ホーム >> 公表裁決事例集等の紹介 >> 公表裁決事例要旨 >> 法人税法関係 >> 過年度損益修正
過年度損益修正
- 収益の帰属事業年度
- 益金の額の範囲及び計算
- 損失の帰属事業年度
- 損金の額の範囲及び計算
- 圧縮記帳
- 引当金
- 繰越欠損金
- 借地権の設定等に伴う所得の計算
- 特殊な損益の計算
- 適格合併
電気使用料の計量誤りにより過大に支払った電力使用料等の返還金は、その返還を受けるべきことが確定した日の属する事業年度の益金の額に算入することが相当であるとした事例
裁決事例集 No.34 - 43頁
電力会社に支払った電気料金等のうちに電力会社の計量誤りにより支払われたものがあったとしても、その支払時には支払者と電力会社との間では有効な取引として取り扱われていたものであれば、当該電気料金等は支払時の損金となり、後日、計量誤りによる過払いがあったことが判明し、過払分について返還されることが確定した場合には、過払額は、その返還を受けるべきことが確定した日の属する事業年度の特別損益として益金の額に算入すべきものであり、支払時の損金の額を修正することは相当でない。
昭和62年12月16日裁決
不動産賃貸借契約締結に当たって、差入保証金の一部を返還しないこととしていた契約を、後日、中途解約の場合にのみ当該一部を返還しない契約に改めた場合、既往において課税された差入保証金の返還不要部分は取り消されるべきであるとする請求人の主張を排斥した事例
裁決事例集 No.35 - 87頁
不動産賃貸借契約の締結に当たって、「差入保証金のうち、10パーセント相当額を解約手数料として賃借人に返還しない。」旨の条項を含んだ契約をしておき、税務当局から指摘を受け、課税された後に、契約当初にさかのぼって当該条項を「中途解約の場合にのみ、解約手数料として、差入保証金の10パーセント相当額を返還しない。」と改めたから、既往各事業年度分の所得金額の計算上、差入保証金のうち、返還不要部分として益金の額に算入され、課税された部分は取り消されるべきであるとする請求人の主張について、法人の各事業年度の所得金額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算するものとされているが、この会計処理の基準によれば、所得の金額の計算の基礎となった事実について、その事業年度経過後にその事実を変更する事由が生じた場合には、その事由が生じた事業年度の損益として認識し、既往の事業年度にさかのぼって所得の金額を修正すべきでないとされている。
したがって、本件契約変更前の定めに従い、解約手数料相当額を契約締結時の益金の額に算入した更正は相当であり、請求人の主張には理由がない。
昭和63年4月8日裁決
本件事業年度の有価証券売却損は過年度仮装経理の修正経理とは認められず、架空の損失の計上と認定した事例
請求人は、本件事業年度において有価証券売却損を計上したのは、過年度の事業年度に生じた本件有価証券売却損の額について仮装経理(いわゆる粉飾経理)を行ったものを、正常に戻すための修正経理を行ったものであり、損失を仮装計上したものではない旨主張する。
しかしながら、請求人が行った会計処理は、過年度の事業年度において仮装経理した損失を消去するための独自の解釈による処理であり、税法で定められた修正経理とは認められず、本件事業年度の有価証券売却損は架空の損失の計上であると認められることから、原処分庁が行った更正処分は相当である。
平成11年2月23日裁決