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必要経費
給与賃金
非常勤医師である従兄弟に支給した報酬のうち、他の非常勤医師に支給していた日給相当額を超える部分は過大であり、また、親族及び親族の家政婦に支給した給与等の額は、請求人の業務に従事した事実が認められないから、いずれも必要経費の額に算入できないとした事例
- 請求人は、従兄弟には他の非常勤医師の勤務のほか、緊急時における指導、助言及び当直医を依頼した大学病院の医師への連絡等の援助を受けていたと主張するものの、その報酬は、勤務内容からみて不相応に高額と認められ、請求人が、このような高額な報酬を支給していたのは、従兄弟が請求人の親族であったことによるものと認められる。
近隣の医療機関の常勤医師で年齢及び医師としての経験が従兄弟と類似していると認められる者の給与の一日当たりの平均額は、他の非常勤医師に支給する日給を上回るものではないから、原処分庁が、従兄弟が勤務した日数に他の非常勤医師の日給額を乗じて算出された額を超える額を必要経費の額に算入しなかったことは相当である。 - 請求人は、親族(従兄弟である事務長の妻)及び親族の家政婦は事務の補助及び掃除婦として請求人の業務に従事していたと主張するが、事務長及び関係者の答述並びに事務長の自宅及び同人の母の自宅に出入りしている者を調査したところによれば、親族は事務長の自宅の家事に、親族の家政婦は事務長の母の自宅の家政婦としての仕事に専念していることが認められ、請求人の業務に従事していた事実は認められない。
したがって、原処分庁が当該報酬を必要経費の額に算入しなかったことは相当である。
平成4年10月15日裁決
同居している請求人の妻の父母が独立した生計を営んでいるとはいえないから、同父母に支払った給料及び地代は必要経費に算入することはできないとした事例
所得税法第56条にいう「生計を一にする」とは、同一の生活共同体に属して日常生活の資を共通にしていることをいい、親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる特段の事情があるときを除き、これらの親族は生計を一にするものと解される。
本件においては、請求人と妻の父母とは同一の家屋に居住していると認められ、また、家事上の共通経費についての実費精算が行われているとする事実が認められないことから、請求人らと同父母とが、互いに独立した生計を営んでいると認められる特段の事情は認められない。
そうすると、原処分庁が、同父母に支払った給料及び地代を必要経費の額に算入しなかったことは相当である。
なお、退職金の支給額、修繕費の計上漏れ等を必要経費の額に算入する等の結果、原処分の一部を取り消すべきである。
平成5年12月17日裁決