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訴訟費用
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 山林所得
- 譲渡所得
- 取得費
- 譲渡費用
- 借入金利子
- 立退料、離作料、農地転用決算金
- 建物造作の収去費用
- 登記費用等
- 遺産分割による代償金
- 訴訟費用(2件)
- 道路用地の寄付
- 和解金
- コンサルタント料等
- 一時所得
- 雑所得
訴訟上の和解により立木の対価の名目で支払われた金員は山林所得ではなく譲渡所得に該当し、訴訟費用、弁護士費用は譲渡費用に該当しないとした事例
裁決事例集 No.33 - 25頁
本件山林は裁判上の和解に基づいて譲渡したものであるところ、和解の譲渡価額算定の基になった鑑定書に立木の評価がなく、現況も立木としての価値が見いだせず、譲受人も立木に価値を認めておらず、近隣の売買実例によれば、すべて土地のみの価額で取引されているから本件山林の立木に経済的価値は認め難く、山林所得に係る収入金額とは認められない。また、本件訴訟の目的は境界確認を求めるものであり、結果的に譲渡を内容とする和解で該当紛争の解決をしたにすぎないので、和解の譲渡価額算定のための鑑定料以外の弁護士費用及び訴訟費用は譲渡費用に該当しない。
昭和62年6月18日裁決
買主に本件土地の所有権移転登記を了した後、当該土地の元所有者の相続人から提起された訴訟に係る弁護士費用は、譲渡費用に当たらないとして、請求人の主張を排斥した事例
請求人は、平成元年12月に本件土地の元所有者の相続人から提起された当該土地の所有権移転登記抹消請求訴訟(本件訴訟)に係る弁護士費用9,087万円のうち4,336万円は、当該土地の買主に完全な所有権の引渡しを履行するためにも不可欠なものであるから、譲渡費用に該当する旨主張する。
ところで、所得税法第33条(譲渡所得)第3項によれば、譲渡所得の計算上、控除される譲渡費用は「その資産の譲渡に要した費用の額」とされており、この費用は、資産の譲渡を実現するために直接必要な支出を意味し、資産の維持・管理費用は含まれないと解されるところ、本件訴訟は、昭和21年の本件土地の贈与が虚偽表示又は錯誤により無効であるか否かであり、まさしく所有権の帰属に関するものと認められるから、本件訴訟に係る弁護士費用は、本件土地の所有権を維持するための支出であって、本件土地の譲渡を実現させるために必要な費用ではないと判断するのが相当である。
なお、最高裁判所は、本件訴訟について、平成○年○月○日の判決で昭和21年に本件土地の贈与事実があると認定している。
平成8年1月17日裁決