所得金額の計算

賃貸料収入

  1. 収益の帰属事業年度
  2. 益金の額の範囲及び計算
    1. 土地等の譲渡収入
    2. 賃貸料収入(1件)
    3. 資産の評価益
    4. 有価証券の評価
    5. 有価証券の譲渡収入
    6. 立退料
    7. 受贈益
    8. 債権免除益
    9. 雑収入
    10. 貸付金利息
    11. 受取配当等
    12. その他の収益
    13. その他の資産の譲渡収益
  3. 損失の帰属事業年度
  4. 損金の額の範囲及び計算
  5. 圧縮記帳
  6. 引当金
  7. 繰越欠損金
  8. 借地権の設定等に伴う所得の計算
  9. 特殊な損益の計算
  10. 適格合併

公益法人である請求人が債権未確定であるとして収益に計上しなかった本件賃貸料収入について、賃貸借契約が有効に成立していること等から収益に計上すべきであるとして請求人の主張を斥けるとともに、原処分庁が本件賃貸料収入を収益事業以外の事業のために支出したみなし寄附金に該当するとして行った更正処分について、本件賃貸料収入は収益事業以外の事業に支出したとする経理がなされていないので、原処分庁がみなし寄附金として所得金額を計算したのは誤りであるとした事例

裁決事例集 No.58 - 149頁

 公益法人である請求人は、本件賃貸料について、[1]賃借人は請求人の請求に対して、文書でその支払を拒否したこと、[2]請求人の所管行政庁は、賃借人の所管行政庁と協議しなければ本件賃貸料の支払について解決しない旨明言しており、その所管行政庁が賃借人を事実上経営、運営しているから賃借人は当事者能力がないこと、[3]請求人は、文書で本件賃貸借契約を解除する旨賃借人に通知したことから債権として法的に確定していないので、実際に収受するまでは課税対象とはならない旨主張する。
 しかしながら、[1]請求人と賃借人は、賃貸料の額を改定し又は新たに取り決めるなどして賃貸借契約書を作成したこと、[2]賃借人の理事会は本件賃貸料の支払を承認したこと、[3]賃借人は当該土地を事業用地として実際に使用していること、[4]平成8年3月期には一部ではあるが賃貸料の授受が行われ、その後も請求人は賃借人に対し本件賃借料を再三請求していることが認められることから本件賃貸借契約は有効に成立していると認められ、請求人のその他の主張には理由がないので、本件賃貸料は本件事業年度の益金の額に算入すべきである。
 なお、請求人は、本件事業年度の収益事業に係る確定決算において、本件賃貸料の額を収益事業以外の事業に属するものとして区分経理をしなかったのであるから、原処分庁が、本件賃貸料の額をみなし寄附金の額として法人税法第37条第2項の規定を適用して所得金額を計算したのは誤りである。
 しかしながら、同項の規定を適用しないで計算した本件事業年度の所得金額は、本件更正処分の額を上回ることから本件更正処分は適法である。

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