収入金額

不動産所得

  1. 資産の譲渡
  2. 収入すべき時期
    1. 配当所得
    2. 不動産所得(3件)
    3. 事業所得
    4. 給与所得
    5. 譲渡所得
    6. 一時所得
    7. 雑所得
  3. 収入金額の計算

土地の賃貸料につき増額要求する訴訟の係属中において供託された当該賃貸料の収入すべき時期は、供託された日であるとした事例

裁決事例集 No.19 - 25頁

 賃貸料の額に関する係争に起因する供託金の不動産所得の総収入金額の収入すべき時期に関して、当該供託金は、不法供託の上賃借人を被告とする貸料増額要求訴訟が解決するまで還付を受けることができない未確定債権であるから原処分の認定した収入時期には誤りがあるとの請求人の主張について、当該供託金は、請求人と貸借人との間においては、本件土地の賃貸借契約についての争いはなく、その賃貸料の増額について当事者間に協議が整わないことから、貸借人が供託したものであることが認められ、手続的には適法になされていることが認められること、また、請求人は当該供託金を当該訴訟係属中に還付を受けており、その際、供託所に対し供託金額を超える部分の賃料について留保の意思表示をしていることが認められること、しかし、土地等の賃貸借契約の存否については争わず、賃料の額の多寡についてのみ争われている場合の供託金については、その供託された賃貸料相当額に係る不動産所得の総収入金額の収入すべき時期は、[1]賃貸料の額として確定している部分の金額については契約等により支払日として定められている日、[2]不確定な部分の金額については賃借人が賃貸料の弁済のため供託した日と解されるから、原処分庁の認定した収入時期については誤りはない。

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国が請求人所有土地を駐留軍用地として10年間強制使用するについて請求人に対し損失補償金として一括で支払われた10年間の地代の収入すべき時期は、収用裁決に基づく請求人所有土地明渡しの日及び損失補償金全額の受領の日の属する年分であるとした事例

裁決事例集 No.41 - 78頁

 国が請求人所有土地を駐留軍用地として10年間強制使用するについて請求人に対して支払われた損失補償金の収入すべき時期について、請求人は、損失補償金は10年間の地代の一括前払であり前受収益に該当するものであるから、損失補償金を収受した昭和62年分の不動産所得の総収入金額とされる金額は収用裁決に基づく請求人所有土地明渡しの日である昭和62年5月15日から同年末までの期間に対応する金額とされるべきである旨主張するが、請求人は土地明渡しの時期において損失補償金の全額についてその支払を請求し得ることとなったものと認められ、また、請求人は、昭和62年3月25日、損失補償金の全額を受領したことから、請求人はその受領の時点で当該利得の全額を現実に支配管理し、自己のためにこれを享受しているというべきであり、したがって本件損失補償金はその全額が昭和62年分の不動産所得の総収入金額に算入されるべきである。

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賃借人から土地賃貸借契約の終了に伴い原状回復費用名目で受領した金員は、その土地賃貸借契約の終了した日の属する年分の不動産所得の収入金額であると認定した事例

裁決事例集 No.67 - 264頁

 請求人は、賃貸していた甲土地の原状回復工事については、本件合意書を交わすまでには賃借人であるB大学と何度も協議を重ね、解約に関する真意を基礎に本件合意書を交わしたものであり、B大学が甲土地の原状回復義務の履行を請求人に委任するに際し、本件合意金に過不足が生じたとしても精算を行わないこととしたのは、B大学側の諸般の事情及び強い意向を汲んで、請求人が承諾したものであり、本件合意金については、B大学が行うべき原状回復工事の費用を、同大学の都合から預ったものであるから、甲土地の原状回復工事が完了した平成14年7月31日までは、預り金とすべきであり、平成13年分の不動産所得に係る総収入金額とはならないと主張する。
 しかしながら、請求人及びB大学が、保証金と本件合意金とを相殺し、請求人が同大学に対しその過不足額を支払ったことにより、B大学は、本件合意金の支払義務を履行したことが認められるが、本件合意書の内容によれば、本件合意金の支払義務履行によりB大学の原状回復義務は消滅し、請求人に対し甲土地を現況の状態に復し、返還したことになり、また、請求人とB大学との間には何らの債権債務も存しないのであるから、請求人には、本件合意金の返還義務はないことになる。
 したがって、本件合意金をB大学からの預り金であるとするのは相当ではなく、平成13年中に確定したものとして、平成13年分の不動産所得に係る総収入金額として計上すべきものと認められる。

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