収入金額

雑所得

  1. 資産の譲渡
  2. 収入すべき時期
    1. 配当所得
    2. 不動産所得
    3. 事業所得
    4. 給与所得
    5. 譲渡所得
    6. 一時所得
    7. 雑所得(5件)
  3. 収入金額の計算

外国為替証拠金取引における反対売買により決済が行われるまでの持高ないしは保有高について、営業日ごとの評価替により生じた為替差損益は、その時点で損益が確定するとした事例

裁決事例集 No.77 - 91頁

 請求人は、本来、外国為替証拠金取引は、一定の証拠金を預託して外貨保有の権利を取得し、それを反対売買することにより損益が確定するものであるから、本件清算型ロールオーバーにより営業日ごとに生じる本件為替差損益は確定しておらず、当該損益は所得税法上実現した収益に該当しない旨主張する。
 しかしながら、本件FX取引は、請求人の未決済ポジションにつき営業日ごとに評価替が行われ、当該評価替によって生じる本件為替差損益は本件取引口座において営業日ごとに清算がされ、営業日ごとに行われる本件清算型ロールオーバーにより、評価益が生じた場合には取引会社には評価益相当額の支払義務及び請求人には評価益相当額を受け取る権利が確定し、これとは逆に評価損が生じた場合には取引会社には評価損相当額の支払を受ける権利及び請求人には評価損相当額を支払う義務が確定することから、本件清算型ロールオーバーが行われた時点において、本件為替差損益が確定し、これについて現実に収入があった又は収入の原因たる権利が確定的に発生したというほかなく、そうすると、原処分庁の主張は理由があり、請求人の主張は採用することができない。

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請求人が行った外国為替証拠金取引に係るスワップポイントの収入すべき時期は、請求人の通貨証拠金取引口座に累積された時であるとした事例

平成22年11月29日裁決

 請求人は、L社との外国為替証拠金取引(本件FX取引)において円と外国通貨との金利差から生じる本件スワップポイントに係る収入金額を雑所得の金額の計算上総収入金額に算入すべき時期は、1本件スワップポイントが未実現評価損益と同様であること、2L社から請求人への支払は余剰の証拠金の返還であること、3スワップポイントに係る利益損失はFX取引が決済された時でなければ確定しないことから、本件FX取引が決済された時である旨主張する。
 しかしながら、1請求人がL社との間で合意した約款には、L社に開設した請求人の本件取引口座が益勘定となった場合は、請求人がその利益金を預り証拠金に振り替えるか、請求人の指定銀行口座に振り込むかを選択をすることとなっていること、2L社の取引ガイドによれば、スワップポイントは、外貨と円との金利差であり、この金利差額が本件取引口座に積み立てられること、3L社のパンフレット及び商品取引概要には、1か月分のスワップポイントの合計額が翌月10日に顧客の口座に振り込まれることが記載されていたこと、4実際にも、本件スワップポイントの1か月分の合計額が、請求人に定期的に通知され、請求人の預金口座に振り込まれており、この事実は、上記のパンフレットや商品取引概要の内容に合致することからすると、本件FX取引の内容は、請求人がL社との間でFX取引を行い、その際、1日当たり一定の割合の本件スワップポイントの受払を合意し、日々計算された本件スワップポイントの額が本件取引口座に累積された後、請求人名義の銀行預金口座に振り込まれる内容の契約とみることが相当である。そうすると、本件スワップポイントに係る収入は、日々計算され本件取引口座に累積された時に確定的に生じたものと認められる。
 以上のことから、本件スワップポイントについては、日々計算され本件取引口座に累積された時に収入の原因たる権利が確定したというべきであり、本件スワップポイントに係る収入金額を雑所得の金額の計算上総収入金額に算入すべき時期は、日々計算され本件取引口座に累積された時であると認めるのが相当である。

《参照条文等》
 所得税法第36条第1項

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外国為替証拠金取引における収入すべき時期は、反対売買により決済した時等によるとした事例

平成25年6月25日裁決

《要旨》
 請求人は、請求人が行った外国為替証拠金取引(本件各FX取引)により生じた利益及びスワップポイントについては、ロスカットを防止するため本件各FX取引の各取引口座から証拠金を出金することができなかったこと、また、本件各FX取引における未決済の取引については、評価損が評価益を上回っている状態にあったことから反対売買による差益を本件各FX取引の各取引口座から引き出す権利がなかったので、本件各FX取引については、本件各年分の年末において収入すべき金額が発生していない旨主張する。
 しかしながら、所得税法第36条《収入金額》第1項が、その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において「収入すべき金額」とする旨規定しており、これは、現実に収入がない場合においても、その収入の原因となる権利が確定した場合、その時点で所得の実現があったものとして課税所得を計算するという、いわゆる権利確定主義を採用しているものと解されているところ、本件各FX取引におけるロスカットや請求人の出金可能額は、請求人と本件各FX取引の取引業者との間の取決めにすぎないから、本件各FX取引における反対売買による差損益及びスワップポイントについては、反対売買による決済をした時、又はロールオーバーがあった時に、それぞれ収入の原因となる権利が確定したこととなる。

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請求人が、同人の母に対して、複数年の間に行った金銭の貸付けに係る利息について、その履行期の到来する平成23年において収入すべき金額は、平成23年分の期間に対応する部分の金額のみであるとした事例(まる1平成23年分の所得税の更正処分、まる2平成23年分の所得税の過少申告加算税の賦課決定処分・まる1一部取消し、まる2全部取消し・平成26年9月1日裁決)

平成26年9月1日

《要旨》
 原処分庁は、利息債権については、その履行期が到来すれば、権利が確定し、所得税法第36条《収入金額》第1項に規定する「収入すべき金額」に当たるものと解され、所得税基本通達36−8《事業所得の総収入金額の収入すべき時期》(7)(本件通達)における「その年に対応するもの」とは、同項の規定によりその年に権利が確定したものをいうとの解釈を前提として、請求人が母親に対して貸し付けた金銭の利息(本件利息)については、その履行期にその全額が確定したものであるから、本件通達により、同日が本件利息の全額の収入すべき時期となる旨主張する。
 しかしながら、貸付金利息については、元本使用の対価であって、元本が返還されるまで日々発生するものであるから、特段の事情のない限り、現実の支払の有無を問わず、期間の経過により直ちに利息債権が発生し、収入の原因となる権利が確定するものと解するのが相当であり、また、本件通達は、期間対応計算を採用したものであるから、「その年に対応するもの」との文言については、その年における利息の計算期間の経過に対応するものと解するのが相当であり、本件利息に係る収入金額のうち、各年中の期間に対応する部分の金額に係る収入すべき時期は、それぞれの年の末日であり、貸付期間の終了した平成23年の期間に対応する部分の金額に係る収入すべき時期は、貸付期間の終了した平成23年である。

《参照条文等》
 所得税法第35条第1項、第36条第1項
 所得税基本通達36−5、36−8(7)、36−14(2)

《参考判決・裁決》
 最高裁昭和49年3月8日第二小法廷判決(判タ309号255頁)
 最高裁昭和53年2月24日第二小法廷判決(判タ361号210頁)

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外貨建借入金の借換えの際に計算される為替差損益が単に評価上のものにとどまる場合には課税の対象となる収入として認識しないとした事例(平成23年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却・平成28年8月8日裁決)

平成28年8月8日裁決

《ポイント》
 本事例は、借換えの前後における外貨建借入金の内容に実質的な変化が生じていない場合、当該借換えの際に計算される為替差損益は単に評価上のものにすぎず、課税の対象となる収入として認識しないとしたものである。

《要旨》
 請求人は、金融機関から外貨建借入金を借り入れ、当初の借入れから最終的な返済までの間に借換えを繰り返しているところ、最終的な返済時だけでなく、各借換え時において計算される為替差損益も課税の対象として認識すべきである旨主張する。
 しかしながら、所得税法第36条《収入金額》第1項は、収入の原因たる権利が確定的に発生した場合に、その時点で所得の実現があったものとして課税所得を計算するという建前(いわゆる権利確定主義)を採用したものと解されており、収入という形態において実現した利得のみを課税の対象としているから、外貨建借入金の借換え時に計算される為替差損益が単に評価上のものにとどまる場合には、課税の対象となる収入として認識しないこととなる。本件においては、金融機関と請求人との間で貸付与信枠に係るファシリティー契約が結ばれ、同契約に定められた貸付与信限度額、金利の計算方法及び担保等の条件に基づき、同一支店から、同一の通貨で借換えが行われており、借換えに係る既存の借入金と新たな借入金の内容に実質的な変化が生じたとは認められない。そうすると、借換え時において、既存の借入金の返済により計算される為替差損益は、単に評価上のものにすぎないから、課税の対象となる収入として認識しないこととなる。

《参照条文等》
 所得税法第36条第1項、第57条の3第1項

《参考判決・裁決》
 最高裁昭和49年3月8日第二小法廷判決(民集28巻2号186頁)

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