税額の計算

外国税額控除

  1. 変動、臨時所得の平均課税
  2. 外国税額控除(3件)
  3. 算出所得税額から控除する源泉徴収税額

台湾の土地増値税は個人の所得を課税標準としていない税であるから外国所得税に該当しないとした事例

裁決事例集 No.64 - 185頁

 請求人は、台湾で納めた本件土地増値税は土地の譲渡に基因して納付する税であり、我が国の譲渡所得に係る税と類似性があるので外国税額控除の対象となる外国所得税に該当する旨主張する。
しかしながら、台湾の土地増値税は、無償譲渡の場合は受贈者、有償譲渡の場合は譲渡者、質権設定の場合は質権設定権者が納税義務者となること、所有者に対して10年ごとにその所有期間の評価差額に対して課するという基本概念があること、及び有償譲渡の場合の課税標準は現に獲得した利得ではなく譲渡時の評価額から所有開始時の評価額及び当該土地に改良のため支出した費用を控除した後の金額とされていることから、我が国の譲渡所得の所得税に相当する税には当たらないものと認められるので外国税額控除の対象となる外国所得税には該当しないと判断するのが相当である。

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外国に所有するマンションに係る譲渡所得を申告しなかったため平成16年分の所得税の更正処分を受けた請求人が外国税額控除の適用があるとして同処分の取消しを求め、また、外国税額控除が平成16年分の所得税において適用されないなら、平成17年分において適用すべきとの主張を排斥した事例

裁決事例集 No.74 - 98頁

 請求人は、A国に所在する不動産を平成16年に譲渡した所得は日本とA国の両方で課税対象となっており、二重課税の状況にあることから平成16年分の所得税において外国税額控除を適用すべきであり、また、平成16年分の所得税において外国税額控除が適用されないのであれば、平成17年分の所得税において外国税額控除を適用すべきであるから、請求人の更正の請求に対する更正をすべき理由がない旨の通知処分を取り消すべきである旨主張する。
 しかしながら、請求人の場合、A国で納付すべき外国所得税の額が確定したのは平成17年中であり、平成16年中に納付する外国所得税の金額はないから、平成16年分の所得税額の計算において外国税額控除の適用を認める余地はなく、平成16年分の所得税の更正処分は適法である。
 また、請求人が提出した平成17年分の所得税の確定申告書及びこれに添附された外国税額控除に関する明細書には、適法に計算された金額が記載されているから、更正の請求に理由がないとする当該通知処分は適法である。

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確定申告書に外国税額控除を受けるべき金額の記載及び書類の添付をしなかったことについて、やむを得ない事情はないとした事例

裁決事例集 No.78 - 200頁

 請求人は、A国での所得に係る税金を故意に逃れたわけではなく、A国での所得が日本で課税の対象となることを知らなかっただけであるから、所得税法第95条第7項に規定する「やむを得ない事情」があったといえる旨主張する。
 しかしながら、所得税法第95条第7項に規定する「やむを得ない事情」とは、例えば、外国所得税を課されたことを証する書類を添付しようとしたが、外国政府の事務処理上の都合でこの書類の作成が遅れ、期限までに入手できず確定申告書に添付できなかった場合など、納税者の責めに帰すことのできない客観的事情をいい、納税者の法の不知や事実の誤認などの主観的事情はこれに当たらないと限定的に解するのが相当である。
 本件の場合、請求人において、確定申告書に外国税額控除を受けるべき金額の記載及び外国税額控除に関する書類の添付のいずれもしなかったのは、同人がA国での所得が日本で課税の対象となることを知らなかったことに基因するものであるところ、このことは、請求人の税法の不知という主観的な事情によるものであるから、請求人の責めに帰すことのできない客観的事情によるものということはできない。

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