源泉徴収

報酬、料金等

  1. 給与等
  2. 退職給与
  3. 配当所得
  4. 報酬、料金等(7件)
  5. みなし配当
  6. 著作権の使用料
  7. 匿名組合契約等の利益の分配
  8. その他

ストリップショウの出演者に対する出演料は所得税法204条第1項に規定する報酬又は料金に該当するとした事例

裁決事例集 No.19 - 62頁

 ストリップショウは、通常出演者が観客の前で音楽に合わせて踊りながら、次々に衣裳を脱いでいく演芸であるから、所得税法施行令第320条第4項に規定する舞踊に含まれる。したがって、当該ストリツプショウの出演者の役務に対して支払われる出演料は、所得税法第204条第1項第5号に規定する報酬又は料金に該当する。

トップに戻る

販売業者の委託により商品の販売契約等の勧誘及び委託販売員の指導業務等を行うマネージャーは外交員に該当するとした事例

裁決事例集 No.45 - 251頁

 請求人は、マネージャーは請求人の商品の外交販売に従事せず、その者自身が雇用する委託販売に請求人の商品を外交販売させ、その取扱数量又は取扱金額に応じて販売手数料を受領する者であり、請求人の下請業者又は特約店の事業主であると主張するが、マネージャーは、請求人との委託契約により、[1]請求人の指定する商品の割賦販売契約等の勧誘及び委託販売員の指導等の業務の委託を受け、[2]電話使用料等の経費相当額を負担し、[3]継続的に請求人と顧客との商品の売買契約を媒介する役務の提供を行っているもので、[4]請求人は、その商品の販売高に応じてあらかじめ定められている手数料をマネージャーに支払っているものと認められるから、所得税法第204条第1項第4号に規定する外交員に該当し、請求人にはその源泉徴収義務がある。

トップに戻る

外国人芸能タレントの招へい業者へ支払った金員及びその芸能タレントへ支払った、いわゆるドリンク・バックについて源泉徴収を要するとされた事例

裁決事例集 No.51 - 460頁

  1.  請求人が外国人芸能タレントの招へい業者に支払った芸能タレントの報酬額及び源泉所得税額相当額については、請求人と当該招へい業者との間には芸能タレントの出演請負契約があること、芸能タレントの報酬額及び源泉所得税額相当額の区分は明確になっておらず、その区分は当該招へい業者へ支払う報酬の算定根基にすぎないこと、現行の源泉徴収制度は、報酬の支払先に源泉徴収を依頼するような制度にはなっていないこと等からみて、請求人において源泉徴収を要する。
  2.  請求人が外国人芸能タレントに対して芸能タレントの売上成績に応じて支払った、いわゆるドリンク・バックは、当該芸能タレントのホステス業務に対する対価であること、ホステス業務に関する請求人と芸能タレントとの関係は請負と認められること、ホステス業務は国内店舗で行われていること等からみて、国内源泉所得に該当するから、源泉徴収の対象になる。

トップに戻る

わが国において韓国芸能人に支払った人的役務の提供に対する報酬は、日韓租税条約上免税にならないとした事例

裁決事例集 No.54 - 231頁

 請求人は、韓国の居住者である芸能人に対し、国内における芸能人としての人的役務の提供に対する報酬を支払っていたが、本件報酬は、日韓租税条約第6条(1)に規定する「産業上又は商業上の利得」に該当するところ、本件芸能人は請求人を代理人としているところから、同条約第4条(4)及び(5)により、請求人という独立の地位を有する代理人を通じて国内で役務提供をしている場合には国内に恒久的施設を有しないこととされるから、同条約第6条(1)により、本件報酬はわが国において免税となる旨主張する。しかしながら、本件報酬に係るわが国における課税権の有無は、本件報酬に係る別個の条項である日韓租税条約第12条(4)に規定する要件により判断するのであり、第6条(1)に規定する要件により判断すべきではないところ、第12条(4)によれば、わが国における恒久的施設の有無は要件とせず、役務提供が国内で行われ、その報酬の額が一定額を超えることを要件にわが国における課税権を認めていることから、請求人の主張は採用できない。
 また、本件報酬は芸能人が芸能人として自らの人的役務を提供することにより取得する報酬であるから、上述のとおり第6条(1)は無関係であり、第4条(4)(b)(ii)に規定する「第12条(4)に規定する芸能人の役務」を提供する場合とは、芸能プロダクション等が芸能人の人的役務を他者に提供することにより取得する所得の場合のみの規定であるから、同条項は本件報酬のわが国における課税権の有無の判断には無関係である。

トップに戻る

請求人の代理店は、請求人との販売委託契約書に基づき請求人の扱っている商品について、請求人と顧客との販売契約の申込みの勧誘等の業務委託を受け、請求人と顧客との売買契約の締結を媒介する役務を請求人に提供していることから、所得税法第204条に規定する外交員に該当するとした事例

裁決事例集 No.57 - 206頁

 請求人は、請求人の代理店は、[1]自己の責任で顧客との契約を行っていること、[2]自己が負担すべき車代、本代及びアルバイト代等を負担していること及び[3]一定の期間において継続して請求人の扱う商品の販売活動を行っている者はほとんどいないことから、代理店は独立した営業者であり、外交員には該当しない旨主張する。
 しかしながら、外交員とは、事業主の委託を受け、継続的に事業主の商品等の購入の勧誘を行い、購入者と事業主との間の売買契約の締結を媒介する役務を自己の計算において事業主に提供し、その報酬が商品等の販売高に応じて定められている者をいうと解されている。
 これを本件についてみると、[1]請求人と代理店との間で本件販売委託契約が締結されていること、[2]請求人の仕入先との本件販売契約書において顧客との取引がクーリングオフされた場合には、請求人が責任をもってその処置に当たることとされていること、[3]クレジット申込書の販売店欄に請求人の別称の記載がされていることからすれば、本件商品の顧客との売買契約の当事者となるのは、代理店ではなく請求人と認められ、代理店はその当該契約の媒介を行っているものと認められる。
 また、本件販売委託契約書の内容に照らせば、代理店は本件販売委託契約書に基づき、請求人から請求人の扱う商品について、請求人と顧客との間の売買契約の申込みの勧誘及び媒介業務の委託を受け、請求人と顧客との間の売買契約の締結を媒介する役務を請求人に提供しているものと認められる。
 さらに、代理店が請求人から受領する本件委託販売手数料は、代理店が販売した商品ごとにあらかじめ手数料率に基づき売上金額に応じて算定されており、本件販売委託契約書には契約期間の定めがあることから、代理店は請求人とその契約期間内において継続的な関係を有しているものと認められる。
 そうすると、代理店は、請求人との本件販売委託契約書に基づき、請求人の指定する商品について請求人との間の売買契約の申込みの勧誘及び媒介業務の委託を受け、本件経費相当額を負担して継続的に請求人と顧客との商品の売買契約を媒介する役務の提供を行っているものであり、その役務の提供に対する対価の額は、販売した商品ごとに請求人があらかじめ定めた手数料率に基づき、売上金額に応じて支払われていることが認められるから、これらの事実によれば、代理店は外交員に該当し、本件委託販売手数料は外交員報酬に該当するものと認められるから、請求人には所得税法第204条第1項に規定する所得税の源泉徴収義務があると解するのが相当である。
 なお、平成8年3月分の源泉所得税の額に誤りが認められるので、当該部分に係る納税告知処分はその一部を取り消すべきである。

トップに戻る

衣料品の輸入販売業を営む請求人が海外の取引先に支払った金員は、所得税法第161条第7号イに規定する工業所有権等の使用料に該当し、源泉徴収に係る所得税の納税告知処分は適法であるとした事例

裁決事例集 No.61 - 293頁

 請求人は、海外の取引先から提供を受けるデザイン画等の対価として契約に基づき支払った金員について、[1]当該デザイン画等は鑑定、調査の結果が図面化されたものにすぎず、[2]取引先のデザイン画等の作成の実費相当額を支払ったものであり、また、[3]当該デザイン画等を基に製作される衣料品はイタリアで製造され、請求人の日本国内業務に該当しないから、所得税法第161条第7号イに規定する使用料に該当しないと主張する。
 しかしながら、当該金員は、[1]デザイナーの創作によるデザイン画等の対価であり、[2]契約書等から実費相当額とは認められず、[3]請求人が日本国内で販売するための衣料品製作に係るデザイン画等の提供の対価であると認められる。
 したがって、当該金員は同号イに規定する使用料と認められるから、原処分庁が行った源泉徴収に係る所得税の告知処分は適法である。

トップに戻る

弁護士である破産管財人に支払われた破産管財人報酬は、所得税法第204条第1項第二号に規定する弁護士の業務に関する報酬に該当し、破産者の源泉徴収義務及び納付義務に関する手続は破産管財人が負うものとした事例

裁決事例集 No.63 - 212頁

 請求人は、破産管財業務が弁護士法第3条に規定する官公署の委嘱に基づく法律事務に該当しないので、破産管財人報酬は所得税法第204条第1項第2号に規定する弁護士の業務に関する報酬ではない旨主張する。
 しかしながら、もともと破産管財業務には法律的判断を伴う事務を行うことが予定されている上、本件破産事件において破産管財人に選任された請求人自身弁護士であり、かかる破産管財人には弁護士の中から選任されているのが破産実務の現状であること、本件破産管財業務をみると、売掛金請求訴訟や集合債権譲渡担保権者に対する否認権行使訴訟を提起するなど法律行為が含まれていることなどを総合考慮すると、請求人が行った破産管財業務は弁護士法第3条第1項に規定する官公署の委嘱に基づく法律行為に該当するものであるから、かかる破産管財人報酬は弁護士の業務に関して支払われた報酬であると認めるのが相当である。
 請求人は、破産管財人報酬は共益費用の性質を有する上、破産者は破産財団に属する財産に対して何ら権利を有しないことから、破産者に源泉徴収義務はない旨主張する。
 しかしながら、破産管財人の報酬は、財団債権として破産財団から支払われるが、この破産財団は破産者の財産であることには変わりがないことから、破産管財人の報酬の支払に伴う経済的出捐の効果が最終的に帰属する者は破産者であり、この意味において所得税法204条1項にいう支払をする者とは、破産者を指すものといわざるを得ない。ただ、破産宣告により破産財団に対する管理処分権は破産管財人に専属することになるところ、租税の申告納付は破産財団の管理処分の一環とみることができるのであるから、破産者の源泉徴収義務及び納付義務に関する手続は、破産管財人が負うものと解するのが相当である。
 請求人は、異議決定により本件納税告知処分の原因である「給与」の支払がないとされたのであるから、本件納税告知処分は違法である旨主張する。
 ところで、国税通則法36条2項は、納付すべき税額、納期限及び納付場所を納税告知書に記載すべきものとするにとどまり、受給者名、支払年月日など個々の源泉所得税を識別するに足りる事項の記載までは要求していないから、たとえ法定納期限、所得の種類等に誤りがあったとしても、告知額が正当であるときは、それだけの理由で当該納税告知処分が違法となるものではないと解すべきである。ただ、当該納税告知処分が源泉所得税の納税義務の履行を求めるものであることからすれば、当該納税告知書に記載された所得の種類、法定納期限、年月ごとの本税額等の事項から、客観的にこれに包含されるものと認識できる範囲(同一性が認められる範囲)を超えることは許されないと解するのが相当である。本件について判断すると、本件管財人報酬という同一の支払に係る同一の法定納期限の未納の源泉所得税が告知処分時に客観的に存在しており、所得の種類及び告知額の記載事項に誤りがあるものの、異議決定により減額された本税額等は再納税告知処分等の告知額の範囲内であることなどを考慮すると、本件においては、客観的にその対象となる支払が包含されているものと認識できる範囲(処分の同一性の範囲)にあると認められるから、請求人の主張は採用できない。

トップに戻る