の収入金額に該当する
。
《参照条文等》
所得税法第26条、第34条第1項