収入金額

給与所得

  1. 資産の譲渡
  2. 収入すべき時期
    1. 配当所得
    2. 不動産所得
    3. 事業所得
    4. 給与所得(2件)
    5. 譲渡所得
    6. 一時所得
    7. 雑所得
  3. 収入金額の計算

退職年金の初回支給額振込通知書の送達が翌年であっても、その初回支給額は国家公務員共済組合法に定める支給日に確定するとした事例

裁決事例集 No.14 - 1頁

 国家公務員共済組合法(以下「共済組合法」という。)による年金の受給権は、同法第41条第1項によりその権利を有する者が、年金受給権の確認を求める請求をし、その決定を経ることによって確定され、給与法の改訂がなされた場合の新給与法による年金増額改訂は、同法第73条第3項により当初決定額について所要の改定を行うことにより確定されるものである。
 また、年金の支給時期は、同法第73条第4項によれば、毎年3月、6月、9月、12月にそれぞれ前月までの分を支給するものと定められている。そして、年金の収入金額の「収入すべき時期」は、所得税法第36条第1項の規定により収入すべき権利が確定した時と解すべきであって、本件においては、その年金の支給の基礎となる共済組合法により定められた支給日がそれに当たると解するのが相当である。したがって、たとえ増額改訂通知及び年金振込通知が翌年になされたとしても、請求人の退職年金について、支給対象月分の支給額が共済組合法に定める支給日に給与所得の収入すべき金額として確定するとした原処分は相当である。

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勤務先の株式報酬制度に基づいて支給された株式に係る給与所得の収入すべき日は、当該報酬制度による株式を無償で取得する権利(アワード)に係る株式が口座に入庫された日が相当と判断した事例

平成24年7月24日裁決

《ポイント》
 所得税法第36条第1項は、現実の収入がなくても、その収入の原因となる権利が確定した場合には、その時点で所得の実現があったものとしてその権利確定の時期の属する年分の課税所得を計算するという建前(いわゆる権利確定主義)を採用したものと解される。
 本事例は、株式報酬制度による株式を無償で取得する権利(アワード)に係る株式が口座に入庫された日において、権利が確定し、当該株式に係る株主としての地位を取得したと認められるから、アワードに係る利益の収入すべき日は入庫日とするのが相当と判断したものである。

《要旨》
 原処分庁は、請求人が元勤務先の属する企業グループの株式報酬制度に基づき株式を無償で取得する権利(本件各アワード)を付与されたことによる利益の収入すべき日について、アワードステイトメントに本件各アワードのベスティング日が平成19年8月1日と記載され、元勤務先の税務の担当者の申述によれば、請求人が株式を受領する権利を得たのは同日であると認められることからすると、当該利益の収入すべき日は、同日である旨主張する。
 しかしながら、請求人が最終的に支払を受けるのは株式の現物及び端株に相当する金額の金員であるところ、ベスティング日においては、請求人に実際に支給される株式の株数及び後日支給を受ける金員等の額は具体的に確定していないことに加え、請求人が当該株式の発行会社の株主としての地位を取得したことを裏付ける証拠も見当たらず、かえって当該株式が請求人の口座に入庫された日(平成19年8月17日)に株主としての地位を取得したと認められることからすれば、ベストされた本件各アワードの最初の決済日である入庫日に、現物株式を無償で取得したことによる利益及び金員の支給等を受ける権利が確定し、担税力のある所得が実現したとするのが相当である。

《参照条文等》
 所得税法第36条第1項

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