収入金額

一時所得

  1. 資産の譲渡
  2. 収入すべき時期
    1. 配当所得
    2. 不動産所得
    3. 事業所得
    4. 給与所得
    5. 譲渡所得
    6. 一時所得(3件)
    7. 雑所得
  3. 収入金額の計算

時効により取得した土地に係る一時所得の収入金額の確定時期は訴訟において時効の援用をした日であるとした事例

裁決事例集 No.9 - 9頁

 時効の効果については、訴訟において時効の援用があって初めて時効による権利の取得を生ずるものと解せられるところ、請求人は土地所有権移転登記手続を求める訴訟の提起以前に時効を援用した事実はなく、訴状提出の日に初めて時効の援用をしたものと認められるから、取得時効により請求人が取得した土地に係る一時所得は、時効を援用した日の属する年分の所得とすべきである。

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請求人は、株式譲渡契約に係る債務不履行を理由に約定解除権を行使した後、相手方との合意によりそれを撤回したと認められるから、その解除による違約金の取得に係る一時所得の収入すべき時期は、解除権行使の効力が生じた日であると判断した事例

裁決事例集 No.62 - 145頁

 請求人は、本件解除通知書の送付後も、本件株式譲渡契約に係る交渉が譲受人との間で継続されていたもので、その後における、本件覚書の作成時に同契約を解除した旨主張する。
 しかしながら、当該交渉は、本件株式譲渡契約の法律関係を維持するために継続されていたというよりも、新たな譲受人に本件株式を譲渡するための契約締結の準備行為として行われていたものと認められ、そして、本件覚書による合意は、請求人による解除権の行使及び違約金の取得が有効にされたことを前提として、双方の合意により、その解除の意思表示を撤回したものと認められるから、本件解除により取得した違約金は一時所得の収入金額に当たり、その収入すべき時期は、本件解除通知書が譲受人に到達した日(解除権行使の効力が生じた日)である。

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適格退職年金制度の終了に伴い信託銀行が供託した年金基金の分配金として支払われる一時金に係る収入すべき時期は、当該制度の終了に関する裁判上の和解が成立した日ではなく、年金信託契約が解除された日であるとした事例

平成22年7月13日裁決

 請求人は、本件における年金受給権は、退職時点におけるH社との個別的な合意に基づいて発生したものであるが、H社が行った適格退職年金制度の終了及びこれに伴う措置は、H社と請求人との間の給付内容の変更であるから、請求人の同意がない限りその効力は発生しないところ、本件においては、請求人が平成19年3月○日に本件和解をした時点で初めて請求人が上記変更に同意をしたものと評価できるから、請求人に分配される一時金の受給権は平成19年に発生したものである旨主張する。
 しかしながら、当該一時金は、適格退職年金制度の終了に伴って年金信託契約が解除されたことにより、当該年金信託契約に係る年金基金がH社における退職年金規定の定めに従って請求人に分配されたものであるところ、当該年金信託契約は、所得税法施行令第183条《生命保険契約等に基づく年金に係る雑所得の金額の計算上控除する保険料等》第3項第3号に規定する「退職年金に関する信託、生命保険又は生命共済の契約」に該当することから、当該一時金は、同条第2項に規定する生命保険契約等に基づく一時金に該当する。
 したがって、当該一時金の収入すべき時期は、所得税基本通達36−13《一時所得の総収入金額の収入すべき時期》に定める「その支払を受けるべき事実が生じた日」である当該年金信託契約が解除された日、すなわち、平成17年4月1日であり、当該一時金は、請求人の平成17年分に帰属する所得であると認められる。

《参照条文等》
 所得税法第36条
 所得税法施行令第183条第3項第3号
 所得税基本通達36−13

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