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租税公課
1. 請求人が架空の必要経費を計上し、多額の所得金額を脱漏したばかりか、調査担当職員に帳簿書類の保存がない等の虚偽の答弁をしたことは、国税通則法第68条第1項に規定する「隠ぺい又は仮装」に当たるとされた事例2. 更正処分により賦課される事業税の額を見込額で必要経費に算入すべきとの請求人の主張が排斥された事例3. 請求人が会計データを保存していたフロッピーディスクに不具合が生じ、出力不可能となったこと等を理由に帳簿書類等を提示しなかったことは、青色申告承認取消事由に当たるとされた事例
請求人は、税理士でありながら、総勘定元帳・決算書に虚偽の記載をして架空の必要経費を計上し、多額の所得金額を脱漏したばかりか、その能力を有しながら帳簿書類の備付け等をせず、また、原処分庁の調査担当職員に対し帳簿書類の保存はない等の虚偽の答弁をし、さらに、異議審理庁による調査の際にも虚偽の資料を提出するなどしている事実が認められる。これらの事実に照らすと、請求人は、課税標準又は税額等の計算の基礎となる事実を仮装し確定申告書を提出したというべきであり、また、少なくとも申告当初から、真実の所得金額を隠ぺいしようという確定的な意図の下に、必要に応じ事後的に隠ぺいすることをも予定しつつ、多額の所得金額を脱漏し、所得金額をことさら過少に記載した内容虚偽の確定申告書を提出したというべきであって、本件確定申告書の提出は、単なる過少申告行為にとどまるものではなく、国税の課税標準等の計算の基礎となる事実について、隠ぺいしたところに基づき確定申告書を提出した場合に該当するから、原処分庁が国税通則法第68条第1項に基づいてした重加算税の賦課決定処分は適法である。
平成11年10月29日裁決
請求人がb町区長等に対して支払った金員は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入されるとした事例(平成22年分の所得税の更正の請求に対する更正処分・一部取消し・平成26年12月4日裁決)
《ポイント》
本事例は、請求人の事業所得の必要経費の計上漏れがあったとして提出した更正の請求について、原処分庁が請求人からの必要経費の内容を示す資料の提出を待たずに原処分を行ったことは違法であるとの請求人の主張は排斥しているものの、請求人が審査請求において提出した資料等から、請求人が支払った金員は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入されるとして、原処分の一部を取り消したものである。
《要旨》
請求人は、事業所得の必要経費となる租税公課の計上漏れなどがあったとして提出した更正の請求について、原処分庁からの当初申告に係る租税公課の内容を確認するための資料等(本件資料等)の提出の求めに対して、請求人が本件資料等を提出する意思を示しているにもかかわらず、原処分庁が、本件資料等の提出を待たずして、その未提出を理由に更正の請求の一部を認めないとする原処分を行ったことは、違法又は不当な処分である旨主張する。
しかしながら、調査担当職員は、約1年間、電話ないし文書により再三にわたり本件資料等の提出を求めたにもかかわらず、請求人からは本件資料等が提出されなかったため、調査を打ち切ったのであり、原処分庁が本件資料等の提出を待たずに原処分を行ったことは、原処分庁の合理的な裁量の範囲を超えておらず、違法又は不当であるとは認められない。なお、請求人は審査請求においてb町町費等の金員(本件金員)を請求する旨が記載された文書を提出したところ、当審判所が調査審理した結果、当該文書は請求人が所有する農地の所在するb町区長などが発行したものであり、当該文書に示された本件金員は、b町区などにおいて農地等の面積を賦課基準として徴収され、その用途は主に農地等の保全に係るものであると認められるから、本件金員は請求人の事業所得の金額の計算上必要経費に算入されるべきである。
《参照条文等》
国税通則法第23条第3項
国税通則法施行令第6条第2項