必要経費

支払利子割引料

  1. 配当所得
  2. 不動産所得
  3. 事業所得
    1. 加入金、負担金
    2. 研修費
    3. 外注費
    4. 使用人退職給与
    5. 減価償却費
    6. 繰延資産
    7. 支払利子割引料(9件)
    8. 貸倒損失
    9. 保証債務
    10. 資産の廃棄損失
    11. 損害賠償金
    12. 給与賃金
    13. 家事費、家事関連費
    14. 青色事業専従者給与
    15. 租税公課
    16. 会費等
    17. その他
  4. 給与所得
  5. 山林所得
  6. 譲渡所得
  7. 一時所得
  8. 雑所得

株式取得のための借入金の利子は配当所得の必要経費であり事業所得の必要経費ではないとした事例

裁決事例集 No.1 - 15頁

 借入金によって新設法人の株式を取得し、当該法人の代表者となることによって、代表者が経営する個人事業の利益が増大することになったとしても、当該借入金は株式取得のためのものであり、その利子は当該個人事業経営上の必要経費として認めることはできない。

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借入金の一部を定期預金に流用していた場合に、当該借入金に係る支払利息を事業上の必要経費と認めた事例

裁決事例集 No.25 - 25頁

 請求人が借り入れた資金の一部をもって定期預金を設定していた場合に、当該借入れが具体的な不動産事業の拡張計画に基づいてなされ、しかも、この資金調達が物件の取得に先行してなされたとしても、それが著しく不合理でなく、その計画が順次実行されており、また、本件借入金を効率的に運用する一方法として定期預金を利用したにすぎないと認められることから、本件借入金が定期預金を設定するためのものとみるのは不相当であり、したがって、本件借入金に係る支払利息を事業上の必要経費に算入すべきである。

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事業所得に係る所得税等の納付のために借り入れた借入金の利子は必要経費に算入することはできないとした事例

裁決事例集 No.32 - 31頁

 請求人は、借入金による所得税等の納付は、事業資金として保有している預金によって本件所得税等を納付し、借入金をもって当該預金を補てんした場合と実質的には異ならないから、本件借入金を事業上の借入金とみて本件借入金の利子を事業所得の金額の計算上必要経費に算入すべきである旨主張するが、本件借入金の使途は、本件所得税等の納付に充てられており、本件所得税等は所得税法第37条第1項の別段の定めに当たる同法第45条1項第2号及び第4号に規定されているとおり、必要経費とすることのできないものである。また、これらの号において、必要経費に算入しないとしているのは、当然のことを確認する意味から規定しているもので、同条の規定がなくとも所得税等を必要経費に算入することはできないものと解される。
 したがって、本件借入金が必要経費とすることができないものに充てられていることから、本件借入金の利子を事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。

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請求人が業務の用に供するために取得した土地建物に係る借入金の利子について、当該土地建物は放置したまま何ら業務の用に供されていないから必要経費に算入されないとした事例

裁決事例集 No.35 - 52頁

 請求人(税理士)は、事務所付併用住宅の建設用地として取得した本件不動産は、業務の用に供するために取得したことが明らかであるから、その取得に要した借入金の利子等は必要経費に算入されると主張するが、利用目的が多岐にわたる土地が業務用資産であるかどうかは、当該土地の取得目的や取得者の主観的意思において業務の用に供される資産であるというだけでは足りず、その土地の具体的利用計画及び使用状況等から客観的に業務の用に供することが明らかであるかどうかで判断するのが相当であり、係争年分中に本件不動産を放置したまま何ら業務の用に供していた事実が認められない本件の場合には、少なくとも建物(事業所)の建設工事の着手日前は業務用資産とはならないと解されるから、本件借入金の利子は、請求人の業務に係る所得の計算上、必要経費とは認められない。

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事業を営む請求人が主宰する法人に対する貸付金(無利子)の資金を借入金でまかなっている場合の借入金利子は、必要経費に該当しないとした事例

裁決事例集 No.41 - 130頁

 所得税法第37条第1項に規定する必要経費とは、その支出が「業務について生じた」ものとして、業務との関連性が要求されるとともに、その関連性には通常かつ一般的に必要と認められる客観性がなくてはならないものと解するのが相当であるところ、請求人は自らが主宰する法人に対して無利子で貸し付けた場合の原資となった借入金に対応する借入金利子の額は、請求人の事業と密接な関係にあり、当該事業を遂行する上での必要から本件貸付けを行ったものであるから、本件借入金利子は請求人の事業所得に係る必要経費として認められるべきである旨主張するが、本件貸付けは請求人の事業と当該法人の事業が相互に取引先としての業務上の密接な関係があったことに起因するとは認めがたく、当該法人の代表取締役としての地位と責任に基づいて行われたものと認められるところから、請求人の事業の遂行上必要なものとは認められないので、本件借入金利子は請求人の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
 なお、原処分は、本件貸付金の原資となった借入金の利子の額の算定額に誤りがあるとして、その一部を取り消した。

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本件土地の取得に要した借入金の支払利子は、不動産所得あるいは事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができないとした事例

裁決事例集 No.44 - 108頁

 新規に土地を取得した場合において、当該土地が、事業ないしは業務の用に供する資産であるか否かは、土地の取得目的や主観的意図だけでは足りず、その土地の具体的使用状況等から、その土地が事業所得あるいは不動産所得の基因となる事業ないしは業務の用に供される場合であるか、他に明らかに事業ないしは業務の用に供されるものと推認し得る特段の事情があるかどうかにより判断するのが相当と解されるところ、本件土地については、[1]請求人が建設を予定していたとする病院の分院の建築工事が実際に行われた事実は認められず、[2]同様に請求人が貸付けを予定していたとする駐車場等の貸付けが実際に行われた事実も認められず、[3]他に明らかに事業ないしは業務の用に供されるものと推認し得る特段の事情も認められないので、本件土地の取得のための借入金利子は、事業所得あるいは不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入することはできない。

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一括払いの積立普通傷害保険の保険料のうち満期返戻金等の原資となる積立保険料部分は、業務遂行上必要な費用とは認められないから、保険料支払のための借入金に係る利息のうち、積立保険料に対応する額は、事業所得の金額の計算上必要経費とは認められないとした事例

裁決事例集 No.46 - 21頁

 請求人は、積立普通傷害保険の保険料を、借入金により支払ったものであるが、当該保険契約に係る保険料は、傷害保険料と積立保険料から構成されており、積立保険料は積み立てられ、満期返戻金及びこれに加算される契約者配当として契約者に支払われることとなる。
 すなわち、本件保険料のうち積立保険料は、満期返戻金等の原資となるものであって従業員の傷害を対象とした保険に係る保険料ではない。
 したがって、積立保険料の支払は、請求人の業務の遂行上、通常かつ客観的な必要性に基づくものとは認められないから業務との関連性はない。また、積立保険料は、保険期間の満了又は解約のときに受ける一時所得の収入金額から控除すべきものと認められる。よって、積立保険料を請求人の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
 そうすると、原処分庁が本件借入金のうち積立保険料に相当する借入金の利息を事業所得の計算上必要経費に算入しなかったことは相当であると認められる。

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新たに診療所を開設するに当たっての診療開始前の期間に係る借入金利子は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないとした事例

裁決事例集 No.46 - 31頁

 所得税法第37条第1項に規定する「不動産所得、事業所得又は雑所得を生ずべき業務について生じた費用」とは、事業所得に限れば「事業所得を生ずべき事業について生じた費用」と解するのが相当であり、客観的にみて、その支出した費用がその事業と直接の関連性があり、事業の遂行上必要な支出であることを要し、かつ、費用収益対応の原則からすれば、収入すべき金額を生ぜしめる事業に係る費用に限られるものと解される。
 したがって、診療開始前の期間に係る借入金利子は、事業所得を生ずべき事業について生じた費用に該当しないので、必要経費に算入することはできない。

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請求人が主張する本件旅費交通費等は、簿外経費に係るものであり、また、請求人が提出した本件説明資料は請求人の記憶のみに基づくもので、他に同資料を裏付ける領収書等の証拠資料の提示がないことから、本件旅費交通費等の存在を認めることはできないとした事例

裁決事例集 No.48 - 19頁

 請求人は、原処分庁が認定した簿外の旅費交通費、接待費及び慶弔費以外に、更に多額の簿外の本件旅費交通費等及び本件利子割引料を支払っているから、本件旅費交通費等及び本件利子割引料も事業所得の金額の計算上、必要経費に算入すべきである旨主張するが、本件旅費交通費等は、簿外経費であること、また、原処分庁が認定した旅費交通費等の経費率が類似同業者の平均に比し既に極めて高いことに加え、本件旅費交通費等の額は、著しく高額であることからみて、本件旅費交通費等の存在を認めるためには、請求人が資料等を提示して合理的な説明をし、その存在を明らかにする必要があるというべきである。
 しかるに、請求人が提示した説明資料については、その内容に不自然、不合理な点が認められ、また、請求人は当該説明資料は請求人の記憶のみに基づくものであると自認し、他に同資料を裏付ける領収書等の証拠資料を一切提示しないことから、本件旅費交通費等の存在を認めることはできない。
 また、本件借入金は、請求人の事業経理に係る帳簿に記載されていないこと等から、本件借入金が事業の用に供されたと認め難いところ、請求人は、本件借入金を事業の用に供したと認めるに足りる証拠資料を提示しないのであるから、本件借入金に係る本件利子割引料を必要経費に算入すべきであるという請求人の主張は、採用することができない。

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