所得控除

医療費控除

  1. 雑損控除
  2. 医療費控除(14件)
  3. 小規模企業共済等掛金控除
  4. 寄付金控除
  5. 寡婦・寡夫控除
  6. 配偶者控除
  7. 扶養控除

配偶者分べん費は、医療費控除の対象となる医療費を補てんする保険金、損害賠償金その他これらに類するものに該当するとした事例

裁決事例集 No.20 - 159頁

 配偶者分べん費が、健康保険法第50条第1項の規定に基づき支給される分べん費と同一の法的性質を有することは明らかであるところ、その分べん費については、健康保険法の立法時の国会の審議において、その性質は分べんに対する費用であると説明されており、また、その後の数次にわたる法律改正の都度その額が増額された理由は当時の国会審議の過程からみても明らかであるとおり出産に係る医療機関への支出額が年々の社会的経済的生活環境の変化に伴って増加していることを考慮してなされたものであるところからみても、分べん費は専ら出産に伴って医療機関等に支出される費用を補てんするために支給されるものであると認められるから、これと同じ性質を有する配偶者分べん費も同様と認められ、医療費控除の対象となる医療費を補てんする保険金、損害賠償金その他これらに類するものに該当する。

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配偶者出産費の付加金は、医療費控除の対象となる医療費を補てんする保険金、損害賠償金その他これらに類するものに該当するとした事例

裁決事例集 No.20 - 173頁

 配偶者出産費は、地方公務員共済組合法第63条第3項の規定に基づき給付されるものであり、また、配偶者出産費の付加金は、同法第54条及び同法施行令第23条の規定を受けて定められたA共済組合定款の規定に基づいて、組合員が配偶者出産費を受けることができるときにこれに付加して支給されるものであるから、その給付の原因及び目的は配偶者出産費と同様であって、出産費の支出の事由を給付原因とし、出産に伴う支出を補てんする目的をもって支給されるものであると認められ、所得税法第73条第1項かっこ書に規定する「保険金、損害賠償金、その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額」は、法定給付である配偶者出産費の額に限られ、同付加金の額は該当しないという請求人の主張は相当でない。

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医師に対する謝礼金等は医療費控除の対象になる医療費に当たらないとした事例

裁決事例集 No.22 - 66頁

 請求人が支払った医師等に対する謝礼並びに入院時の新聞購読料、牛乳代金及びテレビ賃借料は、医師による診療等の対価若しくは診療等の直接必要な費用とは認められないから、これらの金額は、所得税法上の医療費とすることはできない。

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郷里に所在する病院で出産するために要した郷里旅費は医療費控除の対象となる医療費に該当しないとした事例

裁決事例集 No.28 - 141頁

 妻の実家に近在する産婦人科病院への転院は、医療上の必要に基づくものであり、その転院のための旅費交通費は医療費に含まれるとの請求人の主張について、その転院は医療上の必要に基づくものとは認められず、当該旅費交通費は出産の前後における準備又は育児等の見地から便宜であるとの理由で妻の実家のある市の病院で診療等を受けるための帰郷の旅費交通費にすぎないものと認められるので、所得税法施行令第207条に規定する医療費控除の対象となる医療費には該当しない。

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近視用コンタクトレンズ及び乱視用眼鏡の購入費用は医療費控除の対象となる医療費に該当しないとした事例

裁決事例集 No.30 - 70頁

 請求人は、本件眼鏡等は近視及び乱視の病気を治療するための医療器具に当たるから、その購入費用については医療費控除を認めるべきであると主張するが、眼鏡の購入費用で医療費控除の対象となるものは、医師が治療上必要であると認めた眼鏡の購入に要した費用に限られるものであって、近視、乱視等の単なる屈折異常を矯正するために使用する眼鏡の購入費用は、医療費控除の対象となる医療費に該当しないと解されるところ、本件眼鏡等は、近視用及び乱視用で、請求人の眼の屈折異常を矯正するために購入したものであり、医師による眼の病気治療の必要上購入したものでないことが明らかであるから、その購入費用は医療費控除の対象となる医療費に該当しない。

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特別養護老人ホームの措置費の一部負担金は医療費控除の対象となる医療費に該当しないとした事例

裁決事例集 No.32 - 96頁

 請求人が、市長が亡父を特別養護老人ホームに収容を委託したことに伴い、請求人が老人福祉法第28条の規定により扶養義務者として負担した措置費の一部負担金は所得税法第73条に規定する医療費に該当すると主張するが、当該負担金は、亡父が特別養護老人ホームで受けた措置とは無関係に、市長が扶養義務者費用徴収基準によりその負担能力に応じて請求人から徴収したものであって、当該負担金のうちには、医師等により診療等の費用等に相当するものは含まれていないので、医療費控除の対象となる医療費には該当しない。

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糖尿病患者の自宅における食事療法のための食事代は医療費控除の対象にならないとした事例

裁決事例集 No.35 - 83頁

 所得税法第73条第2項に規定する医療費とは、医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるものをいうと規定され、これを受けて所得税法施行令第207条第1号ないし第6号において、医療費たる費用が限定列挙されているところであるが、糖尿病の治療のために入院していた者が通院治療に切り替わった後も入院中と同じ食事を摂るため、医師の指導を受けて給食センターに依頼した病人食に係る食事代は、上記規定中に食事代について何ら定めがなく、また、本件食事代が医薬品の購入の対価でないことは明らかであるから、本件食事代は医療費控除の対象とならない。

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特別養護老人ホームへの入所に伴い、市に対して支払った老人福祉法の規定に基づく措置費徴収金は、医療費控除の対象にならないとされた事例

裁決事例集 No.51 - 187頁

 請求人は、請求人の母が特別養護老人ホームに入所したことに伴い、市に対して老人福祉法第28条の規定に基づく措置費徴収金を納付したが、請求人の母は老人福祉法及び老人保健法の双方にいう老人に該当し、老人福祉法にいう特別養護老人ホームと老人保健法にいう老人保健施設とは、その機能及び運営上において区分し難い状況になっており、どの施設に入所するかは、施設側に余裕があるか否かにより決まるのであるから、老人保健施設の利用料は医療費控除の対象となり、特別養護老人ホームの措置費徴収金がその対象にならないのは、不公平である旨主張する。
 しかし、特別養護老人ホームは、65歳以上で身体上又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受けることが困難な者を家族に代わって介護、介助するための福祉施設であり、一方、老人保健施設は、その身体の状態及び病状に照らし施設療養の提供が必要と認められる者を入所させる施設であるから、両者を同質の施設とみることはできず、また、当該措置費徴収金の中には医師等による診療の対価は含まれていないから、請求人の主張は認められない。

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自然医食品等は薬事法に規定する医薬品に該当しないから、医師の処方により購入しても、その購入費は医療費控除の対象にならないとした事例

裁決事例集 No.64 - 172頁

 審査請求人は、自然医食品等は、医師がその自然医学理論に基づく独自の治療法に不可欠な治療手段として処方した処方箋に基づき購入したものであり、これを薬事法上の医薬品とみなして医療費控除を適用すべきである旨主張する。
 しかしながら、自然医食品等は、薬事法第2条第1項に規定する医薬品に該当しないことが明らかであり、これを所得税法第73条及び同施行令第207条に規定する治療又は療養に必要な医薬品と解することができないから、本件自然医食品等購入費は医療費控除の対象とはならない。

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健康食品等の購入費用が、所得税法第73条に規定する医療費控除の対象とならないとした事例

裁決事例集 No.69 - 125頁

 請求人は、当該支出が医療費控除の対象となるか否かについては、個々人の体質などの特殊性に応じて判断するべきであると主張する。
 ところで、医療費控除の制度は、医療費が多額で異常な支出となる場合における担税力の減殺を調整する目的で創設されたものであるが、医療費控除の対象となる医療費の範囲について規定した所得税法第73条第2項では、医療費控除に該当するべき医療関係支出を政令で定める旨規定し、同条を受けた所得税法施行令第207条において第1号から第6号にかけて限定的に列挙している。
 このことからすれば、これら医療費控除に係る租税法規の解釈及びその適用に当たっては、租税の公共性、課税の公平の原則を基本として社会通念に照らして合理的かつ客観的に解釈すべきものであるものの、個々の納税者の主観や価値観によって解釈を変更し、その適用範囲を拡大することを許しているものとは解されない。
 そうすると、施行令第207条において規定されている医療費とは、医師等の診療等に直接必要な費用及び治療又は療養に必要な医薬品の購入費等に限られると解すべきである。
 したがって、請求人の主張は採用することはできない
 上記の医療費控除制度の趣旨及び法条の解釈に基づき、当該支出についての検討結果は、次のとおりである。
 糖尿病及び高血圧症を持病とする請求人にとって食事療法のため医師から推薦をうけた(請求人主張)とするグァバ茶、クロレラ錠剤、お酢、梅エキス、ゆずエキス、乾燥ウコン、ウコン茶、鮫軟骨エキスなどの薬局等からの購入費用は、専ら健康の増進や体調の維持を目的とする健康食品や日常生活の用に供するものであり、医薬品には該当しない。
 糖尿病の運動療法のための運動用具(請求人主張)としてガスコンロの購入及び取付費用並びに糖尿病の薬が引き起こす便秘症状解消のためのトイレの改築費用(請求人主張)として自宅の改築材料の購入費用及び施工費用は、自宅の改築費用等であり、所得税法施行令第207条に規定する医師等による診療や治療などのために直接必要な医療用器具を購入したものとは認められない。
 糖尿病用の献立書の購入費用、請求人が入院中の妻の弁当代、家事雑貨品の購入費用は、所得税法施行令第207条に規定する医師等による診療や治療などのために直接必要な医療用器具を購入したものとは認められない。
 請求人の妻が入院する際に購入した衣料品の購入費用は、請求人の妻が入院した際に必要となったものだとしても、医師等による診療や治療などのために直接必要な費用とは認められない。
 請求人の妻が中国整体院において受けたマッサージ費用は、中国整体院の施術者があん摩師等の資格を有していないことから、所得税法施行令第207条に規定するあん摩師等に対する対価には該当しない。
 眼鏡の購入費用については、義手、義足及び松葉づえ等のように医師等の治療等を受けるため直接必要なものであれば、医療費控除の対象となるが(所得税基本通達73−3)、一般的な近視や遠視の矯正のためのものは医療費控除の対象とならない。本件の場合、請求人は、老眼を矯正するために購入したものと認められるが、老眼は身体上の機能障害であるものの、眼鏡等による視力補正を行うことが常態であること、眼鏡等の使用はその障害を治療するためのものではないこと及び請求人が医師等の指示に基づいて当該眼鏡を利用した治療を受けているとも認められないことから、医師等の治療等を受けるため直接必要なものの購入の費用とはいえない。
 温泉を利用した旅行のための支出については、医師が治療のため患者に対して温泉利用型健康増進施設として厚生労働大臣の認定を受けた施設を利用した温泉療法を行わせた場合の当該施設の利用料金(療養期間が1週間以上にわたる温泉療法が行われた場合に限る。)は、医師の治療を受けるため直接必要な費用として医療費控除の対象として取り扱われているが、本件の場合、請求人が医師からの指示に基づいて、病状に応じて特定された温泉地に赴いたものとは認められず、また、他に温泉を利用して何らかの治療又は療養を受けたことを裏付ける資料もないことから、これらの旅行を医師等による治療又は療養の一環として行われたものと認めることはできない。

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居宅サービス計画に医療系サービスが伴わない場合の居宅サービスの対価は医療費控除の対象とはならないとした事例

裁決事例集 No.69 - 145頁

 請求人は、介護保険法第19条第1項に規定する要介護認定を受けている配偶者が、指定居宅介護事業者であるA社会福祉法人から居宅サービス計画に基づき受けている居宅サービス(通所介護、福祉用具の貸与及び食事代)が治療上有用であることは、担当医師もこれを認めていることから、所得税基本通達73ー6《保健師以外の者から受ける療養上の世話》にいう「療養上の世話を受けるために特に依頼したものから受ける療養上の世話」に該当するので、当該居宅サービスの対価は医療費控除の対象となると主張する。
 しかしながら、所得税基本通達73−6は、保健師、看護師又は準看護師以外の者で療養上の世話を受けるために特に依頼したものから受ける療養上の世話も含まれる旨定め、平成12年6月8日付課所4−11「介護保険制度下での居宅サービスの対価に係る医療費控除の取扱いについて(法令解釈通達)」(以下「本件法令解釈通達」という。)は、居宅サービス計画に医療系サービス(訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所リハビリテーション)のいずれかが位置づけられている者を対象として、当該対象者が支出した[1]訪問介護、[2]訪問入浴介護、[3]通所介護及び[4]短期入所生活保護(以下、これらを総称して「対象居宅サービス」という。)に要する費用に係る利用者負担金を「療養上の世話を受けるために特に依頼した者による療養上の世話の対価」として医療費控除の対象とする旨を定めているが、これらの各通達は、医療の対価と評価できるものについてこれを医療費控除の対象としている法の趣旨に照らし相当であると認められるところ、請求人の支出した通所介護の対価は、その支出に係る居宅サービス計画上、医療系サービスが計画されていない対象居宅サービスに係る支出であることから、療養上の世話を受けるために特に依頼したものから受ける療養上の世話の対価とは認められず、また、福祉用具の貸与及び食事代の支払額は、対象居宅サービスにも該当しない日常生活に関する支出と認められ、いずれの支払額も医療費控除の対象とすることすることはできないから、請求人の主張には理由がない。

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身体障害者更生施設への入所に係る利用者の費用負担として支払った利用者負担金は医療費控除の対象とはならないとした事例

裁決事例集 No.70 - 157頁

  1.  請求人は、[1]身体障害者更生施設は医療法にいう病院又は診療所ではないが、同施設では、医師及び看護師を含む施設職員により、入所者の更生に必要な治療又は指導及び訓練が行われていること、[2]所得税法施行令第207条は医療費の範囲を規定しているだけであって、対価の明示が医療費控除を受けるための要件であることを規定しているものではないことなどから、本件利用者負担額の全額が、医療費控除の対象となる医療費に該当する旨主張する。
     しかしながら、所得税法第73条第2項及び同法施行令第207条の規定によれば、実質的にみて医療費に該当すれば、又は医療費に該当するものが含まれていれば、すべて医療費控除の対象になるのではなく、法令に定められた医療費の対価と評価できるものでなければ医療費控除の対象とはならないと解されるところ、本件利用者負担額は、その中には一部嘱託医師による診療や看護師による看護等の対価が含まれていると認められるものの、当該対価以外のサービスの対価と渾然となっており、それがどの部分かについてはその区分が明確でなく、医療費に当たる部分とそれ以外のものを区分する仕組みになっていない。
     したがって、医療費外のサービスの対価が混在する利用者負担額全体を、所得税法第73条第2項所定の医療費の対価ということはできない。
  2.  また、請求人は、医療費控除の取扱いに係る法令解釈通達である平成12年6月8日付課所4ー9「介護保険下での指定介護老人福祉施設の施設サービスの対価に係る医療費控除の取扱いについて」において、指定介護老人福祉施設の施設サービスの対価の2分の1が医療費控除の対象とされていることから、この対価と性格が極めて類似する本件利用者負担額についても、最低その2分の1は医療費に該当する旨主張する。
     しかしながら、指定介護老人福祉施設は、所得税法施行令第207条第3号に規定する診療所に準ずるものとして所得税法施行規則第40条の3第2項に規定された施設であることから、その施設の人的役務提供の一部が医療費とされているのであるが、身体障害者更生施設については、そのような法的措置は講じられておらず、また、指定介護老人福祉施設の利用者の負担額は、受益の程度に応じた負担を基本とする考え方に基づき算定されており、いわゆる応能原則がとられていないことにかんがみれば、本件利用者負担額と指定介護老人福祉施設の利用者の負担額を同質のものとみることはできない。
     したがって、この点に関する請求人の主張は採用できない。

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介護保険法に基づく居宅サービスに医療系サービスが伴わない場合、その居宅サービスの対価は医療費控除の対象とはならないとした事例

裁決事例集 No.77 - 143頁

 医療費控除の対象となる医療費について、所得税法第73条第2項は、医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるものをいう旨規定し、これを受けて、所得税法施行令第207条《医療費の範囲》には、保健師、看護師又は准看護師による療養上の世話(同条第5号)等の対価のうち、その病状等に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額がこれに該当する旨規定している。
 そして、所得税基本通達73−6は、上記「保健師、看護師又は准看護師による療養上の世話」には、保健師、看護師又は准看護師以外の者で療養上の世話を受けるために特に依頼したものから受ける療養上の世話も含まれる旨定め、平成12年6月8日付課所4−11「介護保険制度下での居宅サービスの対価に係る医療費控除の取扱いについて(法令解釈通達)」は、居宅サービスの対価に係る医療費控除の取扱いについて、医療系サービスのいずれかが位置付けられている居宅サービス計画に基づいて、居宅サービスを利用する者を対象とし、当該対象者が医療系サービスと併せて利用する1訪問介護(介護保険法第8条第2項)、2訪問入浴介護(同条第3項)、3通所介護及び4短期入所生活介護(同条第9項)(以下、上記1から4までの各居宅サービスを併せて「対象居宅サービス」という。)に要する費用(介護保険法第41条《居宅介護サービス費の支給》第4項各号に規定する「厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額」をいう。)に係る自己負担額を、療養上の世話を受けるために特に依頼した者による療養上の世話の対価として医療費控除の対象とする旨定めている。
 これら各通達の定めは、医療の対価と評価できるものについて、これを医療費控除の対象としている法の趣旨に照らし相当であると認められる。
 これを本件についてみると、本件利用料のうち、通所介護に係る費用の額は、対象居宅サービスに要する費用に該当するものの、本件居宅サービス計画には医療系サービスがいずれも位置付けられていないこと、請求人の妻であるAは医療系サービスを利用していないことから、療養上の世話を受けるために特に依頼した者による療養上の世話の対価とは認められない。
 また、福祉用具貸与に係る費用の額及び食費の額は、対象居宅サービスに要する費用にも該当せず、日常生活に関連する費用と認められることから、医療費控除の対象とすることはできない。
 したがって、本件利用料は、その全額が医療費控除の対象とならないから、請求人の主張には理由がない。

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漢方薬等の購入費用が医療費控除の対象となる医療費に該当しないとした事例

令和元年5月22日裁決

《ポイント》
 本事例は、4種の漢方薬等がいずれも「治療又は療養に必要な医薬品」に該当せず、その購入費用は医療費控除の対象となる医療費に該当しないとしたものである。

《要旨》
 請求人は、購入した4種の漢方薬等(本件漢方等)は、親族が治療に用いたものとして、いずれも所得税法第73条《医療費控除》第2項及び所得税法施行令第207条《医療費の範囲》第2号に規定する「治療又は療養に必要な医薬品」に該当し、その購入費用は、医療費控除の対象となる医療費に該当する旨主張する。
 しかしながら、これらの規定に規定する「医薬品」は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)第2条《定義》第1項に規定する医薬品をいうものと解するのが相当であるところ、本件漢方等のうちの2種の製品については、製薬会社が健康補助食品として製造販売し、その使用目的が食用に限定されたものであること等からすると、同項に規定する「医薬品」に該当しない。また、その他の2種の製品(本件医薬品)については、薬機法第2条第1項に規定する「医薬品」に該当するものの、虚弱体質や肉体疲労の場合などの滋養強壮を効能効果として、疲労回復や健康維持のために用いられ、医師の処方せんがなくても薬局等で購入可能なものであるところ、請求人提出資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、本件医薬品は、請求人の親族の「治療又は療養に必要な医薬品」でなかったというべきである。
 したがって、本件漢方等は、いずれも所得税法第73条第2項及び所得税法施行令第207条第2号に規定する「治療又は療養に必要な医薬品」に該当せず、本件漢方等の購入費用は医療費控除の対象となる医療費に該当しない。

《参照条文等》
 所得税法第73条第2項、所得税法施行令第207条第2号
 所得税基本通達73−5

《参考判決・裁決》
 最高裁昭和57年9月28日第三小法廷判決(刑集36巻8号787頁)

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