必要経費

給与所得

  1. 配当所得
  2. 不動産所得
  3. 事業所得
  4. 給与所得(3件)
  5. 山林所得
  6. 譲渡所得
  7. 一時所得
  8. 雑所得

給与所得者の特定支出(受講する研修)について、その活動の実態は、現地において教授陣と討論会を行ったり、国際会議に出席するなど、専ら、自らの調査研究のためと認められるところから、特定支出には該当しないとした事例

裁決事例集 No.42 - 54頁

 所得税法第57条の2第2項第3号でいう「受講する研修」とは、第三者が自己の有する技術又は知識を不特定多数の者に習得させることを目的として開設されている講座等において、その第三者から訓練又は講習を受けることにより、その技術又は知識を習得する、いわば受動的立場での研修をいうと解するのが相当である。
 請求人の海外における諸活動は、当初から定められたカリキュラム等に従っていたものではなく、地域的にも相当広範囲に行動しているなど、全体として、第三者が自己の有する技術又は知識を不特定多数の者に習得させることを目的として開設されている講座等において、その第三者から訓練又は講習を受けることによりその技術又は知識を習得するためのものとは認定できず、更に、請求人が海外の諸活動において習得した技術又は知識は、訓練又は講習を受けることにより習得できるものではないと認められるから、請求人の海外における諸活動は、本件研修には該当しないと認めるのが相当である。

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通勤費相当額は給与収入を得るために必ず発生する必要な費用であるから非課税所得として給与収入から除外すべきであるとの請求人の主張を排斥した事例

裁決事例集 No.62 - 108頁

 請求人は、平成11年中に支払った通勤費相当額は、給与収入を得るために必ず発生する必要な費用であるから、非課税所得として給与収入から除外するべきである旨主張する。
 しかしながら、非課税所得となる通勤手当は、給与所得を有する者で通勤するものがその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定めるものと規定されているところ、請求人が勤務する派遣会社は請求人に対して、このような通勤手当を支給していないため、請求人が平成11年中に支払った通勤費相当額があるとしても、これを非課税所得として給与収入から除外することはできない。

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給与所得者の特定支出の控除の特例を適用することはできないとした事例

裁決事例集 No.62 - 115頁

 請求人は、給与等の収入金額から支出した通勤費、宿泊費、衣服費、交際費、新聞雑誌費などの金額(以下「本件支出」という。)を必要経費として実額計算で控除すべきである旨主張するが、給与所得の算定に当たって実額で給与所得を求めるべきものとする法令の定めはないから、この点に関する請求人の主張には理由がない。
 また、請求人は、本件支出が給与所得者の特定支出の控除の特例(以下「本件特例」という。)に該当するのであれば、その該当部分について本件特例を適用し、給与所得控除額を超える部分の金額を控除すべきである旨主張するが、本件確定申告書には、本件特例の適用を受ける旨及び特定支出の額の合計額の記載がなく、かつ、領収を証する書類その他の当該支出の事実及び金額を証する書類の添付もない上、本件確定申告書の提出の際にこれを提示した事実もないなど、本件支出は、本件特例の適用要件を満たしていない。
 なお、請求人は、形式的判断で課税をするのではなく、常識的に必要な費用であるという実態を理解してほしい旨主張する。
 しかしながら、給与所得の算定に当たって実額で給与所得を求めるべきものとする法令の定めがないことは先に述べたとおりである。
 また、本件特例の控除の対象とされる特定支出の範囲もサラリーマン特有の支出として限定的なものとされているところ、本件支出のうち該当すると見る余地がある支出は旅費交通費と自家用車諸費用及びタクシー利用等の支出の合計額に限られるが、仮に当該金額が本件特例の要件に該当するとしても、当該金額が請求人の給与等に係る給与所得控除額を超えないことは明らかであるので、いずれにせよ本件特例を適用することはできない。

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