所得金額の計算

有価証券の評価方法

  1. 収益の帰属事業年度
  2. 益金の額の範囲及び計算
  3. 損失の帰属事業年度
  4. 損金の額の範囲及び計算
    1. 売上原価
    2. 山林ぶ育費
    3. 有価証券の評価
      1. 有価証券の取得価額
      2. 有価証券の評価方法(2件)
      3. 有価証券の評価損
    4. 固定資産の取得価額
    5. 減価償却資産の償却等
    6. 繰延資産の償却等
    7. 役員報酬、賞与及び退職給与
    8. 使用人給与、賞与及び退職給与
    9. 寄付金
    10. 外注費
    11. 海外渡航費
    12. 賃貸料、使用料
    13. 売上割戻し
    14. 弔慰金
    15. 支払利息
    16. 為替差損益
    17. 貸倒損失及び債権償却特別勘定
    18. 横領損失
    19. 損害賠償金
    20. 不動産取引に係る手数料等
    21. 福利厚生費
    22. 資産の評価損
    23. 燃料費、消耗品費
    24. 雑損失
    25. 使途不明金
    26. その他の費用
  5. 圧縮記帳
  6. 引当金
  7. 繰越欠損金
  8. 借地権の設定等に伴う所得の計算
  9. 特殊な損益の計算
  10. 適格合併

1. 期末にたな卸しすべき株式の評価に当たり、信用取引の決済に充てられるべき株式の買付けについては、期中の他の株式の取得に関係させることなく、個別に当該買付け株式の取得に要した金額により評価すべきものとした事例2. 債券先物取引につき、相反する同数量、同金額の売建て玉と買建て玉とが設定されている場合に、一方の建て玉を手仕舞いしたとしても、再び同方向の建て玉が同数量設定されているときは、損益の認識は、1組の売建て玉と買建て玉とが共々手仕舞いされたときに行うべきものとした事例

裁決事例集 No.40 - 104頁

  1.  請求人は、期末に有する有価証券(株式)の評価額の計算につき、総平均法に基づく低価法によるべき旨主張するが、請求人は期末直前において現物株式の買付けの約定とあわせて、同一銘柄の株式の同株数、同価格の信用売付けの約定をし、さらに現株渡しによる決済の約定をしているところ、法人税法施行令第47条の2の規定によれば、信用取引等の方法による株式の売買にあっては、1個の買付けと売付けを単位として個別に期末評価額を算定すべきことになる。
     これを本件に即していえば、信用取引の決済手段に充てられるべき期末買付け株式のうち、期末においてその決済期日が到来していないものは、信用取引の未決算勘定の一つとして、期中に売買が完了した株式とは別個に、当該買付け株式の取得に要した金額により評価するのが相当である。
  2.  請求人は、債券先物取引について、期末の直前において相反する同数量、同金額の売建て玉と買建て玉とを設定し、次いで損失の発生している一方の建て玉を手仕舞いして名目上の損失を確定させるとともに、新たに同方向の建て玉を同数量設定することにより、常に売建て玉と買建て玉を均衡させ、最終的には、これらの建て玉の差金決済日を翌期首とする反対売買によりその損益を確定させている。
     請求人は、債券先物取引に係る損益については、反対取引により手仕舞いして差金を決済する日に計上すべきである旨主張し、この建て玉を個別的にみれば、その主張に沿うかにみえるが、このような1組の売建て玉と買建て玉は、もともと一方に利益があれば他方に損失が生じる仕組みのものであって、一方に生じるかもしれない損失を他方の利益によって補てんすることを目的として設定されるべきものとみられるから、売建て玉と買建て玉とが同時に手仕舞いされて初めて意味のある取引であり、損益の認識も両者を総合して行うべきものであるから、相互に損益を担保し合っている売建て玉と買建て玉とが共々手仕舞いされるべきとき、すなわち翌期首(差金決済日)に損益が確定し、中間的に一方の建て玉のみについて手仕舞いしたことによる損益は、未決算勘定として翌期に繰り越されるべきこととなる。

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請求人が損金の額に算入した上場有価証券の評価損について、当該有価証券の価額が著しく低下した事実はないとした事例

裁決事例集 No.51 - 324頁

  1.  法人税法施行令第68条(資産の評価損の計上ができる場合)第2項第2号イに定める「有価証券の価額が著しく低下したこと」の具体的判断基準として、法人税基本通達9−1−7が、当該有価証券の当該事業年度終了の時における価額がその時の帳簿価額の概ね50パーセント相当額を下回ることとなり、かつ、近い将来その価額の回復が見込まれないことをいうものとする旨定めていることは、有価証券の評価損の損金算入要件として合理性がある。
  2.  本件の場合、請求人の有するN銀行株式の本件事業年度終了の時における価額は、帳簿価額に比して約40.21パーセント下落しているが、その後、N銀行の株価は上昇していること、N銀行の経常収益、預金、貸出金、一株当たりの純資産価額、自己資本比率等は、いずれも増加又は上昇していること、前期及び当期において債務超過の事実もないことから、「有価証券の価額が著しく低下したこと」には該当しないものと認めるのが相当である。

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